表裏二体の少女   作:ラーメン三郎

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説明回的な感じになってそう。
あ、他の話と比べて長いです。
あとは、アズカバンの囚人編の開始です。これでクロアの物語は終わります。


終章 アズカバンの囚人
20話 吸魂鬼


  ~クロア視点~

 

まさか祖父に言葉を濁されるとは思わなかった。

本当にどこで寝ていたのだろうか。

 

まあいいや、記憶が無い以上悩んでも分からない。

ともかく、今日からはまたホグワーツだ。

列車に乗り込んで、空きがなかったので、ハーマイオニーの所..まあハリーとロンもいたが、に入れてもらう。

 

私は会話に入ることなく、窓の外を眺めていた。

凄い雨だ、それに夏だというのに、寒い。肌寒い、と言うのもあるが、なんというか心の底から冷え込むような感じだ。

 

 

「やあ、ここ、入れてもらってもいいかな」

 

 

誰だろう、病院が似合う青い顔をした青年?壮年?のような人が入ってきた。

生徒ではないだろう、と言うことは教師か?

 

 

「ええ、大丈夫です....ホグワーツの教員ですか?」

 

 

ハーマイオニーが聞いている。

 

 

「ああ、そうだよ、僕は今年から闇の魔術に対する防衛術の教師を務めることになったリーマス・ルーピンだ」

 

 

この人が?魔法薬学とか、薬草学とかのほうが似合いそうなものだが。

 

突如、さっきまでの寒気が冗談のように強烈な悪寒がコンパートメントを包む。

それとはもう一つ、少し前に感じたのと同種の感覚を覚える。

何かが溶け出すような....まるで、あの時の......これは..記憶?

 

ドアが開く。

そこに立っていたのは、人型の黒い布?いや、中に人型のナニカがいるのだろう。

 

ああ、違う、知らない。誰だ、誰の記憶?私の?いらない、こんな記憶なら..私はいらないっ

 

イヤだ、何で私は殴られるの?痛い、私は何もしてないのに。

 

ああああ、思い出すなっ、違う、これは私じゃない、私にこんな過去はないっ

違う、私だ、これが私の過去だ。ああ、分からない。

 

何で、何で私を追い出したの?私を盾にして逃げたの?ずっと一緒だったのに。

 

なんでそこに隠れてるの、なんで私だけ....あなただって同じ目に合うべきなのに......

 

ごめんなさい、でも、私はもうこんなの耐えられないっ

 

違う、これは私のモノじゃない。

 

これはもう一つの記憶?

 

「クロア‼」

 

 

目に光が入り込む。

 

 

「....ごめんなさい、もう、大丈夫です」

 

 

頬を伝う涙の根元を拭い、うつむいたまま、椅子の背もたれに寄りかかる。

 

ああ、もう思い出せない、なんだったのだ、今の記憶は、多分私とルーの記憶が混ざってるのだろうが、もう既に思い出せない。

 

 

「これを食べなさい、チョコレートだ、甘いものを食べると、気分がよくなるよ」

 

 

「はい....」

 

 

ルーピン先生から、チョコを受け取り、口に含む。

口に広がる甘さは、心を落ち着かせる。

 

 

「先生、今のは何?」

 

 

青い顔をしたハリーがルーピン先生に聞いている。

 

 

「あれは吸魂鬼、アズカバンの看守だ。人の幸福を糧に生活している」

 

 

私とルーの記憶で私はああなったのだ。ルーも何か影響を受けているかもしれない。

 

 

(ルー、あなたは何もありませんしたか?)

 

 

(......ルー?)

 

 

返事が無い。

不審に思い、意識を集中して、ルーの精神の中に入る。

 

部屋の中央で、真っ白い髪をした私が、いや、ルーが立っていた。

 

 

「ルー?大丈夫ですか?」

 

 

歩み寄りながら。その顔を見る。

 

そこにあったのは、何も映さない表情。

 

 

「ルー!」

 

 

いつものように飄々と笑う顔はない。

同じく幸福を吸われた私とは大違いだ。なぜ?

