表裏二体の少女   作:ラーメン三郎

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いやあ、それにしても前の話にくっつけたらよかったかな。
まあいいや、めんどくさいし
今話から秘密の部屋編ですが、時系列的にはまだ一年生です。


二章 秘密の部屋
12話 私はだれ?


  ~クロア視点~

 

 

....私は、だれ?

 

そう聞くと、口を開けたまま唖然としている目の前の少女(私よりも背が高いが)は

目を見開いたまま「し、心配してたんだから、そういう冗談はよくないわよ」と引きつった顔で言っているが、私だって何が何だか分からない。

 

 

<ねえ、ほんとに記憶無いの?>

 

 

と頭に響く、これは....魔法だろうか。なぜだか魔法という存在に違和感はなかった。

 

 

「本当です。私は私が誰だか分かりません」

 

 

と頭の中の声に向かって言う。目の前の少女は、顔を真っ青にして椅子に倒れこむように座る。

 

 

<ちょっとだけ、身体を貸してもらってもいいかな?>

 

 

と返事が来る。この様子を見るとこの声の持ち主は少なくとも目の前の少女のモノではないらしい。

 

 

「なぜですか?それから、あなたは誰ですか?」

 

 

と問うと、少し悲しげな声で

 

 

<私は....そういえば、私って名前持ってなかったんだ。まあこの際名前なんかどうでもいいけど、それから、頭に強く思い浮かべるだけでも会話はできるよ。

あとは....そうだ、私はあなたの中にいるから、困ったら呼び出してくれてもいいよ>

 

 

(こう....ですか?えっと、まず質問がいくつかあります。

一つ目にあなたはすべて知っているのですか?

二つ目は、あなたはなぜ私に協力的なのですか?

最後に、あなたは何ですか?)

 

 

パッと思いついた三つの質問をぶつける。

 

 

<なかなか難しいね

すべて知っているか、と言われても答えはノーだね、すべては知らないけど

大体知ってるよ、記憶をなくす前のあなたよりね

次はなんで協力的か、と言うことだね。これはね、私が決めたの、あなたを護るって、それだけ

最後に私が何か、それはあなたが記憶を取り戻してからのお楽しみだね

そこは私が教えるわけにはいかない、と思うんだ>

 

 

知っているなら教えてくれてもいいだろうに、

 

 

(そうですか、ありがとうございます。)

 

 

<それにしても、『身体を貸してくれる?』って言ったことは無視?

せめて理由くらい聞いてくると思ったけど>

 

 

咎める、と言うよりは単純に興味本位、と言った調子で聞いてきた。

 

 

(貸すわけないじゃないですか、あなたの話を聞く限り

私に協力したってあなたに利点はないじゃないですか、

信用できません)

 

 

<あはは、ちょっと安心したよ。やっぱりクロアだ>

 

 

自分でも言ってて既視感があった。記憶を失う前の私も同じことを言っていたのかもしれない。

 

 

(私の名前はクロア、であってますよね?)

 

 

<合ってるよ、うん。

それがあなたと、いや、あなたの名前だよ>

 

 

何かを言いかけたような気がするが、きっと何のことか聞いても教えてはくれないのだろう、なぜか確信できた。

 

 

 

「あの、私の名前ですが、クロアで合ってますか?」

 

 

とりあえずいまだに青い顔でぶつぶつつぶやく目の前の少女に質問して、

さっきからする頭の中の声の情報の正否を確認する。

 

 

「あ、合ってるわよ、それより本当に記憶がないの?」

 

 

「はい、ただ、常識?と言える部分は残っていると思います。

例えば、魔法に関する知識や生活に必要な知識は残っていますが、

私自身や、他人に関する知識がすっぽりと抜けています」

 

 

なんというか、知識自体が霧のようで掴もうとしても掴めなくなった感じだ。

この少女は記憶喪失前の私の友人だろうか、行動が明らかに他人のものではない。

 

 

「あの、名前を聞いてもいいですか?」

 

 

名前を聞くと、ハッとしたように立ち尽くすし、彼女はうつむいて肩を震わせていたが、やがて走り去っていった。

友達じゃなかったのだろうか。

 

 

<これで今頼れるのは私だけだね>

 

 

そう憎々しげな声が聞こえた。

何に怒っているのだろうか、不審に思ったが気を遣うつもりはないので

 

 

(名前がないと不便です、記憶喪失前の私はあなたをなんて呼んでいましたか?)

