アンリミテッドは無理ゲーすぎる!   作:空也真朋

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第五十一話 運命はこぶ銀の流星

 白銀武Side

 

 

 

 地下の反応炉にBETAが迫っている!このままじゃここが再びハイブに戻される!

 しばらくの待機状態の間自分なりにこの状況で打つ手を考えたが、反応炉を破壊した後に基地放棄しかないぞ。夕呼先生はなにか考えつくのか?

 

 やがて夕呼先生から直接命令が来た。方針は反応炉を停止させBETAの活動エネルギー切れを待つ、というものだ。持久戦法だな。

 まず司令部から反応炉停止作業を行うオペレーターが制御室へ行き、A-01からは2機支援として反応炉の完全確保に向かう。同時に90番格納庫の凄乃皇・弐型のムアコック・レヒテ機関を作動させる。エネルギーを求めてBETAが90番格納庫に引きつけられている間、停止作業を行うのだ。残りのA-01は凄乃皇の防衛だ。

 

 反応炉へ向かう支援役にはオレと速瀬中尉が選ばれた。残ったヴァルキリーズのリーダーは宗像中尉。オレと速瀬中尉がいない状態で囮として大量のBETAを引き受けなきゃならない。一刻も速く反応炉へ行って任務を達成するぞ!

 

 『それじゃあ頼んだわよ。………え!なんですって!? 速瀬、白銀、急ぎなさい!』

 

 夕呼先生があせっている! どうしたんだ!?

 

 『隔壁を破った例のレーザー種がもう第四隔壁まで来ているわ! 戦車級が背中に乗っけて足を速めているらしいのよ! もうある程度BETAを流し込んでもやむを得ないわ。スピード重視で隔壁を開けていくから急いで!』

 

 クソッ!まったくとんだ軍師様だよBETA!!

 

 

 詳しい説明もなしにメインシャフトに飛び込まされた。とにかく反応炉ブロックへ行けということだ。飛び込む前、オペレーターは涼宮中尉が務めることを聞いた。何でも夕呼先生自ら行こうとしたのを強硬に自分に変えさせたそうだ。速瀬中尉の親友だけあってあの人も熱い人だな。

 

 メインシャフト内を猛スピードで進んでいく。途中進路を塞ぐようにいるBETAは的確に撃ち落とし、複雑に入り組んだ部分もスピードを緩めることなく突き進む!

 オレすげえ! 元の世界に帰ってバルジャーノンやってみたい! 今なら尊人に百戦百勝だ!

 

 しかしそんな夢見てる場合じゃないな。途中にある頑丈そうな隔壁はみんな大穴が開いている。間違いなくメインゲートを破った光線級が開けたものだろう。第四隔壁ももうすでに大穴が開いており、光線級はいない。そして第五隔壁までも!

 

 くそ!もう後は反応炉ブロックの扉だけ!反応炉に到達しちまったのか?間に合わなかったのか!?

 

 

 

 ―――――――いた! 反応炉ブロックの扉に向け、光線級がレーザー照射をしている!

 

 光線級は全部で十二体。内六体は隔壁破壊で後ろ向きだが、残り六体はこっちを向いてレーザーを撃ってくる!どうやら半数が隔壁破壊、半数が後背の敵を迎撃、というフォーメーションのようだ。

 オレと中尉は距離をとり、横の通路に身を隠すがこの先は長く狭い一本道。六体分ものレーザーを躱すことなど不可能だ。後ろから這い寄ってくる小型、中型のBETAを殺しているが、このままでは反応炉に行けやしない。

 

 「……………ダメですね。どう考えても潜り抜ける方法なんてありません。夕呼先生に連絡して他の道を教えてもらってください」

 

 『ダメよ!私達がここを離れたら光線級が開けた穴でBETA共が大量に入るわ。そしたら遙が………!』

 

 そうか………!迂回してたらここから反応炉ブロックにBETAが入り、涼宮中尉が殺される!そしてそれは反応炉停止の失敗も意味する!詰んだぞ、この状況は!

