異聞 艦隊これくしょん~艦これ~ 横鎮近衛艦隊奮戦録   作:フリードリヒ提督

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青葉「どもー恐縮です! 青葉です!」

おっす、天の声です。

唐突ですが今回は世界観の解説に行きましょう。

青葉「もの凄く今更感はありますね・・・。」

俺も思わんでない。10章超えてから今頃紹介するのもおかしいかも知れんが。


物語の流れの始まりは2040年代初頭に、ベーリング海に出現した深海棲艦と人類が、コンタクトを試みようとしたことに始まる。
当時その出現は世界的に報じられ、その中で特に興味を抱いたロシアとアメリカは、深海棲艦との意思疎通を図った。

しかしその試みは深海棲艦による攻撃によって砕かれ、ベーリング海における死闘が幕を開いた。この時米露間で連携する事が出来ていれば、これ以上の深海勢力の進出は無かったかもしれないと、後世の歴史家達は語る。

実際その通りであったのだが、この時アメリカとロシアの二国は互いに自分の面子に気を取られ、双方共に単独で総攻撃を敢行した。

しかしその結果、余りに強大すぎるその力と、テクノロジーの結集されたミサイルを初めとするあらゆる兵器の無力化、変幻自在の戦術によって両国を合して五次約二十波に渡る攻撃は、それなりの戦果こそ上がったが全て失敗に終わった。

その7か月後、今度はポルトガル西方沖200km付近の大西洋に敵の一大棲地が突如出現し、大量の深海棲艦を吐き出し始めた。

これに際して大西洋に面する欧州・アフリカ大陸・南北米大陸の国家は、ベーリング海で苦杯を舐めた米露両国が主導する形で、可能な限りの全力を振り絞って攻勢に出るも、その陣容の規模と深さは並の常識を遥かに超越したものであり、この総攻撃も失敗に終わった。

この結果、海上機動戦力の9割以上を喪失した大西洋諸国は、深海棲艦に対する戦闘力を喪失、人類は陸上部隊を除くと、太平洋戦域以外に於いてはその交戦能力を喪失するに至る。

これによって自由に跳梁が可能になった深海棲艦は各地に出現し始めた棲地から無数の深海棲艦を送り出し陸地を攻撃、結果その支配は湖畔や河川の周囲にまで達することとなり、その後3年間状況は好転を見なかった。

この辺りまではブロローグでも簡略的に触れていたことでもある。

2044年、辛うじて機能を維持していた国連に於いて、全河川と湖畔より深海棲艦を放逐する作戦案が可決され、翌年決行、アジア圏では東亜諸国による共同の撃滅作戦が展開され、世界的に同様の動きが起こった。

日本は在日米軍と共同で本土に付随する(厳密には東京都に属する)島々に対する奪還作戦を展開、東洋一の軍事力を世界に改めて示すに至るが硫黄島奪還を前に作戦が挫折した。

この作戦は人類側の必死の反撃と、余力が十分あった陸軍を投入できたことから成功し、深海棲艦は海洋にその影響圏を狭める事となったが、代償として戦闘地域になった場所が余りにも多く、人類の総人口の3割が大規模戦闘に巻き込まれて死亡するという前代未聞の事態となった。

そればかりか、その戦禍によって世界的な荒廃に見舞われ、世界規模の貧困状態に陥り、更に国連と言う機関を知った深海勢力が世界的にジャミングを開始した為国連も機能を停止した。

各地で暴動や各種犯罪行為が多発したが、その中でも日本を含む幾つかの国はまだ抵抗力を有し、また治安も比較的安定していた。こと日本に関しては、日本近海の制海権は辛うじて維持していた為、行動の自由はまだある程度維持されていたと言っていい。

しかしそれらの国には、B29スーパーフォートレスやB24リベレーターを模した深海の大型爆撃機による集中的な戦略爆撃によって壊滅的被害を被った。それでも2047年には、日本で作られた4体の艤装による反撃も試みられている。

人類と深海棲艦、その攻守の境となったのは、やはり2050年頃から散発的に起こる様になった艦娘の出現であろうか。

日本近海、それも海溝付近の洋上で頻出した戦う力を有する少女たちを、日本は艦娘と名付け、同時に姿を現し始めた妖精達の協力の下でこれを召喚する術を学び、2052年、大本営創設へと至る。

過去の歴史の中では、かつて一定の流行でもあった錬金術による白金等の貴金属製造が成功していた一方で、金や賢者の石の製造は出来なかった。また魔法(魔術)や超能力、霊力が存在する。

かつて第二次世界大戦に於いては、超兵器と言われる古代の遺産をコアとして生み出された、時代を超越した兵器が多数使用され、そのこと如くが海に沈んだことなど、実際と比べ格段の違いが存在しているが、大筋では殆ど何も変わってはいない。


以上になります。

青葉「また随分と・・・。」

結構練りましたよ?

青葉「練った結果がこれですよどうです皆さん?」

まぁそれもともかくとして、今回遂に電と時雨が出陣します。

青葉「私は出陣しませんけどね。」

知ってる。

青葉「・・・。」(´・ω・`)

 そして第10章にて登場した新キャラ「水戸嶋 氷空」は、私の相互FFである「一航宗赤城派憲兵総監」氏の考案/提供を頂いたものを再構築したものです。今章でも登場しますので、少しだけお楽しみに。
この場をお借りして、御礼申し上げます。(2019/09/04追記)

では参りましょう。本編スタートです!


第11章~時雨と電の本気~

5月15日(水)朝、遂に編成が発表された。

 

 

今回は新艦娘が多数加入したことで編成の幅も広がり、その結果組まれた編成が以下の通りである。

 

 

・第1部隊 総指揮:紀伊

第1水上打撃群 旗艦:金剛

金剛 榛名 摩耶 筑摩 大井 蒼龍 飛鷹 千代田 

 

第1艦隊 旗艦:伊勢

伊勢 日向 比叡 霧島 羽黒 愛宕 天龍 龍田

 

所属無し

紀伊

 

・第2部隊 総指揮:扶桑 参謀:菊月

第1水雷戦隊 旗艦:神通

神通 響 雷 電 時雨 夕立 長月 菊月

 

第1航空打撃艦隊 旗艦:扶桑

扶桑 山城 妙高 木曽 球磨 初春 皐月 加賀

 

・鎮守府防備部隊

鳳翔 多摩 白雪 三日月 如月 文月 望月

 

出撃不能艦艇:雪風(喪失) 飛龍(喪失) 赤城(大破) 最上(大破) 綾波(中破)

 

 

まさかの艦隊を5つに分ける超細分化である。なお赤城の出番、今回は御座いません、修理が間に合わなかったようです。

 

資源は何とか回してもらった分で全力出撃1回分はある。が、修理までは分からない所がある点で不安があった事は否めない。

 

そして超兵器級のいる可能性を踏まえて、紀伊自身も再び出撃することになった。心配性な一部艦娘から大バッシングを食ったが、直人がこれを抑え、今回の出陣と相成った。

 

なお金剛の紅茶の件ですが、この作戦後となりました、これはもう死ねない。

 

提督「水戸嶋のヤローちゃんと来るんだろうな?」

 

執務室で直人は唯一の懸念を口にした。

 

大淀「それを疑い出したらきりがないと思いますよ、提督。」^^;

 

提督「そりゃそうか。」

 

肩を竦めて言う直人、そこへ直人に意見具申に来ていた菊月が言う。

 

菊月「盟友を疑う暇があるのであれば、まずは自分の作戦に不備が無いか、それを調べる事だ・・・。」

 

提督「グッ・・・!?」

 

直人の心にクリティカルヒットをかます菊月であった。

 

 

デーンデンデンデーデデーン デーンデンデデデーン・・・(ドヴォルザーク 交響曲第9番「新世界より」第4楽章

 

 

菊月「?」

 

大淀「!」

 

金剛「??」

 

 

ピッ

 

 

提督「もしもし~?」

 

3人「着信音!?」ズドドッ

 

なんちゅーもんを着信音にしてんだこいつは。

 

提督「おう・・・うん、ちゃんと来るんだろうな?・・・二言は無いな?・・・いいだろう・・・では0時半に小笠原諸島で会おう。じゃぁの。」ピッ

 

直人が通話を切ると金剛が声を絞り出していった。

 

金剛「なんでドヴォルザークなんデスカー・・・。」

 

提督「好きだから。」

 

金剛「おおう・・・。」

 

菊月「まさかクラシック聞く趣味があるとはな・・・。」

 

提督「その辺の無能共と違って趣味が多いんでね。」^^

 

他所の連中が聞いたら殴り掛かってきそうなセリフを公然という奴。毒嶋とやらに対するあてつけでもあっただろうが。

 

菊月「そ、そうか・・・。」

 

少なくともそう取った菊月は「えぇ・・・」と言う顔でそう返しただけだった。

 

大淀「ど、どなたからだったんですか?」

 

提督「水戸嶋から、今回の作戦のことでな。」

 

大淀「そうですか・・・。」

 

提督「集結点の再確認と、来るかどうかの確認を、な。」

 

大淀「で、来ると?」

 

大淀がそう尋ねると、

 

提督「あいつは仁義と恩義にはそれ相応に報いる男だ。仇で無く恩を以て。牟田口には出来ん思考だろう。」

 

と直人がうっかり口を滑らす。

 

菊月「牟田口・・・?」

 

思わず口を滑らせた彼に、菊月が訝しげな顔をする。

 

提督「あっ、いや、何でもない。忘れてくれ。」

 

慌てて訂正した直人。

 

菊月「・・・そうか。」

 

提督「さて、菊月の要件を聞こう。」

 

菊月「あ・・・あぁ、そうだった。実は・・・。」

 

菊月の要件は作戦時の戦術についての異議申し立てであった。

 

直人の当初の予定では、第2部隊を陽動とし、第1部隊に敵の隙を突かせる事で敵を分断、各個撃破しようと考えていた。

 

だが菊月曰く、この艦隊では練度が不足しており、逆に第2部隊が、目的を達せられぬまま壊乱状態に陥る事が考えられるとしていた。

 

提督「ほう。で? 俺にどうしろと?」

 

菊月「錬度が低い場合、むやみに分散する事は愚策だ。ならば一点に集中すればどうだろう。第2部隊を先陣に一点突撃を図れば、自ずと結果も出ると思うが。」

 

これに対し直人には明確な返答があった。

 

提督「だが損害も無視は出来ん。一点突破を図るという事は敵の砲火が集中することに繋がる。それに突撃一辺倒では敵中に孤立することも考えられる。もっと良い代案を持って出直すことだ。」

 

菊月「しかし・・・。」

 

提督「いいか菊月。深海棲艦の陣容は、厚く深い。敵泊地への急襲ともなれば、それはなおさら言える事だ。敵に罠を仕掛けられれば対処が出来なくなる可能性だってある事を、忘れるんじゃない。」

 

直人自身、それを最もよく思い知った人間の一人である。それを知る人間から見れば、その言葉はあまりに重かっただろう。

 

菊月「・・・あぁ、肝に銘じておこう。」

 

そう言って菊月は退散した。

 

大淀「―――よかったんですか? あそこまで言って・・・。」

 

大淀がそう言うと直人はこう述べた。

 

提督「あぁ、作戦に変更はない。菊月の言わんとすることはよく分かるし一理あるが、練度不足では敵の重層縦深防御陣を突破出来ない公算が高い。本末転倒の策だよ。」

 

その返しに対し大淀は、

 

大淀「そうですね・・・。」

 

と述べたのみだった。

 

 

 

その話をドア越しに聞いている艦娘が一人。

 

菊月「フッ、よく分かっているな、毒嶋とはえらい違いだ。」

 

他ならぬ菊月である。

 

無能な指揮官は、菊月のこの扇動にあっさりと乗るものである。

 

正面突破程心躍る展開は無いからである。そしてそれを愚とすることが出来ないからこそ、その指揮官は無能なのである。

 

菊月は、言わば彼を試したのであり、菊月の期待は、裏切られなかったのである。

 

菊月「どうやらこの命、預けてよさそうだな。」

 

その一言を呟いたのと同時に、彼女は出撃準備に入る為、その場を後にした・・・。

 

「フッ、なら俺も一つ試させてもらおうか。」

 

