前回から引き続いて義照とシャルロットのお話です。
「刑事」としての義照元首相が描かれます。
それにしても最近の元首相の主役ムーブが凄い・・・正直ここまで活躍する予定なかったのに。
義照とシャルロットの遭遇から数十分後。
義照はシャルロットに連れられ、彼女の家へとやって来ていた。
「あ、どうぞ、粗茶ですけど」
「お、どうもすまないね、」
シャルロットから茶を出され、取り合えずすする義照。
「・・・・・・んで、シャルロットちゃん、」
「シャルで良いです、呼ぶ時わざわざ略せず呼んでいたら話に時間をかけてしまいますから。」
「んじゃあシャル嬢ちゃん、単刀直入に聞こう、
「・・・・・・やっぱり気づいてました?」
「色々と理由はあるが・・・・・・聞きたいか?」
「教えて頂けますか?」
短いながらに何かが凝縮されている一連のやり取りの後、義照が口を開いた。
「1つ目、さっきのチンピラがほざいてた言葉と嬢ちゃんの名字だ、デュノアって聞けば、真っ先に挙がるのこそ、IS第二世代機シェア三位のデュノア社だからな、聞いた感じさっきのチンピラはシャル嬢ちゃんを誘拐して身代金ふんだくろうとしたんだろう。」
義照が話した理由の1つ目は、考えられ売る予想のなかではもっともあり得ると考えた物であった。
自分は父の事をよく知らないが、それでもデュノア社社長の血を引いているのは確か、自身を誘拐して身代金を手に入れようとする輩は、動くかどうかは別として、確実に存在するだろう。
「二つ目は、シャル嬢ちゃんがさっきっから一貫してかなり思い詰めてる表情をしていた点だ。」
「話せるかどうかは別として、せっかくの偉い人と出会えたんだし、相談したい事があるけどするべきか否か」といった感じの雰囲気が、特に目から漂っていた、後、お茶淹れるときに随分暗い表情をしていたのも見逃せなかったな」
「そ、そこまで…………」
二つ目も予想の範疇ではあったが、簡単に断言する材料となるとは思いもよらず、自分で意識していない変化にまで気づく洞察力の高さに驚いて言葉を失ってしまう。
「そして三つ目だが・・・・・・正直言いたくない、普通に考えれば、根拠としては余りにも弱い代物だからだ」
「?」
槇田は三つ目の理由を話そうとして、右手で顔を覆って明確に拒否の姿勢を見せた。
「そんなこと言わずに、教えて頂けませんか?、私はまだ納得できてないんです」
「・・・・・・納得しといた方が嬢ちゃんの精神衛生的には良い、それにもし……だからな」
「もしって何ですかもしって!!そんな曖昧な表現で隠そうとしないでください!!私は理由が知りたいんです!!どうしても!なんとしてでも!!!」
この時、シャルの心には何かのスイッチが点いていた。
「私は
「私は断言します!貴方は
「私はそんな貴方を見たくない!!
シャルロットは怒りの赴くままに思いの丈をぶつけた。
原作でもお分かりの通り、シャルロットはフランスのIS製造メーカー、「デュノア社」の社長とその
そのため、諸般の事情があって、シャルロットは父親に今だ一度も会えておらず、「父親」と言うのがどのような存在なのか理解することはできなかった。
そんな幼い頃のシャルロットが「父親代わり」のように憧れていた人物こそ、まだ槇田が首相になる前…………「伝説」とまで呼ばれた刑事時代の頃の彼だったのである。
だからこそ認めたくなかった、己の見ていた「伝説」と目の前の「現実」を、
「……覚悟はできてるんだな?」
「……………………え?」
急に義照の顔つきが変わったかと思うとシャルロットの熱意の発言で上がっていた部屋の空気が一気に氷点下へと下がる。
「……
(・・・・・・まるで違う……)
(そうだ、違いない、この姿こそが伝説だ、刑事時代に幾多もの事件を解決し、竹刀一本で原爆ドームに立てこもったテロリストを潰した男・・・・・・)
槇田の眼付きは真剣その物であり、いつの間にか竹刀を手入れしていたと思いきや、いつの間にか竹刀が仕舞われ、温くなったお茶を啜る。
「三つ目の理由を話す前に、こんな話をしよう」
「むかしむかし、あるところに、まさしく《死》を見続けてきた少年がいた。」
「《死》と言っても人の死ばっかり見てきた訳じゃあ無い、人の《死》を見るのは稀だったが、よく他の動物や植物の《死》を見てきたってだけの事だ、」
「その少年は日常的に《死》を見続けていく内に、《生》を成すのには《死》が前提条件であることに気がついた、まだガキンチョだったのにも関わらずだ、」
「中略するが、男は夢を叶えていく内に、いつの間にか《人の死》に《匂い》があることに気がついたんだ。」
(・・・・・・何の話?昔のおとぎ話かなぁ?)
