──ヴェストリ広場
「諸君、決闘だ」
周りには観戦に来た生徒達が囲んでいた。
「あれがギーシュか」
「ああ」
「武器はないのか?」
「無いけど」
「奴は貴族だ。魔法を使って来るだろう。そうなれば太刀打ち出来なくなるが」
「でも…気に入らない。この世界の貴族とかメイジとか…」
「何だね君は?君も参戦するかね?まぁ二人でかかって来てもいいよ、万に一つと僕が負けるはず無いからね」
ギーシュは余裕の表情で言い放った。
「随分と余裕な事を言うな」
「
「いや、シエスタが酷い目似合ったとなれば俺は引かん」
「さぁ、準備はいいかね?」
「ギーシュ、お前は貴族と言って『魔法』を使うだろう」
「フン、何を当たり前な事を」
「決闘なら平等に。こちらは『刀剣』の使用を認めて貰おうか」
「刀剣?剣で僕に勝てると思っているのか?」
「そうだな……呪文を唱えるよりも早く振るえるからな」
余裕に勝てると思っているギーシュへ、
「なに?いいだろう…そこまで言うならもがき苦しめ!」
ギーシュは造花の杖を振り、二体の戦乙女を出した。
「才人、この太刀を使え。普通の大太刀よりは軽めだから、才人でも扱えると思う」
「
「あれくらい素手で十分だ」
才人に太刀を手渡され、それを掴むと手の甲が輝いた。
「体が軽い…」
一瞬その才人の異変に
「行こうか」
「ああ」
まず才人が動き、一体の戦乙女を両断した。続いて龍燕は向かって来た戦乙女の腹部を掌で触れる。
「
精神力で瞬間的に強い衝撃を飛ばし、戦乙女は吹き飛んでギーシュの脇を通り過ぎた。
「え、あ…」
ゆっくり振り返ったギーシュは、壁に減り込んだ戦乙女を見た。戦乙女は形状を留められず、徐々に崩れていき土と還った。
「自己紹介が遅れたな」
ギーシュは振り返った。その顔は恐怖の色と変わっていた。
「俺は
「──『
ギーシュは気圧され、一歩下がってしまう。
「君は平民じゃないのか?」
「俺は、『平民』とは一言も言ってないが?それに俺は、俺のいた国では貴族の上、帝王皇家だ」
「皇家?
才人が『皇家』に反応し始めた。
「王の子だったのか?」
「正しくは帝王の子だな」
才人の言葉に訂正した
「どうする?まだ続けるか?」
「う…う、うわあぁぁ」
ギーシュは造花の杖を振り、残りの戦乙女を出すが、
「終わりか?」
「決めろ。続けるか、終わりか。どっちだ?」
「お、終わりです!どうか命だけは!!」
ギーシュは泣きながら言った。それを
「何が『命だけは』だ」
「へ?」
「決闘は殺し合いとは違う。ギーシュ、負けを認めるか?」
「はい!」
ギーシュは身体を震わせながら答えた。
「なら約束しろ」
「約束?」
「まず『シエスタへ謝罪』。次に貴族だからと『平民』を見下すな。わかったな」
「はいっ、わかりました!!」
ギーシュは走って行った。
「
「才人、呼び捨てで構わん」
「え、でも…」
「歳もそんなに変わらないだろう?」
「はい」
その後
「早速だがまず、ミス・ヴァリエールの使い魔…名は何と言ったかの?」
「平賀才人です」
「うむ。ミスタ・コルベール、簡単な説明を」
「はい」
コルベールは話し始めた。
「サイト君の左手の甲に刻まれたルーンを調べましたところ、何と始祖ブリミルの使い魔、ガンダールヴであることが決闘の時にわかりました」
「始祖ブリミルの!」
ルイズは大きな声をあげた。
「シャクレンインシエン君」
「はい」
学園長は真面目な顔になった。
「決闘の時、王の子とか帝王の子とかを申していたが…それは本当か?」
「はい。しかし、証明できるのは…今は能力くらいしかありません」
学園長は眉間に皺を寄せた。
「あれだけの力を見れば証明したと同じじゃ。それにお主は本気を全く出しておらんかっただろう?」
他は皆驚いていた。
「シエン、それは本当?」
「ああ。百分の一も出してはいない」
「やはりな……。しかし、お主がそれだけ強いと王はさらに強いのだろう」
「そうなのか?」
するとコルベールが口を開いた。
「君はどんな世界から来たのかね?」
「科学の進んだ世界…と言って間違えないな」
「科学が進んだ?例えば今何かありませんか」
「そうだな。
「おお、これが!」
コルベールは
「俺の武己の煉双暁。二人はその
「私は
「
コルベールはますます釘付けになる。
「どういう作りになっているんだ?何処をどうみても人と同じだ!凄い!!」
「あ、あと隊舎がありますが…」
するとコルベールは顔をあげた。
「隊舎?」
「はい、この学園より広い隊舎があります」
「どこにあるのだね」
コルベールは目を見開いて言った。
「
「是非招待したまえ!」
「ミスタ・コルベール?」
学園長の声にコルベールはハッと正気に戻り、学園長は咳ばらいをして続ける。
「シエン君のルーンは、『イーヴァルディ』と言うそうじゃの?」
「はい」
「『イーヴァルディ』…よく物語に出て来る勇者じゃ。ミスタ・コルベールが調べたところ、『始祖ブリミルの隣で不可思議な炎の魔法を操り、一度(ヒトタビ)共に前に出ると始祖ブリミルの使い魔達を越える強さを誇った』そうじゃ」
それからそれぞれの主、ルイズとタバサを見た。
「『ガンダールヴ』と『イーヴァルディ』…その『二人』が再びこの世に現れたのはなにか、運命的なものかも知れない」
すると学園長はまた咳ばらいを始めた。
「よって、この事は王宮には報告はしない」
「なんですと?」
学園長の言葉にコルベールが声をあげた。
「何故王宮に報告しないのですか?」
「馬鹿もん。そんなことをすれば引き渡せなどと言って大騒ぎになるじゃろう。よってこのことは『内密』とする。良いな?」
「わ、わかりました」
「はい」
ルイズとタバサが答えた。
「サイト君とシエン君もそれで良いな?」
「はい」
「構いません」
話しを終え解散すると、タバサと
「シエン」
「なんだ」
「あの能力は魔法とどう違うの?」
「どう、か」
「俺の…使う能力は……いうならば『その家系の者しか使うことのできない能力』だ」
「シエンの世界には魔法はあるの?」
「ああ、ある。が戦いで使う人は見たことは無い。回復薬を作って売ったりしてると聞いたな。あ、科学魔法とか言うのは以前少しだが見たな。試作品を貰ったが説明だけで使ったことはなかったが」
「どうして?」
タバサは本から視線を移し、聞いた。
「その科学魔法というのは、私達貴族の使う魔法とどう違うなの?」
「確か…『使用者の精神力は使用しないこと』と。そして……『呪文の詠唱は基本ない』だったな」
タバサは