雪風の青髪少女   作:【時己之千龍】龍時

3 / 10
第03話 授業

 龍燕(シエン)はタバサに頼み、授業の風景を観ることにした。理由は簡単で、何もすることがないからだ。

 

 しかし、この授業の先生を務めていた人は『教師』にしては少しズレていた。

 

「──つまり、四大系統の中で一番強いのは『風』の系統。理由はどんな魔法でも吹き飛ばす事が出来るからである」

 

 先生は何故か自分の系統を自慢げに話しているのか?何故風の系統を一番強いと言い切れるのか?理由もおかしい。どんなものでも相性があるから、一番強いと言うのは納得がいかない。

 

 国にいた頃自分も人に教える仕事もやっていた龍燕(シエン)は疑問を感じ、タバサに言うと「あの先生は元々ズレてる」と言い返された。『元々ズレている』と言っても納得が行かず、授業を終えた後その先生を追った。

 

「何かね?ああ、君はミス・タバサの」

「先程の授業を見せてもらいました」

「そうか。でも平民の君には難しいかっただろう?何か知りたい事があるのかね?」

「先程の授業で腑に落ちないところがあったのでいいにきました」

 

 すると先生の顔が一変した。

 

「腑に落ちないところ?」

「授業中にキュルケの炎を掻き消していたが、使い方次第でその『風』を『炎』で防ぐ事が出来る」

「魔法も使えん平民が何を言っているんだ?」

「確かに俺はここの魔法は使えないが『炎を操る能力』はある」

「何かねそれは?」

 

 疑うような顔で龍燕(シエン)を見た。

 

眞炎流(マエンリュウ)炎流技(エンリュウギ)炎弾(エンダン)』」

「平民が魔法を?」

「魔法とは違うが。先生自慢の風で攻撃してみるといい、俺はそれを防ぎ、風が一番とか何が一番とか、そういう頂点系なものが消える」

 

 先生は嘲笑した。

 

「それは本気で言っているのかね?」

「出来ないんですか?」

「ぐっ…いいだろう」

 

 先生は呪文を唱え、杖を振るった。

 

「エア・ハンマー!」

眞炎流(マエンリュウ)術式装填技(ジュツシキソウテンギ)轟腕拳正(ゴウワンケンセイ)』」

 

 龍燕(シエン)はエア・ハンマーを炎弾(エンダン)を纏わせた手の甲を叩き込み、相殺させた。

 

「なんだ今のは?」

「次だ。それくらいの魔法なら能力は必要ない」

「なんだと!」

 

 さらに杖を振り、エア・ハンマーを飛ばした。

 

眞炎流(マエンリュウ)格闘術(カクトウジュツ)破顔(ハガン)掌破(ショウハ)』」

 

 龍燕(シエン)格闘術(カクトウジュツ)で先生の魔法を砕いた。

 

「そんな馬鹿な」

「先生の魔法は中身が空だからだめなんだ。精神力をもっと上手く使って行けば強くなる。魔法も能力も使い方次第で強さが変わる。例えば『火』が『水』に勝つこともやり方次第で可能のようにな」

「蒸発……か。どうやら私は間違っていたようだ」

 

 先生はフッと笑った。

 

「私は……自分の魔法を過信し過ぎていたようだ。他に私に言うことはないかね?」

「他はない」

「そうか」

 

 先生は背を向き、歩き始めた。龍燕(シエン)もタバサのところへ戻った。

 

 

 

 

 次の授業の先生はごく普通の先生のようだった。がしかし、授業の途中生徒の皆は机の下に隠れた。

 

「シエンも早く」

 

 タバサが龍燕(シエン)を呼んだ。

 

「タバサ、隠れないでいい」

「え?」

「ルイズ」

 

 教卓の前に移動しようとするルイズを龍燕(シエン)は引き止める。

 

「何よ!あんたも私に「杖を持った手を出せ」?」

 