その菊月とすれ違いに執務室に向かう影が一つ・・・。

 

 

 

提督(俺を試そうなんざ10年早いっての。)

 

無論のことながら直人には菊月のしようとしたことはバレバレであった。

 

大淀「ではこれで最後の書類です。」

 

提督「お? もうか?」

 

大淀「はい。今日はいつもより少なかったので。」

 

提督「そうか。」

 

 

ドカアアァァァァァーーーンガラガラガコォォーーー・・・ン

 

 

提督「な、何事!?」

 

天龍「よぉ、提督。」

 

なんと天龍が執務室のドアをけ破りました。やめぇや。

 

提督「はぁ、菊月の次はお前か天龍。」

 

天龍「そううんざりしなくてもいいだろう。」

 

提督「・・・ドア、直しとけよ。」

 

天龍「はいはい。で、単刀直入に言う。お前の実力が知りたい。艤装や手品に依存しない腕っ節の強さだ。」

 

提督「・・・。」

 

天龍「獲物は好きなもん選んで構わねぇぜ?」

 

有無を言わせぬ、と言った様子の天龍の口調に並々ならぬものを感じ取った直人、仕方がない、と腹をくくる。

 

提督「・・・はぁ。分かった、やってやる。2階の廊下、階段のとこ通り越して右の空き部屋使うぞ。」

 

天龍「おう。」

 

大淀「あの、書類は・・・」

 

提督「ほい。」

 

書き終わった書類を立ちながらポンと大淀に渡す直人。

 

大淀「あ・・・では、ご自由に・・・。」

 

提督「おう。」

 

そう言うと何故か小さめの鉛筆の削りカスを2枚取り出して握り締める。

 

天龍「ん?」

 

――――錬成、開始。――――

 

 

キュイィィィィィィィィィ・・・

 

 

素早く手の平に、且つ見えない様に錬金術魔法陣を展開し錬金術を行う。と言っても、これはその応用である。

 

提督「1、2、3!」パチン

 

2枚の鉛筆の削りカスが、指が鳴るのと同時に2本の竹刀へと姿を変える。

 

大淀「これは・・・!?」

 

天龍「おいおい・・・どうなってやがる?」

 

金剛「マジックデース・・・。」

 

提督(まぁマジもんのマジックだな。種も仕掛けもありはせんよ。)

 

そう心の中で呟いている間に完成、見事な出来の竹刀である。安っぽさは欠片も無い。

 

提督「ほれ、いくぞー。」

 

直人はそう言うなりその竹刀の1本を持って執務室を出た。

 

天龍「お、おう。スゲェ、本物と変わらねぇじゃねぇか・・・。」

 

感慨深げに呟きながら天龍もその後を追うのであった。

 

 

 

司令部中央棟2F・空き部屋

 

 

さっきの説明で部屋の場所がピンと来なかった人の為に補足すると、この空き部屋は提督仮眠室から、吹き抜けのエントランスホールを挟んで向こう側にある。なお真下が大淀の無線室である。

 

つまり、長居は出来ないという事である。(防音床ではない。)

 

付け加えると、一瞬たりと手を抜くつもりは、毛頭ないのであった。

 

提督「さて、負け惜しみは聞かんからな?」

 

天龍「ハッ、こっちのセリフだっつうの。」

 

青葉「青葉、気になっちゃいました!」

 

電「お手並み拝見、なのです。」

 

龍田「さぁ、どうなるのかしらぁ~?」

 

審判役に3人呼んできた。

 

提督「フッ、17でタイ捨流皆伝だと言うのに、舐められたもんだ。」

 

天龍「皆伝って―――!」

 

提督「さて―――」

 

直人が目を閉じる。

 

提督「始めようか。」ゴゴゴゴ・・・

 

その言葉と共に瞼を開ける直人、その瞳には、先程までの温厚な感情は一切排除されている。

 

全てを貫く光無く冷たい黒の瞳と、元来若干鋭い眼光が凄まじい鋭さとなり、相手の心を浸食する。

 

天龍「―――!」

 

天龍は、動けない。

 

3人「っ!?」

 

ギャラリーの3人も完全に射竦められる。

 

提督「フゥ~・・・。さぁ、いつでもいいぞ。」

 

直人は中段に正位で構える。

 

天龍「・・・。」ゴクリ

 

天龍が隙を窺う。

 

そして・・・

 

天龍「だああああああっ!!」

 

天龍が直人に向かい竹刀を振り上げた正にその瞬間であった。

 

提督「ハアアッ!」

 

短い裂帛の叫び声と同時に、直人は左手だけで天龍の左手を狙って竹刀を振り抜く。

 

勝負は一瞬であった。

 

提督「小手打ち一本! 胴打ち一本!」バシィィンバシイィィィン

 

天龍「ッああ!?」バッ

 

提督「面打ちいっぽおおおおぉぉぉぉぉぉぉーーーん!!」バアアアアアァァァァァァァァァーーーーーン

 

天龍「ぐあああああああっ!!」ドッタァーーン

 

まるで銃でも撃ったかのような音と共に吹き飛ばされる天龍。

 

何が起こったのか簡単に説明しよう。

 

まず直人は左手だけを使って天龍の左手を狙って薙ぎ払い篭手打ちを決め、その際竹刀を吹き飛ばさせると、振り終わると同時に離していた右手で再び竹刀を握って両手で天龍の脇を一足で飛ぶ要領ですれ違いながら打ち据えて胴打ち、そしてこの時打たれた勢いは相手の体を180度反転させており、直人は飛んで着地した足で体を反転させながら飛び、空中から天龍の顔面に向かってきつい一撃を叩き込んだのである。

 

この間僅か2秒25である。

 

青葉「バッチリ、動画と写真両方頂きました!」

 

電「・・・。」←余りの凄さに言葉が出ない

 

龍田「わー、流石タイ捨流皆伝ねぇ♪」

 

提督「ウーン、それはいいんだが、竹刀が木っ端微塵に・・・。」

 

3人「え!?」

 

そう、直人の竹刀は柄だけを残して粉々になっていた。面打ちをした一瞬後までは原形を留めていたが、そこで強度的に限界を迎えたのだ。

 

さっきの手品は『即製錬成』と言う魔術で、短時間で様々なものを複製出来るのだが壊れる事が前提である。それがボキッと折れるならまだしも粉砕されたのである。

 

一挙動一投足全ての無駄を完全に取り払った結果できた彼の持ちうる限りでの攻めの奥義である。

 

なお砕け散った竹刀の破片は魔力に還元され大気に消えている。

 

天龍「・・・っく、マジかよ、一瞬で3本も取られたぞ・・・。」

 

さっきもんどりうって吹っ飛ばされた天龍がようやく起き上がる。

 

提督「生憎と俺はタイ捨流皆伝じゃ止まらずそれを我流の域に高めたからな。」

 

青葉「でも人間技ではとてもないですねー。」

 

提督「そりゃそうだ、毎日何回木刀を振っていたか。」

 

電「司令官さん、凄いのです!」

 

提督「ありがと。」

 

天龍「いやぁ、完敗だ。強いな、やはり。」

 

提督「お褒めに預かり光栄の至り。」

 

彼の瞳は悪戯っぽく煌いていた。

 

提督「さぁ出撃までなにすっかねぇー。うーん・・・。あっ。」

 

何か思い立った模様。

 

電「?」

 

提督「電、雷と夕立と時雨呼んで来い、間宮さんとこ行こう。」

 

電「本当ですか!?」

 

提督「おう。」

 

電「すぐ呼んでくるのです!」ダッ

 

提督「甘味処前集合なー。」

 

電「はーいなのですー!」タッタッタッタ・・・

 

走り去る足を止めず返事だけ返す電。

 

提督「・・・。」

 

フッ、さて行くか。

 

直人は温かい何かがこみ上げてくるのを感じながらその場を後にしたのであった。

 

 

 

甘味処『間宮』 午前9時40分

 

 

夕立「美味しいっぽい!」ポムシャポムシャ

 

時雨「夕立、そんなに急がなくても、パフェは逃げないよ?」^^;

 

思わずそう言う時雨である。

 

雷「司令官、約束覚えてたのね?」

 

提督「勿論さ。」キリッ

 

多分雷は一度約束したら忘れないタイプだこれ。

 

電「美味しいのです!」

 

間宮「そお、よかったわ。」

 

提督「おぉ、ありがと。」

 

そんな訳で甘味処間宮です。そして漸く御登場の給糧艦間宮である。

 

夕立が間宮スペシャル頬ばってます。2杯目です、やめぇや。

 

時雨も間宮スペシャル、雷は蜜柑パフェ(ポ○キーIN)、電は・・・苺クレープですか。

 

で、今間宮さんにもってきてもらったのはと言いますと・・・

 

提督「ウマー。」ハムッ

 

バニラソフトです。キッ○カットINの。この時代でも人気ですよキッ○カット。なんでバニラソフトかというと単に好きだからです。

 

間宮「提督もようやくお越しになれましたね。」

 

提督「それな。まぁここまで忙しすぎたししゃーない。この作戦終わったら暫く目立った作戦は無いからちょくちょく来ることにするよ。」

 

間宮「お待ちしてますね。」

 

その会話を聞いた雷が飛びあがる勢いで言葉を発する。

 

雷「え! この作戦終わったらお休み!?」キラキラ

 

提督「ドアホ、北上と神通教官にして演習だよ。」(北上と口に出ているが着任していないのは内緒)

 

雷「そうよねー、鍛えないとだもんね・・・。」

 

ちょっと残念そうに言う雷、艦娘としては表情多彩なのも中々珍しい彼女の個性だろう。

 

提督「練度向上これ大事。」

 

時雨「そうだね、皆を守れる位強くならなきゃ。」

 

提督「おっ? 意気込んでるねぇ。だが、守る為の手段を誤るんじゃないぞ?」

 

時雨「―――分かってるさ。」

 

そう返す時雨である。

 

電「まずはマリアナ、ですね?」

 

提督「そうだ、お前達は陽動だが、しっかり頼むぞ。」

 

電「はい、精一杯頑張るのです!」

 

雷「私だって頑張っちゃうんだから!」

 

提督「おう、期待してるぞ~。」ナデナデ

 

雷「えへへ~///」

 

なんだろう、可愛い。

 

電「お姉ちゃんずるいのです! 私にもして欲しいのです!」

 

夕立「私も!」

 

時雨「僕もして欲しい、かな・・・///」

 

提督「おおう・・・分かった分かった。」

 

「まぁ、こうなっちゃうよなぁ~。」と苦笑しつつも結局してあげる直人であった。

 

まぁ、そんなこんなで、出撃の時を迎える。

 

 

 

5月15日午後9時20分 司令部裏ドック

 

 

提督「燃料弾薬、補給はしっかりできてるな。よし、では待機だ。」

 

電「はいなのです!」

 

直人、艦娘達の補給チェック中。

 

天龍「今まで後方で控えだった俺達にも、出撃の機会が与えられるとはなぁ。」

 

龍田「人手不足とも言うのよねぇ。」

 

天龍「それは・・・」

 

提督「そいつは悪うございましたな。」

 

天龍「ぴゃあああああ!?」ビックゥ

 

提督「おう、びっくりしすぎ。」

 

天龍「いきなり後ろに立ってんじゃねぇよ!?」

 

龍田「私は気付いてたわよぉ?」

 

天龍「気づいてたなら教えてくれよ・・・。」

 

提督「ハッハッハッ、まだ甘いな天龍よ。まぁ、そうそうない出撃の機会だ、頑張ってこい。」

 

天龍「当然だ! 斬の双龍の力、見せてやるぜ!」

 

斬の双龍というのは天龍と龍田の事、二人とも名前に龍の字が付く事と、槍や刀を武器とすることから来ている。因みにこの渾名が呼ばれ始めたのはごくごく最近(呉鎮近衛との演習の後)である。

 

似たような渾名には、剣戟の双璧(伊勢・日向)がある。

 

提督「ほう? そいつは頼もしい限りだ。双璧に負けないようにな。」

 

天龍「世界水準超えてっからな、戦艦共にもまだ負けないぜ。」

 

龍田「世界水準に追い抜かれてるけどねぇ?」

 

天龍「それ言うなって。」orz

 

