Fate/Grand Order 私と彼女の物語 作:やまさんMK2
人理継続保障機関カルデア。
標高6000mの雪山に建造された地下工房。アニムスフィア家という魔術師の家が管理している施設。
突然そんな処からのスカウトを受けるなんて何事かと、だいたい魔術なんて代物がホントにあるのかと疑ったが、スカウトマンの熱意に押し負けたのだ。
胡散臭い感じはしつつも、結局はこうしてカルデアを訪れた。提示された条件も、悪くないどころかかなり良かったというのもある。
「あは……ははは……」
そして今、長期間のアルバイト感覚でここにきた事を少女は後悔していた。
目の前に広がる何かが焼け焦げる不愉快な臭いと、瓦礫の下から流れる紅い血が、ここで起きた惨劇を否応なしに理解させる。
なんでこんな事になってしまったのか。たった十八年しか生きていない少女の理解を遥かに通り越した、見た事もないような地獄がそこにあった。
『観測スタッフに警告。カルデアスの状態が変化しました。シバによる近未来観測データを書き換えます。近未来百年までの地球において人類の痕跡は発見できません。生存は確認できません。未来は保障できません。中央隔壁 閉鎖。館内戦場開始まで、後180秒』
無機質な館内アナウンスが告げる無慈悲な内容。自分はもうここから出られない。
どこからか崩れてくる瓦礫に潰されるか、炎と煙に巻かれて死ぬかの二択がこの先の運命だ。
怖い。怖くてたまらない。まだ死にたくない。この場に飛び込んだ事を、そもそもカルデアのスカウトに応じた事も後悔している。
「せん……ぱい……」
それでも、目の前で倒れている少女を見捨てる事が出来なかった。
ここに来て初めて言葉を交わした、なんだか不思議な感じのする少女がとても心配になって、この地獄の中を探し回った。
自分が見つけた時には下半身を巨大な瓦礫に押し潰されていて、素人目にも助からないと理解できたけれど。
「……手を、握って……貰えますか……?」
「……うん」
伸ばされた手を両手でしっかり握りしめる。もう体温も殆ど感じない、あと数分もしないうちにこの少女は死ぬんだろう。
そうなればこんな地獄みたいな部屋で一人きりかと思うと恐怖で全身が震えるが、今更だ。
「すいません……先輩……」
「謝る必要なんて無いよ……ね」
『コフィン内マスターのバイタル基準値に達していません。レイシフト定員に達していません。該当マスターを検索中………発見しました。適応番号48、霧生楓をマスターとして再設定。アンサモンプログラムスタート。量子変換を開始します。レイシフトまで、あと………』
二人を青白い光が包み込んだ。
頬を何かに舐められる感触。そのくすぐったさに、闇に沈んでいた意識がゆっくりと浮上する。
少女、桐生楓が目を覚ますと視界に飛び込んできたのは、犬に見えなくもない白い四足歩行の獣。
「フォウフォウ」
「えっと……フォウ……だっけ?」
カルデアであの少女と初めて会った時、一緒にいた見たことのない不思議な小動物。犬にしては小さすぎるし、かといって他の動物にも見えないという何とも珍妙な存在だ。
なんでこんな処にいるんだろう、なんて事を思うよりも早くに覚醒しだした脳が己の置かれた状況を整理、理解し始める。
まず自分がいるところは、爆弾か何かで吹き飛んで文字通りの地獄絵図だったカルデア中央管制室では無かった。
「……街?」
崩れ落ち、瓦礫の山となったビルや炎に焼かれる家屋だらけで人の気配を全く感じないが、どこからどうみても街だった。
それなりの都会である事、街並みの雰囲気からして日本である事は理解できる。だが、どこの街かは解らない。
と言うよりむしろ、テレビや映画ぐらいでしかお目にかかれない程に廃墟と化した街のど真ん中に、何故自分がいるのか理解できない。
空を見上げれば立ち上る煙と炎。そして、夜に輝く星空と見事にミスマッチな光景が広がっている。
「えぇっと……なんで?」
「フォ~ウ」
あのSFチックと言うか、雪山の中に作られた秘密基地的な施設からなんでこんな滅亡寸前の夜の街に自分は知らぬ間に移動しているのだろうか。
大がかりなドッキリか何かなのか、もしかして夢でも見てるのか、なんで突拍子の無い考えが浮かんでは消えていく。
肌に感じる熱気が、手に触れるアスファルトの感触がこれは現実だと訴えている。これがドッキリの類なら、仕掛けた犯人はよほどの悪趣味かつ大馬鹿だ。
「一体なんでこんな処に……」
「おや……まだ生きている人間がいたのですか……?」
不意に聞こえてきた冷たい声。その方向へと顔を向けると、今にも折れそうな街頭の上に一人の女性が立っていた。
顔まで覆う黒いフードに身を包んだ、長髪の怪しい雰囲気の女性。手には身の丈程もある鎌を持ち、フードの奥から覗く妖しい瞳からはとても好意的な感情は感じ取れない。
まるで、獲物を目にした蛇のような、そんな視線だった。
(な……何……アイツ……?)
