次元を超えることすらできないかもしれない   作:なすきゅうり

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今回の本編に出てくる時系列はGOの特異点Fを基準にした捏造設定です。



時間は割と簡単に消し飛ぶのかもしれない

 

 吾輩は転生者である。名前はドロシー。

 『超越』などという能力(チカラ)を持つだけのただの魔術師見習いである。

 齢は今年で十二。最近シスコンを拗らせ始めた弟が一人いる。

 

 今は訳あって時計塔に在席し、立派な魔術師に至らんと勉強している。魔術師の時点で立派もクソもありはしないのは言わないお約束である。

 比較的得意とする魔術はルーン魔術と錬金術、あと魔術回路の効率的運用のサークルっぽいのにも所属している。いかにもウィッチらしい内容達は、実際楽しい。これまでの私の主な実績は、採掘に便利な貫通力と精密性の高いルーンの開発、氷を素材としたゴーレムの開発、魔術回路の一部だけを起こしたり切ったりして余計な魔力を使わないようにする技法の発明、等々…。

 

 あぁ、そういえば原作の前日譚であるfate/zeroのキャラのケイネス、ウェイバー、ソラウなんかとも関わる事が出来た。ケイネス先生は、そこまで年月が重ねられていない家の私がこれ程の魔術回路を持つことを評価していた。ウェイバーとは魔術師でありながら電子機器を使う事に抵抗がない者同士、あっさり打ち解けた。ソラウさんは、まぁ二言三言会話したくらいかね。

 

 

 

 さて、少々長く前置きを置いたが、本題はここからだ。

 今私は右腕に…と言うより右手の甲に包帯を巻いている。親やサークル仲間にはルーン魔術でミスして火傷したと説明しているが、察しの良い読者様なら包帯の下に何があるかは分かるだろう。そう、令呪だ。何故かは分からないが汚染済み聖杯に願望があると判断されたようなのだ。

 

 それだけならまぁどうにかできない事も無い。『超越』が全力稼働するだけで住む筈だ。が、しかしそれに時間等が待ったをかける。今は1991年、そして原作のfate/stay nightの第五次聖杯戦争は確か2004年の話だった筈だ。流石の聖杯でも13年前から令呪の配布などしないだろう。

 そこで、先程の話を蒸し返そう。fate/zeroの話だ。これはfate/stay nightの10年前、第()次聖杯戦争を描く、本編stay nightの前日譚なのだ。が、2004年の10年前、つまり1994年は今から3年後の事なのである。恐らく今回私が呼ばれた聖杯戦争は第四次聖杯戦争だろう。

 

 第四次聖杯戦争…fate/zeroといえば、本編stay night以上に凶悪なグロテスク表現や7陣営の過半数に救いのない鬱な展開、大量に人が死んだりもする相当ヤバい戦いな訳である。普通ならそんな戦争に巻き込まれるのは御免こうむる所だが、立ち回り方によっては一般人の大量死を防げるかもしれない。それにこの機を逃すと我が魂の祖国、極東の日の本の国、日本に行く機会が今後一切失われるかもしれないのだ。行かねば(使命感)。

 

 

 

 という事で決断&即行動。今持てる人脈の全てを総動員し、来年度から日本の冬木の穂群原学園中等部に入学出来るように根回し。親には「極東の異文化でなら詰まり気味の私の魔術開発も伸びるかもしれない」みたいな感じに話したらあっさりOKが貰えた。ところがレヴィは行かないでほしいみたいな事言い出すので、「レヴィはお姉ちゃんのやりたいことを邪魔する悪い弟だったんだ」的な事言ったら引き下がってくれた。その日はずっとレヴィと一緒に居てあげた。

 

 

 

―――

 

 

 

 それから約半年、1992年の二月半ば。私は単身、日本へと降り立つのであった。

 

 前世終了から約12年、ようやくこの地に舞い戻る事が出来た。過去の上平行世界だがな。

 煩わしい手続きを終わらせて今空港を出た所だが、さぁどうしようか。もう冬木に住居は購入してあるし家具等の搬入も終わってる。入学準備とかはまだだが三月に入ってから始めても十分に間に合うだろう。…よし、観光だ。折角前世では持てなかった時間もお金もあるのだから。

 

 そうと決まれば即行動。まずは家電とオタクの町秋葉原からだ!