提督「ハッハッハ、よし、補給は万全だな、んじゃ待機だ。」

 

天龍「おう!」

 

龍田「は~い。」

 

提督「さて、俺もそろそろ準備にかかるか。」

 

 

 

午後9時30分 艤装倉庫奥

 

 

ピッピッピッピッ・・・ガシュゥゥゥーー・・・ン

 

 

提督「よし。」

 

秘密の通路の番号ロックを解除する直人。

 

「あの、司令官!」

 

提督「ん?」

 

声を掛けられて直人が振り向くと、そこには青葉がいた。

 

青葉「あの・・・。」

 

提督「・・・どうした?」

 

青葉の表情は、いつもと違って躊躇いに満ちていた。

 

青葉「・・・私も、お供させて下さい。」

 

言いにくそうに切り出す青葉、無論直人は驚いた。

 

提督「何で青葉まで出撃しなきゃならない? 確か戦闘技能は・・・」

 

青葉「分かってます、けど、司令官が呉に行ったとき、思わず後を追ってしまって・・・水戸嶋提督との会話を、聞いてしまったんです。」

 

提督「!!」

 

それこそ直人は驚いた。青葉の存在に一切感づいていなかったのである。

 

青葉「私は、何も知りませんでした。司令官のお立場が微妙である事も、何時大本営によって殺されるかも分からないという事も・・・超兵器という存在の情報が、大本営によって封止されている事も。」

 

提督「・・・。」

 

青葉の言っている事は確かだった。大本営は超兵器級の情報を何故かひた隠しにしていたのである。否、理由はある、提督達がその存在を知り、出撃を手控えない様に、という程度のものだったが・・・。

 

青葉「私は、いざ戦闘になれば、自分を守ることしか出来ません。それでも、超兵器についての情報を掴むことで、少しでも司令官の助けになりたいんです! それが、ひいては未来の犠牲を減らす事に繋がり、司令官がご自分を守る為に手段を講ずることが出来る様にもなる筈です。」

 

提督「だ、だが・・・」

 

青葉「それに・・・不慮の遭遇で、司令官が帰ってこないなんて、嫌ですから・・・。」

 

その一言に、直人の心は締め付けられた。直人が戻ってこない事が、戦局はおろか、彼女たちに与える影響すらも、彼は分かり切っていた筈だったのに、青葉を前線から遠ざけ続けた自分を今この瞬間悔いてもいた。

 

提督「青葉・・・。」

 

青葉「私だって艦娘です、私にも意地はあります。お願いです、司令官。」

 

青葉の眼は、真剣そのものであった。

 

直人が、決断を下した。

 

提督「・・・分かった。第1部隊の戦列に加わってくれ、青葉。お前のブン屋としての実力、見せて貰う。」

 

青葉「司令官・・・」

 

提督「だが無理はするな。奴らは強大だ。なにをするか分かったものではない。それを念頭に入れてくれ。」

 

青葉「はい!」

 

かくして、重巡青葉が戦列へと加わった。

 

青葉「というか誰がブン屋ですか!」

 

提督「人のゴシップ漁ってる癖に何を言う。横鎮新聞は毎号読んでるんだぞ。」

 

青葉「う゛っ。」

 

提督「俺のゴシップ漁りもしてるみてーだが、度が過ぎた事してっとどうなっても知らんぞ?」

 

青葉「あうう・・・」

 

因みに青葉のゴシップ漁りはこのところ大失敗続きである。

 

なおこの青葉の決断は後に彼女が創設する青葉ネットワークによって実を結び、各司令部に超兵器の情報が行き渡った事で、不慮の超兵器戦という事態はそれ以後減少していく事になる。

 

 

 

なんとか出撃メンバー(と大淀)は言葉で言い包めた(ねじ伏せた)。

 

 

 

金剛「青葉さんが戦場取材デスカー・・・。」

 

電「緊張してきたのです・・・。」

 

提督「第2部隊なんだから気にせんでいいでしょ。」

 

山城「私達が気になっちゃいますよ!!」

 

そう猛抗議すると直人は

 

提督「まぁ・・・頑張れ?」

 

と励ますだけ励ました。

 

山城「提督ッ・・・はぁ、不幸だわ・・・。」

 

と肩を落とす山城だったが扶桑が慰める。

 

扶桑「そうでもないわよ? 私たちのいい所、見せる機会じゃない。」

 

山城「姉様・・・そっ、そうですね! 頑張ります!」

 

ポジティブな扶桑さんである。

 

日向「私達は本隊の直衛だ、この刀を使う機会も、あるやもしれんな。」

 

伊勢「それって最終局面じゃない? 悪い方の。」

 

日向「まぁ、そうなるな。」

 

天龍「俺達が正面突破だからなぁ、第2部隊の連中が上手くやってくれりゃいいんだがなぁ。」

 

夕立「私達が頑張るっぽい、だから天龍さん達も頑張って欲しいっぽい!」

 

天龍「お? 猛犬が言う様になったじゃねぇか。」

 

と天龍が言えば

 

夕立「夕立、犬じゃないっぽい!」プンスカ

 

と夕立が言う。

 

天龍「ハッハッハ、まぁ任せとけよ。ちゃんとやっからよ。」

 

夕立「ぽいっ!」^^

 

摩耶「ったーく、また防空か。」

 

青葉「お手並み拝見です!」

 

摩耶「おうよ、敵機なんざバッタバッタと薙ぎ倒してやる!」

 

蒼龍「摩耶、慢心しちゃダメだよ?」

 

摩耶「わ、分かってるっての!」

 

移動中でも賑やかなのはいいが、潜水艦に見つからないのかと不安になる直人。最も陰ながら潜水艦を見つけたら心配している直人自身が片っ端から撃沈している為問題はないが。(おい)

 

 

 

5月16日午前0時半 小笠原諸島南方沖

 

 

提督「―――来たか。」

 

金剛「ワーオ・・・凄い数デース・・・。」

 

提督「そうだな、ほぼ同数だ。」

 

 

 

実の所、呉鎮近衛艦隊の編成はこのようなものだった。

 

 

第1機動部隊 旗艦:水戸 副艦:赤城

水戸 赤城 千歳(航) 千代田(航) 金剛 伊勢 羽黒 高雄 愛宕 青葉

 

第1艦隊 旗艦:扶桑

扶桑 山城 最上 鳥海 利根 木曽 北上 那珂 長良 蒼龍 龍驤

 

第1機動群 旗艦:加古

加古 龍田 多摩 鬼怒 深雪 白雪 朧 電 雷

 

居残り組

隼鷹 飛鷹 妙高 足柄 川内 神通 時雨 初霜

 

 

 

氷空「よお、馳せ参じてやったぞ。」

 

誠に心強い限りの増援に直人は

 

提督「あぁ、助かる。」

 

と素直に謝した。

 

氷空「それで? 我々は何をすればいいのかな?」

 

提督「俺達は第2部隊が北東側から、第1部隊と俺が北から突入する。氷空には西側に回り込んで大暴れしてもらいたい。」

 

氷空「というと? 卿は大規模な陽動作戦をするつもりなのか?」

 

直人の目論見は、左右で大規模な陽動攻撃を行い、注意を逸らしたところでその間隙に主力をねじ込むと言う戦法であった。状況さえ許せば分進合撃さえ可能な布陣でもある。

 

提督「あぁ。今回はグァム解放が出来ればいい。形勢不利を悟れば、敵も自ずと退くだろう。」

 

氷空「フッ、了解した。せいぜい派手に暴れるついでに、増援が来たら相手しておこう。」

 

提督「ハハハッ、お見通しだったか、すまんが頼む。」

 

氷空「頼まれた。ではいこうか。」

 

提督「あぁ。」

 

 

 

まぁ、別の鎮守府であれば同じ艦娘が着任出来る訳で、当然こんなことが起こります。

 

電「はわわっ!? 私とそっくりの艦娘がいるのです!」

 

呉近衛電「あなたも私とそっくりなのです!」

 

ま、こうなります。

 

同型の艦娘の着任は別鎮守府なら大丈夫です。このように。

 

天龍「おう龍田、あっちにも龍田がいるらしいぜ。」

 

龍田「そうみたいねー。鏡の向こうを見てるみたい。」^^

 

時雨「・・・。」ジー

 

呉近衛龍驤「・・・ん? なんや嬢ちゃん? うちの顔になんかついとるんか?」

 

時雨「君って・・・駆逐艦?」

 

呉近衛龍驤「軽空母や!」

 

時雨「あぁ、ごめんごめん。」

 

まぁ、うん。(うん?)

 

提督「さぁーて、夜明け前に奇襲殲滅する手で行こう。敵超兵器を混乱の坩堝に叩き落としてやる(笑)」

 

氷空「相も変わらんな、卿は。」

 

提督「そう簡単には変われんさ。」

 

氷空「にしても、装備が増えてないか?」

 

提督「あ、気づいた?」

 

やっと気づいたかと直人が喜んだ風な顔をする。

 

氷空「やけに重そうな銃だな。」

 

提督「30cm速射砲、俺が設計した砲だ。威力は折り紙付きだぜw」

 

氷空「ほーう? なら期待させてもらおうか。」

 

提督「当然。」

 

氷空「ではこの辺りだな。あとで会おう。」

 

提督「あぁ―――死ぬなよ。」

 

氷空「お前が言うか。」

 

提督「フッ、そうだったな。」

 

そうして呉鎮近衛艦隊が進路を変更し離れていく。

 

提督「よーし、第2部隊、予定通り敵の北東側から突入する進路を取れ!」

 

扶桑「了解!」

 

神通「了解! 皆さん、行きますよ!」

 

駆逐艦.S「はい!」

 

呉鎮近衛艦隊30隻に続き、第2部隊16隻も戦列を離れ、残るは18隻。

 

提督「さて、こっちは取り敢えず欺瞞進路だ。敵の潜水艦と偵察機は片っ端から落として沈めろ。」

 

第1部隊「はい!」

 

金剛「ン?」

 

提督「お?」

 

無線に耳を澄ましていた金剛と直人が何かを受信したようです。

 

提督「おいおい、これ開戦を告げる暗号を焼き直しただけじゃねぇか。」

 

榛名「ですね・・・」

 

蒼龍「あらら・・・」

 

“ニイタカヤマノボレ 〇五一六”、今回のハワイ攻撃の攻撃開始暗号である。

 

提督「確か陸軍は、“ヒノデハヤマガタトス”、だっけ?」

 

金剛「ザッツライト!」

 

霧島「提督は、戦史にはお詳しいのですか?」

 

提督「ん? まぁ、素人としてはかなりね。」

 

霧島「・・・今度語り合いましょう。」

 

提督「黒霧島片手に?」

 

霧島「よく分かりましたね・・・。」

 

青葉にたまたま聞いた。黒霧が好きらしい、最もこの頃は相当な贅沢品だったが。

 

青葉(私がお教えしました。)

 

まぁ、当然声には出せません。

 

加賀「“その話、私も混ぜて下さい。”」

 

おい、誰だ隊内無線垂れ流してるの、と思ったら青葉だこれ。

 

日向「どれ、私も一つ乗っかるとするか。」

 

提督「いいぜ~、思い切り語ろうじゃねぇか。」

 

ますますフラグが増える・・・。

 

提督「てか青葉、戦地で無線使うんじゃありません。」

 

青葉「すみません。」

 

割とやばいので。

 

蒼龍「提督、うちの子が敵偵察機1機を撃墜しました。」

 

提督「よーし、そろそろ開始時刻かな?」

 

時刻は午前3時半、絶好のタイミングである。

 

後にグァム沖海戦と名付けられたこの戦いの火蓋は、横鎮近衛艦隊第2部隊が、奇跡的かつ投機的夜襲によって切った。

 

 

 

グァム北東海上午前3時半 横鎮近衛艦隊第2部隊

 

 

神通「敵艦捕捉、砲雷撃戦用」

 

夕立「突っ込むのは今っぽい!」

 

時雨「時雨、行くよ!」

 

電「電、突撃なのです!」

 

神通「えっ!?」

 

初春「なっ!?」

 

雷「電!?」

 

扶桑「ちょっと!?」

 

吉川艦長の英断によって突撃した夕立と時雨、更に独断の電によって戦端が開いた。

 

夕立「ぽぽぽぽおおぉぉーーーい!!」バシャシャシャシャ

 

夕立が魚雷をぶん投げ

 

電「なのです!」ドォン

 

電は主砲を撃つ。

 

時雨「トレース、オン。」

 

時雨は周囲の空間に4発づつ魚雷型ミサイルを出現させ、手に持った主砲の射撃と共に敵に投射する。

 

時雨「いっけぇぇぇぇ!!」ドドォォォォーー・・・ン

 

更に背中の主砲を展開し、そこから更に魚雷型ロケット弾を撃ち続ける。

 

神通「ちょっと、戻りなさい・・・」

 

 

ドガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ・・・

 

 

第2部隊「」( Д )゚ ゚

 

艦種区別なく問答無用で敵を立て続けに破砕する3人、何だこの殲滅劇は。

 

夕立「それ私の魚雷っぽい!」^^

 

時雨「ふふっ♪ よく分かったね。」

 

そりゃまぁ、弾頭に夕立の魚雷と同じノーズアートがあればねぇ?(by作者)

 

電「シャベッテナイデタタカウノデス。」ニシャァー

 

ゆうしぐ「あ、はい。」

 

とんでもない威圧感に委縮させられる二人。

 

電「さぁ、いくのです!」

 

ゆうしぐ(切り替えはやっ!?)