 

 

<おお、確かに不便だったのかも、んー別に『あなた』とか『アレ』とかって呼ばれてたよ。

呼びにくかったら考えてくれてもいいよ>

 

 

と楽しそうな声が聞こえてくる。

 

 

(そうですね、『ルー』でいいですか?)

 

 

適当に思い付いた名前を言う。

 

 

<え?ほんとに?まさかあなたから名前を付けられる日が来るとは思わなかった!>

 

 

(そうですか、それで私の交友関係ぐらい教えてもらえませんか?)

 

 

さすがに必要最低限ぐらい教えてもらえるだろう、と思い聞いてみるが

 

 

<ねえねえ、あなたは私の事をルーって呼ぶんでしょ?私があなたの事をあなたって呼んでるとなんか距離を感じるよね?クロアって呼んでいい?>

 

 

と質問を無視された挙句よく分からないことを言い出した。

 

 

(別に『あなた』って呼ぶだけでも問題は無いと思いますが)

 

 

<ふふん、そういうと思って私はとっておきの魔法の言葉を用意しています>

 

 

(なんですか)

 

 

<ふふふ、『あなた』って呼んでると夫婦っぽいよね>

 

 

なかなか奇抜な発想だと思う。

 

 

(そうですか、それだけなら別にこれからも『あなた』って呼んでも問題ないですね)

 

 

が正直どうでもいいのでそれを伝える。

 

 

<え、ちょ、ちょっと私達いつからそんな関係に....は、恥ずかしいよ>

 

 

妄想癖があるようだ。それもなかなか重度の

 

 

(馬鹿なこと言ってないで話を戻しますよ、私の交友関係ぐらい教えてください。

どうせ記憶喪失前もずっと私の中で引きこもっていたのでしょう?)

 

 

<んー口頭で説明するより、実際にあった時に説明したほうが分かりやすいと思うよ

それよりさ、私もクロアと同じぐらいの時に起きたからさ、あんまり現状を把握できてないの

だからさ、ちょっとその辺ぶらつかない?>

 

 

(割とルーって無能ですよね、あと私の事を名前で呼ぶ必要はないと思うのですが)

 

 

心の中でわざと聞こえるように愚痴りながら、医務室?のような部屋から出ようと、

ベッドから立ち上がったところで、足に鋭い痛みが走る。

驚いてベッドに座りなおしながら、足元を見ると、大きなひびの入った真っ黒なカチューシャが落ちていた。

 

 

「誰のでしょうか」

 

 

誰にともなくつぶやく。

 

 

<......一応あなたのだよ、壊れてるけど一応保存しておいたほうがいいと思う。あなたのためにも>

 

 

それにしても私は真っ黒な髪なのに真っ黒なカチューシャを付けていたのだろうか、

私の手の中でひびの入ったカチューシャを弄びながら、疑問に思う。

 

 

「あ、クロア!起きたんだ」「ほんとだ、起きてる。久しぶり」

 

 

廊下ですれ違いかけた二人が声をかけてくる。

 

 

「誰ですか、この眼鏡と赤ノッポは」

 

 

と口に出してしまいハッとする。さっきまで私のつぶやきにルーが反応していたからつい出てしまった。

 

 

「ど、どうした?頭でも打ったか?」

 

 

戸惑った様子の赤ノッポが聞いてくる。

が、私の望む声は聞こえてこない。

 

 

「ああ、ごめんなさい。あなたたちじゃなくてですね。

......ええと」

 

 

頭の中からする声に話しかけてた、なんて言ってもいいのだろうか。

どう考えても頭がおかしいと思われるだろう。

 

 

「.........独り言です」

 

 

と苦し紛れにつぶやく

 

 

(この二人は誰ですか、ルーはそれぐらいしか役に立たないのですから、役に立ってください)

 

 

<ひどいなあ、えっと、その人たちは一応あなたの友人だよ。

眼鏡はハリー、赤ノッポはロンって言うんだよ......