 

肩を揺さぶっても、名前を呼び掛けても反応はない。

 

 

「え....」

 

 

ルーの顔にひびが入る。

ルーの右目を中心に広がっているひびは、やがて全身に広がり、身体が、末端からポロポロと崩れていく。

 

私と同じ顔をしたルーが壊れていくのが怖くて、後ずさる。

だが、このまま逃げたらダメな気がして、震える膝に鞭打って、ルーに近づく。

 

 

私の方を向きながら、私を見ないその顔のひびがだんだん増えていくのが見えて、

バラバラになるルーを何とかつなぎとめようと、その身体に抱き着く。

 

 

______________

 

 

  ~ルー視点~

 

クロアの視覚に、長身の黒い布を被った人型のナニカが映る。

 

 

ナニコレ

 

 

私が、私の主軸、私を構成するモノが失われて分かる。

 

刹那、人型のナニカが何をしているかに気づく。

 

こいつは幸福を吸っているのか?

ダメだ、それをされたら私は抜け殻だけになる。

そしてそれはすぐに崩壊するだろう。

崩壊すればどうなるか、私の残りカスはクロアのモノとなるだろう。

それだけは何が何でも避けたい....だが、私にはどうすることもできない。

 

なんで、だって、こんなの卑怯じゃないか。

こんなの予想しようがない。日記の時に油断しないように気を付けようって決めたのに。

油断も何もない。こんな存在がいるなんて聞いてない。

これじゃあ、どうしようもないじゃないか。

 

あの時さんざん後悔しておいて、失敗するのか。また、間違えるのか。

 

....思ったより..悲しくない..な........ああ、そ..ういう....ことか....だか..ら........

 

 

 

~クロア視点~

 

腕の中のルーが完全に崩れて()()()()()()()()()

 

 

 

............ああ、そういうことか、だからルーはあそこまで私を護ることに執着していたのか。

それから、なるほど、ルーが崩壊した理由も分かった。

....ああ、ルーはそうやってできていたのか。

 

なら、作り方も分かったし、今の私なら()()()()かな。

 

 

頭の中で、ルーの記憶と私の記憶を意識して区別する。

そして、私に残る今まで、幸せだった時のことを思い出す。

 

右手を顔の右半分に、左手を目の前の虚空に突き出す。

 

 

「『セパレーション』....本当に、世話の焼ける人ですね」

 

 

手の先から、光のような、靄のようなものが流れ出て、それが徐々に人型を作っていく。

 

 

「....クロ..ア?なんで、あなたが私を作れるの?」

 

 

....失敗したな、いや、ルーを作るのは失敗してないが、ルーの記憶を軽く見ただけのせいで、

ほとんどが、私の記憶になることなく、ルーを作るのに消費してしまった。

 

 

「その前にいくつか質問しますよ。あなたの記憶を見ました。それが正しいかの確認です」

 

 

「まず一つ目です。()()()()()()()()()()()()でした。違いますか?」

 

 

「うん、合ってる」

 

 

「次です、あなたを構成している物は、主に感情、それもほとんどが正の感情」

 

 

「え?....うん、そうだよ」

 

 

「次は、あなたの魔法についてです。セパレーションと言う魔法は防御魔法などではなく、

何かを()()()()()()。そしてあなたが作った魔法ではなく、いつの間にか使()()()()()()()

 

 

「うん、....ねえ、本当はほとんど記憶が残ってないんだよね?」

 

 

え、何で分かった?

 

 

「その表情は肯定してるようなものだよ、えっとね、まず、一番最初に来るであろう質問が来なかったこと、

次に私を構成してるのは正の感情、合ってるけど、それだけじゃない、もう一つ、感情と同じぐらい大きなもので出来てる」

 

 

ああ、読み違えたのか。流れでいろいろ聞けるかなって思ったけど、難しいようだ。

 

 

「なら、一つだけ質問をします」

 

 

「うん、分かった、でもその代わり私も後で聞きたいことがあるよ」

 

 

「あなたを構成するその正の感情、()()()()でしたか?」

 

 

「今も昔も、あなたのモノだよ、いや、この言い方はあんまり正しくないかな、

今の私の正の感情は元はあなたのモノだけど、昔のは私たちの、かな」

 

 

やっぱりそうか、私とルーはもともと一つだったのは、間違いない。

 

 

「次は私の番だね。なんで私を作れたの?あなたに私を作る材料は無いはずだと思ってたけど」

 

 