 

そしてその電は・・・

 

電「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!! なのですっ!!!」ビュウウウウゥゥン

 

 

ゴシャァッ

 

 

「ギャオアアッ!?」

 

アンカーをチェーン持ってぶん回してました。

 

 

雷「・・・」

 

流石の雷も絶句。

 

神通「仕方ないわね・・・。私達も戦闘へ突入します!」

 

短時間の間に突破口が開かれた事を悟った神通は、予定より早く突撃命令を下す。

 

扶桑「では私達も!」

 

山城「了解!」

 

初春「あとで説教かえ? 神通?」

 

そう問いかける初春に

 

神通「結果次第、ですね。」

 

と神通は言った。

 

初春「フッ、そうじゃな。」

 

結局引きずられる形で先頭に入る第2部隊、しかしこの時幾つかの偶然が重なっていた。

 

1.深海棲艦の注意が北の横鎮近衛艦隊本隊に向いていた

2.たまたま北東側に敵水雷戦隊が突出していた。

3.敵超兵器級が“航行不能”になっていた

 

 

 

「クッ、マサカ推進部ヲヤラレルトハ・・・」

 

膝を突く超兵器級深海棲艦のクローン型、足からは煙が出ている。

 

補足すると犯人は夕立の魚雷である。十数km先のストレインジデルタの推進部を偶然捉えたのである。九三式酸素魚雷の強みである長射程も時には役に立つのだ。

 

泊地棲鬼「大丈夫カ? デルタ11?」

 

デルタ「アァ、ダガ修理ニ時間ガイル。ソレマデ持タセテクレ。」

 

泊地棲鬼「承知シタ。引キ受ケヨウ。」

 

しかしそうは問屋が卸さない。

 

 

 

午前3時40分 グァム西方海上 呉鎮近衛艦隊

 

 

水戸嶋「ん? 向こうは始めたらしいな、予定より早い様だが。」

 

赤城「敵の注意は恐らく向こうに向く筈です。」

 

水戸嶋「あぁ、ではせいぜい派手に暴れて行こうか。」

 

時雨「向こうの時雨に、負けちゃいられないね。」

 

水戸嶋「当然だとも、少なくとも奴にはまだ負けられんさ。」

 

金剛「レッツパーティータイムデース!!」

 

水戸嶋「よし、全艦突撃!!」

 

艦隊「おおぉぉっ!!」

 

 

 

提督「おー、始まったな。」

 

大規模陽動を遠望する提督一名。

 

摩耶「しっかし、提督がここまで人使いが荒いとは。」

 

提督「なーに、利用できるものは利用するだけの事だよ。」

 

摩耶「うへぇ~、鬼だなアンタ。」

 

提督「褒め言葉として受け取っとこう。」

 

摩耶「褒めてねぇよ!?」

 

提督「ハッハッハ。」

 

軽く笑い声を上げる直人を他所に蒼龍がしれっと怖い事を言う。

 

蒼龍「でもそう言う人って大抵利用できなくなれば捨てるんですよね・・・。」

 

羽黒「えっ!?」

 

榛名「ちょっと蒼龍さん!?」

 

提督「っ、おいおい。ねぇから、艦娘に対してそれはねぇから。」

 

蒼龍「ほんとですかね?」

 

提督「二言はねぇっつの。むしろお前らみたいな可愛い娘共をむざむざ捨てるなんて勿体無いとまで思えるぜ。」

 

確かに男から見れば楽園の様な職場である。

 

第1部隊(金剛除く)「なっ・・・///」

 

金剛「素直で宜しいデーッス!」ムギュー

 

提督「おっふ。」

 

霧島「お姉様? 戦場でいちゃつくと言うのは、どうなのでしょうか?」ゴゴゴ・・・

 

金剛「オゥ、ソーリーネー。」

 

提督「えらい素直だな。」

 

金剛「霧島ほど怒らせたら怖い妹はいないデース。」ゴニョゴニョ

 

耳打ちする金剛の言に取り敢えず納得する直人であった。

 

提督「まぁ、そういうことだ、蒼龍の心配は、ただの杞憂だよ。」

 

蒼龍「・・・そう。」

 

羽黒「ホッ・・・」

 

心配し過ぎな。

 

提督「言ってる間に夜明け前だ。」

 

既に東の空が白み始めている。

 

大井「あら、ホント。」

 

時計を見ると午前4時過ぎ。

 

提督「ちょっとはえぇが、総攻撃と行こうか。」

 

大井「それ、大丈夫なの?」

 

提督「何、俺がいるさ。」

 

大井「不安過ぎるんだけど!?」

 

こいつは俺の実力知らんのか・・・。まぁいいか。

 

提督「なぁに、すぐ分かる。蒼龍、飛鷹、千代田!」

 

空母隊「はい!」

 

提督「攻撃隊を発進させる。俺と共同攻撃でな。」

 

蒼龍「了解。攻撃隊、発艦・・・始め!」

 

提督「全機発進! 景雲達も新装した爆装を見せてやれ!」

 

600機の紀伊航空隊と、158機の母艦航空隊とは、先制攻撃を加えるべく進撃を開始した。

 

景雲改2となった第4航空隊60機は、1トン爆弾を吊架しての基地爆撃を任されていた。

 

提督「―――でけぇ爆弾だ。」

 

と飛び去る第4航空隊を見て言う直人。因みに九七式艦攻は八〇番(800㎏)爆弾が限界であるが、これがアメリカでの2,000ポンド相当と言って差し障りない。

 

蒼龍「・・・なにあれずるい。」

 

提督「アメリカに言わせれば2,000ポンド爆弾だな。最もあれは904㎏しかないそうだが。」

 

蒼龍「・・・景雲って、ジェット機(?)みたいだけど、急降下とかできないよね?」

 

提督「無理、空中分解する。だから基地爆撃任せてある。」

 

元々偵察機だから当然である。

 

蒼龍「あぁ、成程・・・。」

 

提督「加速力の違いで先制するのは景雲隊だけどね。」

 

飛鷹「足早いもんねぇ、あの子達。」

 

提督「せやな。そんで基地の方に注意を更に逸らした上で艦隊へ空襲を仕掛ける訳だ。」

 

正面突破を警戒する敵に対し、時間差三段陽動の上最後にやってくる主攻正面は散々陽動に振り回されて崩れた本来の防御線側面と言う戦術である。

 

中国の兵法書「三十六計」の第六計に曰く“声東撃西”の計であるが、これを応用したものだ。

 

飛鷹「陽動に陽動を重ねるのね・・・いい戦法じゃない。」

 

提督「お褒めに与った所で、俺達も突入するぞ。今回羽黒は空母の護衛、愛宕も一緒に残ってやってくれ。」

 

羽黒「はい!」

 

愛宕「あらあら、出番はぁ?」

 

提督「また次な。」

 

愛宕「ふふ、分かったわぁ♪」

 

提督「よーし、突撃!!」

 

 

 

その頃第2部隊は・・・

 

 

夕立「えーいっ!」ドドォォーーン

 

電「やぁっ!」ドォンドォン

 

時雨「はぁっ!」ゴオオ・・・

 

相っ変わらずミサイルだな時雨!!

 

雷「いっけぇ!!」ザババッ

 

神通「てぇっ!」ドドドドォォォーーン

 

球磨「突撃するクマ!!」

 

初春「まったく、あ奴らのおかげで道が拓けるとはな。殲滅じゃ! 撃て!」

 

菊月「無鉄砲なのか計算ずくなのか・・・。」

 

無計算の狂乱が好転に導いた、と考えれば運が良かったのだろう。

 

長月「あの負けず嫌いの吉川艦長ならやりかねんか・・・。」

 

皐月「吉川ってあの夕立の?」

 

長月「そうだ。」

 

加賀「おしゃべりしてないで、集中なさい?」

 

長月「射程外なんだが・・・。」

 

一応14cmや12.7cm砲の射程限界付近で戦ってます。

 

加賀「あと、吉川艦長は妖精として夕立にいるわよ?」

 

3人「え!?」

 

夕立最大の特異点でもある吉川 潔(きっかわ きよし)艦長の妖精化しての乗艦、この3人が知らないのも無理はないが。

 

というより、この通り余裕です。菊月の心配自体が杞憂だったとさえ言えるレベルで。

 

菊月「それにしても何たる強さか・・・。」

 

加賀「当然ね。先日のサンベルナルディノでも、雪風・飛龍の艤装全損以外目立った損害はあまりなく、むしろ無傷で半数以上が帰って来たもの。神通の1水戦は伊達ではない、という事ね。」

 

そこに長月が質問を挟んだ。

 

長月「ではなぜこんな作戦を? 強い艦隊ならば正面突撃させてもいいものだが。」

 

加賀「あなた達が来るまで駆逐艦が少なかったのは知ってるわね?」

 

長月「あ、あぁ。」

 

加賀「それまで提督は駆逐艦をあまり使えず、大型艦だけで戦っていた、つまり、最大の練度を持つのは、第1部隊であると言っていいわ。」

 

皐月「加賀さん・・・。」

 

加賀は艦隊のそれまでの戦闘から、そこまで読み切っていたのだ。無論事実であった。

 

加賀「さ、分かったところで長月さんと菊月さんも突撃なさい? 一水戦は既に突っ込んでるわよ?」

 

菊月「そう、だな。」

 

長月「では征くか。獲物がいなくなられても困るからな!」

 

加賀「そうね。私も艦載機を出す事にしようかしら。」

 

再度言います。こいつら余裕です、殲滅力が余りに高すぎます。

 

さり気なく敵超兵器まで行動不能にしてるあたり最早度し難いです。

 

 

 

午前4時6分 第1部隊

 

 

提督「ファイエル!!」ズドドォォォォォォーーーー・・・ン

 

金剛「ファイアー!!」ドォンドォォォォォーーーー・・・ン

 

噂の当人たちは正にその瞬間堰を切るかの如く戦端を切った。

 

霧島「砲撃開始!!」

 

比叡「遅れは取りません! 気合い、入れて、撃ちます!!」

 

榛名「全門斉射!!」

 

伊勢「砲戦開始!」

 

日向「撃つぞ、それっ!」

 

続けてその他の5戦艦が一斉に射撃を開始、目標は正面の深海棲艦前衛水上打撃艦隊である。

 

あっちからしてみれば完全に寝耳に水であろうがそんな事は関係無い。

 

弾着観測隊

「紀伊の第1斉射、敵戦艦2隻に直撃、轟沈! 副砲は全弾遠、下げ1!」

「金剛第1斉射、敵駆逐艦2隻に直撃、轟沈!」

「榛名第1斉射、敵軽空母に3発命中、誘爆を起こしている模様。」

「比叡第1斉射、敵戦艦に5発命中、大破炎上中!」

「霧島第1斉射、敵重巡に4発命中、撃沈!」

 

 

提督「あ、先鋒全滅したな。だが副砲が当たってなかったか。」

 

金剛「提督ゥ! 今の見てましたカ!?」

 

