パズル&ドラゴンズ~もうひとつの旅~   作:葉之和 駆刃

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最終話 伝説の大地・改~ラストダンジョン・コンティニュー~(その壱)

 ユウナの目の前に、一本の剣が降りてきた。それは、黄金色の光を放っていた。ユウナはそれを握り、皆に言った。

 

「行こう」

 

 それをきいた四人は同時に頷き、そして走り出した。間もなく、最後の決戦が始まる。この世界を守るために、女たちは立ち向かうのだった。

 

 

 

最終回 伝説の大地・改(ラストダンジョン・コンティニュー)

 

 

 SPの中は、炎の海と化している。近づくものは、何であろうと無差別に飲みこまれてしまう。そして飲みこまれたものは、プログラムごと分解され、消去されてしまうのだ。ユウナたちは、近づくに近づけない状態を強いられている。

 

「どうすんの? これ」

 

 その様子を見ながら、不安気にミカが言った。ユウナは考えた。どうにか近づく方法はないかと。しかし、うまくいきそうな方法は出てこない。五人は岩陰に隠れ、サタールの様子を窺った。サタールの周りにだけ、炎がない。サタールは両手を大きく広げながら、高笑いをしている。

 

「どうしよう……」

 

 アカリも、弱気な表情を見せる。しかし闘うと決めた以上、後には退けないとユウナは思った。突破口は、必ずどこかにあるはずだ。ユウナは、考えを巡らせた。その間にも、炎はどんどんSP中に広がっていく。

 

「もう時間ないって! ユウナ、何か思いついた?」

 

 ミカが、ユウナを急かす。するとアカネも、

 

「その剣、使えへん?」

 

 と、尋ねてきた。

 

「え……。これ、ですか……?」

「それは、あんたにしか使えへんねんやろ? なんか、感じることない?」

「え……、と……」

 

 ユウナは、手にしていた黄金の剣をさらに強く握ると、目を閉じて精神を集中させる。ほかの四人も、黙ってその様子を見守った。するとどこからか、ユウナの耳に声がきこえてくる。

 

『……しに、……れ……』

「何か……、きこえます」

「えっ……?」

 

 ユウナが言うので、四人は辺りを見回す。しかし近くには、四人以外は誰もいないようだ。

 

「ほんとに、きこえるん?」

「はい。たしかに、きこえるんです」

 

 ユウナは主張した。たしかに、僅かだが何者かの声がきこえてきたのだ。ミカとアカリは疑うように、互いの顔を見合わせている。その時だった。五人を、巨大な影が覆った。ユウナは上空を見上げると、そこには、あるモンスターがいた。それは、「太陽龍プテラドス」で、フギンが使っていたプテラドスが進化した姿だ。それを見て、ユウナはハッとした。

 

「私に話しかけていたのって……、あなた……?」

 

 太陽龍プテラドスはユウナの前に降りてくると、

 

『私に、乗れ……』

 

 と、言った。きっと、これは黄金の剣の力によるものだとユウナは思った。その力で、プテラドスの言葉がわかるのだ。ユウナは、

 

「乗れって……」

 

 そう言って戸惑いを見せると、ミカが背中を押してきた。

 

「きっと助けに来てくれたんだよ。ユウナのために、力になろうって。だから、行って。私たちも、すぐ応援に行くから」

 

 ミカは、ユウナに笑いかける。それを見てユウナも、

 

「うん!」

 

 と頷き、プテラドスに乗った。この時、ユウナにはわかった。太陽龍プテラドスの正体は、フギンが使っていたあのプテラドスだろう。フギンが、自分たちのために送ってきてくれたのだ。ということは、フギンもこの近くにいるはずだ。そう思うだけで、ユウナには心強かった。そして、ユウナを乗せたプテラドスは飛び上がった。空からならば、炎に触れるということはない。ユウナは、また剣を強く握りしめた。

 

 サタールのところまで行くと、

 

「ほぅ。やはり、剣は君の手に渡ったか」

 

 と、サタールは笑った。この剣さえあれば、SPの支配者となれる。しかし、サタールは余裕の笑みを浮かべている。ユウナは、そのことに対して奇妙に思った。普通であれば、危機感を抱くはずなのだが。すると、サタールが言うのだった。

 

