異聞 艦隊これくしょん~艦これ~ 横鎮近衛艦隊奮戦録   作:フリードリヒ提督

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前章あとがきから引き続き天の声だ!

つってもこの先余り前章みたく出番少ないけどな・・・(諦め
※当時(2014年に書き始めたばかり)はまだ前書きで解説なんて考えていなかった頃です。

大多数の提督が着任して一番最初にやる事と言えば建造だろう! 多分。

という訳で内容は察したよね? では行ってみよう序章第1章、どうぞ!


第1章~横鎮近衛艦隊、始動!~

2052年4月11日午前9時――――

 

 

提督「すー・・・すー・・・」

 

 この時間になってもまだ寝てる奴が一名。

()()()()()()()宿()()と言っても横須賀市街の郊外に新造された高層マンションの1室である。

このマンションは提督達の官舎であり、間取りは3LDK、家賃は提督である限りタダである。逆に言えば、途中で辞める様な事があれば、それまでの家賃を支払わされるシステムもある。

こんなうまい話はそうそうない訳だが、これだけの好待遇は、それだけのリスクを背負った職業である事をもまた指し示すものだっただろう。因みに直人の部屋は最上階にある一室となっている。

 

提督「くかー・・・」

 

全く平和そうに寝てやがるな。(by作者)

 因みに艦娘は、指揮する提督の許可がなくともこのマンションになら気兼ねなく来ることが出来る。

つまり、そのルール上どう言う事が考えられるかと言うと・・・

 

<ピンポーン・・・

 

金剛「提督ーゥ! 遅刻なのデース!」

 

 つまるところはこういうことである。インターホン越しに金剛が叩き起こしに来る事だって十分あり得るのだ。

むしろ寝坊した提督を起こしに来る事が出来る様に、こう言った規則も組み込まれていると言ってよい。

 

提督「―――うーん、ふあぁ~・・・。」ムクリ

 

やっと起きた。

 

提督「・・・。」チラッ

 

時計を見る。

 

提督「―――9時か・・・あっ、やべぇ!!」

 

 完全に寝過ごしていた事に気が付く直人、海保ではそこまで早起きして無かった事もあって早起きする癖が抜けていたものらしい。当然バタバタし始める。

 

提督「バシャバシャ・・・」

 

顔洗い-の

 

提督「急げ急げ・・・」ジョロロロロ・・・

 

電気ケトルでお湯沸しーの

 

提督「えーっと?」バリバリ・・・

 

カップ麺のビニール剥がしつつふた開けて作り方見てーの

 

提督「・・・おろ?」クルッ

 

―――ここでインターホンに気付いた。

 

インターホンのカメラ映像から金剛と気付き慌てて玄関へ行き、ドアを開けた。

 

金剛「おはようございマース! 初日からお寝坊さんはダメデスヨー? ・・・って、まだパジャマでしたカー。」ニコニコ

 

もう気づいたかと思われるが、直人はまだ着替えてないのだ。

 

提督「おはよー。まぁ取り敢えず中入って。立たせっぱなしも悪いからさ。」

 

金剛「いいんデスカー? じゃぁお邪魔しマーッス!」

 

素早く室内に入って行く金剛。

 

提督(ノリと勢いはいいな!w)

 

素でそう思いながら言葉はそれとは別に疑問を口に出す。

 

提督「にしても、なんで部屋分かったの?」

 

金剛「ヒョウサツに紀伊ってちゃんと書いてあったのデース。」

 

確かに表札もある分にはあるがそれだけでは決め手に欠く答えである。

 

提督「でもなんで最上階だと?」

 

金剛「ウーン・・・勘?」

 

提督(・・・スゲェ。)

 

 女の勘と言うものは凄い、そう思わされる直人であった。そしてその時ちょうど湯が沸いたのでカップ麺を作り始める直人。

 

 

4分後・・・

 

 

直人「ズルズルズル~・・・」

 

金剛「提督ゥ、ボタン一つ付け忘れてるデース。」

 

提督「ん? あ、ほんとだ一つ留め忘れてる。食べてからでいいや。」

 

きっちり第二種軍服(帝国海軍の軍服の一つ・夏服)に着替えている直人、まだいまいち着こなせていない感が無くはない。

 

因みに白い軍帽はテーブルの上。

 

そして襟に付けられた階級章は元帥のものである。着任早々の元帥とは異例の事であるが、なにぶん秘密艦隊である故であろうか。

 

 

この後なんやかんやで司令部正門前に来た直人である。

 

 

9時37分 司令部正門前

 