一目で理解する。人の、生物としての本能が告げている。あの女性は人間では無く、自分を殺しにきたのだと。
魔術に関してはド素人である楓でも感じ取れるほどに膨大な魔力。あれは人間が戦って勝ち目のあるような、そんな生易しいモノではない。
カルデア入館時、軽く説明を受けたサーヴァント。神話や歴史に名を残した英霊達を召喚し、使役する使い魔。目の前にいる女性がそのサーヴァントなのだろうと理解するまでに時間はそうかからなかった。
「せっかく生き延びてたのに、残念ですね。でも、見つけたのが私で運が良かったと思いますよ……?」
女性が手に持った、まるで鎌のような曲線を描いた刃を持った槍のような武器を持ち上げ、サディスティックな笑みを浮かべる。
「他のサーヴァントに見つかっていたら……何が起こったかも解らないまま、死んでいたでしょうから!」
街頭を蹴って、女性が跳躍。周囲のビルをも飛び越え、槍を振り上げてそのまま一気に落下。
その勢いを加算した大振りの一撃が、楓目掛けて襲い掛かる。
「ぁ……」
これは避けられない。防ぐなんてもっと無理だと楓が理解するまでに一瞬もかからなかった。
女性の行うあらゆる動作が――それこそ落下ですら――人間を遥かに凌駕する速さで行われている。これに反応しろと言うのは、少なくとも武術の類を齧っていない楓には無理な話。
迫りくる絶対的な死の一撃。まともな恐怖すら感じる暇も無く、女性の槍によって楓の頭が叩き割られ―――
「なっ……!?」
―――る事は無かった。
二人の間に割って入った影が、女性の一撃を身の丈程もある巨大な盾で防いでみせたのだ。
楓を護るように立つ盾を持つのは、薄紫色の髪をした小柄な少女。華奢な体躯を黒い鎧で覆っているが、その背中には見覚えがある。
カルデアの廊下。自室の前で別れた時に見た、あの後姿だ。
「……え?」
瓦礫に下半身を押し潰され、今にも死にそうだったはずの彼女が何故ここにいるのか。
そんな疑問が沸きあがるよりも早く、少女は盾を力任せに振り回して女性を吹き飛ばし、瓦礫の山に叩き付けたと思えば即座に楓の方へと向き直る。
「ご無事ですか!?」
少女の、前髪で右目が隠れたどこか儚げな感じのする顔を見て確信する。
「マシュ……」
マシュ・キリエライト。カルデアに来て初めて言葉を交わした、自分よりも先にカルデアにいたはずなのになぜか自分を先輩と呼ぶ不思議な少女。
彼女が確かに、無くなった筈の両足でしっかりと大地を踏みしめて自分を護ってくれたのだと。
何故、という疑問は尽きないが彼女が生きていてとにかく嬉しい。そんな言葉が出てくるよりも早く、マシュは左手を伸ばして楓を片手で抱き上げた。
「へっ?」
自分より背丈も小さく、華奢な体格のマシュに片手で抱き抱えられる。
突然の事に驚く楓を尻目に、マシュは盾で身を守りつつ一方的に告げた。
「大急ぎで撤退します! 舌を噛まないように!」
「えっ……? ぇ、ぇえええええええええええええええええええええっ!?」
そして、またもや華奢な体のどこにそれほどの力があったのかと言いたくなるほどの脚力を発揮して跳躍。
ビルの壁を蹴る事で一気に屋上へと跳びあがり、休む暇も無く次のビルへとウサギのように飛び跳ねて、その場から楓を連れて撤退する。
マシュの撤退と、女性が瓦礫を吹き飛ばして姿を見せるのはほぼ同時であった。
「チッ……逃がしましたか……」
忌々しく吐き捨て、腹いせ混じりに足元の瓦礫を踏み砕く。
あと少しでコレクションが一つ増えたというのに、まさか邪魔が入るとは思わなかった。本当に不愉快な気分だ。
「しかし、あれは……」
あの盾を持った少女から感じた気配は、間違いなくサーヴァントの物。いささか妙な気配ではあったが、それは些細な事だろう。
この場合重要なのは、自分達とこそこそ逃げ隠れしているあの魔術師以外に新たなサーヴァントが現れたという事だ。
そしてサーヴァントが身を挺して護るとなると、もう一人の少女がマスターと言う事になる。この街で生きている人間がまだいるのなら、それは魔術師かサーヴァントを従えたマスターに違いない。
「……フフ。これは、良い憂さ晴らしが出来そうですね」
ご馳走を前にして、腹をすかせた人間のように女性は舌なめずりをする。
この屈辱をどう返してやろうか。その最高の方法を思いついたのだから。
「……とりあえず、追っては来ていないようですね」
先ほどの場所からは離れた位置にある廃ビルの一室。