提督「あのな金剛、駆逐艦2杯で喜ばんでくれ。敵はまだ一杯いるぞ?」

 

金剛を諫める直人の元に神通から通信が入る。

 

神通「“こちら1水戦神通です。担当方向の敵の5割を撃滅、指示を乞います。”」

 

提督「は? 5割!?」

 

その速さに驚き思わず聞き返す直人。

 

神通「“はい、時雨と夕立、電が開幕に突撃し、続いて戦闘に加入したところ、このような事に。”」

 

提督「んー、よし、そのまま突進して敵本隊に迫るように動いて敵を釣ってくれ。」

 

直人は驚きつつも指示を出した。

 

神通「“了解。”」

 

 

・・・。

 

 

金剛「デストロイヤー、恐るべし、デスネー。」

 

提督「そうだな―――お、攻撃隊からト連送(ト・ト・ト・・・:突撃開始の意)が来たな。」

 

神通の報告と相前後して開始された航空攻撃は、かなりの打撃を敵に与えた。

 

その様子を、景雲改2からの偵察報告が物語っていた。

 

提督「景雲からの第1報だな。“グァム泊地中枢に在泊せる敵艦隊、超兵器級2(うち1隻機関損傷)、戦艦級約890、大型空母級約760、軽空母級約920、重巡級以下多数、総数算出困難”ときた。」

 

敵陣容の深さ、とはこういう意味である。その物量差が著しいものであるのは読者諸兄にもこれでお分かりになった筈である。

 

金剛「オゥ、かなり多いデース・・・。」

 

提督「というか損傷部分まで報告しやがった、どういう目をしてんだあいつらは。」

 

蒼龍「日本海軍は、見張りを特に優先してましたからね、海でも空でも。」

 

提督「そうだな、そう思えば筋は通る。お、第2報だ。」

 

蒼龍「お?」

 

提督「“航空攻撃隊の戦果、極めて大なるを認む。敵在泊艦隊はその戦力を大きく削がれたる模様なり。残存艦艇およそ1,200余りと見られる”・・・だ、そうだ。」

 

蒼龍「・・・何の冗談ですかね?」

 

提督「うーん・・・まさか、水戸のヤローか?」

 

蒼龍「水戸って、例の水戸嶋提督・・・?」

 

 

 

午前5時2分 呉鎮近衛艦隊

 

 

氷空「フッフッフッ、今頃あっちは予想より戦果が多いから驚いてるだろう。」

 

言いながら艦載機を式神に戻し回収する水戸嶋。

 

巨大艤装水戸は、扶桑改2と例えれば分かりやすいと思うが、ああいう感じに大和の艤装主砲をリメイクした巨大砲塔を背負った上で、更に長門の様な艤装が左右2列ずつプラスされている。

 

両肩にまで砲塔がある有様で、この艤装が元来如何に砲撃戦を重視していたかが窺える。が、装備はほぼ全て差し替えたそうだ。

 

やはり脚部艤装は箱型形状でごついのだがここに直人のそれよりも長い滑走路型の航空艤装が装着されていた。

 

赤城「試製連山にまで対艦爆撃させますか・・・。しかも反跳爆撃(※)なんて・・・。」

 

(※反跳爆撃:低高度で水面に爆弾を投下すると、爆弾が水面で跳ねるのを利用した爆撃法で、静水面でないとかなり難易度が高い。)

 

氷空「フッ、俺の航空隊だからな。それに、大戦果を挙げたんだ、よしとしようじゃないか。」

 

「損耗が激しいのは目を瞑る気かテメェ。」と直人が居れば突っ込んだ事だろう。実はこの呉鎮近衛艦隊航空隊の突入は直人らより5分早く、規模も直人らより大きかった為対空迎撃正面に指定されそこへまともに突っ込んだのだ。

 

 

 

提督「・・・あいつならやりかねねぇな。」

 

同時にこちらの被害が予想より少ない事も直人は掴んでおり、水戸嶋が何をしたのか、直人は把握した。

 

蒼龍「おうふ・・・。」

 

天龍「おい、突撃の指示はまだなのかよ?」

 

提督「そうだったな。全艦突貫!!」

 

天龍「よっしゃぁ、行くぞ龍田!!」ザザァッ

 

龍田「もう天龍ちゃんったら、そう慌てないの♪」ザザァッ

 

天龍と龍田を先頭に切り込む第1部隊、時刻は午前5時である。

 

提督(今頃は、ハワイでもとうに始まってる筈だ。)

 

というより、ハワイと東京の時差は19時間の時差があり、尚且つ日付変更線すらまたぐので、本来ハワイ攻撃隊発艦(午前5時)と合わせるなら午前1時に攻撃しなければならなかったりする。

 

だがここにもまた一つ偶然が重なった。

 

ハワイへの攻撃開始が4時間遅れたのである。

 

というのは、敵哨戒艦隊に作戦参加部隊が次々と捕捉され、攻撃位置への到着時間に遅延をきたしたのである。

 

結果的にこれがハワイ攻撃成功に繋がることとなった。

 

提督「ん? 入電・・・え? ハワイ攻撃今開始なの?」

 

金剛「えぇ!?」

 

素っ頓狂に金剛が驚いてるがスルー。

 

提督「よし、敵上層部の指揮系統を混乱させていこう。方針変更はない、突撃!!」

 

伊勢「よぉーし、そういうことなら撃ちまくるよ!」

 

日向「そうだな、全主砲、一斉射!」

 

蒼龍「“提督、航空攻撃は反復しますか?”」

 

提督「うん、お願い。」

 

蒼龍「“了解。”」

 

 

 

天龍「おおおおおおお!!」ズバァッ

 

龍田「フフフフ、アハハハハ、アハハハハハハハッ!! 舞い踊りなさい! 壊れちゃった魂たち!!」ザシュザシュザシュザシュザシュ

 

霧島「・・・物凄い変貌ぶりです、データにはありません・・・。」

 

比叡「というか、なんだか怖いです・・・。」ブルッ

 

正攻法で次々と敵を両断する天龍と、セオリーやノウハウを完璧に無視し、舞い踊るかの如く狂喜して槍を振るう龍田。

 

龍田の方が壊れてんじゃないのかと言いたくなるのはスルーで。

 

愛宕「敵機、来るわよ!」

 

摩耶「まかせろぉ!!」ドドドドドド・・・

(頑張ったらなんっつってくれるかなぁ♪)

 

 

 

提督「トレース、オン!」キリキリキリ・・・

 

なぜか弓と矢じりが錘になっている矢を手にして狙いを定める直人。

 

金剛「?」

 

提督「集中、しろっつの!」パッ

 

 

ヒュッ・・・スコォォォーーーン

 

 

摩耶「あだっ!?」

 

見事後頭部直撃。(よい子はマネしちゃダメだぞッ☆)

 

摩耶「なにすんだよ!?」

 

提督「戦場で気を散らすな!」^^

 

摩耶「うっ!?///」

 

見透かされていたと知ってドギマギしているようです。

 

摩耶「くっそー、やってやる!!」ズドドドドドドド・・・

 

提督「よしよし。」^^

 

金剛「・・・やることがえげつないデース・・・。」

 

提督「何を今更?」

 

金剛「アッハイ。」

 

因みに描かれていないところで数回赤城の魔の手から資材倉庫を守り通してます。実力で。

 

提督「よし、航空隊が戻ってきた、金剛、援護頼む。」

 

金剛「了解デース!」

 

 

 

午前5時34分 第2部隊

 

 

神通「この辺りの敵は、片付きましたね。」

 

夕立「っぽい!」

 

時雨「そうだね。」

 

電「なのです!」

 

この3人を軸に即興で戦況を組み立てる神通である。

 

 

 

加賀「・・・あの3人、本当に駆逐艦なのかしら?」

 

至極もっともな質問です加賀さん^^;

 

皐月「まぁ、駆逐艦、だね・・・。信じられないことに。」

 

至極真っ当な答えです皐月ちゃん。

 

山城「何であんな子が駆逐艦なのか、不思議です・・・。」

 

加賀「全くね。」

 

初春「夕立や時雨はまだ分かるんじゃがの。」

 

山城「そうね。」

 

加賀「そうなの?」

 

初春「うむ。夕立は第3次ソロモン海戦で、たった一人で敵陣中をかく乱し、特定不可能の大戦果を挙げた武勲艦、吉川艦長も乗っておるなら尚更じゃな。」

 

山城「時雨ちゃんは何度も危機に見舞われながらも窮地を脱し、スリガオ海峡海戦でも、続々と私たちが沈んでいく中で唯一生還した幸運艦。しかもある程度武勲もある子。」

 

加賀「・・・でも電は・・・?」

 

雷「正直、私もだけどあまりパッとはしないわね。船団護衛や哨戒活動に従事していたし、最後は潜水艦の雷撃だもの。まぁ、私と一緒に敵軍兵士を救助したのは、加賀さんも知ってる筈よ。」

 

その本人が言うのだから世話ない事である。

 

加賀「そうね、立派だと思うわ。」

 

電「正直・・・ここまで強くなった理由が・・・。」

 

加賀「・・・その強さ自体が特異点である可能性もあるわね。」

 

雷「そうね・・・。」

 

扶桑「では我々も、突撃しましょうか。」

 

第2部隊「はい!」

 

 

 

グァム棲地中枢

 

 

デルタ「クッ、随分派手ニ壊シテクレタナ・・・。」

 

「ドレ、ココハヒトツ私ガ出ヨウ。」

 

デルタ「頼ンダゾ、タイラント。」

 

タイラントと呼ばれた超兵器級は会釈をして前線へと赴く。

 

その先に見据えるのが絶望であるとは露知らず・・・。

 

 

 

5時36分 呉鎮近衛艦隊

 

 

氷空「よし、この一帯は片付いたらしいな。」

 

北上「ちょっと多い気がしたけどね、案外何とかなっちゃうね。」

 

氷空「よし、では奴を支援に向かおうか・・・」

 

赤城「索敵機より入電、“我敵増援を発見、超兵器級と思しき空母を含む”!」

 

氷空「なに!? 形状は?」

 

赤城「・・・、二段甲板状の航空艤装を持っているようです。」

 

氷空「ドイツのベーター・シュトラッサー級の深海版か、相手にとって不足なし! 全艦、敵増援の撃滅に向かうぞ!」

 

呉近衛艦隊「了解!」

 

氷空「しかし、戦艦級主砲を携えた巨大空母がお出ましとは、豪勢だな。」

 

この超兵器級深海棲艦については、いずれ語るとしよう・・・。

 

 

 

同刻 第1部隊

 

 

提督「撃てぇぇ!!」

 

榛名「榛名、全力で参ります、てぇっ!!」

 

蒼龍「第2次攻撃隊、発艦始め!!」

 

天龍「天龍様の攻撃だぁ!!」ザシュズバッ

 

 

ゲシッ

 

 

龍田「あらぁ~、もう声も出ませんかぁ?」

 

おう龍田さんイ級があなたの足の下で溺れてまっせwwww

 

龍田「じゃぁ、バイバイ。」ドシュッ

 

踏んづけたまま串刺しにしよったエグいwwww

 

提督(まぁ人のこと言えんがな。)←有象無象の区別なく消し去ってる人

 

伊勢「ふぅ、あと何隻倒せばいいんだ・・・?」

 

提督「やっぱ瑞雲が積めないときついか?」

 

伊勢「うーん、やっぱり手数が多いに越したことはないし。」

 

提督「そらそうだな。いっそミサイルVLSでもつけるか?www」

 

伊勢「扱えるのかなぁ、私に?」^^;

 

提督「うーん・・・主砲とVLSの同時運用に最適化すればいいんじゃないかな。」

 

日向「VLS・・・? そんな武装は知らんのだが・・・?」

 

※VLS(Vertical Launching System:バーティカル ランチング システム)

 垂直発射装置と訳される現代艦艇の大半に装備される機構。垂直発射という訳が示す通り、ミサイルを垂直発射する為の機構で、日本の護衛艦、世界各国の潜水艦等にも搭載されるなど、割とポピュラーな装備でもある。

因みに核弾頭ミサイル発射可能と言うVLSがアメリカを初めとして存在しており、原子力潜水艦等には平然と搭載されている例が多く、そう言った潜水艦を「戦略原潜」と呼び習わす事が多い。

