やさぐれエリオとコミュ障キャロwithスカピョン一家 作:アタゴン
ちなみに、この二人は設定上7才です。
私がエリオくんと出会ったのはとある管理外世界。
故郷のルシエの集落を追放された私とフリードはキャンプができる場所を探していた。
手ごろな森を見つけてさまようこと1時間弱、せせらぎの音を耳にした私達は喉を潤そうと近くにあるであろう川を目指した。
「おぅえええええええ・・・・・・」
目指した先にはゲロを撒き散らしているエリオくんがいた。
「えっ、あ、あの・・・・・・」
「おろろろろろろ・・・・・・」
「だ、大丈夫?」
その姿を見て放っておけなかったが、私にできることは少しでも楽になれるように背中をさすってあげることしかなかったのは、今となってはいい思い出。
*
しばらくして、落ち着たエリオくんと話し合うことになった。
本人曰く、戻していたのは別に病気とかではないみたいなので当時は一安心した。
管理外世界には病院なんてないし、その時はまともな薬も持ち合わせていなかったから。
「いやあ、みっともないところ見せちゃってごめんね」
「ううん、いいの。困った時はお互い様だし、私達以外の人がいて安心したから」
「僕はエリオ、ただのエリオだよ。君は?」
その時の私は、もうルシエの里を追放されていた。
つまり、ルシエの名前は使えないと言われたも同然だった。
「私はキャロ。ただのキャロだよ、よろしくねエリオくん」
「よろしく、キャロ。ところで隣にいるのは君の友達?」
「うん、フリードリヒっていうんだ、フリードって呼んであげて。ずっと私に着いてきてくれてるの」
「へえ、ドラゴンなんて初めてみたよ。よろしくね、フリード」
「キュクルー!」
フリードも警戒してないみたいだし、同い年くらいの男の子と話すのなんて初めてだけど不思議と恐怖は感じなかった。
今まで会ってきたのは変なおじさんばっかりだったから。
それに弱ってるところに出くわしたのも大きかったと思う。
「キャロはどうしてこんなところにいるの? 僕はちょっと色々やらかしちゃって逃げてきたんだけど・・・・・・。 あ、僕のこと他の人に聞かれても黙っといてね」
「それは大丈夫だよ、私もちょっと町で暴れちゃって・・・・・・。ここまで逃げてきたんだ」
「キャロみたいな子が?」
「あはは、意外だった?」
「うん、そんなことするようには見えなかったから。何があったの?」
正直思い出すのもイヤだったけど、エリオくんもひどい目にあったみたいだったし話し出したら止まらなかった。
「最初は人のいる場所にいたんだけど、何でか変なおじさんに話しかけられるようになっちゃって……」
そう、そうなのだ。
脂ぎったおじさんの手が私に幾度となく迫ってきた。
その度にフリードがおじさん達をローストしてくれた。
でも、そんなことが何回も起こるものだからフリードは何もしてないおじさんにも火を吹きかけるようになってしまい人里から離れることに。
「だから、人が多いところには行かないようにしてたの」
「そうだったんだ、僕とは違った意味で大変だったんだね」
話を聞くと、エリオくんもひどい目にあっていたそうだ。
「ねえキャロ。もしきみがいいって言ってくれたらだけど、僕と一緒に行かない? ああ、もちろんフリードも」
「私といたら変な人が来るかもしれないよ? それでもいいの?」
「キュクルー♪」
「あはは、フリードは乗り気みたいだよ。それに、僕から言い出したことじゃないか。あとはキャロがうなずくかどうかさ。僕もおたずね者だしね」
「うん、それなら私からもお願いするね。 よろしくエリオくん!」
「よろしくキャロ!」
「キュクルー!」
こうして私達は一緒に旅をすることになったのだ。
*
エリオくんと一緒に旅すること2年。
私達はまた管理外世界にいた。
でも、今回は逃げてきたのではなく新しく始めたお商売のためだ。