 

 『…………白銀、あんたの追加装甲よこしなさい』

 

 「中尉、なにをするつもりです?」

 

 『両手に追加装甲で1秒でも長く保たせるわ。そして近づいたら私のS-11で自爆する。後は頼んだわよ、白銀』

 

 S-11。それは戦術機に通常装備されているハイブ破壊用、そして自決用高性能爆弾。

 

 「な………!いけません中尉!やるならオレが!」

 

 ………オレまで一瞬で自決する覚悟とか出来ちまった。どうなってんだ、このごろのオレ。

 

 『あんたはダメ。今あんたがいなくなったら鑑を任せるヤツがいなくなるわ。どっちかやんなきゃならないなら私なのよ』

 

 

 そうだ、オレはまだ死ねない!でも、速瀬中尉を送らなきゃならないなんて………

 それでも決断しなきゃならない。上ではみんなが戦っているんだ。任務を果たさなきゃ誰も彼も死んじまう――――!

 

 

 

 結局言われるままに追加装甲を渡した。そして――――

 

 

 

 『じゃあね。部隊のみんなによろしくね。伊隅ヴァルキリーズを頼んだわよ』

 

 

 

 中尉の不知火は突撃砲を下ろし両手に追加装甲を持った。

 そして姿勢を低く突撃体勢に入る。

 S-11の時限起爆を入れるのを見るとオレは下がった。

 

 

 

 「速瀬中尉、お世話になりました! いろいろありがとうございます!」

 

 伊隅大尉の時と同じように最敬礼をした。

 

 『白銀、もうひとつお願い。遙に――――孝之に先に会いに行くって言っといてちょうだい。』

 

 孝之―――――誰だろうな。いや、最期に語る人だ。速瀬中尉の大事な人にきまっている。中尉にもそんな人がいたんだな。涼宮中尉、すみません。あなたの親友を………

 

 

 

 

 

 ブオオオォォォォ!

 

 『水月、やめろォォ!S-11を止めるんだ!!』

 

 

 

 突然に通信回線から見覚えのない男が映った!

 誰だ?速瀬中尉の知り合いか!?

 そして後ろから………戦車級BETAが飛んでいる!? 

 いや、戦術機が生きた戦車級を掲げて突進してきているだと!?

 

 

 それはそのまま光線級の待ち構えている通路に突進した!

 そうか! BETAは生きたBETAを攻撃できない!

 

 思惑通り光線級はレーザーを止めた!

 それは光線級に最接近すると戦車級をポイッと投げ捨てた。

 そして光る長刀を抜いて光線級を一瞬にして全て狩った!

 

 あの武器は………いや、あの戦術機は!

 

 

 

 ――――流星!? 乗っているのは真由じゃないのか!?

 

 

 

 

 『――――――オレだ、水月。S-11は止めたか?』

 

 

 光線級の残骸の中で流星は佇み、こちらを向いた。通信回線に映る男はやはり知らない顔だった。

 誰だこの男、速瀬中尉の知り合いなのか? なぜ流星に乗っている!?

 

 『――――そんな……生きて……生きていたの!?』

 

 速瀬中尉の様子がおかしい。やはり知り合いのようだが。

 

 「速瀬中尉、この人はいったい?」

 

 ……って泣き出した!?そして絶叫した。彼の名を――――

 

 

   『た……孝之ィィィィィ!!』

 

 

 

 

 

 

 ―――――この人が孝之さんだそうだ。フルネームは鳴海孝之

 

 声の様子からしてやはり中尉の思い人

 

 でもなぜ彼がここに来て、なぜ流星に乗っているのか?

 

 まるでわからないことだらけだ

 

 それでも

 

 ”速瀬中尉の流した涙がすべてを物語っている”

 

 

 

 

 

  なぜかそう思えた――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 それはもう一人の死んだハズの男

 名は鳴海孝之

 その死に幾多の涙を流し慟哭した水月の元へと帰って来た

 だが流星に乗っていたハズの真由はどこへ?

 どこまでも謎は深まる!

 次回、真由と鳴海孝之
 その秘められた大いなる真相が語られる!


 
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