割れた窓からそこへと飛び込んだマシュは、壁に身を隠しながら外を確認して、あの女性サーヴァントが追ってきていない事を確認する。
油断できる状況ではないが、とりあえず一息つけるだろうと確信してから、改めて傍らに座り込む楓へと顔を向けた。
「再会の挨拶が遅れてしまいました。ご無事でなりよりです」
「マシュ……だよね?」
「はい。マシュ・キリエライトですが……どうかされましたか?」
「いや、その……元気そうで何よりっていうか、生きてて嬉しいっていうか……」
突然抱き抱えられ、ビルの上を飛んだり跳ねたりした挙句に窓ガラスから中へ飛び込むというアクション映画のような真似を涼しい顔でやってのけた彼女を、楓はマジマジと見やる。
自分よりも細身で、今にも折れてしまいそうな程の体のどこにそんな力があったのか。何より、瓦礫に押し潰されて瀕死だったはずなのになぜ無傷なのか。
そして何よりも……その体のラインを強調した鎧姿は何なのか。最初に見たカルデアの制服姿も良かったが、この格好も中々大胆でにあってるというか私よりも胸あったのねなんて呑気な感想すら抱いてしまう。
「……その格好、何? コスプレ?」
二の腕や太ももだけでなく、臍や背中まで露出した大胆かつ防御に不安がありすぎる鎧。正確には、レオタードタイプのインナーの上から申し訳程度に装着しているような感じの格好だ。
ボディラインがハッキリと見えるというか、これ以上ないぐらいに強調されたソレは同性である楓も少々目のやり場に困る。
断言しよう、もしも楓が男だったならば、間違いなく直視出来なかったと。
そして眼鏡も無くなっている。あの眼鏡似合ってたのに勿体ない、なんて思ってしまうのはきっと当然の感情だろうと楓は己を納得させる。
「いえ、コスプレではありません。少々事情が複雑なのですが……」
マシュの言葉を遮るように、電子音が鳴り響く。
一体何事かと思うと、音の発信源は楓の右手首に装着された銀色の腕輪からだった。
楓が今着ている服と一緒に支給された物だったが、そういえばこれはなんだっけと思う。霧生楓、イチイチ説明書の類は読まないタイプであった。
「それはカルデア支給の多目的ツールですね。そこに通信用のスイッチがあるので……失礼します」
マシュがスイッチを押すと、軽めの電子音と共に音声と立体映像が映し出された。
『良かった、やっと繋がった!』
立体映像に映し出されるのはオレンジ色の髪を無造作に後ろで束ねた白衣の男性。楓も見覚えがある男性の名はロマニ・アーキマン。
カルデア医療部門のトップで、皆からは親しみを込めてドクターロマンと呼ばれていると言っていたのを覚えている。
「こちらAチーム、マシュ・キリエライトです。同伴者、霧生楓と共に特異点Fへのレイシフトを完了しています。レイシフト適応、マスター適応、ともに良好。霧生楓を正式な調査員に登録願います」
『……楓ちゃんも、レイシフトに巻き込まれていたのか。管制室に残ってたっていうから、まさかとは思ったけど』
「あはは……その節はどうも」
彼との出会いはマシュに案内された自室での事。自分が来るまで空き部屋だったそこでサボっていたところに出くわす、というなんとも間抜けな物だった。
お互いにカルデア所長に――理由は違えど――追い出されて居場所もやる事も無い者同士。他愛のない話で盛り上がっていたところで、管制室での爆発事件が起きた。
急いで管制室に行ってみればあの地獄絵図。彼は地下の発電施設へと向かい、楓はロマニの急いで逃げろと言う言葉を無視してマシュを探していたという訳である。
『とりあえず無事で良かった。それはそれとしてマシュ……その格好は何なんだ!? ハレンチにも程がある!? 僕はそんな子に育てた覚えはないよ!?」
「ですよねぇ……ハレンチですよねぇ……同じ女でもちょっと目のやり場に困るんですが」
「いえ……これはその、変身したのです。先輩を、マスターを守るにはカルデアの制服では力不足でしたので」
『変身? 何言ってるんだ、頭でも……ってちょっと待て。なんだこれ!?』
こちらと会話を続けながら何やら計器を捜査していたロマニの顔が驚愕に染まる。
『マシュの身体データの数値がとんでもない事になってるぞ!? 身体能力、魔術回路、どちらも人間を遥かに超えて……これじゃまるでサーヴァントじゃないか!?』
「それは正しい認識です。私は、レイシフト直前にサーヴァントと融合したのです」
マシュによれば、レイシフト直前。一騎のサーヴァントがマシュの前に現れた。
カルデアには実験やら今回の作戦の為に事前に召喚されていたサーヴァントがいたらしく、そのうちの一騎だろうとの事だ。
