ストーカーの変態男に転生しますた   作:クワルカン

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7話

 

 あれから何度もベベルを訪れ、ユウナちゃんと遊んだりブラスカ殿と話したりした。

 

「わたし、大人になったらシーモアさんのおよめさんになってあげる」

 

 などと、ユウナちゃんからありがちで、しかしシャレにならないことを言われたりもした。

 

 

 その他にも重要な人たちと出会った。

 

「君がシーモアか。ブラスカ様から話は聞いている。俺はアーロン。僧兵だ。いずれはブラスカ様のガードを務めるつもりでいる」

「はっはっは、やっぱりおまえさんは固いな。アーロン。っと、オレはウェン=キノック。ま、うだつの上がらない僧兵だよ」

 

 アーロン殿とキノック殿。どちらも原作キャラクターであり、アーロン殿はブラスカ殿だけでなくユウナちゃんのガードも務めることになる。そして、キノック殿はいずれ老師となり、権力に毒され、最後はシーモアに殺される。

 私はキノック殿を殺害するつもりはないが、この人の好さそうな彼が原作のように歪んでしまったならば、利用するつもりだ。 

 

「はじめまして。シーモア=グアドです。ブラスカ殿から話を聞いているとのことですが、何かご用件でも?」

「ああ、いや。そういう訳じゃないんだが……」

「なあに、ブラスカさんがユウナちゃんのことを頼んだ相手がどんな奴か、確かめに来ただけさ」

「キノック!お前!」

「なるほど……。まあ、不安に思われても仕方がないでしょう。それで?私は合格ですか?」

「……すまんが、分からん。悪い奴ではないと思うが。今はブラスカ様の人を見る目を信じる」

「おいおい、アーロン。ベベル勤務でもないオレを巻き込んでおいて、情けないこと言うなよ。直ぐに判断出来ないなら、もう少し話してみろって」

「……そうだな。結論を急ぎすぎたか。シーモア、もう少し付き合ってくれ」

「ええ。構いませんよ」

 

 それから、2人と自身の境遇やジスカルの手伝いをしていることなどを話し、打ち解けることができた。2人からも僧兵の実情などを聞けたのは、今後役に立つかもしれない。

 ついでだから、少しからかってみよう。

 

「アーロン殿は、いつもその格好なのですか?」

「うん?そうだな。俺は大剣を扱うんだが、着崩していないと振り辛くてな。非常時の為に、いつも着崩している」

「オレは、普段からは着崩さなくても良いだろう、と言ってるんだがな。頑固な奴で聞いちゃくれないんだ」

「そうですか。つまりいつも腰にはとっくりを付けている、と?」

「……ああ」

「ちなみに、中身は?」

「…………いつもは、水だ」

「ぷっ。諦めろ、アーロン」

「キノック!」

「僧兵としてどうなのでしょうか?」

「シーモアも、あんま追い詰めてやんな。酒は消毒にも気付けにも使える。皆、多少は持ってるもんさ。寺院にも黙認されてる。ま、アーロンのとっくりはちとでかいがな」

「問題はなさそうですね」

「……何故だ。俺が見定められている気分になってくる」

 

 

 

 そうして2年半がすぎた。

 私は相変わらずジスカルの手伝いをしながらベベルとグアドサラムを行き来し、次第にジスカルの後継者として認識されるようになった。ブラスカ殿は、召喚士となるための修行を続けている。もうすぐバハムートを召喚できるようになるだろう。ユウナちゃんは、私によく懐いてくれている。私以外にも、アーロン殿と仲良くなれたようだが、やはりベベルでは避けられることが多い。アーロン殿は、ブラスカ殿のガードになることが決まっているが、今は一僧兵として各地で魔物と戦っている。キノック殿も各地を転々としており、こちらはユウナちゃんと会う機会もないそうだ。

 そんな日々の中、ジスカルからある話を聞いた。

 

