Tales of Rezar ~祈りが導くRPG~   作:0maru

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第二話 始まりの足音

―――チュンチュンチュン…

 

 

 

「ん…」

 

朝の清々しい光がエンゼの顔にふとかかり、眩しさを感じる。

そして鳥達の鳴き声を耳にしながらエンゼはその目を開けた。

 

「ふぁ~……!あーよく寝た!」

 

陽の光を体に浴びせながら体を伸ばす。

彼が今いるこの場所は緑豊かな森に囲まれた山奥の隠れ里エンリカ。

その里の中にある家の一つ、里の長の住む家だ。

 

エンゼは小さな頃に両親を亡くし、身寄りもこの里には既に亡くなっていなかったこともあり、今現在長老に引き取られ一緒に住んでいるのだ。

 

「さて・・・と、今日も一日頑張るぞ!」

 

彼はもう一度体を伸ばすと、寝間着からいつもの服へ着替え、そして長老の元に向かう。

 

 

 

「じっちゃん!おはよう!」

 

「おぉエンゼか、おはよう」

 

長老はエンゼの姿を見るとふっと優しい顔をして挨拶を返した。

いつもニコニコしていて優しい長老、名をクニヤス。

この里では皆から愛されている長老である。

・・・噂では優しい反面怒ると怖いらしいと聞く。

あまり怒られたことがない、また怒られた時そこまで怖いとは思わないエンゼはきっとそうか?と言うかもしれない。

 

そんな長老と話をしている時、彼はふと思い出す。

 

「なぁじっちゃん?

昨日狩ったあの鹿と兎の肉、余ってたら保存用に干しておこうと思うんだけどまだあったっけ?」

 

昨日狩った鹿と兎。そのうち鹿は久しぶりに狩れた大物だ。

こういった大物はこの数十人しかいないにとって御馳走なのだが、実は一匹でも量がある為か時折余ってしまう。

そういう時は里の習慣で、何があっても良いようにと日干しにして保存食にする。

この山奥ではそうした方が長く保存でき、更にそのまま食べるよりも旨味も増すしで良い事尽くしなのだ。

 

だから彼は長老に聞いてみた。

 

「はて…、わしには分からんの。そういう事は直接カルハに聞いた方が早いかもしれん」

 

あ、そっか。

彼は言われて気が付き、

 

「おばちゃんだな!そうだな、ならすぐ聞いてみる!」

 

そのまま駆けていくエンゼに後ろから長老があんまり急いで走っとると怪我してしまうぞと言っているのが聞こえ、彼は振り向き平気だって!と言葉を返しながら、カルハと呼ばれた女性の家へ向かった。

 

 

 

 

 

駆けているうちに目線の先に目的の家が見えてきた。

と、その家の前には見覚えのある後ろ姿。

 

「おんや、エンゼじゃないかい!おはようさん!」

 

「あ、エンゼおはよう!いつもより少し起きるのが早いじゃない」

 

「おはよう!おばちゃん、アルマ!

そうか?でも確かに今日はいつもより早いかもしれない!」

 

にっこりと笑う少しぽっちゃりとした女性がカルハ、そしてもう一人は幼馴染みのアルマだ。

エンゼは二人に挨拶をし、そしてカルハへ話しかけた。

 

「なぁおばちゃん、昨日の鹿肉と兎肉って余ってる?

ほら今日は天気が良いし、余ってるんなら保存用に日干しにしちゃおうかと思ってんだけど」

 

「ん~、昨日の肉かい?

今回はあんまり残ってないねぇ、あるのは骨に付いて残った部分と昨日余った少量のモモ肉くらいさ」

 

「骨の肉とモモ肉だけか」

 

うーん、と彼は考えると、

 

「うーん…、…ちょっと大変だけど俺やっておくよ」

 

「おや?いいのかい?」

 

「いいんだって!だっておばちゃんまだやる事あるだろ?」

 

「まぁねぇ。ならほれ!お願いするよ!」

 

「おう!ありがとう、おばちゃん!」

 

おそらく後でカルハ自身でやるつもりだったのだろう。

先程言っていた骨の入った袋二つとモモ肉の残りが入った袋が近くに置いてあり、それをそのままエンゼへ渡した。

 

