東方霊術伝   作:モン太

20 / 32
降り頻る 太陽の鬣が
薄氷に残る足跡を消していく

欺かれるを恐れるな
世界は既に欺きの上にある


月の技術力

"刀禅"

 

胡座をかいて、膝の上に刀を置く。その状態で座禅を組む。刀1つに心を絞る事で斬魄刀の精神世界に入る事ができる。

 

無論、それ以外でも精神世界に入る事は可能であるが、それは戦闘中や極限状態での精神的高揚等の不安定で不定期なものであり、確実性は保証されない。

 

この方法は斬魄刀の"始解"に必要な『対話と同調』の基本であり、斬魄刀とのリンクはその後の"卍解"の完成度にも大きな影響を与える。................()()()()()()を見据えているのであれば、尚更だけどね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

再び精神世界に足を踏み入れる。

 

景色は変わらず、夜と水月の世界だ。地面に薄く張っているこの水は水ではあるけど、足を着けても一切濡れる事は無い。

 

一体どういう事なのだろうか?

 

そんな事を考えていると、この『鏡花水月』の()()()()()()()()が僕に話し掛けてくる。

 

「久しいのう、惣右介。今日は何用じゃ?」

 

「ああ、久しぶりだね鏡花水月。今日は君の能力を聴きに来たよ。」

 

「そうか。まあ、妾は斬魄刀。お主の魂の一部じゃ。聞かずともお主の考えはある程度はわかる。」

 

「なら、早速頼むよ。」

 

「では早速.......と言いたいところじゃが、お主は既に妾の能力を知っておるじゃろう?」

 

鏡花水月は僕の斬魄刀。斬魄刀とは言わば、己の魂の現し身。故に僕がこの世界の人間では無く、()()()()()()()()()()()()()

 

前世でBLEACHはアニメも漫画も読んでいるので、鏡花水月の能力は勿論把握している。

 

「それはそれとして、様式美ってものがあるじゃないか。」

 

「ふむ。そう言うものかのう。」

 

鏡花水月が踵を鳴らす。水面に波紋が生まれその後には花畑が姿を現した。

 

「お主は己を偽りの存在と定義しておったな。妾も同じじゃ。妾の能力は他人に偽りの世界を見せる事。この能力を指して完全催眠と言う。」

 

予想通りの能力に僕を頷く。

 

「完全催眠は相手の五感を支配し、姿、音、臭い、触覚を相手に錯覚させる事ができる。今見せた様に水面を花畑に見せる事も可能じゃ。」

 

鏡花水月が踵を鳴らすと元の水面に戻る。

 

「知っての通り、発動条件は開放の瞬間を見せる事。一度でも見せる事が出来れば、以降は解放の度に完全催眠に堕とす事ができる。」

 

「ふむ..............砕けろ『鏡花水月』」

 

解号を唱えると僕の姿が少年になった。

 

「........妾が幼い見た目をしている当て付けか?」

 

鏡花水月が少し拗ねた表情をする。普段表情が乏しい彼女にしては珍しい光景だ。

 

「ふふ、そんなつもりはないさ。ただ能力の確認をしたまでだよ。気を悪くしたのなら、済まなかったね。」

 

能力を解くと僕の姿が元に戻る。

 

「弱点は目が見えない者には解放の瞬間を見せる事が出来ない。また、解放前に刀身に触れていると解放できない所かの。」

 

前者はともかく、後者は余り問題にならないね。実際の戦闘で敵の刀身に触れ続けて戦う事は無いだろう。強いて言うなら敵に刀を取り上げられた場合か。

 

「ありがとう、鏡花水月。参考になったよ。」

 

僕は刀を鞘に納め、精神世界から帰還しようとする。

 

「待つのじゃ。もう少しここに居っても良かろう。」

 

()()()()()()()が引き留めてくる。

 

「能力だけ聞いて、"はい、さよなら"では些か冷たくはないかのう?始解の能力向上は『対話と同調』。妾の話に付き合え。」

 

この幼女は表情は乏しいが、口は良く回る様だ。

 

「砕けろ"鏡花水月"」

 

夜と水面が消え去り、昼と野原が広がる。

 

「なんじゃ、元のままで良いものを。月夜に男女が言葉を交わす.........なかなか乙だと思うのじゃが。」

 

からかっているつもりなのだろうか。もう少し表情が動いた方が、それらしく見えたかも知れないね。

 

「もう少し大きくなってからだね。」

 

「妾を子供扱いするでない。」

 

彼女の言葉を聞き流しながら、腰を落とす事にするけど

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

目を開ける。

 

地下の研究室の一室だ。

 

「僕の相棒は随分とお喋りな様だ。」

 

凝っている体を解しながら立ち上がる。机の上に置いてあるボンヤリと光る物体を手に取る。

 

「さて、完成にどれだけの時間と魂魄が必要になるか。」

 

斬魄刀を手に入れて、すぐに崩玉の作成に取り掛かり始めた。

 

あれから300年。野良の妖怪や人間から魂魄を削り、与えているが成長速度が遅い。

 

原作BLEACHでは、浦原喜助の創った崩玉と僕の崩玉を掛け合わせる事で、崩玉を完成させていた。

 

魂魄の供給量が半減していると考えても時間がかかり過ぎている。

 

やはり、強力な魂魄を与える必要があるか。

 

僕は崩玉を机に置く。次に試験管を取り出す。実験が成功し、これから運用するものだ。

 

一見何も入っていない様に見えるが、この中には数億匹の小型の虫が入っている。この虫達は、大気中の霊力を餌に増殖し、虫達が見た映像を研究室のモニターに表示し、録画してくれる。この"録霊虫"を放ち、時間をかけて地球全体を包む事で、世界を監視する事ができる。宛ら、人工衛星に近いものなのかもしれない。

 

外に出て、試験管の蓋を開ける。

 

5分程待ち研究室のモニターに映像を投映する。

 

数々の映像が流れるが、1つ興味深いものを見つけた。

 

「これは........かの有名な輝夜姫伝説かな。」

 

屋敷の中、美しい姫君が涙を流しながら、老人夫婦と話している様が見えた。

 

武装した武士が、屋敷の周りを守る様に立っている。

 

暫く、屋敷をモニタリングしていると空から白く巨大な箱が降りてくる。

 

「あれが月から来た者たちか。」

 

伝説に聞くものと随分差異がある様に見える。あれは転生前の僕が住んでいた時代よりも更に進んだ乗り物に見える。

 

扉が開き、中から重武装した歩兵が出てくる。手に持っている物は現代戦で使われている様な銃だ。

 

「月の技術力は1000年以上も先を進んでいると言う訳か。これでは勝負にもならないな。」

 

結局、予想通り一方的な蹂躙が行われる事になった。

 

しかし、伝説とは異なり姫君が連れ去られる事は無く、月の使者に連れられる形で逃走した様だ。

 

「素晴らしい技術力だ。月の技術力が有れば、崩玉の完成にも近付けるかもしれない。八意永琳、蓬莱山輝夜、蓬莱の薬.........興味深いね。..........まずは録霊虫を彼女達に追わせ、月の箱舟にも録霊虫を送ろう。それで月にも録霊虫を侵入させる事ができるだろう。」

 

崩玉完成の手助けになるであろう素材の数々に胸を踊らせる。

 

次の実験は虚化の実験をしようか。この世界には虚も死神(BLEACHでの死神)も存在しないため、実際は妖怪化と言うものをやってみよう。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告