アンリミテッドは無理ゲーすぎる!   作:空也真朋

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第二十五話 少女の足元冒険野郎は眠る

 

 

 鎧衣課長Side

 

 

 「ハァ…ハァ……ハァ、

 まったく何なんだ、アレは!」

 

 彼女から距離をとり、もの影に隠れながらつぶやいた。

 あちこち痛んだり痺れたり麻痺したりな体はスクラップ寸前だ。

 

 沙霧真由へ勢いよく向かいねじ伏せようとしたが、いきなり彼女のリュックから六本の腕がニョキッと生えた。腕の先には全て銃がついていたが、あれから弾が出るとは思えない。

 

  何のオモチャだと構わず行こうとしたが本当に撃ってきた!

 

 弾はゴム弾だが、当たると電流が流れ当たった場所がマヒしてしまう。

 

 右、左、後ろと死角から迫ろうと試みたが、弾は全て当たってしまう。

 

 弾を避けられたのは一度だけ。

 

 偶然足下にあった上着を拾い、弾を叩き落とした時だけだ。

 

 その後上着を使い弾を叩き落として進もうとしたが、全てタイミングをずらされ弾が当たってしまう。

 

 「なんて高性能な自動照準迎撃だ。あれも是非欲しいものだな」

 

 我ながらタフが自慢のおかげでずいぶん耐えられたが、もはやあと一度が限界だろう。逃げることも考えたが、この先彼女を捕らえるチャンスがあるとは思えない。

 

 「やはり彼女が自分の手で持っている銃が撃てないとみるべきだったか」

 

 様々な方向から突撃を試みたが真正面からは一度も行っていない。銃技であれ、剣技であれ、格闘技であれまず最初に注目すべきは腕。つい用心してしまい、彼女の持っている本物の銃を避ける動きをしてしまっていた。

 機械の腕はどうも構造上、真正面には銃口を向けられないようだ。ならばあの彼女自身が構えている銃こそは、真正面からの突破を避けさせるブラフというわけか。

 

 「なるほど、最初の会話で私は彼女の術中に嵌まっていたのか。彼女とポーカーはやりたくないものだな。こうなると今までのマヌケっぷりもいざという時の演技かもしれないな」

 

 では、残りの力を振り絞り果敢に正面突破といこう。

 それでも用心は怠らない。

 右腕を額に。左腕に上着を巻いて胸に。

 たとえ発射されても急所だけは守り抜いて耐えてみせる!

 

 「南無三!」

 

 直線に最短距離を最速に!

 

 弾が発射される前に彼女を捕らえてみせる!

 

 すると彼女はポイッと拳銃を投げ捨て、シャツを捲り上げた。

 

 その下にはでかい銃口!?

 

 ドンッ!!!!!  バリバリバリバリ!!!!

 

 「こっちのゴム弾は人間の体が耐えられるギリギリの電流ですが、弾が遅いんです。避けられないよう全速で来てくれてありがとうございました」

 

 それが気絶する前に聞いた彼女の最後の言葉だった。

 

 やれやれ、本当に彼女とポーカーはやりたくない――――――――

 

 

 

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 沙霧真由Side

 

 

 こんにちは 沙霧真由です。

 ウソです。自動照準迎撃なんかじゃありません。全部私が頭につけている脳波コントロール装置で動かしていました。

 …………………あ、別に自動照準迎撃なんて言ってませんでしたね。

 自分の脳波がどのくらい強くてどのくらいのことが出来るのかを調べるのって、昔からよく研究してました。で、その実験器具を改造したのがこれです。今じゃ脳波コントロール装置でかなりのことが出来ますよ。

 あとこんなぬらりひょん親父の行動予測なんて、お薬切れた状態の私にとってはなんてことないのです。さらに感情の揺らぎも少なくなりビビリ体質も抑えられウソもパワーアップ!

 実に楽勝でした!………とはいきませんでしたね。やはり上着を取られたのは失敗でした。あれのおかげで予測が難しくなり、随分手間取ってしまいました。ゴム製のフェイクとはいえ銃をずっと持っている手も疲れましたしね。もし本物だったらあんなに長く構えてられません。

 おまけに小さい方とはいえ弾切れ寸前まで粘るなんてバケモノですね。弾切れ前に切り札に向かって来てくれてホント―――――にありがとうございました!

 

 「さて、親父のせいで時間がなくなっちゃいました。急がねば」

 

そう駆け出そうとしました。が、

 

 

 「いつか………」

 

 後ろから声が!!! 鎧衣さん!?

まだ意識があるの!? 本物のバケモノ!?

 

 

 「また冒険野郎に戻って旅でもしてみたいものだな。美琴も――――」

 

 それっきりでした。

 そのまま鎧衣さんは眠り続けました。それ以上なにも言わずに。

 

 「……寝言ですか。鎧衣さん、行かせてもらいます」

 

 また駆け出そうとしました。

 でも少しだけ後ろ髪を引かれる気がしました。

 なので振り返りました。親父の寝顔にもう一度だけ。

 

 「私も冒険はしてみたかったですね。その時一緒に行けたら素敵でした。

 ……これからすることを考えれば夢でしょうが」

 

 

 そんな未練をそこに残し、

あとはただ真っ直ぐに駆け出しました

 

 

 夜の横浜基地、それなりにいる見張りをくぐり抜けます

 

 

 たどり着いたのは戦術機ハンガー前

 

 

 得意のハッキングで扉を開け侵入

 

 

 暗闇のハンガー内、ライトと勘を頼りに進みます

 

 

 一番奥のいつも引きこもり作業している特等席

 

 

 そこでいつもと変わらず迎えてくれるあの子にお願いに行きます

 

 

 それは白銀君すら乗れば医療室送りのジャジャ馬

 

 

 銀色の流れ星

 

 

 「流星、私を乗せてお兄ちゃんの所へ連れて行ってください」

 

 

 銀の巨体が微笑んだような気がしました。

 

 

 

 

 

 

 




 第二のライバル撃破!
 眠れ強敵よ………。
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