東方霊術伝   作:モン太

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諏訪大戦

森を瞬歩で高速移動する。神力を得たお陰で瞬歩も可能だ。おそらく、上位の鬼道も可能だろう。だからこそ、あまり無駄遣いはしないが。

 

諏訪子に場所は告げられてはいないが、大きな霊圧の集まりを感知した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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森を抜ける。そこには草原を埋め尽くす程の神々の軍勢。正に八百万の神だ。これでは諏訪子の勝ち目はまず無いだろう。僕を頼らざるおえないのも納得だ。だが、この勢力がいずれ僕に襲いかかる可能性を考えれば、確かに危険だな。

 

僕は掌を神々に向ける。向こうもこちらに気が付いたようだ。

 

「貴様、何者だ!」

 

「千手の涯 届かざる闇の御手 映らざる天の射手 」

 

「ここは神々の戦場だぞ!人間如きが来るような場所ではない!この痴れ者が!」

 

「光を落とす道 火種を煽る風」

 

「まあまあ、所詮下賎な人間。適当に踏み潰してしまえば良かろう。」

 

口々に何か言ってるけど、無視して詠唱する。

 

「集いて惑うな我が指を見よ 光弾・八身・九条・天経・疾宝・大輪・灰色の砲塔 弓引く彼方 皎皎として消ゆ」

 

「破道の九十一 千手皎天汰炮」

 

霊力の光弾が無数に放たれる。九十番台完全詠唱。しかも、相手は油断仕切っている。

 

結果、僕の目の前の神々の多くを消し去る。

 

「っな!」

 

「くそ!油断しておるからだ!」

 

「あの人間に天罰を下そうぞ!」

 

一斉に襲いかかる神々。

 

それを見た僕は思わず笑みが零れる。

 

「自分達は神だと言うがその実、人間以上に人間らしいと僕は思うのだがね。」

 

僕は斬魄刀に手をかける。

 

「万象一切灰燼と為せ 流刃若火」

 

刀を抜くと、一瞬で辺り一面を炎の海が包む。僕に向かってきていた神は炎に呑まれ消滅した。

 

「なんだこれは!?」

 

「奴は神格を持っているのか!?」

 

「油断するなよ!単純な火力だけなら天照様並みだ!連携していくぞ!」

 

流刃若火の炎を見た神々に緊張が走る。しかし、

 

「それで間に合えばいいがね。」

 

瞬歩で一気間合いを詰め、神々の軍勢目掛けて一閃。

 

「松明」

 

流刃若火から炎が吹き出し、一気に呑み込む。

 

「クソ!速すぎる!遠距離からやれ!」

 

今度は光弾が僕を目掛けて、発射される。霊力弾、妖力弾、神力弾。それらが隙間なく、弾幕で降り注ぐ。

 

「これは躱せないな。仕方ない。」

 

僕は神力と自身の霊力をフルパワーで解放する。

 

「卍解 残火の太刀」

 

ドドドドドドド.........!

 

辺りが弾幕によって煙に包まれる。

 

「やったか?」

 

「炎が消えている。どうやら死んだようだな。」

 

「まさか、1人の人間にここまでやれれるとはな。」

 

1人の発言に生き残った神々は顔色を悪くする。

 

「八坂様に何と弁明すれば良いか。」

 

「まさか、唯の人間にやれれたとは言えまい。八坂様の逆鱗に触れてしまうかも知れぬ。」

 

すると、突如熱風が吹く。熱風の発生源は先程弾幕を打ち込んだ場所。

 

「ま、まさか。」

 

神々に嫌な予感が走る。

 

空気が異常な乾燥を起こす。雲が消え去る。

 

「大和の神々の軍勢が、この程度とはなんと嘆かわしい事か。」

 

煙から出てきた僕は一切の傷を負っていなかった。

 

「残火の太刀 西

残日獄衣」

 

「馬鹿な!たかが人間が、神々の弾幕を受けて無傷な筈が無い!」

 

鬼の形相で声を荒げる神に僕は笑顔で答える。

 

「僕は今、一万五千度の炎を身体の纏っている。例え弾幕であろうと、近付いただけで全てが蒸発する。」

 

それを聞いた神々の表情は、怒りから恐怖へと変貌していく。

 

「あ、有り得ない。そんな温度。其れこそ天照様にしか成し得ない温度。」

 

「信じられないかね。なら、見せてあげよう。」

 

僕は神々の集団に瞬歩で接近する。

 

そう"接近"する。ただそれだけ。

 

それだけで僕の周りの数百の神々が蒸発する。

 

「く、くそ!ここは一旦退くぞ!」

 

自分達の不利を理解した神々が逃げようとする。まあ、逃さないけどね。

 

「漸く、自分達が狩られるだけの存在と認識したか。理解が遅い事だ。それでも神だと言えるのかね?」

 

「言わせておけば!その台詞が貴様の遺言だ!」

 

「お、おい!よせ!」

 

僕の挑発に乗った神が逃げようとする足を止めて、こちらに向かってくる。

 

本当に煽り耐性が無いんだな。

 

もはや、笑みを浮かべるどころか、内心呆れてきている。

 

僕は刀を地面に突き刺す。

 

「尸共。我が炎に散った亡者の灰よ。手を貸せ。暫し戦の愉悦をくれてやる。

 

残火の太刀 南

火火十万憶死大葬陣」

 