自らのマスターも失い消滅寸前だったそのサーヴァントはマシュに契約を申し込んだ。命を救い、自らの力すべてを譲る代わりに今回の事件の全容の調査と原因の排除を依頼。
そして、マシュはそれを受け入れた結果が今の姿と力なのだと。
『英霊と人間の融合か……カルデアで行っていた実験の一つ、デミ・サーヴァント。まさかこんなタイミングで成功するなんてね』
ロマニは成程とうなずく。
『それで、マシュの中にはその英霊の意識があるのかい?』
「いえ……彼は私に能力を全て譲り渡した後に消滅しました。私は、彼の真名もこの宝具の使用法も解りません」
そう言って、マシュは右手に持つ盾に目線を向ける。
サーヴァントには最低でも一つは宝具と呼ばれる武具がある。それは生前に使用していた武器であったり、残した逸話が形や能力を得たものだったりと様々だ。
マシュと融合したサーヴァントは盾に関する逸話を持つ英霊だったのだろうかと、彼女の盾を見ながら楓も思う。
「……あれ? でも、そんなサーヴァントいたっけ?」
少なくとも、楓は姿を見ていない。
「マスターが知らないのも無理はありません。あの後、熱と煙にまかれたせいですぐに気絶されましたから」
「あぁ……そうなんだ……」
では、自分が気絶した後にサーヴァントが姿を見せたという事かと納得する。
どうもあの辺りは記憶が曖昧だ。マシュを見つけ、彼女の手を握っていたところまではハッキリと覚えているのだが。
「……ところで、マスターって、何?」
そういえばと、楓はマシュに疑問をぶつける。
彼女が自分を呼ぶ時は先輩呼びだったはず。それが、いつの間にかマスターに変っているじゃないか。
私はいつの間に彼女のご主人さまになってしまったのだろう。
「先ほど説明した通り、今の私はデミ・サーヴァントです。恐らく、融合を果たした際にすぐ近くにいたマスターと契約が自動的に結ばれてしまったのではないかと。右手の甲に令呪もありますし、間違いありません」
本来、魔術師が召喚を執り行う事で呼ばれるサーヴァント。呼び出した魔術師がマスターとして、サーヴァントに魔力の供給や指示やら色々行うのだと説明があったのをぼんやり覚えている。
つまりは自分がそのマスターとなって、マシュがデミ・サーヴァントとして契約を結んだ状態となっているのか。
確かに言われてみれば、右手の甲には見覚えのない紅い痣がある。これが令呪、マスターとサーヴァントを繋ぐ証だと説明を受けた覚えはある。
これを使えば、限度はあるが多少の無理無茶無謀な行為も行使できると。
『なんだか予想外な事が起き過ぎているけど……マシュがデミ・サーヴァントになったのは不幸中の幸いだね。召喚したサーヴァントが協力的とは限らないけれど、マシュなら全面的に信頼できる。さて、霧生楓君』
今までのどこか緩さがあった雰囲気を引き締め、真面目な表情でロマニは楓へと声をかける。
『無事にレイシフト出来たのは君達二人だけ。そして、マスターとして活動できるのは君だけだ……急な話ですまないけど、マシュと二人で事態の収拾に努めてほしい』
「……やるしかないですよね。良いですよ、何とかやってみます」
『その意気だ。右も左も解らないだろうけど、君にはマシュがついてる。酷い例えに聞こえるだろうけど、サーヴァントは君の武器だ。上手く使えるかどうかはマスターである君次第だからね』
武器とか上手く使えとか、確かに酷い例えだなと楓も思う。
あくまで例えだというのは解るが、マシュを武器扱いするなんてとてもじゃないが自分には出来ないだろう。
第一、あの女性サーヴァントから守ってくれた命の恩人なのだから。
『サーヴァントは強力な武器であるけれど、弱点はある。それはマスターとなった楓ちゃん自身……理由は解るね?』
「あぁ……私がマシュに魔力供給しないといけないから、ですよね?」
『そうだ。サーヴァントはマスターからの魔力供給無しではその存在を維持できない。マシュは生身の人間との融合体だから消滅って事は無いかもだけど……それでも能力に大幅な制限はかかるだろう』
万が一にでも自分が倒れれば、マシュの足を大いに引っ張るという事か。
とんでも無い事に首を突っ込んでしまったのはともかく、想像以上に責任重大じゃないかと楓は自らにかかった重圧に表情を曇らせる。
こちらは魔術だってろくに使えない。カルデアに来る前に魔術回路を開いてもらっただけで、ついこの間まで普通の女子高生だったのだ。