「そうだ。シーモア。ベベルでの噂を聞いたか?」

「……心当たりがありませんね。どんな噂でしょうか?」

「うむ。なんでもザナルカンドから来たとか言う男が現れたらしい。それも大昔の機械の街、ザナルカンドからな」

「っ!本当ですか?」

「むう、こちらに伝わってきているのはあくまで噂だからな。詳細は、ベベルに行ったときに確かめるしかあるまい」

「そうですか……」

「珍しく気にしているな。近くに『シン』がいたという情報もある。『シン』の毒気にやられた者の妄言の可能性も高い」

「……そうですね」

 

 間違いない。「ジェクト」だ。

 

 

 

 「ジェクト」に会って、どうするわけでもない。何かできるわけでもない。むしろ「ジェクト」に関しては、私の目的のために原作のままでいてほしい。「ジェクト」を犠牲にすることに、心が痛んでも止めようとは思わない。他の手段など何も思いつかないのだから。イレギュラーな存在の私は接触するべきではないかもしれない。会わない方が良いだろうと、思っていた。

 

 まあ、現実が私の思い通りになるはずもなく……

 

「シーモアってのはお前か?なんでぇ、ヒョロヒョロじゃねえか」

 

 私の予想以上に、状況は進んでいるようだ。

 

「確かに、私がシーモアですが…。あなたは?」

「シーモアさん。この人はジェクトさん。召喚士になったお父さんのガードになってくるんだって!」

「そういうこった。ま、よろしくな。安心しろよ、ユウナちゃん。ブラスカの奴は絶対、オレとアーロンが守ってやっからな」

「うん!」

 

 ブラスカ殿が召喚士になった、か。ならもうじき、ブラスカ殿たちは旅に出るのか。

 

「つまり、あなたが噂の"ザナルカンドから来た男"ですか……」

「なんだよ。信じてなさそうだなぁ。けど本当だぜ。遺跡なんぞじゃあなくて、夜も眠らねぇ機械の街だ。オレぁ、そこでブリッツボールのスーパースターだったんだ!……だってのにどいつもこいつも、『シン』の毒気だなんだと言いやがって」

「そうだ!ジェクトさん。シーモアさんにアレ、見せてあげたらどうかな?シーモアさんなら、きっと信じてくれるよ!」

「アレ?」

「ははっ!ユウナちゃんには敵わねぇな。良ぉーし。特別に見せてやるとすっか!」

 

 「ジェクト」……ジェクト殿で良いか。とにかくジェクト殿は、ブリッツボールを用意し、壁から十分な距離を離してセットした。そして、勢い良くボールシュートし、跳ね返ってきたボールをパンチで、最初に当てた所へ正確に当てた。どんな回転が掛かっていたのか、ボールは今度はジェクト殿の頭上、数メートルの高さに跳ね返り、それに合わせジェクト殿もジャンプ、空中で自身の体に回転を加え、先程よりも強烈なシュートを放つ。放たれたボールは、やはり正確に同じ場所を捉えた。着地したジェクト殿はどや顔である。

 

「ざっとこんなもんよ!」

「ね?ね?すごいでしょ!ジェクトシュートっていうんだよ」

「……これは、すごいですね」

「正式には、ジェクト様シュート3号だ」

 

 知ってはいたが、実際に見てみると凄いな。

 

「ねぇ、シーモアさん。ジェクトさんがザナルカンドから来たって、信じてくれるよね」

「……そうですね。あんなシュートを撃てる人が、今まで無名だったなど有り得ない。もしかしたら、本当なのかもしれませんね」

「だ~から、そうだって言ってんだろうが」

 

 それが正しいことは知っているが、シュートだけでザナルカンドと結び付けるのもおかしいだろう。

 

「ところでジェクトさん、どうして3号なの?」

「あ~、そりゃ、まあ、ザナルカンドでは、試合の度に今日こそは1号や2号が見れるかもしれない、って観客がきてくれるもんだからよ」

「ふむ。つまり、1号と2号は……」

「ねぇよ。……なんだ?なんか文句あっか!?」

「いいえ」

「あ~。シーモアさん、笑ってる」

「……ちっ」

「ではジェクト殿、4号は?」

「……面倒なガキだな。開発中だよ!」

 

 いつまでもこんな風に過ごせたらなあ。

 でも、ブラスカ殿は召喚士になった。もうすぐ旅が始まる。10年後に繋がる旅が。

 

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