こんにちは 沙霧真由です。
今現在、速瀬さんの不知火に突撃砲向けられています。まあ、撃ってきても”弾よけ”のスキルがあるんで大丈夫なんですけどね。
ただ、速瀬さんが撃ってきたら速瀬さんを無力化しなきゃいけません。BETAに攻められている最中の今、かなりヤバイです。この先のいろいろなことも間に合わなくなるかもしれません。
『答えなさい! あんたの目的は!? 何故私達のこといろいろ知っているの!?』
それ全部話してたら一日くらいかかります。たとえ正直に話してたとしても、”この世界は私の前世ではゲームで、原作知識でいろいろ知っているのです!”とか言っても納得するとはとても思えません。
『速瀬中尉!そんなことしてる場合ですか!早く反応炉を止めないと、みんなが!』
『水月、やめて!!』
――――――!?
涼宮さんの通信で速瀬さんの”撃ち気”が消えた!?
他の人には変わらず不知火が突撃砲を向けているようにしか見えないでしょうが、私のあらゆる物質の運動を見逃さず理解する目には速瀬さんの戦意の喪失がはっきりとわかりました。
そして速瀬さんの不知火はゆっくり突撃砲を下げました。
『………確かに今、あんたを問い詰めてる時間なんてなかったわね。いいわ、とにかく反応炉を停止させなさい。遙も私も一応あんたに助けられたんだし、この場だけは見逃しておくわ。』
そして白銀君に向いて言いました。
『白銀、あんたは一足先に90番格納庫に行って防衛線に加わりなさい。向こうも今、地獄でしょうからね。』
『………わかりました。くれぐれも早まったマネはしないで下さいよ!』
そう言って行こうとする白銀君。
「あ、待ってください白銀君、その前にS-11を置いていって下さい。必要なんで。」
『あ?ああ、反応炉は頼むぞ、真由。』
S-11を置いてグワァァーンと爆音響かせ白銀君は行きました。
速瀬さんは私の監視はするようですが、敵対はしないようです。では仕事にかかりますか。
みなさん覚えてます? 15話で言ったと思いますがBETAの母艦級、突撃級の外殻、要撃級の腕。BETAにはムチャクチャ硬くて厄介なモノがありますが、それらは全て生きている間だけ。生体エネルギーが通っている間だけ硬くて、それがなくなればゴミの如くもろくなります。これは反応炉の壁も同じ。生体エネルギーが巡っている間だけダイアモンド並の硬度があるのです。逆に言えばそのエネルギーを遮断すれば硬くて厄介なモロモロも紙装甲に早変わり!……というわけで物理学チート! そのエネルギーを瞬間的に吸収し消してしまう物質作っちゃいました!エネルギ-を喰らう謎宇宙由来物質を強化して超貪欲に喰らうモノにしただけなんですけどね。
それを粘着弾と組み合わせて硬殻破壊弾なんて作ったものが今日行う予定の実験だったんですが、それを持ってきました!
さっきジャンプするために外した突撃砲を構え反応炉に向けます。
頭脳型BETAに近い場所目がけてシュート!……………命中!
『…………?なによ一発だけ?爆発もしないし、なにも起きないじゃない。』
と、速瀬さんは言います。エネルギー喰らう謎宇宙由来物質詰めているだけなんで爆発はしません。でも私のチートな目にははっきり分かります。瞬間的にエネルギーを大量に喰われ、粘着弾が当たっている部分を中心に硬度が大きく減衰しているのを!
突撃砲を捨て、白銀君が置いていったS-11を片手に持って、もう片方の手にビーム長刀!反応炉に突撃し、脆くなった部分にビーム長刀を叩き突ける!…………やった!簡単に砕けた!厚さ数メートルものダイヤモンドにも等しいハズの外殻を簡単に壊していき、ついに内部をさらした!
おじゃましま~~す………
…………うおっとヤバイ!とっさにビーム長刀を投げ、急所に突き刺し頭脳型BETA瞬殺!
ふ~~うヤバかった!こいつ、エネルギーを臨界まで上げて自爆しようとしやがりました!
内部に入り、重要で貴重っぽい物質を次々刈り取り、採集していきます。うん、物理学チートな私には宝の山ですね。もうここに住む!………というわけにもいきませんが、流星の収納部いっぱいに貴重物質を入れていきます。
そして強振発信部!
これこそこの件の最大目標! 遂に手に入れました!
頭脳型BETAの発する脳波型言語を強化し、プロジェクションで数百万の下級BETAに送れるほど強力にするというものです!
さて、名残惜しいですがさすがに全部は持って行けません。ここまでにしましょうか。
持ってきたS-11をセットし、脱出。
『反応炉停止はしたみたいだけど遅かったわね。何してたの?』
外に出ると速瀬さんが待っていて聞いてきました。
「詳しいことはこの通信メールで。博士に見せておいてください。」
速瀬さんに私の目的を簡単に書いたメールを送りました。
『な!! BETA全滅計画!?ちょっと、これ………』
「質問は受け付けません。涼宮さん、流星の管制ユニット内に入ってください。反応炉内部にS-11をセットしました。急いで脱出しましょう。」
『な!!反応炉は停止したんでしょう? なんで破壊するのよ!!!』
私は涼宮さんを管制ユニット内に入れながら答えました。
「復活させられるような停止程度じゃダメなんですよ。今回の襲撃は明らかに反応炉の確保が目的です。もし復活させられる可能性があるのなら本気のBETAは止まりません。制圧するまでいくらでもBETAを送り込んできます!明らかに復活は無理、と見せつけないと!
研究用のサンプルは十分採集したし、内部構造も三日前に調査して、さっき詳しい細部も記録しました。研究には何の問題もありませんから心配しないで下さい!」
…………純夏さんのODL浄化以外は。これ、考えると胸が痛みます。
『じゃ、じゃあ最初から反応炉を守るのは無理だったってこと? もし早い段階で反応炉の破棄を決断してれば基地は………』
そうなんですよね。もしBETA全滅計画を夕呼さんが了承してなければそうするよう進言してました。でも次のイベントのため、ここまで攻め込まれる必要があったのです。
「ところで純夏さんは?出撃してるのですか?」
『………いいえ。襲撃が起こる前に体調不良を起こして倒れたわ』
どうやら今まで情報をオリジナルハイブに送っていたことを理解したようですね。純夏さんが夕呼さんにこれを告げて、これにより夕呼さんは桜花作戦を発動する決断をすることでしょう。
オリジナルハイブを攻めるあの作戦を!
そして”毒薬”最後の材料も無事手に入れました
待っていなさいBETA
これであなた達を滅ぼす一粒の悪魔を生んでみせましょう!!
反応炉での目的は達成!
真由の計画は次の段階へ!