「今回は楽だったね、何より遺跡の近くに川が流れているのがいい」
「エリオくんはやっぱりお魚好きだよね」
「今じゃお腹も壊さないし、何より簡単に捕れるからね」
「キュクルー」
「ほら、フリードも好きだって言ってるよ」
「エリオくんが捕って、フリードが火をつけて、私が料理するのが黄金パターンだもんね」
お仕事が一段落して、今は遺跡の近くに作ったベースキャンプでお昼ご飯を作ってる。
メニューは、トマト缶を使った魚と豆のトマト煮込み。
「いつもキャロに面倒ごと押し付けちゃってるみたいだから、たまには僕がやるよ?」
「ううん、いいの。重い荷物はエリオくんが持ってくれるでしょ? 料理するのは私に任せて!」
「それじゃあよろしくお願いするけど・・・・・・。このやりとりももう何回やったかわかんないね」
「もう一緒に旅して2年も経つからね」
こんな感じでのんびりしているけど、私達がやっているのは危ないし、悪いことだ。
私達がお仕事にしているのはロストロギアの盗掘。
「本命はたいしたことなかったけど、一緒に宝石がみつかったからいいお金になるよ」
「そうだね。それに、今の取引先は変な人が多いけど私達には何もしてこないし、しばらくはのんびりしてるのもいいかも」
「まあ、話し合いは全部僕だけどね」
「あはは、やっぱり人とお話しするのがちょっと怖くなっちゃって・・・・・・」
この2年の旅の間に、私は人と話すことが怖くなってしまった。
最初は、人のいる世界で優しそうな服や小物を譲ってもらったりしていた。
でも、そのうち危ない人が声をかけてきたり、管理局の人達に追いかけられるようになった。
フリードの通り魔的ローストや、エリオくんの過剰防衛電撃、私の混乱アッパーが悪かったみたい。
アッパーは男の人なのに、女の人みたいな話方をする人に教えてもらった。
私達は、守備範囲外というものらしく、しばらくその人のおうちに泊めてもらって雑用をする代わりにごはんをもらう生活で羽休め。
ところが危ないお薬を持っていたことや、管理局の人にひどいことをしたことが捕まってしまった。
お尻がどうとか言っていたけど、よくわからない。
私達は、おうちを調べに来た管理局の人にそのことを聞いた。
罪状が追加されたとも。
親切で人を泊めることは悪いことらしい。
管理局に連れて行かれそうになったので、フリードが火を吹き、エリオくんが電撃を浴びせた。
その後は、悪い人の用心棒になったり、変なお金持ちに売られそうになったりと色々あり私の対人恐怖症が加速。
人目を避けて、管理外世界の遺跡に寝泊りしていた時に、スクライア一族という盗掘専門の人達と遭遇。
スクライアの人達は、私達に優しくて居心地がよかったけど、遺跡で見つかったロストロギアを引き取りに来た管理局の人に見つかりそのままお別れ。
今では、私達もスクライアの人達に教わったスキルで盗掘するようになったのである。
「まあ、裏切られない間はお世話になろう。品物の仲介もしてくれるから助かるし」
「うん。やっぱり寝るならベッドがいいもんね! よし、後はパセリをかけたら完成だよ」
料理も完成、器によそって皆でいただく。
「いただきます、キャロ」
「いただきます。いっぱい食べてね、エリオくん、フリード」
「キュクルー♪」
パクっと一口。
大丈夫、上手に出来てる。
エリオくんとフリードもご機嫌だ。
ふかふかベッドと他の人の手作り料理も捨てがたいけど、お外で食べるごはんも美味しい。
「帰ったら換金が終わるまでゆっくりしよう」
「お買い物に行こうよ、エリオくん。美味しいアイスのお店があるらしいから」
「アイスかぁ、楽しみにしてるよキャロ」
こうして平和な時間を過ごしていた私達だけど、次のお仕事でとんでもないことになってしまうなんて、欠片も思っていなかった。
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