「ご心配なく、マスターの事は私が責任を持って守りますので」
曇りの無い笑顔で言いきるマシュに対し、楓は申し訳なさそうに笑顔をむける。
「あぁ……うん。私はろくに援護とか出来ないけど……ごめんね?」
「それなら恐らく大丈夫です。先輩に支給されているその制服はカルデアで開発された魔術礼装ですので、簡単な支援魔術なら行使可能のはずです」
「……へぇ」
カルデアに来る前に支給されたこの白い服は、そんな代物だったのかと感心する。
『データを送っておくから、それで使用法は確認してくれ。さて、君達にはこれから色々とやって欲しい事が……』
「ドクター、通信の状態が安定していません。あと10秒前後で通信途絶します」
『なら、現在の最優先事項だ。そこから2キロ東へ移動した先に強い霊脈ポイントがあるから、そこまで移動して』
そこまで言ったところで、通信が途切れた。
マシュを見やると静かに首を横に振る。つまり、現状では通信回復の見込みは無いという事だろう。
送ると言われたデータは腕輪に届いているし、ロマニの口からは目的地は告げられているので行動に迷うという事は無い。
「それじゃ、行こうか」
「はい。お供します、マスター」
「フォウフォウ!」
「フォウさんもご一緒だったんですか!? すいません、気付かなくて」
鳴き声と共にマシュの肩に飛び乗ってくるフォウ。どうやら、楓にしがみついて一緒に来ていたようだ。
しがみつかれていた楓も気付かなかったので、マシュ共々お互いさまである。
「では、マスター。私に掴まってください」
「……えっ? もしかして、また?」
「はい。窓から一気に飛び降りようかと」
「…………階段から降りない?」
「階段、崩れてますよ」
実は私、絶叫マシーンとか駄目なんだよね。
とは今更言えないというか、マシュに抱えてもらって飛び降りる以外の選択肢はない事実に絶望しつつ、楓の口から溜息が漏れたのだった。
楓が己の無力さを知るのは、移動を開始してから数分後の事であった。
腕輪に送られたデータを閲覧し、礼装でもある衣服で行使できる魔術を一通り確認して、どう行使すれば良いのかも把握。
これで戦闘になっても、マシュの手助けができると意気込んでいたのだが。
「はぁぁっ!」
目の前で、動く骸骨の群れを一掃するマシュをただただ茫然と眺めるだけの時間が過ぎていく。
マシュが盾を振り回せば骸骨が数体吹っ飛んで行き、十数はいたそれらはあと三体にまであっという間に減っていた。
(あぁ、これ。下手に援護したら逆に足引っ張るわぁ)
そんな事を思っている間に、盾で一体押し潰され、残り二体も右手を軸にした逆立ちからの回し蹴りでまとめて頭蓋を砕かれて沈黙。
意図も容易く骸骨達を殲滅したマシュは盾を持ち上げ、足早に楓へと近寄ってくる。
「戦闘終了です。お怪我はありませんか?」
「いや、私何もしてないし……マシュこそ大丈夫?」
「はい。私も損傷は認められません」
骸骨達の攻撃は全て避けるか防ぐかしてみせていたから、当然と言えば当然だろう。
まさに余裕の勝利。文字通り、ちょっと目を離したら終わってたという感じだ。
これだけの強さがあるなら、自分が特に何かする必要なんてないじゃないかと思ってしまう程に。
「マシュ、結構強いんだねぇ」
「いえ……相手が低級の使い魔だったので何とかなったというのが正しいです」
「いやでも、あの数を一人でやっつけちゃったし? 実は元から結構やれる方だったとか?」
「そんな事はありません。戦闘訓練ではいつも居残りでしたし……それに、相手がサーヴァントだとこうはいかないと思います」
「へっ? でもだって、あの変なオバサン、簡単に弾き返しちゃったじゃん」
忘れもしない。いきなり自分を襲ってきたあの女性サーヴァントの攻撃を防いで、そのまま瓦礫の山に叩き付けたあの勇ましい光景。
あれの後に先ほどの無双である。いくらなんでも、マシュが弱いという事は無いんじゃないかという楓の考えは、マシュ本人が首を横に振って否定する。
「あのサーヴァントは殆ど不意打ちも同然だったから何とかできたようなものですし……真っ向勝負になれば、私に勝ち目はほぼ無いかと」
「えっ」
「あの程度で倒せたとも思えません。恐らく、今も私達を探しているのではないでしょうか」
さらっと深刻な事を言われたようなと、楓の顔が一気に青ざめる。
何となくだが、あの手のタイプは執念深い気がしてならない。次に出くわせば、何を仕掛けてくるのか解らない。