先程、流刃若火と残火の太刀で葬った神々の骸が、地面から起き上がってくる。

 

再び、戦場が色めき立つ。

 

先程まで隣で共に戦い、そして死んだ仲間が蘇れば、誰だって驚く。

 

「彼らは、僕に斬られた者達だ。君達が塵になるまで追い回す。嘗ての仲間に取押えられる気持ちはいったいどうゆうものなのだろうかね。」

 

尸達が嘗ての仲間に襲いかかる。

 

「う、うわあああああああああ!」

 

「ぎゃあああああああああ!」

 

「や、やめてくれ!」

 

阿鼻叫喚。戦場は地獄絵図と化した。

 

僕はその光景を見て、抱いた気持ちは大きな力による愉悦でも喜悦でもなく、虚しさしか感じれなかった。

 

神と言ってもこの程度なのか。僕の霊力の成長速度を考えても、500年あれば素の実力で彼らを追い越してしまうだろう。現代まで2000年の時間がある。残り1500年を自堕落に過ごすなど、絶対に心が保たない。もう退屈などと言っているレベルでは無い。

 

最早、笑みを浮かべる気にもならない。

 

目の前の光景に僕自身が只々絶望していた。

 

 

 

「そこまでだ。」

 

 

 

空から巨木の柱が降り注ぎ、尸達を潰していく。

 

見上げると、紫色の髪をした神が浮かんでいた。僕を見下ろす厳かな顔つきには、確かに神としての威厳を感じることができる。

 

あれが大将か。なるほど、他の神々とは一線を画す霊圧だ。だが、

 

「僕からすれば大将や地位、力関係など最早何も意味をなさないよ。等しく無価値だ。」

 

「私は八坂神奈子。大和の軍神だ。貴様何者だ。」

 

「僕は藍染惣右介。洩矢諏訪子の援軍だと思ってくれればいい。」

 

「そうか。洩矢諏訪子は私が倒した。この戦いは我々の勝利だ。」

 

これだけ間引いたというのに、既に破れていたとは。それだけこの神が強力な力を有していると言うことか。

 

「そうですか。なら僕はここで退かせてもらうよ。」

 

「待て。」

 

「...........何か。」

 

「これをやったのはお前か?」

 

これというのは、広野に広がる地獄絵図の事だ。

 

「ええ、その通りだよ。」

 

「そうか。」

 

すると、八坂神奈子はニヤリと笑う。

 

「少し、私と遊んでもらうぞ!」

 

こいつは更木剣八とか斑目一角とかの類かな。いわゆる戦闘狂。

 

八坂神奈子が巨木の柱を無数に射出する。

 

それに対し、僕が取った行動は刀の切っ先を御柱に合わせる事。突きを放つのでは無く、切っ先を触れさせる

 

「何をしている。避けなければ死ぬぞ!」

 

残火の太刀 東

旭日刃

 

流刃若火の炎を全て切っ先に集中させた物だ。

 

切っ先に触れた御柱が消え去る。燃えたり、残骸を撒き散らす事無く、初めから存在していなかったかのように消えた。

 

撃ち終わった神奈子が、驚愕の表情で俺を見つめる。そしておもむろに口を開く。

 

「何だ、その力は!正々堂々と戦ったらどうだ。」

 

「僕のようなか弱い人間は、道具に頼らなければ神には対抗できないのだよ。」

 

「ふん! この臆病者め。ならばこの拳で!」

 

そう言って神奈子は俺に高速で飛んでくる。神力が無い状態だと視認すらできないだろう。

 

残火の太刀 西

残日獄衣

 

僕に接近していた八坂神奈子は、足を止める。想像を絶する熱さに彼女の表情には、最初の余裕が無くなっていた。

 

僕は霊圧をあげて、彼女に当てる。

 

更に表情を歪める八坂神奈子。精神的、肉体的に重圧をどんどん掛けていく。

 

そして、とうとう立っているのも辛くなってきたのか膝が震えだし、顔中に脂汗を浮かべて戦慄の表情の八坂神奈子。

 

僕はその一瞬の膠着を突き、瞬歩で彼女の懐に潜り込む。

 

「う、うわあああああ!来るなぁ!」

 

八坂神奈子は悲鳴をあげながら御柱を放つが、間に合わない。

 

残火の太刀 北

天地灰尽

 

トドメの一撃。渾身の一振り。残火の太刀の奥義。これを受けて生き延びれる者は居ない。そう思わせるほどの力の奔流。八坂神奈子の命は潰えるかに思えた。しかし、

 

パリィン!

 

刀を振り抜く瞬間、残火の太刀が砕けた。

 

思わず目を見開く。そして、次の瞬間に悟った。

 

あ、これ死んだ。神力が無くなったのか。少々、暴れ過ぎたようだな。

 

そして、御柱に体を潰された。

 

「グフッ」

 

口から血を吐き出す。

 

彼女の決死の攻撃は僕のお腹に大穴を開け、地面に深くめり込ませた。

 

右手をを見る。手には刀身が砕け、柄だけの斬魄刀が握られていた。

 

このままだと、後数分で死ぬな。即死しなかっただけ奇跡だな。とりあえず逃げるか。

 

僕は砕けた刀身の斬魄刀をクビに突き刺す。

 

その瞬間、体が水に変わり弾け、地面に染み込んでいった。

 

涅マユリの肉飛沫。本当に使う羽目になるとは。

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