 

提督「ここかぁ・・・。なんか造船ドック見えるのは気のせい?」

 

金剛「私達の艦隊は特別デース。いっぱい色んな物が作れマース!」

 

その答えに直人は率直に驚きつつ口には出さない。

 

提督「―――さて、ひとまず、執務室とやらに行きますか。」

 

 直人達の司令部の施設配置は、正門から見て正面に中央棟、その奥に艤装保管庫、右手手前に『甘味処』と書かれた看板の掛かった小さな建物、更にその向こうに2列4棟3階建ての艦娘寮が並んでいる。

その更に向こう側に大型船建造/修理も可能な大きなドックと兵器工廠、専用の大型倉庫6棟と言う、どう考えても艦娘を運用するには不必要な施設があった。

 左手には2列6棟の建物があり、開発棟が正門から一番手前に見えている。

 

 中央棟側の一列は、手前から開発棟、食堂、第1資源庫となっており、中央棟と食堂は1階の連絡通路で直結である。

奥の1列は建造棟、入渠棟、第2資源庫となっており、資源倉庫が2つある形になる。また艤装保管庫のさらに向こう側には、鎮守府に直接出入りできるよう艦船停泊用ドックが一つ。

建造棟と開発棟はこれも連絡通路で繋いであり、開発棟は予備装備保管庫も兼ねている。

 これらの共通点は、建物が甘味処が1階建て、艦娘寮が3階建て、建造棟と開発棟が工場の様な建て方である以外は全て2階建てなことである。あと外装が何やら赤レンガを彷彿とさせる感じになっている。

 

提督「なんというか、他の司令部より圧倒的に広い事は理解した。」

 

 それはそうであろう。明らかに他の司令部より規模と言い施設の質と言い、一目見るだけでも圧倒的に上なのだ。艦娘を運用するには余りにも足り過ぎると言って過言ではない。

 

金剛「まぁ、それを把握できていれば今は十分デース。」

 

提督「む・・・そうか。」

 

 それから直人は金剛に案内されながらあちこちを一通り見て周り、中央棟2階にある執務室へ向かった。

中央棟での2階への移動手段はエントランスにある半周螺旋階段である。エントランスは吹き抜けになっているから、2階廊下からでも入り口の様子が見える。

 

金剛「2階の廊下を左に行って突き当りが執務室デース。」

 

提督「ふむ、そんじゃ見てみますか。」

 

 直人が何気ない様子で扉を開ける。中は結構広く、部屋が間仕切りで2つに仕切られている。

壁の向こうが提督用の机と椅子のようで、手前側がどうやら応接用のロングテーブルと椅子が手前と奥に3つづつ計6つある。

そのテーブルの近くに、二人の女性の姿があった。それぞれデザインの違う制服を纏い、何やら話し込んでいる様子である。

 

金剛「提督をお連れしたデース!」

 

提督「―――。」

 

金剛に呼ばれた二人は、直人の方に向き直り敬礼する。

 

「提督、お初にお目にかかります。軽巡洋艦、大淀と申します。」

 

「工作艦、明石です。どうぞ、よろしくお願いいたします!」

 

提督「あ、あぁ。本日付でこの司令部に着任した紀伊 直人だ、よろしく。」

 

 直人は一目見ただけでは艦娘とは判断出来なかったが、そう言われるとここにいる理由にも説明が付く。

 

提督「2人とも艦娘なのか?」

 

大淀「はい、土方海将の命で、提督を補佐せよと仰せつかっています。」

 

明石「私は艦娘の入渠やメンタルケアを担当せよとの命を受けています。」

 

提督「そうか・・・土方さんがな・・・。」

 

直人は改めて土方海将の手回しの早さに舌を巻いた。いや、恐らくは彼一人の力だけではないかもしれないがそれはひとまず頭の片隅に置いた。

 

提督「で? 早速だけど書類どの位貯まってるのかな?」

 

最悪の可能性がある質問を投げかける直人。

 

大淀「執務机の方に、まとめておきました。」

 

大淀にそう言われ早速執務室の奥へと向かう。大淀の言うとおり、執務机には積まれていたのは20cmほど積み上げられた書類の山だった。

 

提督「どれどれ・・・ふむ、多い様な少ない様な・・・。」

 

書類の内容は司令部編成に当たっての事務関係が殆どであった。ただ、もっと大きな書類の山を予想していた直人は、若干拍子抜けしたが反面ほっとしていた。

 

大淀「では早速金剛さんと二人でやって頂きます。」キラーン

 

