この日警視庁に新しい刑事が3名配属されることとなった。1人は管理官直属の補佐に任命され残る2人は警視庁捜査1課に配属された。捜査1課では新しく配属される刑事についての噂話が広まっている。
「高木さん。知ってます?今日新しく配属される刑事のこと。」
「ああ。そのことだろ?知ってるよ。何でもある人を追っているとか。」
「そうなんですよね。確かその人が追ってる人の名は・・・。」
「山猫でしょ?最近巷で有名なコソドロの。」
「佐藤さん!?てか山猫をご存知だったのですか?」
「あれだけ世間を騒がせてりゃ嫌でも耳に入ってくるわよ。でも、その山猫を追っている刑事もかなりの曲者って噂よ?」
捜査1課の刑事たちがヒソヒソ噂話をしているのも束の間、捜査1課の部屋に警部が新しい刑事を連れてやってくる。その警部はハットを被っており太った体型をしている。
「えー、皆知ってると思うが本日より捜査1課に配属されることになった霧島さくら君だ。」
「霧島さくらです。よろしくお願いします。」
「そしてもう1人捜査1課に配属されることになった・・・。」
と、警部が言いかけたときだった。扉が突然『バンッ!!』と開いたかと思うと強盗犯がボコボコにされて吹っ飛ばされてきた。そして、牛乳パックを片手にソフトモヒカン?にパーマをかけた感じの派手な身なりの男が姿を現した。そして、男は皆の前で強盗犯の胸ぐらを掴んだ。
「おい、あまり調子に乗ってんじゃねぇぞ?」
男の派手な登場に皆は唖然としていた。そして霧島さくらはそんな男を見るなり呆れたように頭を抱えている。一瞬ポカーンとしつつも警部は男の名を呼ぶのであった。
「あの、犬井君?」
「あ、どうも。本日付けで捜査1課に配属されることになりました犬井です。」
「そう言う訳でまだ分からないこともあるだろうから皆しっかり教えてやってくれ。」
一瞬周りが唖然とするも警部による新人紹介は終了する。
「あの、かなりの曲者とは聞いてましたが想像以上でしたね。」
「千葉、俺もそれを言おうと思っていたところだよ。」
そして管理官の部屋では管理官と管理官の補佐に任命される男が話している。管理官は白髪で眼鏡をかけた強面の顔をしており、顔に火傷を負っている。眼鏡の片方のレンズは黒くなっており、何かの事故で目を負傷し片方が義眼であると噂されている。そしてこの度管理官の補佐に任命された男は40過ぎのダンディな感じの男である。
「君の話しはいろいろと聞いているよ。関本君。」
「これはこれはご丁寧にどうもありがとうございます。黒田管理官殿。」
「しばらくは慣れないだろうがこれからもよろしくな。」
「いえ、こちらこそ。」
黒田管理官と関本補佐の挨拶のやり取りは互いにどこか笑みを浮かべ合っていた。まるで何かの取り引きをするかのように。
そして、ここはとある喫茶店。この喫茶店は共同の建物の1階に設けられており、2階には探偵事務所が設けられている。この日喫茶店に髭を生やし背広を着た男性と長髪の女性と眼鏡をかけた少年の3人が食事をしに来ていた。髭を生やした男性は新聞を片手にコーヒーを飲みながら先日殺害されたどこかの企業の社長の話をしていた。
「しっかし、どう見てもこりゃ強盗殺人にしか見えないがな。」
「私も最初はそう思ったけど、山猫が関係しているかもしれないと聞いて状況が変わったって言ってたよ?」
「山猫って言えば最近巷で有名なコソドロか?何でも盗みを働くと同時に悪事を暴く現代版のネズミ小僧ってもっぱらの噂じゃねぇか。」
「でも変だよね?山猫が関係しているかもしれないってなった途端に強盗殺人の線は薄くなったんでしょ?容疑者は上がってるのに、盗んだ犯人と殺した犯人が別にいるって決まっちゃうなんてさ。そんなの絶対おかしいよ。」
「フン。それにはちゃんとした理由があるんだよ。」
そして、男性が理由を述べようとした時だった。金髪で色黒の肌をしておりエプロンを身に付け、その喫茶店でバイトしている男性が少年に耳打ちをした。
「山猫は決して人を殺さない。そう言われているからだよ。コナン君。」
「安室さん。」
「安室さんも山猫を知っているのですか?」
「えぇ。と言っても噂を耳にした程度で実際に会った訳ではありませんが。」
「そうなんですね。私も安室さんと同じ程度しか知らないからまだ半分は都市伝説だと思っていますけどね。」
「それは仕方ありませんよ。蘭さんも実際にお会いした訳ではありませんから。」
「えぇ。」
「何にせよ、何かモヤモヤするんだよな?この事件。この妙な胸騒ぎがするか何と言うか。」
「それは僕も同じですよ。毛利さん。」
皆が疑いを掛ける中、コナンと呼ばれる少年もまた同じ事を考えていた。
「何だ?このとてつもなく嫌なことが起こりそうな感じは?とにかくこれはただの殺人じゃねぇぞ。」
そして、コナン達が食事をしている席から離れた席ではジャケットを羽織った男がコーヒーを飲んでいる。男の耳にはイヤホンが付けられていた。