今いる川沿いの道は遮蔽物も無く身を隠す事も出来ない。つまり、ここで見つかると相当不味い事になるのではないかと一気に不安になる。
「……さっさとここ抜けちゃおう」
不安と恐怖に負け、とりあえずの目的地である橋に視線を向ける。
マシュを促し、全力でここを走り抜けようと足に力を入れようとして―――
「っ! 駄目です、マスター!」
「うぇっ!?」
マシュに服を掴まれ、盛大に足を滑らせる。
その勢いで脱げた靴が空中を舞い、見えない何かにぶつかって弾け飛んだ。
派手な音を立てて粉々になった靴。それをやった物は無数に張り巡らされた銀色の鎖。
先ほどまで何も無かったはずの場所に音も無く浮かび上がり、正面だけで無く四方まで包み込むそれはまさに鎖の結界であった。
「な……何、これ。さっきまで何も無かったのに……」
「……遅かったようです。マスター、私の後ろに隠れてください」
楓を庇うように、盾を構えるマシュ。その視線の先、ついさっきまで自分達がいた方向からゆっくりと歩いてくるフードを被った長身の女性の姿がある。
右手に巨大な槍を携え、フードの奥から覗くあの鋭い視線。見間違えるはずもなく、あの女性サーヴァントだ。
状況から見て間違いなく、鎖の結界を張った張本人に違いない。
「ようやく見つけましたよ……もう逃がしません」
舌なめずりをしながら、ゆっくりと足を進めてくる女性にマシュは盾を構えて正面から対峙する。
周囲を塞ぐ鎖も恐らくはあの女性の展開したスキル、もしくは宝具の類。解放してくれるとも思えず、この場から進むも戻るも戦って勝つしかない。
だからといって、戦う以外の選択肢を選べる状況でも無いのだから迷うのは時間の無駄。
「マスター、指示を!」
それに何より、楓の身の安全を守る事が彼女と契約したサーヴァントたる自分の役目なのだから。
「し、指示って言われても……」
「出来る範囲で構いません! 私達二人で、この状況を突破します!」
「そんな事言われても……っ」
楓の脳裏に浮かぶは、この街に来た直後に襲われたあの光景。
あの時は感じる暇も無かった恐怖が、先ほどのマシュの「真っ当に戦ったら勝ち目は無い」という発言もあって一気に込み上げてくる。
しかも、今回は逃げる事も叶わない。今度こそ逃れられない死が目の前に迫っている。
なのに戦おうというマシュのような勇気は、自分には無いと叫びたくなって、自分を守る為に立つ少女の体が震えている事に気がついた。
(あ……)
横顔には冷や汗が流れ、瞳にはうっすらと恐怖の色。そして、それを押し込めて戦おうとする決意があった。
怖い。
戦いたくない。
助けてください。
マシュの横顔が、そう訴えていた。
それでもなお、自分の為に戦おうというのだ。勝ち目のない相手に、絶対的な死に抗おうと言うのだ。
こんな、まともに指示も出せないであろう役に立たないマスターの為に。
「……っ! 解った……出来る範囲で、良いんだよね……」
なら、私もなけなしの勇気を振り絞ろう。
役に立たなくても、マシュの勇気に応えるために。
「……はい!」
「サーヴァントとの戦いは初めてのようですね……ふふ。初々しくて良いですね」
二人の会話が聞こえていたのか、女性はうっすらと笑みを浮かべて、その姿を消失させた。
紫色の光の粒を残し、突然姿を消した女性に二人が驚愕の表情を浮かべる。
一体どこにと視線を送るよりも早く、本能的に殺気を感じたマシュが頭上に盾を持ち上げた直後、激しい衝撃音と共に姿を見せた女性の一撃が振り下ろされた。
「ぐっ!」
「せっかくですから、サーヴァント同士の戦いという物を教えてあげますよ。手取り足取り……その体にねぇ!」
マシュの頭上を抑えた状態のまま、女性は何度も何度も槍を振り回して盾に叩き付ける。
刃が痛むのを嫌っているのか、鎌のような形状故に刺突は苦手なのか、石突を持って繰り出される連続突きはまさに暴風。
秒単位で襲い来るそれを防ぐマシュの表情には余裕はなく、楓も恐怖のあまりに情けない悲鳴をあげてマシュの背に隠れる。
「中々ご立派な盾ですが、お腹ががら空きですよ?」
頭上の暴風が止まると共に足元から聞こえてくる声。マシュが視線を落とせば、何時の間にか懐に潜り込んでいた女性が凶暴な笑みを浮かべていた。
それを認識すると同時に、マシュの脇腹に叩き付けられる横薙ぎの蹴り。防ぐどころか反応すら叶わず、少女の体は宙に舞う。
「あ、が……っ!?」
「ご自慢の盾も、そうなると意味はありませんね!」
宙へ蹴りあげたマシュの腹部目掛け、女性は槍を構える。
「心臓を串刺しにはしません……ギリギリ死なないように、してあげます!」