大淀が眼鏡のずれを直しながら言う。

 

提督「・・・二人で?」

 

金剛「」コクコク

 

金剛が直人に頷きかけた後大淀が教える。

 

大淀「はい。提督にはご自身の秘書艦を1隻選出し、提督の業務をサポートさせるのが決まりになっています。」

 

 これは提督が過労で倒れる事の無い様にしようと言う目的で定められたルールであった。ともすれば大量の書類を処理する必要がある提督だが、それ故に倒れられては困ると言う訳である。

 

提督「そう言う事ね、分かった。よし金剛、始めるか!」

 

金剛「了解デース!」

 

 

1時間後・・・

 

 

提督「―――よし終わった!」

 

金剛「フィニッシュデース!」

 

 書類を慣れないながらも片付ける直人と、そつなくこなして見せた金剛である。直人も別段デスクワークが苦手ではないのだが、哨戒艇長の仕事がそれなりに続いた事から、少々鈍っていたようだ。

 

提督「おー、そっちも早いな。」

 

金剛「それじゃぁ大淀に渡してきますネー!」

 

提督「うん、頼んだ。」

 

 金剛は書類の山を軽々と持ち上げて執務室を後にした。それを見届けてから、直人は席を立ち背伸びをして窓の外を眺める。

 

提督「ふぅ・・・これからどうなるやら。」(それにしても、俺が提督とは、世の中分からんもんだ―――)

 

大淀「提督! ちょっとよろしいですか?」

 

提督「ふぁっ!? な、なんだ、大淀か、何かな?」

 

そんな直人の想念に割って入ったのは大淀だった。唐突だったので直人の方が驚いてはいたが。

 

大淀「どうかなさいましたか?」

 

提督「あぁいやいや、少々考え事をしてたのさ。用件を聞こう。」

 

襟首を正して直人は言った。

 

大淀「では失礼します。」

 

「書類に不備でもあったかな?」とそう思いつつ、直人は大淀の話を聞いた。

 

大淀「これから提督には、様々な業務を行って頂く事になります。その一つに、『艦娘の建造』があります。」

 

提督「建造・・・つまり生み出すという事かな?」

 

大淀「端的に言えばそうです。建造自体は妖精達がやってくれますので、その建造に使う資源の量だけ、指定して頂くだけです。」

 

提督「ふむふむ。で、どうすればいいのかな?」

 

 すると大淀は、例えるなら球根に台座を取り付けたような(と言うかそれ以外例えようのない)形の、執務机に置いてあった機械を差した。

 

大淀「このモニター投影機を使い、資源倉庫に使う資源の量のデータを送信して頂くだけで結構です。」

 

モニター投影機と言うのは、まぁタッチパネルを空中に映し出す機械と思ってもらえればいいか。

 

投影されたモニターには、少々メタい表現で言うと艦これの建造で見慣れた資源量選択画面だった。あの部分だけ切り出して資源の量だけ分かる様にしただけの簡素な画面だ。と言う方が分かりやすいだろう。

 

左端に開発と建造のタブがあった。

 

提督「ふむふむ。MAX999か。まぁ今は司令部の資源事情も厳しいし最低値でやってみようか。」

 

ALL30のレシピで建造発注する直人。

 

(作者)私もデイリーでよくお世話になってますはい。

 

提督「ところで建造ってどうやってるんだい?」

 

大淀「あー、それはですね・・・」

 

 

 

 

 

任務娘(大淀)説明中・・・

 

 

 

 

 

提督「・・・。成程。」

 

中々凄い方法でした。

 

詳細はまたあとで。

 

提督「うーん、で、建造には時間が掛かるけど、その間どうするか。」

 

直人がそう考え始めると大淀が思い出したように言った。

 

大淀「そう言えば提督。土方海将から、呉から艤装倉庫に送られてきた物がある、と聞かされたのですが、それが何なのかは提督に伺えと言われまして。」

 

提督「え? なんで俺?」

 

金剛「そのシークレットアイテム、私も気になりマース!」

 

興味津々なご様子の金剛、困るのは何も聞かされていない直人の方であった。

 

提督「うーん・・・なんだかよく分からんけど行けば分かるかな? 大淀さん。」

 

大淀「大淀で結構です。」

 

すかさず返されてしまった。

 

提督「あぁ、じゃぁ大淀。それがある場所は分かるかい?」

 

大淀「はい。ご案内します。」

 

提督「さてさて、なんだろな。」

 

直人はやはり気楽に構えて執務室を出たのだった。

 

 

