あなたと過ごす日常~末咲日和~   作:ganmodoki52

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12月
今は、このままで


 

「すごいふとした疑問なんですけど」

「んー?なんや?」

 

 いつものように、咲の家にやって来て、ベッドでごろごろする。それは、たとえ今日がクリスマス・イヴだとしても変わらない。

 

「恭子さんって、お金どうやって工面してるんですか?休みの度にここにいますけど」

「それ気になるか?」

「気になりますよ、来るのもタダじゃないんですから」

 

 そんなに気なるものなのだろうか?ああ、そう言えば、前読んだ雑誌に、デートの時、毎回お金を出すのは嫌われるから止めた方がいいとか書いてあったな。それに近い感じだろうか?

 

「まあ、うちも大学生やし、高校の時よりはいろいろと余裕があってやな」

「恭子さんアルバイトしてましたっけ?」

「まあ、無理しない程度のは」

 

 基本的に、平日は毎日シフトが入っているって言ったら、咲はどう思うだろう?まあでもそのぐらいしないと今の生活を維持できないから仕方ないやん?別に無理してるわけちゃうし。

 それだけ、今この瞬間が大事だって言ったら、咲はどんな顔するだろう。言葉にしてみたい気もするけれど、どこかもったいないような気がしてならない。

 

 ――それに、もうすぐこの生活も終わりやしな。

 

 季節が冬から春に変われば、彼女は高校を卒業して、プロへの道を進むだろう。そうなれば、今のように、休日を共に過ごすことは難しくなる。 私も、今後徐々に就職活動が始まり、自分の時間を取ることが難しくなってくる。そう思ったら、お金なんか一切惜しくない。

 咲と同じ空間で過ごすこの何気ない時間は、そんなものよりずっとずっと大切だから。

 

 

 

 恭子さんが、日頃無理しているだろうことは、容易に想像できる。私が電子機器が苦手だから、普段はあまり連絡を取らないのをいいことに……、いや、気付いてないと本気で思ってるのかもしれない。

 

 ――そんなはず、ないのにね。

 

 もちろん、会いに来てくれるのはうれしいし、自分が高校生で、大学生の恭子さんとは経済力のレベルが、多少なりとも違うのは理解している。

 でも、流石に目の下の隈がはっきりと出ている状態に気付かないくらい、無理しているのを隠すのは、無理じゃないかなって。

 まあ、強く言えない私も悪いからね。

 今日はクリスマス・イヴ。街では沢山のカップルが、特別な日として今日を捉えている。

 けど、私たちは、この空間は、いつもと変わらないでいよう。それが、私から恭子さんへの簡単なプレゼント。

 そうすれば、今日の恭子さんは、無理をしなくていいから。

 

 何もしなくても時は進んでいってしまうから、今はこのままで。

 そう思ってしまうのは、いけないこと?いや、そんなはずないよね。

 

 ――だって、恭子さんが、あんなに幸せそうな顔をしてるから。

 

「ちなみにプレゼントとかは……」

「移動費でお金が尽きたからない!」

「なんでそんな自信たっぷりなんですか……」

「……すまん」

 

 恭子さんからのプレゼントは、この顔だけで、充分すぎるから、ね?

 

 

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