「そうでもなかったみたいですよ、意外と私は幸せだったみたいで。

ただ、次作れるのは当分先になりそうですから、もうやめてくださいよ」

 

 

「..そう、ってことは、私があなたから幸せを奪った形になるのかな....」

 

 

「いえ、私が使ったのは、おそらく初めて作られたとき同様、あくまで感情だけを使いましたから、記憶は残ってますよ」

 

 

「でも、結局は一緒でしょ?」

 

 

「違います。正の感情があるから幸せになるのではなく、幸せだからこそ正の感情は生まれます。それはあなたも理解できるはずです。だから、きっとすぐにまた出来ます」

 

 

「そう、だね。私の記憶もほとんど残ってないみたいだし、問題はなさそうだね」

 

 

「そこまでして私の過去を隠したいのですか?」

 

 

「過去....っていうよりあなたの過去の記憶と私の()()()を隠したいかな」

 

 

私の過去の記憶....これは多分、ルーが私から隔離した私の記憶の事だろう、

これが戻れば、私にも、ルー同様に男性恐怖症が発症するようになるのだろう。

ただ、一度体験したからわかる、あの記憶は強すぎる。軽く正気をなくすレベルでだ。

無くせるのなら、無いほうがいいのは間違いない、だが、誰かに押し付けるのは違うと思う。

 

ルーの間違いに関してはさっぱりだが、これはまあルー個人の事だ、知らなくてもいいだろう。

 

 

「ですが、それを理解した上で、私は私の記憶を取り戻したい」

 

 

「そう、でも私は、クロアのその気持ちを理解したうえで隠すよ。

これはね、私の償いだから、本来クロアだけが背負うべきものじゃなかったはずなのに、私が....いや、何でもない、忘れて」

 

 

狙ってやっているのだろうか、そこまで中途半端に言われると、余計気になる。

 

 

「なら忘れます。気が変わったら教えてください。では、私は戻ります。吸魂鬼の対策、考えないといけませんね」

 

 

忘れるつもりはないが。

 

 

 

目を開く。

 

 

「はあああ、疲れました」

 

 

「また前みたいに?」

 

 

ハーマイオニーが私たちにしか分からないような聞き方で聞いてくる。

 

 

「はい、ルーの様子がおかしかったので」

 

 

「大丈夫だったの?」

 

 

「次に吸魂鬼が来たら、非常にまずいです、具体的には....」

 

 

ハーマイオニーの耳に口を近づける。

 

 

「ルーが消滅します」

 

 

ハーマイオニーが目を見開く。

 

 

「どういうこと?」

 

 

「まあ、私達にもいろいろあるんです。それでですね。ルーピン先生、吸魂鬼ってどう対処すればいいのですか?」

 

 

ルーピン先生のほうに向きなおりながら聞く。

 

 

「吸魂鬼かい?基本的には守護霊の呪文で追い払えるはずだが....そう簡単に習得できる呪文じゃあない

まず、呪文を持続させるのに幸福なことを考え続けなくちゃならない、これがなかなか難しくてね」

 

 

「幸福..ですか。それなら」

 

 

<うん、私ならたぶん簡単にできるね>

 

 

(何を言っているのですか、男性が近づいただけで守護霊が消えますよ)

 

 

ルーなら簡単に出せるのだろうが、簡単に消滅するだろう。

 

 

<んー、私が幸福なことを思い浮かべながら、クロアが杖を振ってみて。私は杖に認識されてるから、できると思う>

 

 

なるほど、役割分担か、確かに杖に認識されているのは私ではなく、ルーだ。上手くいくかもしれない。

 

 

(分かりました、やってみましょう)

 

 

<『エクスペクト・パトローナム』....あれ?>

 

 

「え?」

 

 

目の前にいたのは、半透明な7,8歳ぐらいの幼女だった。

それも、私そっくりな.....というか、これは私だ。

 

私の身長あんまり変わってないな....

 

 

「なんで....私がここに?」

 

 

周りのみんなも驚い....周りにいるのは..ハリー、ロン、ルーピン先生....男性....私に暴力を......