そこのクソメガネはあなたの言葉に顔を真っ赤にしてあなたに暴行を加えた奴>

 

 

静かだが、強い憤怒を浮かべた声で私に言う。

ルーの言うことが本当なら、なんでこいつは私にヘラヘラしながら話しかけられるのだろうか。

 

 

「ええと、ロンとハリーで合ってますか?」

 

 

一応ルーの言った名前があっているかを確かめる。

頷いたのを確認してから

 

 

「すいません、目が覚めてから記憶をほとんど失っていまして

今日が何日か教えてくれると助かります」

 

 

「ね、ねえ。それ、本当かい?」

 

 

頷くと、うつむいて考え込むロンの代わりにハリーが私に「今日は今学期最後の日だよ、今さっき修了式を終えたところ」と言う。

なんというか、学校に修了式の日に転校したみたいだった。

学校生活の思い出も何もないな。まあ別にいいか、本来の私なら思い出があるはずだし。

 

 

「大丈夫だ、僕らが全力でクロアの記憶を元に戻すから」

 

 

考え込んでると、心配したのか、そう聞こえてくる。

でも、その言い方だとまるで......いや、やめよう。

 

 

(他の友人っていますか?とりあえず顔ぐらい合わせておかないとルーも忘れると思いますし)

 

 

<そうだね、さっきの女の子も一応友達だったはずだよ>

 

 

(そうなんですか?なら一応挨拶ぐらいしときますか)

 

 

「あの、栗色の髪と瞳のこれぐらいの髪の女の子がいると思うんですけど、どこにいるか分かりますか?」

 

 

「ハーマイオニーの事?彼女ならたぶん寮の部屋にいると思うよ」

 

 

彼女の名前はハーマイオニーと言うらしい。

寮....たしかグリフィンドールだったかな。

うん、場所はわかる。二人に軽く頭をさげると、記憶を頼りに寮へ向かう。

 

部屋は....たしかここか。

部屋に入ると、私のベッドの上でうつむいて嗚咽を漏らす少女、推定ハーマイオニーに声をかける。

 

 

「ハーマイオニー、で合ってますよね。ひどいじゃないですか、急に走り去っていくなんて」

 

 

身体をピクリと震わせたハーマイオニーがこちらを見上げてくるが、目が合わないように逸らされる。

 

 

「ごめんなさい、でも私の事を忘れられたのが悲しくて....つい」

 

 

「いえ、きっとそれは仕方のないことなのだと思いますよ」

 

 

何もない今の私には分からないが

 

 

「ねえ、クロアは、記憶を取り戻したいとは思わないの?」

 

 

「思いますよ、ですがそれがどんな記憶なのか私には分かりません。ですから別にこのままでもいいかな、とも思います」

 

 

私は私の考えを正直に言う。

 

 

「そう、でも私はあなたに記憶を取り戻してほしい、今まで見たいに過ごしたい。

だから大丈夫、私がクロアを元に戻してあげるから、全力で助けるから」

 

 

でもその言い方だとまるで....

 

 

「そうですか、ならそのと..あ....」

 

 

「....はぁ、あのときクロアから逃げたのはちょっと失望したよ、でも今は気分がいいから許してあげる、

あ、ねえねえ、聞いてよ、私ね、クロアに名前もらったの、

知りたい?知りたいよね?ふふん、うらやましいでしょ、これから私の事は『ルー』って呼んでいいよ、あなたは特別だよ」

 

 

なんだこれ、私の身体が動かなくなったと思ったら、急にしゃべりだす

このテンションと話している内容から間違いなくルーだ。

さっき身体を貸して、と言っていたが強奪もできるのか

 

 

「え、えっとクロアの言ってた裏..今はルーって呼べばいいのかな、えっとあなたはすべて覚えてるの?

その、クロアのなくなった記憶のこ....なんであなたが、ってカチューシャは?