意外に意外、中を確認しようと開けて見れば思ったよりもありそうである。

骨のせいでずっしりとした袋二つとモモ肉の入った袋を両手で持つ。

と、片方が軽くなった。

 

「エンゼ、干し肉を作るなら手伝うわ」

 

そう言ってアルマが袋の一つを持っていた。

 

「サンキュ、アルマ!」

 

「どういたしまして」

 

彼とアルマはカルハへ一声かけもらった肉を手に、里の広場へ一緒に歩いていった。

 

 

 

 

 

広場に着くと早速手に小さなナイフを持ち作業を始める。

骨にちょこちょこと付いている肉だけを丁寧に削ぎとっていく。

そんな単純作業なのだが。

 

「それにしてもエンゼ、だいぶ手慣れてきたわね」

 

「んー、そうか?」

 

ふと作業をしながらアルマが言った。

幼い頃からこの作業はしている彼にとっては手慣れてきていてもおかしくないのだが。

けれど実はアルマは二歳年上だからというのもあってかこの作業を彼よりも長くやっていた。

だから彼女にとっては彼の腕はまだまだ未熟と思っているのかもしれない。

 

「あ、そうそう」

 

作業をしながらアルマはふと何かを思い出したようでエンゼに向かって話を始めた。

 

「実はね、子供二人が社に無断で行ってたんだって」

 

「えっ?!社にか!?」

 

―――…"社(ヤシロ)"

 

古くからこの里にあるという里から続く階段の先、山の山頂辺りにある変わった建物の事。

赤い色をした鳥居というものとその先に瓦屋根の社と呼ばれる建物があるのだが、何がどうなってるのか不明だがその扉は固く閉じられておりどんなに力を入れて開こうとしても中に入ることのできない場所。

…選ばれた者にしか入れないらしいとか。

 

「…で、その子供は?どうしたんだ?」

 

「うん、中に入ろうとしたんだけど…やっぱり開かなくて戻ってきたって。

あんまり魔物がいないからって、社までの階段は急だから子供だけでは危ないし…本当に無事で良かったわ」

 

アルマは本当に安心したように言う。

元々里が少し高い位置にある為、急ではあるものの階段を登って行けばにそこまで時間は掛からず社に行けてしまう。

…のだが、アルマが言った通り階段は急であるのと、山の中である為もちろん時折魔物も現れるのだ。

なのでまだまだ魔物に対しての対処が分からない子供がもしも魔物が出くわしたら。

そう考えたら本当に怪我もせず無事で良かったと彼も思った。

 

「それにしても…懐かしいわね。

昔私達もやって、社に行く前に長老様に見つかって怒られてしまったっけ」

 

「ちょっ…それいつの話だよ!」

 

いつの話か。

二人が小さな頃、同じように中に入れないその社に興味があって行こうとしたのだ。

結局長老に見つかりバレてしまい、困り顔をしながら長老は怒った。

心配してくれたのだろうと今では思う。

…そういう事もあり、実は二人は魔物が現れたからとその時退治するのに社が見える位置までは登ったことがある…が、近場までというだけで遠目でしか社は見ていなかったりする。

 

それから二人は他愛のないような話をしつつ、どんどん作業を進めていった。

 

 

 

 

 

アルマの協力もあって作業は終わり、肉も天日干しを始めることができた。

 

「はぁー…終わった終わった!ちょっと疲れたぜ」

 

「そうね。私も少し疲れたわ」

 

予想よりも骨に残っていた肉の量に、流石に二人共疲れた様だ。

二人してグイッと背伸びをした。

 

空を見上げれば太陽は朝方よりも上へ昇っている。

朝目覚めた時の朝日のように清々しいその光を見て、今日もいい天気だなとエンゼは思った。

 

「エンゼ、少し休みましょう。

今日はまき割りもしなくちゃいけないし」

 

「そうだな。

昨日使ったからそろそろなくなりそうだし、…よし!休もう!」

 

エンゼとアルマは広場の隅へ移動しそこへ座る。

彼らが休むその場所へふんわりと風が通りずきていく。なんとも優しい風だ。

 

