~クロア視点~
「ああ、クロアではありませんか、聞きましたよ。どうやら記憶をなくしたことで困っているらしいではありませんか。
ここは私の出番、違いますか?数々の強敵と戦い、豊富な魔法の知識を持つ私なら記憶など軽く治してしまいましょう」
ロックハート先生に呼び止められた。
....本当に記憶を取り戻せるのだろうか。
不安だが、隣にいたハーマイオニーは目を輝かせて頷いてるし、他に治す方法の手掛かりがないのも事実だ。
ここは賭けてみるのもアリか?
「では、お願いします」
「ええ、では失礼して、『メモント!』どうです?」
....なんだろう、頭がふわふわして、何か変だ。
ただこの様子だと間違いなく治ってはいない。
なら何が起こった。思考がまとまらない、
こういう時はハーマイオニーに聞くのが一番だ。
「ふぁーまいおひー、なんかへんれすか?」
舌が回らない、なんだろう、唐突にハーマイオニーに抱き着きたくなる。
うん、こういう時は直感に従うべきだろう。
「ク、クロア?どうしたの、顔が真っ赤よ。
って、抱き着かないでって、動けないから、離して、ねえちょっと!」
「クロア?あなた酔ってるの?ちょ、正気に戻ってって、次の授業いけないから!」
「よってる?いえ、ひょんなことより、ふぁーまいおひーはわらひが抱き着いたらいや、なのれすか?」
やっぱり本当は嫌なのだろうか、なんだろう、涙が出てきた。
普段はこんなことでは泣かないはずなのに、やっぱりなんか変だ。
「ちょ、クロア、泣かないでよ。ねえ、い、嫌じゃないから、嫌じゃないから泣かないで」
「ほんとう?」
「当り前よ、嫌なわけがないじゃない」
「....よかったです」
嫌われたのかと思ったがそんなことは無いようだ。
やっぱりハーマイオニー抱き心地がいい。
~ハーマイオニー視点~
声に出さないようにため息をつく。
いつだったか、このこといるとため息が増えそう、なんて思ったが変わらないな。
ロックハート先生が魔法をたまたま失敗してしまったのだろうか、
いつの間にかどこかへ行ってしまったから、記憶を戻す魔法については聞けなかったが、
それより今はクロアだろう、ロックハート先生に魔法をしてもらってから、様子が明らかにおかしい。
顔を真っ赤にしながら、ろれつの回ってないしゃべり方で話しながら私に抱き着いてきた。
間違いなく酔っている。びっくりして、引きはがそうとしたら、
泣きながら私に抱き着かれるのが嫌なのか、と聞いてきた。
反則だ、そんな顔と声で言われたら拒否できるはずがない。
「クロア、そろそろ次の授業にいかない?」
さすがにもう落ち着いただろう、と思って聞いてみるが返事がない。
まさか、と思い耳を澄ましてみればスヤスヤと落ち着いた寝息が聞こえてくる。
絶対に寝てる。
そっと引きはがして顔を見てみれば、気持ちよさげに
次の授業に行かなければならないんだけど
どうしようか、いくら小さいとはいえクロアを抱えたまま階段を何度も上り下りするのはきついものがある。
起こす?うん、それがいいだろう。
これならクロアも私も次の授業に行ける。
よし、起こそ「わっ」
「きゃあああ」
耳元で急に大きな声がして驚いた。
「あはは、ごめんごめん、なんか考え込んでるみたいだったからつい」
この雰囲気はルーか。
ルーだと分かるとどうしても多少警戒してしまう。クロアの味方なのは分かるのだが、なぜクロア本人よりもクロアに詳しいのか、分からないことが多すぎるし、
クロアもかなり警戒していた。
「クロアは?」
「ん、あのこならたぶん寝てるよ。
あのおっさん使えもしない呪文を使うとか正気じゃないよ」
おっさん....ロックハート先生の事だろうか
「ロックハート先生よ、それに、たまたま失敗しただけよ」
「あれで、ねぇ。まあどっちでもいいや、私はクロアが無事ならいいしね」
本当にそうなのだろう、どうでもいいような調子でそう言ったルーは、
次の教室まで来ると、なぜか周りを何度も確認しながら早口で焦ったように私にクロアを任せると、クロアの中に帰って行った。
~クロア視点~
ルーと私が入れ替わる。
「忘れてください」
開口一番に言う。
「いやよ、ってこのやり取りも一年前にやったわね」
これだ、ちょくちょくハーマイオニーは、私に私をクロアと認識させるようなことを言う。
本当かどうかは分からないが、記憶さえ戻ればそれも分かる。
記憶さえ......
「そういえば、最初からルーはあんな調子だったのですか?」
ルーが明らかに挙動不審だったことを思い出しながら聞いてみる。
「ん、この教室に入ってからだったわよ」
「この教室....なにか苦手なモノでもあるのでしょうか」
いつも
「んー、どっちかっていうとモノってより人って感じだと思うよ。
視線が周りの人を見てるって感じだったし」
苦手な....人?ルーの話が本当なら、ルーの事を知っているのは私とハーマイオニーとドラコだけだ、そのルーが苦手な人?
