アンリミテッドは無理ゲーすぎる!   作:空也真朋

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第五十八話 真由、真実を語る!

 

 

 こんにちは 沙霧真由です。

 BETA全滅計画の核心である”毒薬”を完成させ、届けに来たんですが…………やっぱりその過程でいろいろ怪しいことしちゃいましたね。今現在夕呼さんに問い詰められてピンチです。

 

 「コレを強力なBETA言語を発信するようにするためには、反応炉からBETA言語を強化する強振発信部を取らなきゃならない。でも反応炉の解体なんて簡単に許可が出るワケがない。

 つまり基地がここまで追い込まれ、かつあそこで速瀬が反応炉の破壊を決断することまで知っていたわね?事前に反応炉を調べたのも、あんたがあそこに現れたのも、その瞬間に反応炉から材料をいただくためね?」

 

 ハイ、おっしゃる通りです。

 

 「数日前A-01に評価試験の依頼と称して大量のトリモチ弾を送ったわね?それはこの襲撃でBETAが他の死骸を盾に迫るという戦術に対抗するため? ご丁寧にニセの命令書で90番格納庫に保管させて。

 だとしたらBETAの襲撃のみならず、90番格納庫が戦場になること、まだ見せてもいないBETAの戦術まで知っていたことになるわね」

 

 オルタと違って月詠さんと斯衛の三人はいませんからね。システムに介入できることを知られても手を打たないと、壊滅の可能性さえありました。美琴さん、上手く使ってくれて感謝です。

 

 「そして少し前にまりもから連絡があったわ。あんたが河崎重工に発注しているパーツを基地に届けろと言っているってね。確かにそれはこれからの作戦のために必要よ。戦闘でガタついた機体ばかりでどうしようかと思っていたけど、これで戦術機を良好な状態にできるわ。

 でも今日この日に大量のパーツが届くよう発注かけたのはあんただったわね?まさかこれ、今の状況を見越してのこと?

 でもだとすると、その時点ではあたしが考えてもいないこれからの作戦のことを…………いえ、鑑とオリジナルハイヴの関係すら知っていたことになる」

 

 ハイ、確かに純夏さんがオリジナルハイヴに情報を送っていたことを知っています。私が人類を一大危機に陥れる情報を知っていたことも、知ってて黙っていたことも戦慄するのに十分でしょう。

 

 「速瀬からも話を聞いたわ。これまであいつとの接点はないハズだけど、随分と過去を知っているようね。それに涼宮が制御室でBETAに襲われるのを事前に察知したって?それってやっぱり予知?」

 

 原作知識です。『君が望む永遠』も随分やりましたからね。

 

 「でも予知があるにしちゃ、佐渡島に関してはまったくそんな兆候見せなかったわね。この違いは何なのかしら?」

 

 純夏さんの途中リタイアを防ぎましたよ。まあ、起きない不幸は気づかないものですが。

 

 「ねえ、そろそろあんたのその未来予知みたいなモノ、教えてくれない?どういった条件でどんな風にわかるの?」

 

 恐!!! 夕呼さんが優しく聞いてくるのって、途轍もなくヤバイ感じです!

 とうとう私に関してのわからない部分に踏み込んできたようです!

 

 しかし!私には世界をも支配出来る、神にも悪魔にもなれる正義の心を持つ者だけがつくことを許されるというスペシャルなウソがあります!

 空を裂き、大地を割り、虚構を構築するその力!

 

 喰らえ夕呼さん!! 神の声を聞け!!

 グレートゴージャスマジンラァ~~~イ!!!

 

 

 「あ、いまウソ言おうとしてるわね。時間もったいないんだからやめてちょうだい」

 

 ――――!!

 

 何ィィィィィ!? 発動する前に見切ったですとォ………!!?

 

 「うわっ、おもしろい顔!こっちはあんたのウソにはさんざん痛い目にあっているからね。舐めるのはやめて見抜けるようクセを研究したわよ」

 

 「わ……私のウソが通用しないというのですか!? そんなバカな!!