 

 

「クロア!」

 

 

.......なんだったんだ、今の、何があった。

別に周りの男性陣をみても恐怖を覚えない。

 

みると、幼女バージョンの私は消えていた。

 

 

「ルーピン先生、今のは何か分かりますか?」

 

 

とりあえず、先生に聞いてみる。

 

 

「守護霊..だけど、人?聞いたことが無いな、守護霊は基本的には動物だ。そもそも、君は使えたのかい?」

 

 

「使ったことがありませんでした」

 

 

先生もいまいちわかってない様だ、当たり前か、急に幼女の守護霊を出されても、何が何だか分かる訳がない。

次はルーだ、守護霊も言葉を話していた。と言うことはまさかあれは....

 

 

<私だったよ>

 

 

やっぱりか

 

 

(なぜか分かりますか?)

 

 

<うん、多分私が幸福を思い浮かべてたから、私の中の幸福そのものが守護霊になったんだと思う>

 

 

(それは、私の中からあなたが出れた、と言うことですか?)

 

 

<んー、半分はそうだと思う、たぶんあの日記みたいな感じで、クロアの身体があったからこそできたことだと思う>

 

 

なるほど、ただ、まだほかにも疑問がある。

 

 

(まず、私が周りの男性を怖いと感じました。これは?)

 

 

<さっきも言ったように、私の中の幸福が具現化したけど、余った....ああ、そういえば話してなかったね。

私を構成するのは主に二種類のモノ、まずはクロアも知ってるように正の感情、こっちが具現化したね。

次に、トラウマ、こっちは具現化できないみたい、だから、ちょうど半分ぐらいの歳になって具現化したんだと思うよ>

 

 

ルーの人格を構成するモノの半分がトラウマ、さすがに大きすぎるだろう。

 

そして、守護霊の時は、トラウマの部分は具現化できないから、幼女の姿になって、かつ、私が男性恐怖症を発症したのか。

 

 

(まあ、そこは頑張って抑えるとして、吸魂鬼は追い払えるのですか?)

 

 

そこが重要だ、どうも他の守護霊と比べると、少し特殊だ。吸魂鬼を追い払えないなら、価値は無いのだが....

 

 

<試してみる?>

 

 

(そうしますか)

 

 

「えっと、ハリーとロンとルーピン先生、少しの間だけ、コンパートメントから出てもらってもいいですか?」

 

 

「ああ、着替えるのかい、分かった、今から出るよ」

 

 

ルーピン先生に続いて、ハリーとロンも出ると、ハーマイオニーに軽く事情を話す。

 

 

<『エクスペクト・パトローナム』>

 

 

「やっほー、なんか慣れないね、この姿。ハーマイオニーも久しぶり、かな」

 

 

「これが、クロアの守護霊?っていうかルーだよね」

 

 

「はい、守護霊としてのルーです。じゃあ早く試してきてください」

 

 

あまり長時間コンパートメントから出てもらうのも悪いので、ルーを急かす。

 

 

「おっけーおっけー、任せといて」

 

 

そう言ったルーはコンパートメントから出ていく。

 

 

 

  ~ルー視点~

 

視線が微妙に低い。

まあいいか、ただ、これだと私が守護霊を作った時とあまり状況が変わっていないことにクロアは気づいているのだろうか....まあ気づいてないだろう。

 

クロアに急かされたので、コンパートメントから出る。

 

ハリーとロンが、私の方をじっと見ている。そんなに変な見た目だろうか。それともこいつらまさかロリコンか?

 

まあどっちでもいいか、ハリーの前に歩み寄ると、

足を思いっきり振り上げる。

ハリーの股間めがけて。

 

 

「¢£%#&¢£%#&‼」

 

 

床にうずくまって悶えているハリーに

 

 

「ねえ、覚えてる?あなたがクロアに何をしたか。あの時クロア、ずっと泣いてたんだよ、ねえ、分かる?これで許したわけじゃないから」

 

 

と、冷たい声を()()()()告げる。

 

 

「ロンは....まあいいか、クロア自身には何もしてないし」

 

 

ロンは名前を呼ぶと、次は自分の番だと思ったのか、軽く悲鳴を上げる。

 

これ以上いると、ルーピン先生に何か聞かれそうなので、さっさと吸魂鬼を探す。

 

だが、吸魂鬼以上に気がかりな事が一つ。

....間違いない、このままいけば、私とクロアは......

 

 

  ~クロア視点~

 

<聞こえる?>

 

 

ルーの声がする、守護霊になっていてもこの方法で会話ができるのか。

 

 

(聞こえますよ、どうでしたか?)

