魔法使いとポケットモンスター 作:JD゛9
この宇宙には、様々な空間が存在している。ポケモンの世界だけではなく、無数に存在する物語や現実世界が、互いに交じり合うことなく存在している。
神とは、どのような存在だろうか。そこらへんにいるような人の事は、誰も神とは呼ばない。偉業を成し遂げ、不思議な力を操り、全てを見通す、影響力のある存在の事を指す。
その多大な影響力を持つ神が、些細な行動を起こしたらどうだろう。些細な事だから、影響せずに済むだろうか。
「くちゅん」
神がくしゃみをした。2つの世界を隔てる目に見えないシールドが、一瞬歪んだ。
その2つの世界とは———。
*
「アイはどのポケモンにするの?」
「うーん……。まだ決めてないかなぁ。ユウカは?」
「その場で決める」
ポケットモンスター、縮めてポケモン。この星の、不思議な不思議な生物。海に、森に、町に、その種類は何百と存在する。
この世界では、十歳になると自分のポケモンを連れて旅に出てもいいという決まりがあった。
そこで、アイとユウカは初心者用のポケモンを貰いに、ポケモン研究所へ向かっているのである。
「こんにちはー、オーキド博士います?」
「おお、居るとも。お入り。ポケモンの用意は出来てるよ」
二人が研究所に入り、中に声を掛けると、奥からオーキド博士が姿を現した。手にはトレーがあり、その上には四つのモンスターボールが置かれている。
アイとユウカがソファーに腰掛けると、早速と言わんばかりに博士が二人の前にトレーを置いた。
「初心用のポケモンじゃ。好きなのを選ぶと良い」
「とりあえず、全部開けてみましょうか」
ユウカの提案にアイは頷き、二人は次々にモンスターボールのスイッチを押していく。
順番に光のエフェクトと共に姿を現したのは、フシギダネ、ゼニガメ、ヒトカゲ、そしてピカチュウだ。
「あっ、かわいい〜!」
アイはポケモンを前に歓声を上げる。そして、ピカチュウを指差した。
「私、この子が良い」
自分が選ばれたのを悟ったピカチュウは、嬉しそうな声を上げた。
「なら、私はこの子よ」
そう言って、フシギダネの頭を撫でるユウカ。
それを見て満足そうに頷き、残りの二匹をモンスターボールに戻し、機械に入れる博士。
「何をしてるんですか?」
「イッシュ地方に送ったんじゃよ。こっち出身の子が居るらしくての、カントーのポケモンが良いと言ったそうなので、送ることになったんじゃ」
「へぇ、イッシュ地方か……。行ってみたいなぁ」
「行ってみれば良いんじゃないかの?」
「「え?」」
オーキド博士が、白衣のポケットからチラシの様なものを取り出し、アイに渡す。その紙には、『ポケモン成績優秀者選定委員会』とある。
「ユウカはジムリーダーを目指してるんじゃろう? なら、これは受けておいた方がいい。優秀者認定をされなくても、一次審査を突破すれば後々で有利になるじゃろう。アイも、受けておいて損はないじゃろうし」
「イッシュで受けることになるんですね」
「それを受けがてら、ジムを巡って旅してきたらどうじゃ? 優秀者候補として行くなら、飛行機代はポケモン協会持ちじゃぞ?」
アイとユウカは顔を見合わせた。
「向こうにはお姉ちゃんが居るから、何かあったら頼れるし。ユウカ、行こうよ」
「そうね……。行ってみましょうか」