モンスターハンター 空を翔ける流れ星   作:littlelock

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第二話


第二話

 ここは、ドンドルマにあるハンターズギルドが統括してある集会酒場である。 

 

 そこではハンター達が自分達に見合った依頼書を見つけ出し、依頼を請け負う手続きを行うギルドカウンターがある。

 

 そして酒場では、ここで作られる料理でこれからの狩りに備えて力を蓄えたり、逆に狩りから帰ってきたハンター達が依頼の成功を祝う飲み会や依頼の失敗、狩猟でのミス等を話し合う反省会も行われ、はたまたただ単に己に巣くう腹の虫を満たすために料理を食べにきたりする事が出来る。

 

 そんな利便性が高い集会場ゆえに、今日も酒場はたくさんのハンター達で盛り上がっていた。

 

 その集会酒場のすみっこにあるカウンターの席に、一人の少女が身を縮こませるようにして食事を摂っていた。 金色の髪にハンターシリーズの装備を着こんでいる辺りから、先程ランポス達と交戦していたハンターだろう。

 

 その少女は早々と食べられる量の料理を小さな口へ押し込むように食べていた。 その食べ方は、まるで早々とこの場所を立ち去ろうとしているかのようだった。

 

「もぐもぐ、もぐもぐ……ハァ……」

 

 金色の髪色をした少女は皿に乗っていた料理を残さず綺麗にたいらげると、呆けるようにしてお腹の中にある空気を吐き出した。

 

「イル~、深いため息なんかついてどうしたの?」

 

 そこに、イルと呼ばれた少女の吐く息の音が聞こえたのか、近くを通りかかった受付嬢が声をかけてきた。

 

「あ……受付嬢さん、……こんにちはです……」

 

「うわ、こりゃまたテンション低いね……、どしたの?」

 

「……なんでもありません失礼します……」

 

 食べ終えた食器の上にフォークとナイフでハの字を描くようにして置き、席を離れようと立ち上がる。

 

「あー待って待ってまだ座ってて! 私さっきので今日の仕事を終わらせたから、一緒にご飯食べよ! ちょっと話したい事もあるし」

 

「でも私さっきご飯食べたし……」

 

「あなたの事だから食べたっていっても少量しか摂ってないでしょ? 大丈夫、今回は私が全部持つから、存分に食べてって?」

 

 今持って来るからねーと受付嬢は手を振りながら店の調理場の置くに消えていった。

 

 ぐーー。

 

 直後、先程食べ物を貯めこんだはずの胃から腹音が鳴りだした。 どうやら自分で頼んだ分の料理では腹の中にいる虫は満足するには足りなかったらしい。

 

 色々と口を開く事になりそうだと予想しながら、本来ならさっさと立ち去ろうとするこの酒場を少女は食欲に身を任せ再び椅子に座り直した。

 

 

 

 

 

□ □ □ □ □ □ □

 

「……そっかー、ランポスが剥ぎ取りもままならない状態に」

 

「そうなんですよ! せっかく痛い思いもして戦ったのに報酬が少なくなるなんてー……」

 

 結果から言うと、イルと呼ばれた少女は自分の失敗談を受付嬢にぶちまけてしまっていた。 皿の上にある品を咀嚼していたら自然と口が開きやすくなったのだらう。

 

 受付嬢はその失敗談というよりも愚痴に近いそれを反論や否定もせずに聞いていた。 このように落ち込んでいる時は相手の気持ちを受け止める事が大事だと今までの経験で知っていたし、第一ハンターズギルドでのお役所仕事で年中忙しい彼女が、実際に戦ったどころか襲われた事がないこの都市の外にいるランポスの話を額面上の知識で否定出来る訳が無かった。

 

「おかげで注文する料理もいつもより安くて量が少ない品を選ぶ事になりました」

 

 言うだけ言ったら疲れたのか、金色の髪をした少女は腕をカウンターテーブルの上で伸ばし、顔をつっぷさせる。 そんな彼女を見て、これは何か雑談で気分変えた方がいいなと感じ、口を開く。

 

「一応その安くて量の少ない品も頑張って作ってるんだけどな~。 大体、イルがいつも注文している料理だってちょっと量が多いくらいしか違わないんだからおかげでなんて言う必要ないじゃん?」

 

「味は全然申し分ないんですよ? ただ量っていうかカロリーっていうか、腹持ちがあんまり……」

 

「そんな食費に困ったりするくらいならいい加減別の武器使えばいいのに……。 その腰に下げている片手剣が泣いてるよ?」

 

 受付嬢がそう諭すとイルと呼ばれた少女は言葉に詰まるように黙った。 そんな少女に受付嬢は追い立てるように話す。

 

「だいたい、ブーメランは打撃系統の武器やガンナーの武器じゃ斬り落とせない尻尾とか、刃渡りが短くて尻尾まで届かない片手剣や双剣の代わりに残裂攻撃をするための「アイテム」であって狩りの主要に使う武器じゃないのよ?」

 

「……」

 

「しかも片手剣や双剣だってモンスターを転ばせたりしたら尻尾に攻撃出来たりするらしいし、ガンナーだって無理をすれば斬裂弾とか接撃ビンで尻尾を斬り落とせるって聞いた事があるし」

 

「…………」

 

「まだ尻尾を斬り落とす技術が発明されていないハンマーや狩猟笛だってパーティに参加すればモンスターを気絶させたりして尻尾を斬り落とすチャンスを作ったりして、協力したという建前で剥ぎ取る事が出来るし」

 

「………………」

 

「しかもほとんどのハンターはブーメランを普段から使う人が少ないから、いざ使おうとしてもたいした攻撃も出来ずに全部投げ切っちゃうのが落ちだってよ?」

 

「……………………」

 

「つまり今の時代ブーメランの存在価値ってかなり低い部類で、雑貨屋さんも思うように売れなくて困っているような代物で……」

 

「……ぐすっ」

 

 そこで受付嬢は隣からぐずる音に気付いた。

 

「て、あれ? ごめん、言い過ぎちゃった?」

 

「いいもん……、どんなに言われてもやめないもん……」

 

(どこからその執着心が来るんだろう……?)

 

 泣きだしながらも自分を曲げない少女に受付嬢は苦笑するしかなかった。

 

(まあ丁度いいかな、話を切り出すには)

 

「はーい、そんなあなたに朗報がありまーす。 聞きますか?」

 

「グスっ、ろうほう?」

 

 少女は涙を浮かべた瞳で問いかけて来る。 受付嬢はその瞳に答えて内容を語りはじめた。

 

「ねえ、ユクモ村って知ってる?」

 

 

 

 

 

 




つづく
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