SIDE
俺は夜明け前に目を覚ました。ふと、隣で寝ていたタバサを見てやると可愛らしく寝息を立てている。一緒に寝ていた理由は、使い魔として左手に刻まれた印がタバサが本で出てくるイーヴァルディ……勇者らしく気に入られ、俺は壁に背を預けて床で寝ると言ったが「一緒に寝る」と強く言われたため一緒に寝ていた。
タバサを起こさないようにそっと起き、朝の鍛錬をしに外に出た。朝の鍛錬は元いた世界では日課のようなものでこちらに来てしまっても変わりなく続けるつもりだ。
SIDE OUT
朝の鍛錬を終えた
「ただい、たばさ?」
扉を開けた
「良かった、夢…じゃ、なかっ…た」
その途切れ途切れの言葉から
「ううん。それより何処に行っていたの?」
「日課の、朝の鍛錬に行っていた」
「そう…。今度からは一言言ってね」
「ああ」
「無理に起こしてもいいから」
「それはさすがに…迷惑を掛けるから」
「大丈夫だから」
そう言うとタバサは制服に手を伸ばした。
「あ、着替えか?なら俺は廊下に出て「出なくていい」いやでも「問題ない」…」
廊下に出ようとした
食堂に向かう途中、
「タバサ、ご飯は別に食べないか?」
「えっ?」
タバサは振り返り、うっすらとだが泣き出しそうになっていた。
「あ、いや…昨日の夕飯を食べている時に周りからの視線がかなり気になってな」
「…そう。わかった、シエンの分は使い魔用の賄い飯をお願いしておく。厨房裏から訪ねてみて」
「わかった」
タバサはかなりガッカリとした感じだったが、
「ここがそうかな」
建物の造りからここかなというところを見つけ、ちょうどそこから出てきた黒髪の少女に尋ねてみる。
「すまないが、ここが厨房裏であっているか?」
「はいそうですが?…あ、ミス・タバサの使い魔ですね。厨房でも噂になっていましたよ」
「噂か」
「はい。今回の召喚の儀式で初めて人間が召喚されたって。しかも二人も」
少女の話す話に
「ええ。まだお会いしたことないみたいですね。私ももう一人の方はまだですが。あ、朝食でしたね?どうぞ中に入ってください。すぐに用意しますから」
「どうぞ」
「ありがとう」
少女は
「おお、これはうまいな。なんていう料理なんだ?」
「シチュウですよ。初めて食べるんですか?」
「ああ初めてだ。俺のいたところと食文化が違うみたいだな」
「そうなんですか」
それから
「苦いでしょう?その葉はハシバミ草と言って飾りに使われているんです」
「飾り?俺的にはうまいと思うんだがな。タバサも昨日の夕食でよく食べていた」
「そうなんですか」
少女は不思議そうだった。少女はおそらくこの葉は好きではなく、周りでも残す人ばかりだったのかもしれない。
「そういえば、お互い名乗っていなかったな。俺は
「私はシエスタです」
お互いに名乗り、
「ごちそうさま。そうだ、今度俺のいた国の料理を振舞おう。こんな美味いものをくれたお礼にな」
「ありがとうございます。楽しみにしていますね」
----- 中庭
すると食堂から黒髪の少年が物足りなそうに出て来た。
「どうした?」
「それがルイズにご飯を少ししか貰えなくて……貴方、は?」
少年は不意の声に答え、
「その黒髪に黒い瞳…日本人ですか!」
「いや、
「そうですか…」
少年はがっかりしたように肩をガクッと落とした。
「君も召喚されたのか?」
「貴方も?」
「ああ、任務中の事故でな。気づいたらここだ」
「そうですか。僕だけかと思ってましたよ。あ、僕は
「発音は俺の国と同じだな。俺の名は
「もしかして漢字とかってあります?」
「漢字だ!いやそれよりこれスゲェ!!」
「
「実現はしてないよ!漫画とかアニメとか…物語の世界だけだ」
「物語の世界か」
「腹が減っているようだな。これを分けよう」
「いいんですか?有難うございます」
「しかし酷いな、君の主は。ルイズと言っていたか」
「掃除やら洗濯やら全部使い魔だからって押し付けて来るんだ。抵抗すると体罰とかしてくるし、大変なんだよ」
「体罰?それは酷いな」
「ちょっと!そこのあんた!」
話しをしていると桃色髪の少女が出て来た。
「あんた、人の使い魔に勝手に餌付けしないで頂戴!」
「餌付けだと?」
「餌とはどういう事だ?使い魔であっても人だぞ、人間だ!」
「なにあんた?平民の分際で貴族の私に盾突く気?」
「地位など関係ない。人を奴隷のように言っている事を言っているんだ」
「はぁ?なに言ってんの?何処の馬鹿よ。自分の使い魔なんだから別にいいじゃない」
「お前は…ここに住む者達は平等と言うことを知らないんだな」
「ここの者等は自分より下と思った相手を何とも思わないんだな」
「あんた……私に喧嘩売ってんの?」
ルイズは杖を取り出した。
「そんな物で俺をどうする気だ?」
「貴族を怒らせたらどうなるか思い知らせる!」
ルイズは呪文を唱え始めた。
「
「え?」
「どう、思い知った?」
「そんなもの俺には効かない」
「え?」
ルイズは声の聞こえた方を振り返った。
「なんであんたが私の後ろに立ってんのよ!?」
ルイズは驚愕し、声をあげた。
「
「?どういう意味よ!爆発するから?」
「その様子だと『意図的に』ではないのか」
「そんなわけないでしょ!!」
「お前はその爆発以外は使ったことないのか?」
「…そうよ」
ルイズは腕を組み、目を逸らして答えた。
「お前の魔法は魔法として完成し、発動させるときに何かに掻き消され、形を失った力が辺りに散り、爆発を起こしている」
「え?」
ルイズはその言葉に驚いて振り返った。
「それってどういう事?」
「俺の目にはそう見えた。何に掻き消されているのかは調べないとわからないがな」
「……それって本当?」
ルイズは疑うような顔をして言った。
「嘘は言わない」
「…その『何か』はどうにかなるの?」
「『何か』を調べないとわからないが直せないなら封じる物を作ればいい」
「出来るの?」
ルイズは真剣な目で
「出来ない事もないが約束してほしい」
「何を?」
「人を奴隷のように扱うのをやめろ」
「…わかったわ」