「っ……ぅっ!」
空中という不安定な場所で姿勢を正す事など、空を飛ぶ事でも出来ない限りは不可能。
盾で防ぐのも間に合わない。自身を串刺しにせんとする槍の一撃は避けられない。それでも、マシュの目に諦めの色は無かった。
自分にはマスターがついているのだから。
「礼装解放……緊急回避!」
楓の叫びと共にマシュへと流れ込んでくる魔力。
それを用いて行われるのは物理法則を無視した動きによる強引な回避。
マシュの体は宙を舞うように女性の刺突を避け、そのまま背後を取るように着地した。
「な、にぃ!?」
「やぁああああっ!」
確実に決まると思っていた一撃を回避された際の隙。それを逃すような真似はせず、マシュは突き出した盾を女性の背中へ力任せに叩き付ける。
「がぁっ!?」
「そのまま一気にやっちゃえ! マシュ!」
「はい!」
女性の背中へと打ち込むは盾による力任せの乱打。打ち込み、薙ぎ払い、突き、叩き付け、身の丈程もある盾を高速で振り回しての連続攻撃。
反撃の暇を与えてはならないと、無我夢中で叩き込む。出来る事なら、このまま倒れてくれという願いにも似た懇願を込めて。
「が、ぐっ……調子に、乗るなぁぁっ!」
やはりというか、そう簡単には行くわけも無く女性は槍を振り上げてマシュの盾を弾き返す。
獲物が大型な分、弾かれた隙も当然大きく取り返しはつかない。
むき出しの腹部目掛けて槍の石突が打ち込まれ、肉と骨が軋む音と共に少女の体へとめり込んでいく。
「うあ……っ!」
「小娘如きが……ランサーのサーヴァントを甘く見るな!」
くの字に折れ曲がったマシュの体。その顎を容赦無しに蹴りあげ、宙を舞った少女の足を掴み、力任せに放り投げる。
「マシュ!」
楓は地面へと落下するマシュの下へ駆け寄り、その体を受け止めてようと手を広げる。
特に鍛えている訳でも無い――鍛えていても難しいだろうが――楓に投げ飛ばされたマシュを受け止めきれる筈もなく、その衝撃で背中から地面に倒れた。
「きゃうっ!」
「マ、スター……っ!」
「大丈夫……マシュこそ、平気?」
「はい……まだ、大丈夫です……っ!」
自分を庇って地面に倒れた楓へと申し訳なさそうに目線を向け、すぐにマシュは敵へと向き直る。
苛立ちを表情に張り付けた女性。ランサーと名乗った敵性存在は槍の切っ先を地面に擦りつけ、甲高い音を立てながらゆっくりと歩み寄ってきている。
盾を支えに立ち上がり、楓を守るように身構えるマシュだが先の一撃のダメージは大きいようだった。礼装による緊急回避も、一度使うと再使用までに時間がかかる。
ならばと、礼装に刻まれた魔術の一つである応急手当の術式を解放。マシュのダメージを僅かでも癒す為に楓は魔力を回す。
「ごめん……私じゃ、これが限界かも」
やはりというべきか、礼装に刻まれた魔術では十分な回復は望めない。
同じ礼装でも鍛錬を積んだ魔術師が使えば効力は違うのかもしれないが、魔術回路を開いたのすらつい最近の楓ではないよりマシレベルの効力だ。
残り一つの瞬間強化。サーヴァントの身体能力を向上させるバフも大した効果は得られないだろうと思うと、実質的に手札は尽きた。
令呪を使ってみようかとも思うが、この状況でどういう風に使えばいいのか全く解らない。
(下手な事に使うと、逆に首絞めちゃいそうだし……)
「……マスター。私が何とかあのサーヴァントを抑えます。その隙に、どうにか逃げてください」
「ちょっ……何言って」
「先輩だけなら、まだなんとかなります……してみせますから」
マスター呼びから、先輩呼びに戻った。単にそれだけの事だったが、楓にはマシュが何を考えているのか直感的に理解できた。
ようするに諦めたのだ。自分の生存を切り捨てて、楓だけを逃げ延びさせる方向へと行動目的を切り替えた。
死ぬのが怖いと顔に書いてあるのに、それでも自分が死ぬ事よりも楓が死なない事を優先したのだと。
「……っ! 絶対やだ」
なんだか、それがとても頭に来た。
せっかく生きて再会出来たのに、また死に別れろと言われて頭に来ないわけがない。
「先輩、でも……」
「私一人じゃ、どっちみちのたれ死ぬって。だったら、最後までマシュと一緒にいる……絶対、こんなところで死んでやるもんか」
マシュの後ろから隣へ、盾を支える彼女の手を握りしめる。
「あのオバサン倒して、生き残る! これ、マスター命令だからね!」
こうなったらヤケクソだとばかりに叫ぶ。
突然オバサン呼ばわりされたランサーは眉間に青筋を立てて、あきらかに激怒しているがこの際どうでもいい。
