「廃と群像のグリムガル ~不惑の幻想~」を読まれている方に見放されるのだけが、正直怖い。
プロローグ.主人公達の訪問
シェリーの酒場、2階の一角。
全くの新人か、よほどの馬鹿でない限りは、他の義勇兵が用無く
ハヤシはそこにいた。
ハヤシはクラン・オリオンの団員だから当然と言える。白銀に輝く鎧を身に着け、クランのシンボルとなっているX型に並んだ七つ星の紋章が入った白いマントを羽織っていた。原作では短髪に細い目をした男という設定だが、アニメでは割と長めの髪になっている。
実はカツラだ。
アラバキアの技術水準で作られたカツラは、遠目なら隠しきれるが、近くで見るとバレバレだ。乗っかってる感が半端ない。というか、浮いている。
そして良くずれる。
ソフトクリーム好きの某白い犬の妖怪なら「バレバレずらー」と2つの意味でばらしてしまう。恐ろしい。
話までずれてしまった。恐ろしい。
今日は
最近、リーダー兼神官を失ったという新人義勇兵の5人が、クランマスターのシノハラを訪ねてきている。神官を失うことは大きな痛手だ。神官は
おまけにリーダーときている。
さらに
もし、多くの役割を兼務することが本人の希望だったのであれば、
また話がずれてしまった。“もんげー”恐ろしい。
5人の訪問の用向きは“メリイ”の件だという。
――メリイ!!
「メリイ」という単語を耳にした時点でハヤシの耳は通常の3倍程度に大きくなっていたが、気が付かない振りをしていた。オリオンでは、
「メリイのこと……ですか?」
クランマスターのシノハラが少し驚いたような顔をする。しかし、これには少し演技が入っている。実はメリイのことをシノハラが尋ねられるのは、これが初めてではない。メリイが悪行を重ね始めてから、被害に遭った義勇兵が、幾度となくシノハラの元を訪れている。
「はい……昨日話をしていましたよね?」
質問をしているのは、5人の新人義勇兵達の新たなリーダーであるハルヒロという
「ええ……彼女が、なにか?」
「教えて欲しいんです。メリイのこと。本人に聞いても教えてくれないと思うし」
「ふむ…………」
シノハラは軽く唸った後で、少し黙考する。この黙考の時間もシノハラの演技だ。素晴らしい。何度も同じリアクションをしているとは思えない、自然な流れだった。当然、この後の流れも決まっている。
高名なクランマスターの沈黙を、新人義勇兵の5人は緊張した面持ちで眺めていた。
「それでしたら、私より、ハヤシの方が適任でしょうね」
シノハラは人差し指で
ハヤシはシノハラの方を振り返り、黙って静かに移動すると隣の席に立つ。
――遂にきた! 名シーン。はっきり言ってここしか俺の見せ場は無い。後は、メリイが明るい元の姿に戻っていく様子を、生暖かい目で見つめるカット位しか登場シーンは無い。
大興奮の心とは裏腹に、ハヤシはヒロインの不幸な過去を語る元仲間を演じ切るため、仲間を失った心的
「ハヤシは以前、メリイと同じ小隊にいたのです」
そう言われて、新人義勇兵達5人はハヤシの完璧に作られた顔を見上げる。
「はぁ(……ヅラ?)」
ハルヒロはハヤシと呼ばれた男の髪の毛が気になったが、そこに触れるだけの勇気はなく、話を聴く姿勢になった。
ハヤシはシノハラの隣の席に座ると、メリイとの過去について語り始めた。
通算76回目となるこの語りは既に名人芸の領域を超え、国宝級の神技となっている。
――さあ、始めようじゃないか! 俺の
「廃と群像のグリムガル ~不惑の幻想~」を読まれている方には、「本編書かずに、何遊んどんねん!」とお叱りを受けそうですが……、
どうしてもハヤシの話が書きたかったんです! ごめんなさい! m(。・ε・。)m だが反省はしていない。
今後も連載するかどうかは未定です……。
|ω・)チラッ