そういえば壊れてたわね。あれ、でもクロアが....どういうこと?」

 

 

なにやらブツブツと考えていたがルーに説明を求めている。

というか私も気になる。

 

 

(私も気になります、どういうことか説明してください。これくらい別に構わないですよね)

 

 

「そうだね、なにから言えばいいのかな、本当はクロアに口止めされてたけどその本人も聞きたいみたいだから言ってもいいよね。

確かハーマイオニーはクロアの身体に二つの人格が入ってるのは知ってるよね。

で、クロアは魔法具であるカチューシャの魔法で壁を作って私を抑えてたの、壁がないと私が常に身体のコントロールを持つことになるからね。

それで、その壁が、まあいろいろあってカチューシャごと壊れて、その時にいろいろあって私がカチューシャが無くても身体をクロアに譲れるようになった、って感じかな、私にはプラスだけどクロアは壁が壊れた影響で記憶を失っちゃったし、結果的にはマイナスかもしれないけどね」

 

 

なるほど、うまく説明している

ように聞こえるが、ただ

 

 

(はぐらかしすぎじゃないですか、それでは重要な部分が何も分かりませんよ)

 

 

例えば

『クロアは魔法具であるカチューシャの魔法で壁を作って私を抑えてたの』

『壁がないと私が常に身体のコントロールを持つことになるからね』

『その壁が、まあいろいろあってカチューシャごと壊れて』

『その時にいろいろあって私がカチューシャが無くても身体をクロアに譲れるようになった』

どれも曖昧で理由が分からない。

ここまで徹底して結果だけを言いその理由を伏せているが、ルーの事だ、知っているのだろう。

 

 

<んー、そうかな。とりあえずハーマイオニーがほしがってることは言ったよ。

それに私もクロアには記憶を取り戻してほしいからね、記憶を取り戻したときには分かるよ、とだけ言っておくよ>

 

 

やっぱり私には教えてくれないか。

....記憶、ハーマイオニーにも言ったが、戻るに越したことは無い、

だがそこまで望むことでもない、ただ、他の人はそれを望んでいる。だがその他の人たちの事も忘れている。

それはただ単に私を私ではなく『クロア』と認識しているだけで、記憶を忘れた私に価値は無いと言われているみたいで寂しい。

 

 

(そろそろ返してください)

 

 

<ああ、ごめんねいきなり、名前の事自慢したくて、つい>

 

 

「ん、戻りましたね。

あの、私とハーマイオニーは仲が良かったのですか?」

 

 

「うん、ちょっと恥ずかしいけど、一番の親友だと思ってる」

 

 

ならやはりハーマイオニーに聞くのがいいのだろうか

 

 

「なら、私は誰ですか?」

 

 

「え?えっと、クロアはクロアじゃないの?」

 

 

「えっと、そうではなくて......なら、あなたの思うクロアって誰ですか?」

 

 

「んー、ちっちゃくて人と話すのが苦手で、寂しがり屋で甘えん坊でかわいい私の親友....あとはよく寝てて、読書が好きで、いろんな秘密を隠してる?とかかなぁ」

 

 

ちっちゃい....まあ私は小さいのだろう、周りに私より背の低い人はいなかった。

それから、人と話すのが苦手、まあ人と話したい、とは思わない。

 

だが、寂しがり屋で、甘えん坊、よく寝る、読書が好き、いろんな秘密を隠してる、そしてハーマイオニーの親友、どれも当てはまる気がしない。

本当に私はクロアなのだろうか、本当は私自身の事がいらないから皆は私に記憶を戻してほしがっているのだろうか。

 

 

「クロア?」

 

 

本当に私は必要なのだろうか、いつかのようにいらない存在、いなければよかった存在にはなってはいないか....いつか?いつかっていつ?

分からない

なんで?私がクロアじゃないから?

 

 

「クロア!」

 

 

私は、なんでここにいるの?

私は......?私は....分からない

 

 

「クロア?どうしたの?」

 

 

私は......?

 

 

「私は......本当にあなたの言うクロアなのですか?」

 

 

私はなんでここでこの身体を動かしてるの?

私はクロアじゃない、でもみんなは私がクロアだといい、私がクロアであることを望んでる。

なら、私は何?何でいるの?

 

 

私は....だれ?




クロア だれも今の自分を望んでくれないことが悩み 思春期ですね

クロア裏 今回からたぶんルーって呼ばれます、たまにフーとかラーって書きそうになる

ルーの説明 今までの振り返りかな?

こうやって悩んでるのをかくのはちょっと楽しいけど、僕の文章力不足のせいで、なんか病んでる人みたいに見えそうで怖い。
なんというか、淡々とした文章と感情を込めた文章の境と言うか、移行がむずかちぃ
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