「たしかに、黄金の剣さえあれば、この世界を支配できる。だが、それを生成したのは私だ。故に私は、その力をコントロールすることができるのだ。剣の力を、無効化することも可能だ」

 

 それをきいたユウナは、どうしようかという気持ちに陥る。サタールの言葉がきこえたのか、ミカも怒りを顕わにした。

 

「何よ、それ! あいつ、最初っから剣はこっちに譲るつもりだったのよ!」

 

 ユウナがサタールに対して、どのようにして戦おうか考えていると、

 

『大丈夫、きっと突破口はある』

 

 と、プテラドスがユウナに語りかけてきた。ユウナはそれをきいて少しだけ安心するが、勝てないのではないかという気持ちもある。サタールは、そんなユウナの様子を見ながら、また高笑っている。

 ユウナは次第に悔しくなり、唇を噛みしめる。どうすればよいのか、そればかりが脳裏を駆け巡った。それから数十分が経過したが、ユウナはただ炎の上を飛び回ることしかできていない。やがて、プテラドスも疲れてきたように、汗を流し始める。それに気づいたユウナが、

 

「大丈夫?」

 

 と呼びかけるが、プテラドスは言った。

 

『心配するな。ちょっと疲れた、どうか冷静に考えてくれ』

「わかった」

 

 ユウナはプテラドスの言う通り、何とかしようと頭の中で考えを巡らせる。しかしついに耐え切れなくなったのか、プテラドスは急降下を始めた。

 

「頑張って!」

 

 ユウナは、プテラドスを鼓舞した。

 

『わかってる……、くっ……』

 

 プテラドスは、辛そうな表情を見せつつ言った。そしてまた上昇しようとするが、うまく翼を動かせない。それを見ていたサタールは、

 

「どうした、もう終わりか」

 

 と、嘲笑しながら言う。ユウナも、悔しさに打ちのめされながらそれを見ていた。どうすればよいのだろうか。ユウナは、必死に考えを巡らせていたのだった。

 

 その頃、慎一郎が悠二郎の部屋を訪れていた。ドアを開けると、そこには浮かない顔をした悠二郎の姿があった。テーブルに両肘をつき、下を向いている。慎一郎が来たことにも、気づいていないようだ。慎一郎が、

 

「おい!」

 

 と声をかけると、ようやく悠二郎は気がついた。

 

「あ、ごめん。兄貴、そっちはどうだった?」

「あぁ、今はみんなが交代で傍についてる」

「そっか……」

 

 悠二郎が呟くと、慎一郎は向かいの席に座った。

 

「今頃、必死に戦ってくれてるよ。だから、もう少し待とう。辛いのは、お前だけじゃないからさ」

「そうだな……」

「大丈夫、心配すんな! きっと、すぐに終わるさ」

 

 落ちこむ悠二郎を、慎一郎は全力で励ます。それをきき、悠二郎も顔を上げた。すると、慎一郎が笑いかけてくる。それを見て、なぜだか少し安心できた。ユウナはきっとやってくれる、そう思えたからだろう。

 

 病院では、変わらず正彦がベッドに横になっていた。以前と比べて、かなり弱ってきている。ここ数日、美千子は四六時中正彦につきっきりだ。それ以外の者は慎一郎の言った通り、交替で正彦の病室を訪れていた。

 戸が開き、ヒロインが入ってきた。

 

「教授、調子はどうですか?」

「あぁ……、大丈夫だ……」

 

 力ない声で、正彦は答える。ヒロインは、持ってきた花束を美千子に渡した。美千子はそれを受け取ると、花瓶に入れ替える。すると、正彦は天井を見つめながら呟いた。

 

「悔しいなぁ……。私はまだまだ生きなければならないのに……、これは罰が当たったのかもしれないな……」

 

 それをきいた美千子は戻ってきて、

 

「何言ってるの。治るわよ、絶対。だから、諦めちゃダメ」

 

 と、正彦に言った。するとヒロインも、こう発言する。

 

「そうですよ、頑張りましょう。早く元気になって、どうか皆さんのところに戻ってきてくださいね」

「ありがとう。そう言ってくれるだけで、私は嬉しい……」

 

 次に、美千子が正彦にきいた。

 