 

 

<ん、やっぱり聞こえるんだね、うん、うまくいったよ。ちゃんと追い払えそう>

 

 

ルーも話せるか分からなかったのか?まあ追い払えるんなら、問題はなさそうだ....守護霊ってどうやって消すんだ?

 

 

(それはよかったですね。それで、守護霊としてのルーが消える条件を教えてください)

 

 

<魔力が尽きた時か、私の意思で消えれる、っていうか帰る、かな>

 

 

(分かりました、なら早く帰ってきてください)

 

 

<あ、まだ試したいことがあるから、徒歩で帰るね。多分、すぐ着くよ>

 

 

試したいこと....守護霊としての役割って吸魂鬼を追い払うことだけじゃないのか

 

 

「帰ったよ」

 

 

本当にすぐだった。

 

 

「それで、試したいことって何ですか?」

 

 

いつの間にか戻っていた、目の前の半透明な白い髪を持つ小さな私に聞く。

 

 

「えっと、クロアはさっき体験したと思うけど....」

 

 

「はい、私にトラウマの記憶が戻っているのだと思いますが」

 

 

「やっぱりそう?んー、そこが問題だよね」

 

 

「ね、ねえ、トラウマ?それに、記憶が戻ってるって、どういうこと?」

 

 

ああ、ハーマイオニーは知らないのか。

 

 

「私が話します、ルーと私はもともとは同じ人格でした、ですが、理由と時期に関して、私()知りませんが、何かの要因で二つの人格に別れました。

で、もう一つの人格である、ルーと言う人格を構成しているのは、正の感情、つまり『楽しい』『嬉しい』『愛しい』そして、『()()』等が約半分を占めています。

もう半分は、私たちの記憶から成るトラウマの二つです。おそらく、私たちが二つに別れる際、元の私からこの二つが分離して、ルーになったのだと思います」

 

 

「ちょ、ちょっと待って、クロアとルーはもともとは同じ人だったの?」

 

 

話の腰を折られた。

 

 

「はい、そうなりますね、予想ですが、その頃からルーは『セパレーション』、隔離呪文を使えるようになったのだと思います」

 

 

「なら、クロアは()()()()()()()()

 

 

あ........考えたこともなかった....

 

 

「ハーマイオニーはちょっと頭の出来が良すぎると思うね。うん、そうだよ、クロアを構成するモノの大部分は負の感情....()()()

 

 

だった?

 

 

「クロアと私が別れてから、いろいろなことを体験して、感じて、もう私達を構成()()モノは、構成()()()()ものになったよ」

 

 

ああ、言われてみれば、そうでもないと私がルーを作れるはずが無いのだ。

 

 

「なら、ルーは正の感情とトラウマを持ってるのに、クロアは負の感情だけなの?」

 

 

ハーマイオニーがポンポンと質問を出してくる、よくもまあ、そんなところまで気づけるものだ。

 

 

「あ、そう..だよ」

 

 

挙動不審気味だ。

そういえば、いつもは下手に隠そうとせず、分かりやすく濁していると思ってたけど、そうじゃなくて普通に嘘が下手なのかな?

そんな私の表情を見て察したのか、

 

 

「いや、クロアは基本的には負の感情で出来てたはずだよ、ただ、それ関連で隠したいことがあっただけ。

そろそろ話を戻さない?」

 

 

「話の逸らし方が雑ですね、ええと、どこまで話しましたっけ....ああ、それで、私は守護霊を作る際、杖は私自身で振り、そのほかの事はルーに任せています。

つまり、ルーが幸福を思い浮かべ、ルーをルー自身で維持しています。その際、詳しい理由は分かりませんが、ルーの正の感情が、守護霊として具現化しました。

ですが、ルーのもう半分、トラウマの記憶が私に残ります。

なので、一部ですが、私に記憶が戻っている、と言うことです。ちなみに、この記憶は直接男性恐怖症とつながっているので、今のルーは男性恐怖症もなく、記憶の事も、記憶ではなく、知識として持っているだけのはずです」

 

 

自分でも最近、増減の激しい記憶を整理しながら話す。上手く伝わっているだろうか。

 

 

「なるほど、大体分かったわ。ありがと」

 

 

「それで、私が試したいって言うのは、この状態のクロアの、記憶を抑えられるか、って事だよ」

 

 

....それが出来たら、常にそうするようにすればいいのではないか?