 ほぎゃァァァァァァァァァァァ~~~~!!!!!!」

 

 

 

 ――――カチャ………

 

 「あの、副司令大丈夫ですか?」

 

 「問題ないわピアティフ。沙霧が吠えているだけ」

 

 「問題……ないんですか、これ?」

 

 「こいつの奇行は今にはじまった事じゃないでしょ。

 それよりラダビノット司令にアポ取っといて。例の作戦、BETAに極めて有効な手段が見つかったから作戦案の修正の提案。

 あと整備主任に通達。河崎重工の業者が来たらすぐ作業にかかってもらって。目標は明日までに完全な不知火10機。技術者の応援も頼んだから上手く使って。

 それと涼宮が持っているアタッシュケースを受け取っておいて。それを厳重に保管。

 それからここで食事を済ませるから沙霧の分と持ってきて。頼んだわよ」

 

 「はい、了解しました」

 

 パタン………

 

 

 

 ハァ……ハァ……おや?誰か来たような気がしますが、絶叫している私をスルーとかありえませんね。気のせいでしょう。

 それよりもまあ、屈辱ですがそろそろ本当のことをしゃべってもいいでしょう。別にゴッド純夏さんに『本当のことをしゃべっちゃいけない』とか言われているワケじゃないですしね。

 

 「はぁ……博士にはかないませんね。わかりました。本当のことを話します」

 

 「いや、あたしじゃなくても十分警戒するレベルだけどね。速瀬もあんたに何かを感じたみたいだし。まあいいわ、それで?」

 

 「実は世界中にBETAが蹂躙するこの世界、私の前世ではゲームだったのですよ!」

 

 「………は?前世?ゲームって…………スゴロクみたいなモノ?」

 

 「この世界にあるようなチャチなものじゃありません!膨大なシナリオによるテキスト!それにイベント画という絵を組み合わせたその名もPCゲーム!パソコンによって起動させ、読み進めるタイプのゲームです!」

 

 「ええと……パソコンでゲーム?随分高価ね」

 

 「そしてこの世界における物語は白銀くんを主人公にした壮大なストーリー。そのタイトルはマブラヴ!」

 

 「”まぶ……らう゛”?何語かしら?」

 

 「第1章は白銀君がいた元の世界での学園ドタバタストーリー。ですが第2章でのアンリミテッド編ではこのBETA世界に迷い込んだ白銀君の物語。残念ですが、ここでは博士は00ユニットを完成させられずゲームオーバーでした」

 

 「…………痛いわね。確かにあんたがいなけりゃ完成できなかったろうし」

 

 「そして第3章のオルタネィテイブ編。遂にこの世界において色々な経験を積んだ白銀君は、様々な悲劇を乗り越えてオリジナルハイヴ陥落を果たします!

 このマブラヴの原作知識。これこそが私が予知をしているような秘密だったんですよ!」

 

 「…………………………」

 

 「速瀬さんのことについては別のPCゲームで知りました。鳴海孝之さんが主人公で速瀬水月さんと涼宮遙さんがヒロイン。そのタイトルは『君が望む永遠』!」

 

 「は……速瀬がヒロイン!? それになに?その速瀬にまったく似合わないポエムなタイトル!?」

 

 「BETAのいない世界で鳴海さん、速瀬さん、涼宮さんがキャッキャウフフな三角関係のラヴストーリーが繰り広げられる物語!あれも名作でしたねぇ」

 

 

 

 

 

 「………………驚いたわね」

 

 そう!あまりの驚愕の事実に夕呼さんも呆然としてます。

 

 「まったくウソの兆候が見えなかった。なのにこんなたわ言並べられるなんて」

 

 はい?たわ言?

 

 「残念だけどここまでね。兆候がわからないんじゃ判断ができないわ。時間もないしあんたのことは棚上げね。負けたわ」

 

 …………私、勝ったんですか?虚しい勝利です。

 

 「でも一つだけ教えてちょうだい。鑑がオリジナルハイヴに情報を送っていたことまで話さなかったのは何故なの?これは反応炉解体とは別問題よね?まあ、あんたのおかげで少しはマシになったけど、それでも準備不足のまま”作戦”をしなきゃならなくなったわ」

 

 「それです!今この瞬間に人類最大の作戦、桜花作戦を発動させること。そのために黙ってました!」

 

 「………このことについても知っているみたいね。で、その理由は?」

 

 

 

 「今がオリジナルハイヴ深奥にたどり着く可能性が最も高いからですよ」

 

 

 

 

 




 強敵夕呼に辛くも勝利した真由!
 そして夕呼の問いに何を語る………?

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