雪風の青髪少女   作:【時己之千龍】龍時

2 / 10
第02話 ルイズの魔法

SIDE 灼煉院(シャクレンイン) 龍燕(シエン)

 

 俺は夜明け前に目を覚ました。ふと、隣で寝ていたタバサを見てやると可愛らしく寝息を立てている。一緒に寝ていた理由は、使い魔として左手に刻まれた印がタバサが本で出てくるイーヴァルディ……勇者らしく気に入られ、俺は壁に背を預けて床で寝ると言ったが「一緒に寝る」と強く言われたため一緒に寝ていた。

 

 タバサを起こさないようにそっと起き、朝の鍛錬をしに外に出た。朝の鍛錬は元いた世界では日課のようなものでこちらに来てしまっても変わりなく続けるつもりだ。

 

SIDE OUT

 

 

 

 

 朝の鍛錬を終えた龍燕(シエン)はタバサの部屋に戻った。

 

「ただい、たばさ?」

 

 扉を開けた龍燕(シエン)は、タバサが寝台の上で泣いているのを見て驚いた。龍燕(シエン)に気づいたタバサは途端に龍燕(シエン)へ飛びついた。

 

「良かった、夢…じゃ、なかっ…た」

 

 その途切れ途切れの言葉から龍燕(シエン)はそうだったのかとタバサに謝った。

 

「ううん。それより何処に行っていたの?」

「日課の、朝の鍛錬に行っていた」

「そう…。今度からは一言言ってね」

「ああ」

「無理に起こしてもいいから」

「それはさすがに…迷惑を掛けるから」

「大丈夫だから」

 

 そう言うとタバサは制服に手を伸ばした。

 

「あ、着替えか?なら俺は廊下に出て「出なくていい」いやでも「問題ない」…」

 

 廊下に出ようとした龍燕(シエン)をタバサは止めた。そして妥協点としてタバサが着替えている時も一緒にいる。その代わり龍燕(シエン)はその間後ろを向いているということで納得してくれた。

 

 食堂に向かう途中、龍燕(シエン)はタバサにお願いをした。

 

「タバサ、ご飯は別に食べないか?」

「えっ?」

 

 タバサは振り返り、うっすらとだが泣き出しそうになっていた。

 

「あ、いや…昨日の夕飯を食べている時に周りからの視線がかなり気になってな」

「…そう。わかった、シエンの分は使い魔用の賄い飯をお願いしておく。厨房裏から訪ねてみて」

「わかった」

 

 タバサはかなりガッカリとした感じだったが、龍燕(シエン)も人に嫌な目でこそこそ悪口を言われながらだと食が進まないから聞いてくれてよかったと思った。

 

 龍燕(シエン)はタバサから言われた厨房裏に行ってみた。

 

「ここがそうかな」

 

 建物の造りからここかなというところを見つけ、ちょうどそこから出てきた黒髪の少女に尋ねてみる。

 

「すまないが、ここが厨房裏であっているか?」

「はいそうですが?…あ、ミス・タバサの使い魔ですね。厨房でも噂になっていましたよ」

「噂か」

「はい。今回の召喚の儀式で初めて人間が召喚されたって。しかも二人も」

 

 少女の話す話に龍燕(シエン)は二人?と復唱してしまった。自分以外にも召喚されてしまったのがいたんだなと龍燕(シエン)は思った。

 

「ええ。まだお会いしたことないみたいですね。私ももう一人の方はまだですが。あ、朝食でしたね?どうぞ中に入ってください。すぐに用意しますから」

 

 龍燕(シエン)は厨房に入り、そこにあった椅子に座った。

 

「どうぞ」

「ありがとう」

 

 少女は龍燕(シエン)の前に白い汁とサラダ、それからパンを三つ置いた。龍燕(シエン)は初めて見る白い汁から掬いで食べてみた。

 

「おお、これはうまいな。なんていう料理なんだ?」

「シチュウですよ。初めて食べるんですか?」

「ああ初めてだ。俺のいたところと食文化が違うみたいだな」

「そうなんですか」

 

 それから龍燕(シエン)はサラダを食べる。一口口に運んだところで少女はあっと声を漏らした。

 

「苦いでしょう?その葉はハシバミ草と言って飾りに使われているんです」

「飾り?俺的にはうまいと思うんだがな。タバサも昨日の夕食でよく食べていた」

「そうなんですか」

 

 少女は不思議そうだった。少女はおそらくこの葉は好きではなく、周りでも残す人ばかりだったのかもしれない。

 

「そういえば、お互い名乗っていなかったな。俺は龍燕(シエン)だ。灼煉院(シャクレンイン)龍燕(シエン)

「私はシエスタです」

 

 お互いに名乗り、龍燕(シエン)はお代わりをしながら食べていく。話によれは、このシチュウとかはあまるとすぐに捨ててしまうそうだ。龍燕(シエン)はもったいないなと思いながら完食していった。

 

「ごちそうさま。そうだ、今度俺のいた国の料理を振舞おう。こんな美味いものをくれたお礼にな」

「ありがとうございます。楽しみにしていますね」

 

