亡霊の学園 ~戦死した英雄達~ 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
H区画に来てはや数日・・・北邦からの一行は北邦民族の散々たる有り様を見て拳を握りしめていた。
いくら平行世界だからと言って北邦民族が昔のユダヤ人のような扱いを近代でされるのは道徳的に違反していると感じた。
しかし、被害者の北邦は優しかった・・・いや、弱者であることが体の隅々まで刻まれてしまい、反骨精神のはの字すらないほど隅の方でこそこそと生きていた。
「不服かね?」
「とても不服だよ。」
「ならばよし。」
宮永照はH学区の校舎の国語の教師と喋っていた。
「私は国語科の教師であるが、民族の研究者でもある。君達転校生は昔の北邦人そのものだ。実に素晴らしい。・・・北邦人は優しさの中に確固たる凶暴性があり、環境適応能力は世界のどの人種よりも優れていた。・・・団結力も素晴らしかったが、敗戦時に集団自殺で残った者達はその自殺すら出来ない弱者達だった。戦後世界に適応してしまった彼ら彼女らは恐ろしい程の弱者だ。・・・君達はそれを見てどう思う?」
「叩き直したい。いや、叩き直す。その腐りきった精神をな。」
「素晴らしい。宮永照君だけでなく、他の子も似たような解答をしている。実に素晴らしい。・・・君達の依頼は辻経由で聞いている。この学園艦を廃艦にしないことだろう。・・・ならば、君達がこの学園艦を支配しろ。」
「なぜそうなる?」
「簡単だ。君達みたいな弱小派閥の戦車道なんかの金食い虫に出す予算があるなら、各派閥の予算に配分されてしまう。それだけだ。」
「考えてはおく。ところで先生はなぜ私達に協力的なのだ?」
「なに、私は闘争が見たいだけのただの戦闘狂だよ。少々昔よりは落ち着いたがね。」
「昔って・・・先生はまだお若いのに。」
「・・・お世辞はいい。君のやるべきことをしなさい。」
12月・・・オホーツク海を航海中の学園艦ではH区画の学生が自主的(強制的)に蟹漁をやらされていた。
転校生組は元軍人(戦争経験者)なのでどうってことないが、他の生徒にはきついようだ。
「宮永照さん、今夜ですね。」
「花田、燃料調達御苦労。」
「いえ、全員でお金を貯めたからですよ。」
「そうだな。」
(実はネリーが管理している金を見たら莫大な財産がまだあることを宮永さんは知らないんでしたっけ・・・すばらなことがおこってること・・・。)
妹尾佳織が宝くじを連単で買ったらそれが当たり、10億近くの資金があることを知らず、ネリーはこれをフリーズクラブ等の元北邦系企業の株を買い、職員に話合いができるほどまでもっていき、臼沢塞が交渉して備品やらなんやらとフリーズクラブⅩ型エンジンを数台、さらにはスポンサー契約まで取ってきた。
条件は北邦戦車を過半数以上使い、全車両に北邦の国旗を描くことだった。