 

日向「ほーう。聞いてみれば興味深いな。」

 

提督「さいですか・・・っと、おしゃべりは終わりだ、敵が戻ってきたようだ。」

 

伊勢「やれやれ、ま、やるか。」

 

日向「まぁ、そうなるな!」キッ

 

 

 

天龍田「ハアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァッ!!」

 

提督「攻撃隊発艦!」

 

蒼龍「おわわっ!?」

 

逐次前進していた蒼龍が敵の襲撃を受け水柱が上がる。

 

提督「蒼龍、大丈夫か?」

 

蒼龍「なんとかします! ゼロ距離発艦!!」

 

そう言いつつ蒼龍は三連バク宙しながら弓を連射すると言う曲芸をこなしてのけるのである。

 

蒼龍「ふぅ。」キラキラ

 

提督「・・・。」

 

これには見ていた直人自身も絶句するのであったが、気を取り直して現実に意識を戻す。

 

提督「・・・一旦集中、全門斉射!!」

 

 

ズドドォォォォォォーーーー・・・ン

 

 

蒼龍「む~! 後で目一杯褒めて貰うんだからね!」プンプン

 

金剛「アレ? レーダーが・・・」

 

提督「む、通信にノイズ・・・まさか!?」

 

 

ヒュルルル・・・

 

 

提督「敵弾! 回避!!」

 

「「はい!!」」

 

第1部隊が回避に移る。が・・・

 

榛名「え!? 弾が追いかけてくる!?」

 

提督「誘導砲弾だと!?」

 

 

ズドドドドドォォォォーーーー・・・ン

 

 

榛名「うぐっ・・・大丈夫です。この程度なら!」

 

これを見て直人が素早く思考を巡らす。

 

提督「威力が低い? それに誘導砲弾、もしや・・・」

 

直人が正面を見ると、件の超兵器は正面にいた。

 

リ級とうり二つの体の右側に、衝角のような艦首を模して小さな砲塔がついた形の武装、左右の腕に3つずつ単装の小さな砲塔が付き、背面には艦橋を含む後ろ半分の船体を模した武装がバックパックになっている。

 

提督「やはりか―――インテゲルタイラント―――!!」

 

タイラント「フフフ。オ気ニ召シタカシラ?」

 

提督「随分御挨拶だな。」

 

インテゲルタイラントを睨み据えながら彼は言い放った。

 

タイラント「マァ、155mm砲デ沈ムヨウナ戦艦ナンテイナイトオモウケドネ。」

 

提督「それを戦艦と言うのかねぇ。まぁ、ここで沈める相手と論議してもせんの無い事だ。」

 

タイラント「ソノ言葉、ソックリ返スワ。」

 

提督「全艦撃て!!」

 

タイラント「斉射!!」

 

 

 

超兵器級深海棲艦と横鎮近衛艦隊の、全体戦闘としては初の戦闘が始まった。

 

今までは紀伊単独であった為にこうした機会はなかった感がある為、その帰趨は不明であった。

 

そして、その帰趨は思わぬ形で決することになる。

 

 

 

提督「主砲&速射砲ファイアアアアアアアアアアア!!」ダダダダダダダダ・・・

 

 

ズドドォォォォォォーーーー・・・ン

 

 

提督(周囲の敵艦がうっとおしいので近接してまとめて吹っ飛ばす!!)

 

タイラント「クラエ!!」ドドドドドドォォォォォーーーー・・・ン

 

互いにその主力兵装を叩き込み合う対抗戦、何の事は無い砲戦である。

 

日向「提督、来るぞ!」

 

 

提督「AGSなら届くと? 甘い!!」ザザザッ

 

 

ドドドドドドォォォォーーーー・・・ン

 

 

榛名「提督!?」

 

提督「フッ、こんなもんよ。」

 

無傷☆

 

タイラント「馬鹿ナ!?」

 

提督「誘導砲弾だからっつって必中は、あり得ない!!」

 

 

ズドドォォォォォォーーーー・・・ン

 

 

タイラント「!!」

 

 

ドッガアアアアアァァァァァァァァァァァーーーー・・・ン

 

 

タイラント「グアアアアアアアアッ!!」

 

一瞬でその戦闘力を削ぎ落されるインテゲルタイラントだったが、その時1発の砲弾が戦闘海域の遥か後方から放たれていた。

 

 

 

提督「よし、トドメだな、装填おせぇ・・・」

 

言いつつ80cm砲の照準を合わせる直人、その時であった。

 

金剛「!!?」

 

 

カッ・・・ドゴオオオオォォォォォォーーーーー・・・ン

 

 

金剛「ああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

榛名「姉さん!?」

 

天龍「なっ!?」

 

伊勢「金剛!!」

 

提督「っ!?」(どこからッ!?)

 

 

 

午前5時49分、金剛大破。そして、敵にとっての破局の始まりを告げる怒号が飛ぶ。

 

 

提督「金剛!!」

 

金剛「うあっ、っ・・・くう・・・。」ザバババッ・・・

 

提督「金剛、大丈夫か!?」

 

金剛「ダメデース、何とか、沈まないだけデスネ・・・。」

 

提督「―――!!!」

 

その時、男の中で“何か”が切れた―――

 

金剛「ハヤク・・・あいつに、とどめを・・・。」

 

摩耶「金剛!」

 

幸い致命傷は無いものの満身創痍の金剛を見遣り、直人は摩耶に言う。

 

提督「・・・摩耶、金剛を頼む。」

 

摩耶「わ、分かった・・・。」

 

提督「全員下がってくれ。下手すりゃ巻き込みかねん。」

 

天龍「け、けどよ・・・」

 

提督「言いから急げ、すぐに後退するんだ。」ヒュオオオオオオ・・・

 

榛名「っ!! 全艦後退! 急いでください!!」

 

直人から只ならぬ気配を感じた榛名が代わって指示を出す。

 

天龍「お、おう!」

 

伊勢「分かった!」

 

羽黒「は、はい!」

 

慌てて下がる第1部隊。それを黙ってついてきた青葉が初めて口を開く。

 

青葉「あ、あの・・・司令官・・・?」

 

提督「・・・青葉、今から起こる事をよく見ておけ。写真に収めても構わん。だから下がってくれ。」

 

何とか理性を紙一重で食いつなぎ、凄みのある声でそう告げる直人であった。

 

青葉「は、はい・・・。」

 

その言葉に只事ではないと悟った青葉は、大人しく後退した。

 

タイラント「一体ドコカラノ砲撃ダ!」

 

一方狼狽するインテゲルタイラントであるが、砲撃は泊地棲鬼によるものであった。

 

そしてそれを他所に詠唱を始める直人。

 

提督「“我汝に命ず、『我に力を供せよ』と。汝我に命ぜよ、『我が力を以て、全ての敵を祓え』と。我が身今一度物の怪とし、汝の力を以て今一度常世の王とならん。汝こそは艦の王、我こそは武の極致。我汝の力を以て、『大いなる冬』をもたらさんとす。”」

 

タイラント「!! 大いなる冬ダト!?」

 

 

ゴオオオオオオオオオッ・・・

 

 

紫の霊力が奔流となって溢れ、直人の身体を艤装ごと包み込んでゆく。

 

そしてそれが吹き飛んだ時、直人はその能力を発動していた。

 

提督「行くぞ化け物共。超巨大機動要塞戦艦紀伊『終』、出る。」

 

大いなる冬、怒りの顕現であった。

 

タイラント「ナ、ナンダソノ姿ハ!!」

 

提督「消えろ―――!」ブォン、ブォン、ブォン・・・

 

特徴的な音と共に、破滅の黒雷球がインテゲルタイラントに放たれる。

 

タイラント「ナッ・・・!!」

 

提督「ハハハハハハハハハッ!! 消エロ消エロォォォォ!!!」

 

インテゲルタイラントは、黒雷球――――――反物質砲のエネルギー弾――――――によって消滅していた。

 

提督「滅ベェェェェェェェェェェェェェェェ!!」バシュシュシュシュシュシュ

 

更にδレーザーを敵艦に対し連射して行く紀伊。その弾道は後方に発射されUターンして敵に向かうと言う特殊なもの。

 

その一発一発が駆逐級空母級戦艦級艦種不問で数隻単位で串刺しにする。

 

 

 

少し離れた海面で見ていた青葉は、その光景に慄然とした。

 

超兵器級を消し去り、『暴虐と破壊の王』と化した直人が、次々と敵艦をレーザーで串刺しにしながら突貫して行くその姿、後に青葉はその光景を、『マリアナのガゼルストライク』と例えたと言う。

 

単純だが故にその光景を的確に捉えた例えであった。

 

そしてこの光景を見ていた青葉は、他の皆が見てなくて良かった、と思っていた。こんな有様を金剛や皆が見れば、絶句では済まなかったであろうことは明白であるからだ。

 

 

 

提督「アト11分、一気ニ突破する!!」

 

ここで口調が戻る。

 

提督「見えた!」

 

正面に泊地棲鬼を捉えた直人、しかし距離3万3000、砲戦距離には遠い。

 

エリヲ「ヲッ(通さない)!!」

 

提督「どけぇぇぇ!!」バシュウゥゥゥッ

 

超怪力線をエリヲに放ち排除、あっけなく沈むエリヲ、哀れ・・・。

 

提督「射程外か・・・いや、届かせる。レールガン、発射!!」バアァァァァァ・・・ン

 

その瞬間、顕現した武装の先端から、想像を絶する速度で弾丸が射出される。

 

狙われた方はたまったものではない。

 

そう、狙われたのは・・・

 

 

 

ドドドドォォォォォォォーーーーーー・・・ン

 

 

泊地棲鬼「バッ・・・バカナッ・・・アンナ距離カラ・・・ダトッ・・・?」ドシャァァッ

 

デルタ「ナニッ!? ッ!!!」

 

 

ドシュウウウゥゥゥゥゥゥゥッ

 

 

デルタ「馬鹿ナッ!! 消エテイク―――」

 

 

 

 

 

提督「弾着、ストレインジデルタと泊地棲鬼を撃滅。任務達成かな。」

 

レールガンと反物質砲の狙撃によって、敵棲地の機能は完全に覆滅された。目的に於いてはこれで達成であった。

 

「ギョアアアアアアッ!!」

 

提督「だまれぃ!!」バシュウッ

 

レーザーで周囲を薙ぎ払う直人、完全孤立中。しかし・・・

 

提督「常識は、破るモノDA★ZEッ!!」

 

この男この状況で呑気にへらへら笑っている。

 

 

 

20分後・・・

 

 

青葉「あわわわ・・・」オロオロ

 

中々戻ってこないのでおろおろしだした青葉ちゃん、可愛い。(by作者

 

提督「・・・」バシャッバシャッ

 

その青葉に向かって徒歩で戻ってきた直人。

 

青葉「あっ、司令官―――っ!?ww」

 

提督「よう。戻った。」

 

思わず吹いた青葉の目線の先には、『いつも通りの艤装で』、『30cm速射砲の片方を首に担いだ』直人が歩いて来ていた。コ○ンドーのあれを思い浮かべれば簡単にイメージできるだろう。

 

提督「ん? どうした?」

 

青葉「いえ、なんでも、ないです、失礼しました・・・www」

 

提督「・・・?」

 

「一体なんなんだ?」と言いたげな直人である。

 

青葉「ところで・・・今の力って、一体・・・?」

 

提督「それこそ言えんよ。外部に漏らしたりなんかしたら即刻死ぬと思っといてね?」

 

青葉「は、はい・・・。でもひとつ教えて下さい。あの力って、艤装なくても使えるんですか?」

 

提督「背部艤装にある艦娘機関さえ装着すればOK。部分展開ならなくてもいい。」

 

青葉「なるほど・・・。」

 

下手な真似はしない様にしようと心から誓う青葉でした。

 

 

 

青葉「と言うか、どうやって突破してきたんですか?」

 

提督「え? 見てたんなら察し付かない?」

 

青葉「全然。」

 

提督「レーザーを連射しつつ発射方向を変えて『横払いに薙ぎ払って』きた。最後辺りは80cm砲と30cm砲で。」

 

青葉(鬼だ・・・。)

 