だいたい幽霊みたいな存在なんだから、歳なんて気にする方がおかしいだろう。
「……はい! その命令、確かに了解しました!」
マシュも、楓の――ヤケクソではあるが――決意を見て表情を変えた。
ここで死んででも楓を生き残らせるのではなく、二人で生き残る方向へ。
それでもいざと言う時はと覚悟を決めて、真正面からランサーを睨みつける。
「……もういいでしょう。簡単に殺してはあげませんよ」
やはり女性に年齢関係の煽りは禁句と言う事か、ランサーの言葉からは憎悪しか感じない。
彼女視点で見れば、格下相手にコケにされまくっているのだから無理もないだろう。
「目の前であなたの可愛いサーヴァントが嬲り殺しにされる様、見せつけてあげますよ!」
怒りの矛先は、マシュから楓へと変わっていたが。
睨まれただけで怯み、逃げ出したくなるほどの恐怖を感じるが、それを必死でこらえる。
マシュと一緒にこの状況を打破して、絶対に生き残るんだと決めた楓にとって、最早ランサーはその辺の野良犬同然なのだから。
「勝つよ、マシュ」
「はい!」
「舐めるなよ、小娘共がぁっ!」
地面が陥没するほどの脚力を持って突撃を仕掛けるランサー。
殺す。何が何でも殺してやる。生まれてきた事を後悔する程の地獄を見せてやると怒りに任せての突貫。
叩き付けるように放たれる殺気にも怯まず、楓とマシュはそれを迎え撃つ。二人に残された手は、後先考えずにぶつかるだけ。
勝ち目はゼロ同然だろうが、それがどうした。絶対に勝って生き延びるんだと、その為にも負けてなるかと、秒単位で沸きあがる恐怖心を無理矢理押さえつける。
「へぇ……中々根性あるじゃねぇか、嬢ちゃん達」
そんな二人の覚悟に応えたかのように、救いは訪れた。
何処からか飛来した無数の火球。魔力によって生み出されたそれらがランサーへと降り注ぎ、その身を激しく燃やしていく。
「が、ぁあああああああああっ!?」
「えっ……今の、何!?」
突然の援護に驚く二人の前に、音も無く現れるのは青いローブを身にまとった男性であった。
右手には杖を携え、不敵な笑みを浮かべた顔を楓とマシュに向ける。
「いいぜ、気に入った。助太刀してやるよ」
「へっ……? えっと、どちら様で……?」
「マスター……この人もサーヴァントです」
「その通り。とりあえず、キャスターとでも呼んでくれや」
手短に挨拶を済ませると、獣のように鋭い紅い目を燃えるランサーへ向ける。
「さて、さっさとあっちも済ませておくか」
「お、のれ……キャスター! 何故、そんな連中の味方を……っ!?」
「あぁ? んなもん、お前らよりマシだからに決まってんだろ」
カンッと杖で地面を叩く。
ランサーの足元に展開される魔法陣。そして、そこから現れるのは激しく燃え盛る、藁で編まれた巨大な腕。
人間二人は余裕で収まるであろうその巨大な手にランサーは捕らわれ、そのまま炎と共に握り潰された。
「ぎぃぃああああああああああっ!」
断末魔だけを残し、燃え尽きて握り潰されるランサー。その消滅を確認して、藁の腕は魔法陣の中へと消えていく。
目の前で行われた圧倒的な光景に二人は唖然となり。
「ちょっと、キャスター! 私を置いていかないでよ!」
道の奥から走ってきた銀髪の女性の声に気づくまで、ほんの少しの時間を有した。
「しょ、所長!?」
「あ……あの人……」
「マシュ!? あなたもここに来て……って、アンタは」
女性、オルガマリー・アニムスフィアはマシュの姿を見つけてホッと安心したような表情を見せたかと思えば、その隣に立つ楓を見て「えっ?」と目を見開いた。
そのまま一気に楓の傍まで駆け寄り、その胸ぐらを掴むまで僅か数秒の出来事であった。
「なんで、アンタまでここにいるわけ?」
「ちょ……苦しい……苦しいですって……」
「しょ、所長! マスターを離してください!」
「マスター!? こいつが!? なんで!?」
あっという間に緊張感のないやり取りを繰り広げ出した三人を見やり、キャスターは呆れたようにため息をついた。
(もしかして、面倒な関係だったりするのかね?)
なんて事を思いながら、何時の間にか自分の足元で三人の様子を呆れたように見守る白い小動物、フォウを見つける。
「お前、飼い主には苦労してそうだな」
「フォウ……フォウフォウ」
別に彼女達が飼い主って訳じゃ無いんだけど確かに碌でも無い奴に飼われてたな。
何となくだが、フォウがそう言ってるようにキャスターには聞こえたのであった。