 龍燕(シエン)は残り物というシチュウをたくさん食べ、珍しかったパンを二つ貰っていった。

 

 

 

 

 

----- 中庭

 

 龍燕(シエン)は噴水前に腰を掛け、パンをかじりながらタバサを待っていた。

 

 すると食堂から黒髪の少年が物足りなそうに出て来た。

 

「どうした?」

「それがルイズにご飯を少ししか貰えなくて……貴方、は?」

 

 少年は不意の声に答え、龍燕(シエン)を見て顔を変えた。

 

「その黒髪に黒い瞳…日本人ですか!」

「いや、羅暁人(ラギョウジン)だ」

「そうですか…」

 

 少年はがっかりしたように肩をガクッと落とした。

 

「君も召喚されたのか?」

「貴方も?」

「ああ、任務中の事故でな。気づいたらここだ」

「そうですか。僕だけかと思ってましたよ。あ、僕は平賀(ヒラガ)才人(サイト)っていいます」

「発音は俺の国と同じだな。俺の名は灼煉院(シャクレンイン)龍燕(シエン)だ」

 

 才人(サイト)も名を聞いて驚いていた。

 

「もしかして漢字とかってあります?」

 

 龍燕(シエン)は頷いて、空間モニターに自分の名を表示した。

 

「漢字だ!いやそれよりこれスゲェ!!」

 

 才人(サイト)は空間モニターに凄く驚いていた。

 

才人(サイト)の国にはないのか?」

「実現はしてないよ!漫画とかアニメとか…物語の世界だけだ」

「物語の世界か」

 

 龍燕(シエン)は呟くと才人(サイト)の腹が鳴った。

 

「腹が減っているようだな。これを分けよう」

 

 龍燕(シエン)はもう一つのパンを才人(サイト)にあげた。

 

「いいんですか?有難うございます」

 

 才人(サイト)は嬉しそうに食べはじめた。

 

「しかし酷いな、君の主は。ルイズと言っていたか」

「掃除やら洗濯やら全部使い魔だからって押し付けて来るんだ。抵抗すると体罰とかしてくるし、大変なんだよ」

「体罰?それは酷いな」

「ちょっと!そこのあんた!」

 

 話しをしていると桃色髪の少女が出て来た。才人(サイト)は声だけで振るえていた。

 

「あんた、人の使い魔に勝手に餌付けしないで頂戴!」

「餌付けだと?」

 

 龍燕(シエン)は立ち上がった。

 

「餌とはどういう事だ?使い魔であっても人だぞ、人間だ!」

「なにあんた?平民の分際で貴族の私に盾突く気?」

「地位など関係ない。人を奴隷のように言っている事を言っているんだ」

「はぁ?なに言ってんの?何処の馬鹿よ。自分の使い魔なんだから別にいいじゃない」

「お前は…ここに住む者達は平等と言うことを知らないんだな」

 

 龍燕(シエン)は殺気をたて、言った。

 

「ここの者等は自分より下と思った相手を何とも思わないんだな」

「あんた……私に喧嘩売ってんの?」

 

 ルイズは杖を取り出した。

 

「そんな物で俺をどうする気だ?」

「貴族を怒らせたらどうなるか思い知らせる!」

 

 ルイズは呪文を唱え始めた。

 

才人(サイト)、俺の隣に立て」

「え?」

 

 才人(サイト)龍燕(シエン)の隣に立った。同時にルイズは呪文詠唱を終え、杖を振り落とす。龍燕(シエン)のいたところは爆発が起こり、砂埃が立った。

 

「どう、思い知った?」

「そんなもの俺には効かない」

「え?」

 

 ルイズは声の聞こえた方を振り返った。

 

「なんであんたが私の後ろに立ってんのよ!?」

 

 ルイズは驚愕し、声をあげた。

 

瞬動(シュンドウ)で移動したからだ。それとお前の魔法は他とは違うな」

「?どういう意味よ!爆発するから?」

「その様子だと『意図的に』ではないのか」

「そんなわけないでしょ!!」

 

 龍燕(シエン)は少し思考し、言う。

 

「お前はその爆発以外は使ったことないのか?」

「…そうよ」

 

 ルイズは腕を組み、目を逸らして答えた。

 

「お前の魔法は魔法として完成し、発動させるときに何かに掻き消され、形を失った力が辺りに散り、爆発を起こしている」

「え?」

 

 ルイズはその言葉に驚いて振り返った。

 

「それってどういう事?」

「俺の目にはそう見えた。何に掻き消されているのかは調べないとわからないがな」

「……それって本当?」

 

 ルイズは疑うような顔をして言った。

 

「嘘は言わない」

「…その『何か』はどうにかなるの?」

「『何か』を調べないとわからないが直せないなら封じる物を作ればいい」

「出来るの?」

 

 ルイズは真剣な目で龍燕(シエン)に言った。

 

「出来ない事もないが約束してほしい」

「何を?」

 

 龍燕(シエン)は真剣な顔で言った。

 

「人を奴隷のように扱うのをやめろ」

「…わかったわ」

 

 龍燕(シエン)は約束を交わした後タバサと合流した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。