 龍燕(シエン)は束ねた紐をルイズの手首に付けた。

 

「なにこれ?」

「お守りだ。急いで作ったから何度もは使えない」

 

 ルイズは「もしかしてあの時の?」と思い出したように頷いた。

 

「有難う」

 

 ルイズは先生の前に立った。

 

「ではミス・ヴァリエール。始めて下さい」

 

 龍燕(シエン)は元の席に戻り、その様子を観る。隣に座るタバサは疑問に思い、龍燕(シエン)に聞く。

 

「何を付けたの?」

「お守りさ」

「お守り?」

 

 タバサは?を浮かべた。

 

 ルイズは錬金の呪文を唱えた。周りにいる龍燕(シエン)とタバサ以外は机の下に隠れていた。

 

 呪文詠唱を終え、ルイズは石に杖を振り落とした。同時に石は変わった。

 

「良く出来ましたね」

 

 先生はニコッと笑い、ルイズに言った。

 

「え…私、出来たの?」

 

 ルイズは机の上に乗る石を見た。

 

硝子(ガラス)じゃない…真鍮(シンチュウ)?」

真鍮(シンチュウ)ですね。席に戻っていいですよ」

「はい!」

 

 机の下に隠れていた生徒達は顔を出した。

 

「どうやら爆発は起きなかったようだね。不発だったのかな?」

 

 誰かが言うと他が叫んだ。

 

「おい見ろ!ゼロのルイズが石を真鍮(シンチュウ)に変えたぞ?!」

「何だって?」

 

 教室内はざわつき始めた。

 

「皆さん!授業中ですよ?次に関係ない事を言った人は『口』に土を詰めますよ」

 

 先生の言葉に生徒は黙り込んだ。

 

「質問があります」

「何ですか?」

 

 龍燕(シエン)は声を出した。

 

「その錬金は真鍮(シンチュウ)硝子(ガラス)ではなく、(キン)に変える事の出来るのはここの言葉でなんて言うんですか?」

「スクウェアクラスです」

「そうか。そのくらいか」

「?そのくらい、とは?」

 

 先生が聞いてきたため、龍燕(シエン)は後ろに(レン)を出した。

 

(レン)なら簡単だな」

「簡単?」

(レン)、あの先生の前にある真鍮(シンチュウ)(キン)に変えてくれ」

「わかった」

 

 (レン)は石の前に立ち、手を翳した。

 

「すみませんが…こんな小さい子ができるはず「変わって」え?」

 

 (レン)が言うと石は一瞬紅に輝き、光りが収まると(キン)に輝く塊が置いてあった。

 

「まさか…」

 

 そんな筈はと先生は思いながらも、その塊をじっと見て驚きの声を上げた。

 

「…そんな、本物だわ」

 

 先生は驚きの表情をすると同時に教室内はおおーと声が上がった。

 

(レン)、最後に石に変えてくれ」

 

 (レン)は頷いてまた手を(カザ)す。

 

「変わって」

 

 紅の光りを放ち、すぐに石に変わった。

 

「まさかこんな小さい子が、錬金を……やすやすと出来るなんて…」

 

 (レン)は一礼をして龍燕(シエン)のところへ戻った。

 

「休んでていいぞ」

 

 (レン)は頷いた。

 

 

 

 

 昼食より少し前、龍燕(シエン)才人(サイト)を捜していた。

 

「この辺りか…ん」

 

 少し広い中庭で人盛りがあった。

 

 龍燕(シエン)はそこに行くと才人(サイト)がいた。

 

才人(サイト)、なにかあったのか?」

「ギーシュっていう貴族の奴がシエスタを突き飛ばした挙げ句に、落とした物を拾ったら激怒したんだ!」

「それは酷いな。それでそのギーシュというふざけた者は何処にいるんだ?」

 

 龍燕(シエン)は辺りを見渡した。すると周りにいた一人が近づき、案内してくれた。

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。