いちばんあり得るとすればハリーだろうか。
あの
ただルーの性格だと、自分から進んで復讐をしそうなものだが。
.....そういえばなんでルーは今もハリーの事を放置しているんだ?
当時は自由に身体をコントロールを取れなかったらしいから仕方ないとしても、今復讐しない理由は無いだろう。事実ルーはまだハリーを許してない。
まあ考えても分からないものは考えるだけ無駄だろう。
..........ルーの弱点か、気になる。
______________
~クロア視点~
ハロウィーンパーティーをドラコと過ごしていた。
「久しぶりになりますね、ドラコ」
「ああ、最近合わなかったな、大丈夫だったか?」
「はい、それでですね、あれからハーマイオニーと話していろいろと考えが広がりました」
「ふーん、どんなのだ?」
「まずは、そうですね。
私は、記憶を取り戻したいんです。ただ、その方法が分かりません、それで、何か心当たりはありますか?」
「ないな」
なぜかドラコが冷たい、ハーマイオニーと仲良くしてたことが気に障ったのかもしれない。
「ドラコ、もしかして私がハーマイオニーと話したこと、怒ってますか?」
「ん、ああ、いや別に、というか今は、クロア、悪かったな、話、聞いたぞ」
話?何のことだろうか。別に謝られるようなことは無いと思うし、私がドラコに聞かれて困るような秘密など、そもそも私が知らない。
「え....と、なんのことですか?」
「ん、ほら、スリザリンの女子共にトイレで何かされたらしいじゃないか、それの事、僕が原因なんだろ」
ああ、あれのことか
「あれ、ですか。あの時はルーが護ってくれたので大丈夫でしたよ」
「いや、そういう問題じゃない。
心配しただろ、僕に言ってくれれば僕だってクロアの事を護る」
ありがたい言葉だ、女子であるハーマイオニーにはできないことだろう。
だが、私には高性能オート防御機能が備わっているので、そこまで需要は無いと思うが、そんな防御機能たるルーにも弱点があるっぽいので、助けてもらえるなら大歓迎だ。
「ありがとうございます」
______________
~クロア視点~
「あれ、なんでしょうか」
ハロウィンパーティーから帰ってると、すごい人だかりがあった。
隣を歩くドラコに聞いてみる。
「さあ、僕も知らないな、気になるし、行ってみるか?」
別になにか用事があるわけでもないし、断る理由もない。
「はい、行ってみましょう。私も気になります」
近づいてみるが、私の背丈だと全く見えない。
「ドラコ、何か見えましたか?」
ドラコには見えたらしく、楽しげに三日月形に裂ける口を見れば、大体何がしたいのかは予想がつく。
大方
それが、『生き残った男の子』としてのハリーなのか、ハリー個人に対して、なのかは分からないが。
「秘密の部屋は開かれたり、継承者の敵よ。気を付けよ!」
そう、普通より抑揚をつけた声で、芝居がかった調子で叫ぶドラコ、私から見ればただの狂人だが、
「ドラコ?どうしたのですか?」
「あ、ああ、悪かったな。見えないか?」
ドラコに悪気は無いのだろうが、少し悔しい。
「見えません、何があったのですか?」
「ええとだな、ハリー達と猫があって....ああもうめんどくさい」
めんどくさいって....「よいしょっと」
へ?視界が急に上昇する。
「どうだ、見えるだろ」
ドラコが横腹を掴んで私を持ち上げている。
「ちょ、ま、や、やめてください」
目を
「お、おい、暴れるなって」
暴れるのも致し方ないと思う。だってここは人だかりのすぐ近く。
ただでさえ人が多い場所で、しかもさっきドラコが何かを叫んでいたこともあり、
注目を浴びていた訳で、いくら何でも恥ずかしかった。
急に身体を浮遊感が覆う。
「クロア!」
<やっぱりそんな奴より私が護ったほうがいいよね?>
『ペル・サルス』私の口が勝手に小さく動く。
「善意でしてくれてるのは分かりますが、せめて一声かけてください」
床に倒れたままの体勢で首だけ動かしてドラコを見ながら言うと、ドラコはバツが悪そうに謝る。
本当は高所恐怖症なのもあったのだが、言う必要はないだろう。
「はぁ、
「ほんとに悪かったって。それじゃ、またな」
ドラコに手を振って別れると、寮に向かう。
一刻も早くこの場から離れたかった。
______________
~ハーマイオニー視点~
ようやく先生方から解放された。
そもそもの事の発端は、私達三人がゴーストの絶命日パーティーに呼ばれたことだ、
何で行ってしまったのだろうか、ゴーストたちのパーティーで出された腐ったナニカを食べるわけにもいかず
お腹をすかせて急いでパーティーに向かっていたが、その途中で石のように固まったフィルチの飼い猫を見てしまった。