艤装倉庫の裏手には、ドックに直接射出するためのものと思われる謎の大型電磁カタパルトがあり、大きな隔壁で出入り口が塞がっている。

 

この艤装倉庫だけは呉のある提督が主導して建てたのだと、大淀がそう教えられたのだ言う。

 

 

 

 

10時50分 艤装倉庫内

 

 

提督「凄いな。」

 

艤装倉庫内は、100隻分の艦娘の艤装を格納しておくラックがずらりと並んでいた。因みに内部容積はまだ広く、上の空間にスペースを求める事無く300隻以上の艦娘の艤装を保管して置けるよう設計されている。

 

大淀「このラック一つ一つに艤装を保管します。今は金剛さんの艤装一式と予備一式のみですが。」

 

提督「ほうほう、成程・・・。」

 

相槌を打ちつつ直人達は奥へ進む。

 

大淀「ここです。」

 

たどり着いたのは倉庫の左奥の壁、その隅であった。

 

その壁の一カ所に端末が設置されていた。

 

提督「これは・・・ドアロック用の端末か。」

 

大淀「どうやら何かのパスワードを打ち込めば開く様なのですが・・・。」

 

提督「うーん―――!」ピーン

 

直人は何かに気付いたらしい。

 

提督(成程・・・だとしたら。)「大淀、メモか何か貰って無い? その呉の提督からの。」

 

大淀「それならここに1通あるのですが、私には何のことやら・・・。」

 

提督「んー? どれどれ・・・なんだこれ?」

 

直人も首を傾げる始末である。

 

受け取ったメモに書かれていたのは「パスワード:」の文字と、6桁の数字の羅列が横並びに3つ。

 

大淀「―――どうですか?」

 

提督「よく分からん―――ん? ちょっと待てよ?」

 

直人はふと懐から手帳を取り出す。引っ越す前大本営の送り主の名で送られてきた物だ。

 

直人が手帳をめくる。

 

提督「分かった。暗号だこれは。」

 

大淀「暗号、ですか?」

 

直人は魔導電卓術式を空中に投影してキーを叩く。この魔術は直人が使える数少ない「普通の」魔術の一つだ。直人には魔術の才能があるのだ。

 

しかも直人の行使する事の出来るそれは、積分式もできる高レベルな術式である。直人はその答えをメモし、手帳の内容と照らし合わせる。

 

二人が無言で見守るなか、対数方程式や水理学に関わる積分式など様々な難解な計算を解くこと数分。ようやく直人が手帳を閉じる。

 

大淀「解けましたか?」

 

直人「あぁ。氷空(ソラ)の野郎、いちいちめんどくせぇことを・・・。」

 

と言いつつパスワードを打ち込む直人。

 

入力したパスワードは、「2246 0120 1159」。

 

「ロック解除、開門します。」と言うロック端末の音声メッセージが流れる。直後、ロック端末のある壁の一角が奥に向かって開く。

 

扉は90度開き再び壁となった。

 

提督「階段か・・・。」

 

扉の向こうは艤装倉庫の壁を外側に沿って地下へ続く階段であった。あとで調べたものだが、この艤装倉庫は通常建てられるものより13m程縦幅の長いものであり、延長部分と通常のスペースとは壁で仕切られていた。

 

パッパッパッパッ・・・手前から奥へ順に電気が点灯される。

 

大淀「これは・・・。」

 

金剛「秘密の通路デスカー。ワクワクするデース。」^^

 

提督「行ってみよう。」

 

3人は直人を先頭に階段を下る。

 

大淀「ところで、さっきのメッセージはどう言う意味だったんですか?」

 

提督「あぁ、あれを解読して出てくるのは3つの時刻だよ。」

 

直人は大淀に軽く説明してやることにした。

 

提督「函数(はこすう)暗号と言う高度な暗号さ。近衛艦隊の専用暗号でわざわざパスワードを隠匿してきやがった。」

 

大淀「函数暗号って、あの暗号ですか・・・。私もある程度は覚えて来たんですが、まだ勉強不足で・・・」

 

提督「なに、日頃から秘匿連絡用暗号文を出し合う位じゃなけりゃ、普通に気付くのは無理な話だよ。」

 

割合トンデモない仲であるが、まぁ小学校から中学校にかけて相当暴れていたのである。その連絡に―――ということだ。

 

提督「ま、精進する事ですな。」

 

大淀「努力します。」

 

そんな会話をする内に階段の一番下にたどり着く。

 

左側に鉄の門扉があり、またもロック端末があった。

 

「手形認証をしてください。」

 