 

 

と、

 

「「ん?/あら?」」

 

里の入り口辺りからだろうか。

優しい風に乗ってガシャン…ガシャン…という聞き慣れない音が聞こえてくる。

 

「アルマ、これ…何の音だと思う?」

 

「そう、ね。…私の予想だと…鎧の音じゃないかと、思うのだけど」

 

鎧…、そこで頭に過ったのはこの東の島の都にいる武者、正式には守護武者という島を収める武将を守る役目を担った者。

自分達の知るその者達の鎧の音とは何処か違う気がするが、…もし武者であれば何のようだろうか。

普段武者達来る際は文や同じく武将を守る役目を担った精霊達の力を借り知らせを送ってくるのだが……それもなく来ることはおかしい。

何故ならそれが温厚で優しい心を持つあの武将の気遣いだと知っているから。

 

どちらにしろ頭で考えているより行動した方が良い。守護武者が何用か聞かなくてはならない。

 

「もう誰かしら行ってるとは思うけど、俺らも行こうぜ」

 

「ええ」

 

少しだけ疲れて重たい腰をあげ、彼ら達はおそらく入り口だろう音の主の元へ駆けていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あまり聞き慣れない音に、やはり里の入り口に里の人達が集まってきていた。

二人はそこへ行くと直ぐにその場にいたテルマという男性に声をかける。

 

「なぁテルマおじさん、守護武者が来たのか?」

 

「いんや?どーも違うみたいだぞ?」

 

「違う?」

 

「んだ、あんの鎧は…おそらく西(むこう)の守護武者だべな」

 

テルマの側にいた老人の女性、ヒサラがそう続けて言った。

 

西の島の守護武者。

こちらの島の守護武者同様、西の島の王と呼ばれる人を守る役目を担う人達。

この島に来るのは何十年ぶりか、何故そんな珍しい向こうの守護武者がこのエンリカへ来たのだろうか。

普通は武将のいる都へ向かいはしないだろうか。

 

「ここは隠れ里エンリカか」

 

一人、数人いる西の守護武者の一人がエンゼ達にそう聞いてきた。

…声からすれば、……女性…と思われる。

その女性?の守護武者へ長老が一歩前へ出て返答した。

 

「さよう、…して何用かな?」

 

あくまでもいつも通りの顔で、けれど警戒するように長老は西の守護武者へ質問をした。

…すると、西の守護武者は先程よりも低い声で一言。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……この里に"(みこ)"がいるだろう?…"巫"は何処にいる?」

 

 

"(みこ)"は何処だと…そう言った…―――――

 




…ということで第二話になります。
…いかがでしたでしょうか?(・・;)
なんとか今月中にもう一話出せてよかったです…!

今回も文にするのに苦戦しました。
…日本人としてそれどうなんだろ、自分;;;←
…もしかしたらこっそりと直してる、かもしれないです。(その際は一応追記でこちらに記入しときますね)

で…ですね、今回人物とか出てきたので、ちょっと補足的なものを書いておきます。
ただ里の人達(モブ)なので簡単にですけど。


〇隠れ里エンリカの人達
・長老…名は『クニヤス(邦靖)』。エンリカの長。
いつもニコニコ、優しいので里の人達から愛されてる。でも怒ると怖い…という話である。
両親、身寄りのいないエンゼを引き取り共に暮らしている。もちろん血は繋がっていない。

・カルハ…里の肝っ玉おばちゃん。皆のお母さん。
料理が得意で、夕食は必ずこの人が作っている。
アルマの世話好きな所はこの人の影響だったりする。

・テルマ、ヒサラ…里の住人。中年の男性がテルマ、老人の女性がヒサラ。


…です。

この用語…というか人物(モブ)紹介はこの先も出てきたらちょこりと書くので、もしたまってきたらそのうちにまとめて出します。(まだ先の気がする…)

またしても後書きが長くなってしまった…;
えっとですね、次回ですが今月は厳しいので来月に出させていただきます!
ちなみに次の第三話も序章ですが…一応序章はそれでラスト…の予定です。

それでは…ここまで読んでくださりありがとうございました!(*´v`*)
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