 

 

 

―少女観光中…

 

 

 

 ふー。あれもこれも観光してたら一週間もかかってしまった。まぁ楽しかったから結果オーライではあるがな。

 

 さて、今私は冬木に購入した一軒家で寛いでいる。観光疲れでこの家に辿り着いたはいいが荷解きの事を失念していたせいで『超越』を使うハメになってしまったのはここだけの話。

 二階建てキッチントイレ風呂有り地下室屋根裏完備。新都方面へのアクセスも良く、一人暮しにしては豪華過ぎる我が家。お手伝いさんも来るとはいえあまりにも広い。…随分と遠くまで来てしまったな。弟が可愛いくて可愛いくて仕方がなかったあの頃が懐かしい。

 

 まぁ感傷に浸るのも大概にしておかなければ。ご近所さんへの挨拶とか家の細かい装飾とか、やらなければならない事は山ほどあるのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―キングクリムゾン、時は消し飛ばされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ぬっ、約二年半の中学生活が丸々カットされた気がする。確かに原作に関わるようなイベントは無かったがいくらなんでもこれはひどい。…まぁいいか。

 

 

 さて、今年1994年もいよいよ秋となってきた。時計塔の人脈とは未だに繋がっているため時計塔の聖杯戦争参加者について情報が上がっているが…ウェイバーとケイネス先生の参戦は確定。こちらで殺人鬼龍之介はとっちめてあり、令呪が無いことは確認済みの為、残りの参加者についても原作zeroと変わりはないだろう。

 

 そこで少々考えねばならないのは召喚するサーヴァントについてだ。今の所私のアドバンテージは原作知識と『超越』しかない。私の参加は結構簡単にバレるだろうし、私自身の能力も『超越』を抜いて考えると低い。つまり原作知識(とはいえアニメ全話一回分程度しかないが)に沿わない展開作りはあまり好ましくないという事だ。

 

 

 少々長く語ったが結局の所、キャスターを召喚する訳である。しかし私にはそれ(キャスター召喚の確定)を行う為の触媒や詠唱を準備する余裕が無かった。コロコロ動く方のキャスターや魔女の出てくる絵本くらいしかないのだから実質無いのと同じである。

 

 まぁ気にしてはいけないのだろう。相補性の巨大なうねりとか円環の理みたいなよく分からない何か(ご都合主義)が問題ないと囁いてるじぇ。

 

 

 

 

 

 

―夜―

 

 

 

 

 

 脳内で魔術回路のスイッチ…私の場合シャ〇バの災いの樹の門を開くイメージ…をONに。同時に全身にピリッと痛みが走るが、いくら端くれとはいえ流石に魔術師なのだからこの程度は慣れている。

 

 今回は魔術回路の出し惜しみは必要ないのでイメージの門の開き具合は全開。時刻も私の力が最も高まる時まであと数分。これより召喚を始める。

 

 

 

 

 

 我が家、地下の私の工房の床に敷かれた魔法陣に、予め用意しておいた私の血と水銀を垂らす。

 

「素に銀と鉄。礎に石と契約の大公。祖には我が大師■■■■■。」

 

 呪文を紡ぎ始める。大師の名前は企業秘密だ。

 

「降り立つ風には壁を。四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ。」

 

 魔法陣が発光を始め、徐々に魔力が消費され始める。

 

閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)。繰り返すつどに五度。ただ、満たされる刻を破却する。」

 

 思い描くのは私の目的。勝つ事でもなく、ましてや殺す事でもない。

 

「――――――――――Anfang(セット)

 

 救う事。魔術師の欲望に巻き込まれ、正義の味方の手からも零れ落ちた無関係な人々を救う。

 

「―――――告げる。汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。」

 

 偽善なのは分かってる。私の力だけではそんな事出来ないのも分かってる。

 

「聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ。」

 

 だからこれは私の自己満足。私の手を綺麗な血で染めさせない為の偽善。

 

「誓いを此処に。」

 

 二度目の人生に意義を、意味を見い出せない私の戦い。

 

「我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者。」

 

 きっと誰かを救う事が私を救うと信じて、私は偽善と自己満足を振り撒く。

 

「汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――――!」

 

 だからお願い。私に答えを齎す(Answer)よ。私を導いて!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「サーヴァント、キャスター。召喚に応じ参上したわ。」

 

…どうやら(´神`)(かみ)は皮肉が得意らしい。

 

「確認する必要はないと思うけど、貴方が私のマスターよね、(マスター)?」

 

召喚されたのは似て非なる私。『次元の魔女ドロシー』そのものだったのだ。

 




次回、サーヴァントについては明らかにします。
…察しの良い方なら分かるかな?
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