殲滅に最も効率のいい方法で文字通り両断して殲滅してきた直人、えげつないなんてものじゃない。

 

 

ズズ・・・ウウウ・・・ン

 

 

提督「な、なんだなんだ?」

 

青葉「なにか・・・爆発した・・・?」

 

 

 

午前6時2分 マリアナ西方沖 呉鎮近衛艦隊

 

 

直人が帰還したのと同じ頃、西側に展開していた呉鎮近衛艦隊も敵超兵器級との決着をつけていた。

 

水戸嶋「ふぅ・・・ようやくくたばったか・・・。」

 

北上「うぅ~、ボロボロになっちゃったよぅ・・・。」

 

龍驤「なんちゅう敵機の数や、何機格納してたんやあいつは・・・。」

 

超兵器級空母の特徴:おっそろしいレベルでとんでもない量の艦載機を吐き出してくる

 

扶桑「空母が何で戦艦級の主砲を持っているのか・・・今でも不思議です・・・。」

 

水戸嶋「それは、あいつを設計した奴に聞く事じゃないか?」

 

扶桑「そうですね・・・。」

 

 

 

~第1部隊~

 

提督「第2部隊に伝達。我が艦隊はこれより敗走する敵を追撃する。第2部隊も参加せよ。」

 

扶桑「“了解しました。”」

 

提督「榛名、部隊の指揮を代行してくれ。」

 

 

榛名「提督はどうなさるのですか?」

 

提督「蒼龍や羽黒、金剛たちとここに残る、後は頼む。」

 

榛名「・・・分かりました。」

 

提督「蒼龍たちは艦載機でロングレンジ攻撃を。」

 

空母.S「了解!」

 

榛名達は、敵部隊追撃の為前進して行く。

 

残留するのは被弾した金剛に加え、摩耶・羽黒・筑摩と蒼龍ら空母3隻と直人である。

 

提督「ふぅ・・・。うぐっ・・・!?」ズキッ

 

突然軽いが頭痛を覚える直人。

 

羽黒「だ、大丈夫ですか!?」

 

提督「あ、あぁ・・・少し無理をし過ぎたらしい・・・くっ・・・。」

 

羽黒「司令官・・・。」

 

上官を心配する羽黒、そこに弱々しいながら金剛の声が耳に届く。

 

金剛「全く・・・提督も・・・無茶苦茶、デース・・・。」

 

提督「金剛・・・大丈夫か?」

 

金剛「無理ばっかりしてる・・・誰かよりは・・・大丈夫デース。」

 

金剛は被弾で数カ所に傷を負っている以外大事は無く、艤装の損傷と、被弾のショックによる痛みで一時的に行動不能になっているだけだった。

 

提督「誰を守る為だと思ってるんだ? お前こそ、ボロボロなくせに・・・。」

 

金剛「ハハハ・・・、お互い様、デース。」

 

提督「だな・・・。」

 

実際少しとはいえ深海の力に意識を侵食されかけた直人ではあったが。

 

金剛「深海の力、デスネー?」

 

その他6人「!?」

 

提督「―――!」

 

そしてそれを見透かす金剛。

 

金剛「霊力には敏感なのデース・・・ワタシの為と頑張るのはいいデスガ、使い過ぎは、ノーですヨ?」

 

提督「・・・あぁ。心得た。」

 

てか、心を読むなし。と心の中で付け加えた直人であった。

 

金剛「・・・フフッ。」^^

 

提督「・・・フッ。」ニッ

 

さて・・・

 

 

 

「・・・はい、ターゲットは攻撃を成功させました。」

 

その姿を、後方から見据える艦娘が一人いた。

 

“そうか。では別の策を講じるとしよう。お前は戻ってこい、陽炎。”

 

陽炎「了解したわ。」

 

 

プツッ

 

 

陽炎「さて・・・」

 

陽炎が身を翻そうとした正にその瞬間であった。

 

電「ここでなにをしているのですか?」

 

陽炎と背中合わせに電が立っていた。

 

陽炎「!!」ブン

 

咄嗟に陽炎が裏拳を放つ。が・・・

 

電「ハッ、なのですっ!!」ガッ、ブゥン

 

陽炎「なっ!!?」

 

電がそのアンカーで相手の肘の裏を引っ掛け、そのまま投げ飛ばした。ノンルックで。

 

陽炎「うあっ!!」ザバアアァァッ

 

派手に水面を転がってようやく止まる陽炎。しかしその頭の上にもう一人の人影があった。

 

夕立「夕立達の司令官に、何の用事っぽい?」

 

ソロモンの小悪魔、夕立が、魚雷を陽炎に突き付けながら立っていた。

 

陽炎「っ・・・やるわね・・・。いいわ、今日の所は退きましょう。」

 

電「そうですか、ならばいいのです。」

 

陽炎「・・・追わないの?」

 

夕立「提督さんからの命令っぽい。でもここに居続けるなら、保証はしないっぽい。」

 

陽炎「・・・。」

 

“覚えてなさい・・・”と心の中で呟きながら、所属不明の陽炎は背を向け去っていった。

 

 

 

提督「・・・そうか、去ったか。」

 

直人はずっと、背後からの視線に気付かぬフリをしただけなのだ。だが戦闘が終わった以上制圧は簡単である―――彼らにとっては、だが。

 

電「“あの・・・よかったのですか?”」

 

提督「あぁ、今余計なごたごたは起こしたくない。」

 

電「“了解なのです。”」

 

提督「ふぅ・・・。」

 

ため息を一つついているところに、摩耶が近づいてきた。

 

提督「ん、どうした?」

 

摩耶「お前、金剛とどういう関係だ?」ゴニョゴニョ

 

提督「うーん・・・ナイショ。」^^

 

笑顔でそう言う直人に摩耶は察しがついた。

 

摩耶「やっぱそういうことか。両想いたぁ羨ましいねぇ~。」

 

提督「提督が艦娘を好きになってはいけないという法はないと思うが?」

 

摩耶「言うじゃんかよ。じゃぁアタシ達全体のことはどう思ってやがんだ?」

 

提督「うーん・・・自慢の部下かな。」

 

この答えが後にグレードアップするとはこのとき本人は知らない。

 

摩耶「へっ、まともな思考が残ってて安心したぜ。」

 

提督「まだそこまで腐っちゃいねぇよ。」

 

摩耶「ま、男なんてものはいつタガが外れるか分かったもんじゃねぇしな。」

 

(作者)それって結構余計なお世話な気がするなぁ、男としては。

 

提督「お前は外れる方か外れない方かどっちがいいんだ?」

 

摩耶「うーん、難しい質問だなぁ・・・ま、ご随意に。」

 

提督「考えるのをやめたかw」

 

摩耶「アタシは難しいことを考えるのは嫌いなんだ。」

 

提督「知ってた。」

 

摩耶「なっ!?」

 

提督「ほれ、戻ったほうがいいぞ、戦闘中だからな。」

 

摩耶「くっ、わーったよ。」

 

そう吐き捨てるように言うと摩耶は守備の配置場所に戻っていった。

 

提督「・・・さてと。金剛を動ける程度には修理しておこうか。」

 

金剛「え、できるんデスカー?」

 

提督「ドック艦装備を今回は持ってきたからな。ほれっと。」ガシャガシャガシャ・・・

 

腰部円盤状艤装から、クレーンなどの大型重機を模した艤装が展開される。

 

紀伊の最大の特徴の一つは、前線で応急修理が出来る点、工作艦機能である。

 

やろうと思えば機関損傷も修理出来るほど多種多様な機材が揃っている。

 

金剛「・・・痛くしないで下さいネー?」

 

提督「艤装の応急修理しか出来ないからね?」^^;

 

(子供か!www)と心の中で突っ込む直人。

 

金剛「そうですカー。」(誰が子供デスッテ?)

 

提督「やるかー。」(心読むなww別に悪い事じゃないと思うww)ガチャガチャ・・・

 

心中で双方舌戦を交えつつ修理を始める直人でした。

 

 

 

摩耶「提督後ろ!!」

 

 

ザバァァァッ

 

 

ハ級Flagship「ギョワアア」

 

提督「五月蠅い。」ダァンダァンダァンダァン・・・

 

「アアアアアアア!?」ダッパァァァァーン

 

直人、DE(デザートイーグル)の片方を9連射(.357マグナムの最大装弾数)してフラッグシップのハ級を撃沈。常に14インチバレルDEは持ち歩いております。

 

摩耶「うっわ・・・そんな玩具みてぇな代物で・・・。」

 

提督「ん? 一応マグナム弾使用する自動拳銃だからな、人体に使ったら一瞬で死ねるぞ?」ガショッ

 

マガシン入れ替えつつ言う。因みにマガシンは捨てません、局長が弾入れてくれるので。

 

摩耶「・・・技術は進歩してんだな・・・。」

 

提督「WW2から1世紀以上隔てた世の中だそりゃそうだとも。」バチバチバチッ・・・

 

今度は溶接に入るようです。

 

摩耶「そうだなぁ~、横須賀も随分変わったみたいだしな。」

 

提督「だな。」

 

一応横須賀港も横浜防備港に取り込まれてるのだ。

 

金剛「今度、私の故郷にも行ってみたいデース。」

 

提督「イギリス、かぁ・・・機会があるといいな・・・。」

 

金剛「この戦いが終わってから、デスネ。」

 

提督「フフ、そうなるな。」

 

そこへ神通が通信を入れてくる。

 

神通「“提督。”」

 

提督「どうした神通。」

 

神通「“山城さんと比叡さんが大破しました。所定の目的も完遂したと判断し、撤退許可を願います。”」

 

通信内容は撤退具申、だが直人もそろそろ帰りたかった。

 

提督「神通の提案を是とする、そろそろ帰るとしようか。摩耶、呉鎮近衛艦隊に伝達、「作戦を終了する」とな。」

 

摩耶「あ? 自分で伝えりゃいいじゃんか?」

 

そう摩耶が返すと直人は

 

提督「通信設備が充実してるお前だからこそ頼むんだ。こちらは修理で手一杯だし、やってくれないか?」

 

と言う。

 

摩耶「・・・そう言われると悪い気はしないな。分かったぜ。」

 

提督「よーし、蒼龍、攻撃隊は?」

 

蒼龍「そろそろ戻ってくるわね、あ、見えた。」

 

上手いタイミングである。

 

提督「よし。攻撃隊の帰還と同時に帰投する。」

 

神通「“分かりました、こちらも司令官達に合流します。”」

 

 

 

午前6時36分、戦闘は終結した。

 

戦果は敵基地の破壊、超兵器級深海棲艦3隻の撃沈、大小敵深海棲艦合計約920隻の撃沈とその3倍以上の数を撃破、マリアナ諸島一帯の制海権奪取、グァム棲地消失に伴う棲地として取り込まれていた北マリアナ全域の解放であった。

 

直人と氷空は、かつて為し得なかった反攻作戦を、艦娘達と共にやり遂げたのであった。

 

 

 

~幹部会~

 

牟田口「チッ、紀伊直人の行動力にしてやられた・・・。」

 

嶋田「どうしますか議長?」

 

牟田口「こうなれば別の手段を講ずる他ないか・・・。」

 

来栖「もっと危険な海域に突入させますか?」

 

牟田口「いや、それも成功されてしまった場合立つ瀬がなくなる。」

 

 

コツッコツッ・・・

 

 

土方「議長。横鎮近衛艦隊が作戦を成功したそうで。これで我々の反攻も一歩前進した、と思いたいものですな。」

 

牟田口「っ! あ、あぁ。そうだな土方。」

 

嶋田「確かに、めでたいですな。」

 

唐突に土方が現れた為に狼狽する3人。しかし土方は気付かぬふりをする。

 

土方「今後更に彼らの作戦行動を容易ならしむる為、横鎮近衛艦隊は北マリアナへ派遣します。」

 

牟田口「なに!?」

 

嶋田「そ、それでは東京湾は誰が守るのだ!?」

 

土方「おや? 我が横鎮の提督達なぞ眼中に無い様な言い草ですな。」

 

来栖「だが錬度はどうする? 近衛艦隊無しで、あの青二才共に本当に守れるのか?」

 

土方「東京湾の守備は、我々横須賀鎮守府根拠地隊と、横須賀艦隊がやります。ご安心召されます様に。」

 