そんな私の表情を見たルーは、

 

 

「ああ、普段はできないと思うよ、私が具現化した時にできた隙間に入れるから、私が持続できる時間に限りがある以上、

長時間はできないし、不完全なものになるから、それなりに男性恐怖症は残ると思う」

 

 

なるほど、それなら守護霊の呪文中のみしかできないな

 

 

「それで、どうやって抑えるのですか?」

 

 

「んー、分かりやすく言うと、できた隙間にクロアから正の感情とトラウマをもらって、私のミニバージョンを作る。自我はないけど、それである程度なら抑えられるはずだよ」

 

 

分かるような分からないような感じだが、おそらくできるのだろう。

 

 

「なら、お願いします」

 

 

「うん、えっと、『セパレーション』」

 

 

ルーは右手をルーの顔の右半分に、左手を私の頭に当てる..身長差があまり無いせいで私がしゃがまなくても、背伸びをすれば届くようだ..と魔法を使う。

 

 

「どう、かな」

 

 

「微妙に気分が沈んだ気がします」

 

 

やはり、私の中にできている、正の感情を使ったのだろう。

 

 

「たぶん、うまくいったかな、ちょっと外に出てもらってもいいかな?大丈夫、もし失敗してそうならすぐ戻るから」

 

 

頷いて、ドアのもとに向かう。一つ深呼吸して、ドアを開けると、まず目に入ったのは、私がドアを開けるのを分かっていたのだろう、

ルーピン先生がこちらをニコニコしながら見ていた。

 

......頭を振って、頭に浮かんだ嫌な記憶を消すと、落ち着くまで深呼吸をして、

 

 

「ありがとうございます、もう大丈夫です」

 

 

極力ハリー達男性陣の顔を見ないように気を付けながら、震える声でそう言う。

 

 

「あれ、着替えじゃないの?」

 

 

私の様子を見て、気を遣ったハーマイオニーが、私の前に立ち、代わりにこたえる。

 

 

「別にクロアは着替え、なんて言ってないわよ」

 

 

....確かにそうだな

 

 

<クロア、大丈夫そう?私はそろそろ魔力が尽きるから戻るけど>

 

 

(....顔を見ないように気を付けながら、一定以上の距離を保っていれば、大丈夫そうですね)

 

 

<了解だよ、これなら何とか吸魂鬼が来ても大丈夫そうかな、不意打ちじゃない限りは>

 

 

 

(そうですね....戻りましたか)

 

 

先ほどまで、頭の中で、強く自己主張をしていた記憶に靄がかかっていく。

 

 

「ハーマイオニー、もう大丈夫です」

 

 

「そう..みたいね、分かったわ。それより、ホグワーツに着いたみたいよ」

 

 

雨に濡れた窓を見ると、いつの間にか、外の景色は変化をやめていた。




クロア だいぶ記憶を取り戻してきてますね。そろそろ終わりも近いかな?

ルー なかなかチー..万能ですね 今話で一度、吸魂鬼に殺された..と言うか壊された?

ロリクロア クロアの守護霊、中身はルーの正の感情の部分、つまり半分だけなので、年齢も半分ぐらい..あんまり背は変わらないけど。 あ、股間は蹴っちゃいけません、地獄を見ます。

ミニルー 自我は無いです。

ハーマイオニー うーん、正ヒロイン

ハリー&ロン もうこいつらいらんだろ

ルーピン先生 病人みたいな見た目の新しい教師

吸魂鬼 他人の幸福を吸い取る、ルーの大部分を占める感情をいただくことができるため ルーのカウンター

セパレーション 隔離呪文、いつの間にか使っていた魔法

クロアがルーを作ったあとに覚えている内容は、ルーを作る際、必要だったものです。

読者と作者にやさしいハーマイオニー

上手く伝わっているだろうか 僕の気持ちかな?

分かるような分からないような感じ 僕もそうなので、深く気にせず、こういうもんなんだな、程度の認識でいいです。

八千字 この話の文字数、どこで切ろうか考えずに書いてたらこうなった、無意識っておそロシア ちなみに、あとがきとかも含めたらたぶん九千字 一万字記念は別の機会に取っておきます。
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