「……心配なの、彼女たちのこと」

「あぁ、無論だ。しかし、彼女たちならどうにかしてくれる。きっと、あやつらを倒してくれる。私は、そう信じているのだ。しかし……、昔あやつを見殺しにしようとした私にも、神は微笑んではくれんだろう……」

「あなた……」

 

 美千子が、さらに不安気な表情で正彦を見つめると、正彦は続けた。

 

「美千子。たった今、初めてあの子にあった日のことを思い出していた……」

「あの子って、ユウナちゃんのこと?」

「あぁ。あれは二十年ほど前の、ちょうど今くらいの季節だったかな。私が一時期東京に戻っていた時、商店街の福引券を何十枚も手に入れてな。どうしても一等を当てたくて、何度も挑戦したが駄目だった。その時、あの子が現れたんだ。一枚の福引券を手に、私を不思議そうに見ていた。それを見て、ピンと来たんだ。この子なら、私の代わりに一等を当ててくれるのではないか……ってな。そして、十枚の福引券を渡した。あとからきいた話では、本当にあの時、一等を当てていたそうだ。それをきいた時は、魂消てしまったよ」

 

 正彦が語るのをきいて、

 

「そうだったの……」

 

 と、美千子も相槌を打つ。

 

「それを知って、私はあの子にますます興味が湧いた。そして、あの子をあの世界を救う勇者に選んだんだ」

「あなたが選んだこと、言わなくていいの? 神に選ばれたとか言って、本当はあなたが自分で選んでいたんだって」

 

 美千子の話をきくと、正彦は黙った。そして、

 

「君が言ってくれるか?」

 

 と言うと、美千子は答えた。

 

「嫌よ。自分で言ってちょうだい」

 

 それをきき、正彦は微笑していた。

 

「そうだな……」

「そうよ」

 

 二人のやり取りを、横でヒロインも見ていた。こんなに仲のよい夫婦は、ヒロインでも見たことがない。そして、また自分の過去と重ね合わせていたのだった。

 

 一方で、ユウナの危機的な状況は続いていた。ユウナを乗せたプテラドスは、少しずつ落ちていっている。サタールは、

 

「わはははは! どう足掻いても、私には勝てん!」

 

 と言い、笑っている。真下は、黒い炎の海だ。落ちてしまうと、ユウナやプテラドスも分解されてなくなってしまう。下を見ると、炎は数センチ先にまで迫ってきている。もうだめだ、そう思った時、突然どこからか光が射してきた。その眩しさのあまり、ユウナは目を瞑った。そして恐る恐る目を開けてみると、目の前にはなんとオーディンがいたのだ。

 

「オー……、ディン……?」

 

 ユウナは呟いた。オーディンは、丸いバリアーのようなものを創り出し、それによってユウナとプテラドスを守った。サタールは、

 

「な、なぜオーディンがここに……!」

 

 と、驚いた目を向けている。オーディンが創り出したバリアーは、ユウナとプテラドスを包みこみ、宙に浮いたままミカたちのいるところに連れていった。到着すると、優しくユウナたちを下ろし、消えていった。オーディンは、サタールの目の前で水を生み出した。すると、それによって黒い炎は見る見るうちに消えていく。その様子を見ながら、これはオーディンの魔術だろうとユウナは思った。

 

 数分後、水によって炎は完全に消滅した。サタールは、纏っていたマントで水を防いだ。

 

「ぐぬぬぬぬ……! おのれ……!」

 

 サタールは、歯をギシギシ言わせている。それを、遠くからユウナたちも見ていた。

 

「あいつ、今度は何してくる気だろう」

 

 ミカは、また不安気に言った。サタールも、また奥の手を用意してくるはずだ。それが何であれ、こちらもこちらで手を打たなければならない。

 すると、サタールが両手を広げる。

 

「私をここまで本気にするとは……。いいだろう、最終兵器に驚くがいい」

 

 サタールが言うと、地面が縦に揺れ始める。ユウナたちは、その衝撃でその場にしゃがみこんだ。すると地面がひび割れ、サタールの後ろから巨大なモンスターが出現する。

序盤のキャラで、最も印象深い登場人物は?

  • 中谷優奈
  • 鶴ケ崎麗菓
  • 月見里美香
  • 夢野あかり
  • 池谷大輝
  • 相場善秀
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