提督「なんかこないだやけにこういうデータ取られたと思ったらそういう事かい。」

 

直人がそう言いつつ認証装置に手の平を当てる。

 

この手形認証は、正確には手の平のしわと血管をスキャンする為、登録更新が頻繁に必要だが破られにくい特徴がある。

 

大淀「厳重ですね。」

 

提督「そうだな。」

 

「ロック解除、開門します」

 

ゴゴゴゴ・・・と重苦しい音をたて、鉄の扉が左右に開く。

 

提督「なっ―――これは・・・。」

 

そしてその扉を潜るより早く、直人は言葉を失った。

 

提督「何故だ・・・なんでこんなところに“コレ”があるんだ・・・!?」

 

そこにあったのは巨大な鋼鉄の塊、と形容した方が早い、圧倒的スケールの艤装だった。

 

敢えて言うなら泊地級深海棲艦の武装より遥かに大きく、かつ戦う事に特化されたと言える物であった―――。

 

直人は困惑していた、彼が凝視していた“ソレ”はかつて、『解体された』と聞き及んでいたからである。

 

大淀「これは・・・艤装?」

 

金剛「ウェポンも沢山、とても大きなキャノンもありマース・・・。艦娘の物じゃないデース。」

 

驚きの視線を注ぐ二人。

 

提督「・・・。」

 

直人はようやく落ち着きを取り戻しつつ、ずれた帽子を被り直す。

 

金剛「・・・?」

 

大淀「提督・・・?」

 

言葉を発しない直人に大淀が思わず声を出す。

 

提督「見てしまったし、ある以上仕方がない。二人ともよく覚えておいてくれ。」

 

直人は意を決して打ち明ける。

 

提督「これが、この司令部の切り札って訳か、俺の―――俺専用の、対深海用の切り札とも言えるものだ。」

 

金剛&大淀「!?」

 

提督「このことは、今は秘密にしてくれ。これはこの司令部どころか、国家の重大機密事項だからな。」

 

そう言ってから少し間を置き、提督はその重い口を開く。

 

提督「この艤装の名は、超巨大機動要塞戦艦「紀伊」、適合者は・・・俺だ。」

 

大淀「提督が!?」

 

金剛「どういう事ネー!?」

 

驚きの声を上げる二人に、直人は首を振ってこう言った。

 

提督「今はまだ、話せない。話す気になれない―――だけど今だけは、この事は伏せておいてくれ、いいな?」

 

二人は無言で頷く。

 

 

3人は何も語らず、地下格納庫を出たのだった・・・。

 

 

直人が呉から送り付けられた自身の艤装『紀伊』は、彼にとって少なからざる因縁をも内包したものであった。それだけに、直人もこの自らの半身が未だ現存する事に、奇妙な因果を感じずにはいられなかった。

 

直人のみが使用する事が出来る超巨大艤装『紀伊』の謎は、物語を進めるにつれていずれ判明するであろうが今は伏せる。

 

2052年4月11日、彼が着任したこの日はまだ、半ばを過ぎていない。




横鎮近衛艦隊艦娘ファイルNo.1

戦艦 金剛改2

装備1:46cm3連装砲
装備2:46cm3連装砲
装備3:三式弾
装備4:94式高射装置

横須賀鎮守府付属近衛第4艦隊、通称『横鎮近衛艦隊』の初期艦。
初っ端から対空カットイン込みの46砲連撃装備を持っていたり、アホ毛の跳ね方が左右逆だったり、片言が中途半端に治っているなど特異点が多い金剛。
話し方については気分によって無意識に変わる。
後に横鎮造兵廠謹製の専用装備を受領するがそれはまた別のお話。


艦娘ファイルNo.2

軽巡洋艦 大淀

装備1:艦隊司令部施設

近衛艦隊へ特別に配備された任務担当武官。
同じタイプがあと3隻いる。
他の艦隊は一般の女性が登用されているが近衛艦隊だけは艦娘である。
艤装受領はまだ先の話。


艦娘ファイルNo.3

工作艦 明石改

装備1:艦艇修理施設
装備2:艦艇修理施設
装備3:艦艇修理施設
装備4:艦艇修理施設

艦隊の工廠担当艦。
大淀とは違い全艦隊に配属されている。
建造・修理・開発と、近衛艦隊には必ずある造兵廠の元締め。
後に改修工廠も掛け持ちするようになる。
金剛と同じく特異点があり、始めから改だったりいきなりフルスロット修理施設だったりする。が、この状態は艤装受領後であり、現状装備は無い。

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