第一発見者になってしまったのだ。すぐに他の人が集まり、大騒ぎとなった。
その後、先生方に捕まり、事情を話していた。結局何も食べられなかった。
ため息をつくと、寮に向かっている時、何か重要なことを忘れている気がした。
そうだ、クロアだ、確かクロアとドラコの焦った声が聞こえた。何かあったのだろうか。
不安に駆られて、寮に向かう足が速くなる。
クロア自身はいまだ悩んでいるようだが、彼女は間違いなくクロアだ。
またあの時のように泣いてはいないだろうか。
ドラコのやつ、クロアを泣かせたらぶん殴ってやる。
「クロア!」
ドアを開けながら叫ぶ。
部屋の中にあったのは、勉強用の机で本を近くに置いたまま、腕を枕に寝ているクロアだった。
身体から緊張が抜けていくのが分かる。
心配して損したかもしれない。
もうルーが自由に出入りできる以上そこまで大事になることは無いだろう。
「ルー、起きてるんでしょ、せめてベッドまで動いてあげて」
クロアとルーの話だと、壁、とやらが壊れてからは意識と痛覚が身体と連動しなくなったらしい。
壁がなくなったという割に、二人の間に距離ができていっている気がする。
まるで独立していくかのように。
「えー、クロアが目を覚ました時に驚くよ?」
それにしても、ルー、この人は本当に謎だ。
「ねえルー、クロアの事はやっぱり教えてくれない?」
「んーダメだよ、フライングしちゃあ、
きっとすぐに分かるよ。そう遠くないうちに」
いつものようにルーは私に完璧な笑顔を向けてくる。
クロアとルーが独立してからルーが表に出ることが増えたせいか、
最近見ることが増えたその表情はいまだに違和感を覚える。まるで用意されたかのような気がする。
「それじゃあ、あの時何であんなに挙動不審だったの?」
「それもクロアにかかわる最重要機密だよ」
「クロアに?あなたの事なのに?」
クロアとルー、どっちの事も私は知らなすぎる。
クロアは記憶が戻った時、私に秘密を教えてくれるだろうか。
いや、そんなことは知らなくたって私はクロアの親友をやめるつもりはない。
例え本人に煙たがられても付いて行ってやる。
そしたら、いつもの不機嫌顔でため息を漏らして私に愚痴を言うのだろうか。
想像したら少しだけ幸せな気分になれた。
「うーん、まあそうだね。ってあれ、起きたの、寝ててもいいんだよ?」
クロアが起きたのだろうか。
「そう、分かった、ちょっと待ってね....おはようございます。ハーマイオニー」
まだ夜中なのだが、眠たげにそういうクロアが面白くて吹き出してしまう。
「ルーの言う通り寝ててよかったのよ?まだ夜だし」
「......ハーマイオニー、聞いてください、重要な話があります。」
私の言うことを無視してそういうクロアの顔がまじめで、少し気圧される。
慎重に頷くと、クロアは私の目を真っ直ぐに見ながら口を開く。
「私はいまだに私が誰か、という疑問に結論が出ていません。
ハーマイオニーは私をクロア、と言いドラコは私は私、と言います。
私からしたらどちらも大切な人からいただいた大事な意見です。
なので、まだ自分で確信できるまで悩もうと思います。
それで、もし、私が、クロアではないのなら、
私はきっと、このか........またまた登場だよ」
ルーなのか?....クロアにそれ以上言わせないため?
「ダメだよ、それは絶対に、許さないし、させないよ。
あなたが何を考えてるかなんて私が分からないわけがないの。
なんでそう思うか、予想もつく、でもね、それだけはさせない。
悪いけど、そこでよく考えてて。反省しろ、とは言わない、でもよく考えてね」
ルーはそういうと、そのままベッドに行き、寝てしまった。
クロアはあのとき何て言おうとしたのだろうか、
もし彼女がクロアではなかったら、万が一にもあり得ないが、彼女がそうだと勘違いしたら、
彼女はどうするのだろうか、話す前の彼女の意を決したような雰囲気と、ルーの言動から
少なくとも喜ばしい事ではないのだろう。
あの時のルーの表情がいつもと打って変わった、濁った何も映さない表情だったのを思い出す。
やはりクロアの隣で彼女を護ってあげられるのは私の仕事だろう。
明日から頑張ろう。
そう決意して私もベッドに入る。
クロア ドラコとの身長差は頭一つ分よりちょっと多いくらいだと思う
ルー 最近出番多いよね
ハーマイオニー コ〇ンみたいに頭の切れる人的なイメージ
ギルデロイ・ロックハート ハンサム先生 ハーマイオニーはこいつのファン
各キャラ同士の呼び方は雑です。例えばハリー・ポッターだと、ポッターと呼ばれることは基本的には無いと思います。めんどくさいし、名前を詳しく説明してないからわからなくなるかもしれないし(自分のせい)