3人「!!!」

 

横鎮根拠地隊、防備艦隊を含んだ横須賀守備部隊の総称である。

 

その編成は土方海将直卒の艦娘艦隊たる横須賀防備艦隊と、陸上自衛軍独立第11旅団、海上自衛軍第1護衛隊群、厚木基地の航空自衛軍第7航空軍を軸に構成される。市民からの志願兵すらこの根拠地隊には含まれるのだ。

 

横須賀を筆頭とする各鎮守府・警備府には、各々根拠地隊が必ず存在するのだ。横須賀のそれはその中でも最も規模が大きく最精鋭でもある、元来横須賀を根拠地とする部隊である。

 

因みに横須賀から艦艇を抽出した根拠地隊として高雄やパラオ基地隊がある。

 

牟田口「・・・本気か?」

 

土方「本気ですとも。」(貴様らの手から直人を護る為だ。気張ってやろうじゃないかね。)

 

これが土方の本音であった。

 

来栖「・・・勝機は?」

 

土方「なに、紀伊元帥はうまくやってくれるでしょう。横須賀艦隊が錬度を上げる貴重な時間は、稼いでくれる筈です。」

 

牟田口「・・・決定は覆らないのか?」

 

土方「命令電は暗号で既にあちらの大淀の渡っているはずです。命令系統最上位たる横須賀鎮守府が、一度放った命令を覆せば、いくら機密文とは言えどもその権威を貶める結果となるでしょう。よろしいですな? 議長。」

 

土方の言は正当なものだった。実戦部隊の命令系統最上位にある鎮守府が命令文の取り消しを行ったとあれば、今後放たれるそれらの電文が軽視される結果を招来しないとは限らないのだ。

 

牟田口「・・・分かった。」

 

牟田口は不承不承という体で引き下がった。

 

牟田口廉次郎は陸将であり、海上の事は権能にない。それを幹部会の権限で断行すれば、その裏の権威すらもが崩壊する可能性を孕んでいた。言わば土方以外の3人は、権力を保守する為の綱渡りをノンストップで渡り続けていると言っていい程厳しい立場だったのだ。

 

その点土方海将にアドバンテージがあった。彼を更迭した所で、それが土方海将自身の手で幹部会の手によるものと告発されれば、牟田口らにして見れば権威など捨てざるを得ないのである。何故なら土方海将は、紀伊直人に勝るとも劣らない英雄なのだから・・・。

 

 

 

ただ、直人本人はと言うと、英雄と言う呼ばれ方には納得していないし、快くも思わないし、良いイメージも無い。

 

 

 

大井「これで提督も、英雄かも知れませんね!」

 

木曽「そうだな。秘密艦隊だが、影の英雄としては十分と思うがな。」

 

伊勢「提督が英雄か・・・。」

 

提督「・・・。」

 

やたら褒めちぎられる直人だが、この褒められ方はあまり嬉しくない様子である。

 

日向「普通に考えれば、まぁ、そうなるな。」

 

夕立「提督さんも凄いっぽいよ!」

 

雷「私達のおかげだけどね。」

 

榛名「少し自重した方が・・・。」

 

雷「そ、そうね・・・。」

 

大井「提督の作戦も悪くはないし、艦を沈めるような真似もしていない、文句なしの英雄ね。」

 

山城「そう、ね・・・。」

 

提督「・・・。」

 

神通「・・・どうしました? 司令官。」

 

先程から黙りこくっている直人に神通が気を使ったものか声をかける。

 

提督「・・・お前ら、それを褒めているつもりで言っているのか?」

 

それを聞いた大井ら7人は素で驚愕した。なぜならその顔は『冗談だろう?』と言う苦笑では無く、静かな怒りを湛えた真剣な表情であったからである。

 

金剛「提督・・・」

 

提督「いい機会だからお前らも全員聞いておけ、いいか。英雄なんてもんはな、大量虐殺者がそう呼ばれるんだよ。戦争中の世の中じゃ、隣人一人殺した奴は犯罪者だが、敵兵多数を死傷させた奴は英雄と呼ばれる。俺はそんな英雄になりたいとは思わんし、そう呼ばれたくはない! 真の英雄ってのはな、初めから誰も殺さず、物事を丸く収められた奴の事だ。お前達に手を汚させ、自分の手すら汚すような奴のどこが英雄か、それをよく考えてみるといい!」

 

7人「・・・。」

 

それを聞いた7人は黙りこくってしまった。

 

彼の言わんとするところは、彼の立ち位置を的確に示していた。

 

「作戦失敗から目を逸らす為の仮初めの英雄」、それが彼の置かれた後始末のポジションであった。巨大艤装4体が作られたある計画で設置された第1任務戦隊が解体され、関係した者が閑職へと追いやられたのがその証拠である。

 

 つまり政府は、彼らが敵棲地に肉薄した点をクローズアップしたに過ぎないのであって、成功したから英雄と呼ばれる様になったのでは無い。それ故に彼は『自分が英雄である』と言う世間のイメージにいい思いはしない。

兎にも角にも、紀伊直人と言う男にとって『英雄』と言うワードはタブーの、それも逆鱗に近い部類であった。

 

大井「人がせっかく褒めてあげているのに・・・」ボソッ

 

提督「なんだと!!」キッ

 

大井「―――ッ!!」

 

「元帥、その辺にしておきたまえ。」

 

提督「っ!?」

 

「んえっ!?」ビクッ

 声の主は、器用な事に蒼龍の甲板状艤装の上辺、つまるところ蒼龍の右肩に座っていた。

垂れた目尻とまゆ、正面から見ると平べったい印象を受ける特徴的な鼻、デフォルメされたとはいえその人物は、二航戦司令官たる人物であった。

 

多聞「あまり娘どもを怖がらせるな、紀伊元帥。怒るにも無理からぬ事があろうことも理解は出来る。」

 

提督「山口・・・提督で、いらっしゃいますか?」

 

 

多聞「ほう。この時勢に私の名を知っているとは光栄な事だ。いかにも、私が山口(やまぐち) 多聞(たもん)だ。」

 

流石の直人もこれには驚いた。吉川艦長の事は聞きもしないのに夕立から知らされていた。が、山口提督の事までは知らなかったのだ。そもそも聞きもしなかったのだ、思いもよらなかった事だから・・・。

 

提督「これはっ・・・提督の前で醜態を晒しまして、お恥ずかしい限りです・・・。しかしまたなぜここに?」

 

多聞「いやなに、飛龍が行動不能と聞いてな、暇だから乗り換えて付いて来たのだ。」

 これにこそ彼は呆気にとられた。軍人と言うしがらみを抜け出て来たからこその気軽さであろうか、或いはたまたま気分が乗ったのであろうか。

 

伊勢「え・・・山口提督・・・ほんとに・・・?」

 

信じられないと言う様子で伊勢が言う。

 

多聞「そうだぞ伊勢。艦長時代は世話になったな。」

 

伊勢「いえいえ、そんな・・・。」

 山口提督が勤務した事のある艦はいくつかあるが、艦長として勤務していたのは五十鈴と伊勢である。

 

榛名「あの時はお守りできず、申し訳ありませんでした、山口中将・・・。」

 榛名と飛龍座乗の山口多聞は、南雲艦隊の僚艦同士として共に走り回った間柄である。期間こそ長くはないが。

 

多聞「いや、皆よくやってくれていた。私はもう一度死した身だ、こうして会えただけでも、良しとしようじゃないかね。」

 

榛名「はい!」

 

「しかし山口提督、フィリピンの時はよくご無事でしたね・・・。」

不死身ですか貴方はと言いかけたがやめた直人であった。

 

多聞「いやいや、この身体も中々便利でね、霊体になれる事で救われたよ。」

その物言いに呆気にとられる直人ではあったが、確かに妖精さんはそう言った方法を使って色んな場所を移動したりもする。不思議ではあるが、訝しむ事でもない。

 

提督「と言うか、どうやって艤装に乗ってるんですか・・・。」

 

一度聞いてみたかったことを聞いてみる直人、答えは意外と気軽に返ってきた。

 

多聞「ん? なんというかな、艤装の中の力、霊力と言う奴か、あれに霊体になって溶け込んでいるような状態か。」

 

提督「―――妖精と言うのも存外奥が深い・・・。」

 

多聞「その様だ。ハッハッハ・・・」

 

提督「ハハハハ・・・」

なんというか、苦笑せざるを得ないのであった。

 

雷「なんと言うか、司令官・・・ごめんなさい。」

 

提督「あ、あぁ、分かってくれればそれでいいんだ。俺も言い過ぎた、ごめんよ雷。」ナデナデ

 

雷「っ! これからも頼ってよね?」

 

提督「なら遠慮なく、頼らせてもらうよ。」^^

 

雷「えぇ!」^^

 

電(なんというか・・・)

 

夕立(なんだか・・・)

 

夕立&電(ずるいっぽい(のです)・・・。)プルプル・・・

 

提督「大井もすまなかったな、怒鳴ったりして。」

 

大井「い、いえ・・・いいんです、私こそ、すみません。何も考えずあんな事を言って・・・。」

 

提督「いやいや、俺も話してさえいないのに叱ると言うのは筋が違った。謝るべきは俺の方だ。」

 

大井「では、お互いさまという事で。」

 

提督「―――フッ、そうだな。」

 

多聞「収まったようだな?」

 

提督「えぇ。」

 

何気に軋轢を生まない結果に丸く収まっている件について、どうしてこうなる?

 

多聞「さて、船幽霊は引っ込むとするか。」

 

そう言って多聞丸も消えた。

 

提督「自分で船幽霊言うのかよ・・・。」

 

摩耶「自分で言うんだから世話ねぇよな・・・。」

 

 

山口中将の言に呆然としつつも、直人は再び帰路に就いた。艦娘達もこれに続いた。

 

後日、その航路を再び通る事になろうとは、直人自身この時は露知らず・・・。




深海棲艦級紹介

今回は水戸嶋と紀伊が沈めた超兵器について。


インテゲルタイラント級超兵器級深海棲艦

ステ(カッコはクローン版)
HP:290(220) 火力:304(284) 対空:47 装甲:98(71) 射程:長

9インチ単装砲(AGS) 6.1インチ単装砲(AGS) 対艦ミサイル発射機 拡散対潜ロケット

肩書は『超高速戦艦』、ラテン語と英語の組み合わせで『無邪気な暴君』の意。
誘導砲弾(AGS)を専門運用する新型砲を装備し、遠距離砲撃を得意とする。
また対潜兵器も装備している上、50ノットと言う高速を発揮する為、潜水艦では近づく事すらままならない。
しかしその能力は低く、シュトルムヴィント級がいなければ最弱とも言える程度。
元々はイギリス軍の超兵器で、その長距離砲戦能力と、228mm(9インチ)と言う口径にありながら15インチ(38.1cm)砲に迫る威力を持つ新型砲を駆使して、フィヨルドに籠る戦艦ティルピッツを撃沈しているが、ドイツの誇る超兵器戦艦、通称“摩天楼”を前に消滅させられている。


ペーターシュトラッサー級超兵器級深海棲艦

ステ
HP:360(300) 火力:310(260) 対空:404(370) 装甲:180(140) 射程:長

17インチ70口径3連装砲 10.5cm連装両用砲 40mmバルカン砲 新型艦戦赤 新型艦戦 新型艦爆赤 新型艦攻赤 新型戦爆

肩書は『超巨大二段空母』、命名は第1次大戦時の独逸飛行船隊総司令官の名前から。
型破りの8スロットから、湯水のごとく猫艦載機が発艦してくるのだが、最も性質が悪いのは、戦略爆撃機(戦爆)を搭載している点で、地上攻撃にとんでもない効果を叩き出してくれちゃったりする。あと超兵器空母は皆積んでいる。
更にこの空母は空母とはとても思えない装甲と火力を持ち、夜戦時は艦載機ではなく、装甲空母姫を超える口径の砲による砲撃(主砲連撃)でその高火力を如何無く発揮してくれる。
ただ装甲がいまいちな事と、HPの低さで付け入る隙はある。
元はドイツの超兵器で、通商破壊にイギリス空襲に大活躍していたが、英超兵器潜水艦に捕捉され撃沈された。

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