「・・・・・・・・・・・・」
シャルロットはただ黙って話を聞き続ける。
「せっかくのファンなんだ、私の行動の中で謎とされていることから真実話を1つ、私がニューカッスルで爆発事故に巻き込まれたとき、実は私は
「えっ!そうなんd」
「・・・・・・ぴったり二週間前」
「・・・・・・・・・へ?」
「
「!!?」
(・・・・・・嘘!・・・・・・うそうそ嘘嘘ウソウソ嘘!なんで、何で!!、どうして!!?)
「そして今、
「あ・・・・・・あ・・・ぁぁぁぁああああ嗚呼呼呼呼呼呼ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁアアアアアアアアアア!!!!!!!!」
「《死の匂い》は君が使ってるベッドから、《選択の起点》は机の上の手紙から、そんなところだよ」
・・・・・・話を聞いたとき、シャルは彼の
それこそ後々までこの時の事を後悔しそうになる程にである。
義照は既に気づいていたのだ、
「自分の母がちょうど二週間前に亡くなり、顔も知らぬ自分の父の要望に沿って、デュノア社で今後を過ごすべきか否か迷っている。」
上記の通りそのままの、彼女が、元首相であった義照に相談しようとしていた事の
「んで答えなんだけどさー、まず最初に正直シャルはどうしたいよ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・へ?」
先程までの壮絶に真剣な話から一転、凄まじくのんびりした口調でシャルに聞く義照。
余りの態度の変化ぶりに驚いたシャルは、しばらく呆然としながらも、さっきまでの自分を一時的にぶん投げてこう答える。
「・・・・・・デュノア社に行きたい、と思ってます、私は父の顔を知らないけど、妾でも良いからと私を生む程に父さんを愛していたのは、お母さんだし、お父さんも、私とお母さんの生活に必要な費用は惜しまず与えてくれてたから・・・・・・お父さんを信じたいんです」
「そうか・・・・・・と、すれば必要なのは・・・あ、紙とペン貸してくれる?」
「あ、はいっ!」
シャルロットの答えを聞いた槇田は、その場で紙とペンを借りて何かを書いたあと、シャルに渡してきた。
「なんかとんでもなくヤバイことになったらそこの電話番号に電話してくれ、」
槇田が用意したのは、二つの電話番号が書かれた紙である、「通常用」「緊急用」と書かれた二種類の電話番号が書かれている以外にはなんの変哲も無い代物である。
「あの、これって?」
「私の予測が正しければ、
「こんなのを私がもらっちゃって良いんですか?」
「構わんよ、余りにもアレなら電話番号変える予定だし、公人としてもよく使うメルアドは書いてないし」
槇田の立場を考えれば当然であるシャルの質問に平然と問い返す義照、そして彼は話を切り替える。
「さて、そうとなれば《善は急げ》じゃないのかね?シャルロット嬢ちゃん?」
「それもそうですね、槇田さん、ちょっと席はずしますね」
「ああ、私もちょっと外に居させて貰うよ、電話内容の盗み聞きとか好みじゃないんでね」
そして、シャルロットは電話のために部屋の奥へ、槇田は盗聴を避けるために外へと行った。
そして数分後
「・・・槇田さーん?電話終わりましたよ・・・ってあれ?」
もう夜も更けてきた頃の事だ、父へ決意の電話を済ませたシャルロットは、槇田を呼ぼうと外に出たが、そこには槇田はおらず、ドアの所に書き置きがひとつあるだけであった。
シャルは取り合えずその書き置きを読むのだが、そこにはこう書かれていた。
「申し訳ないが、私は10代の少女と二人きりで一晩を過ごすとかは社会的に耐えられる立場じゃなくてね、パパラッチとかに後つけられてる可能性を考慮してあの場でおいとまさせてもらうことにした」
「ものすっごく失礼な事ではあるんだが、あのあと《折角ですし、私からのお礼も兼ねて一晩ここでお休みになってください》とか言われたら断れる性分でもないので三十六計逃げるに如かず、去ったと言う訳だ」
「その他、色々と書きたいことはあったが、速筆する必要があったから最後にこれだけは言わせて貰おう・・・・・・」
「・・・・・・また会おう!!」
「・・・フフフフフ、ハハハハハ!
「風のようにいきなり現れて、風のようにいきなり去って行ったなぁ・・・私も頑張らなきゃ」
シャルロットは書き置きを読んだ後、小さく呟いて、後は
その翌日、シャルロットはデュノア社の社員に迎えられ、デュノア社へと至ることとなる。
そして槇田はと言うと・・・・・・
「ぶえっくしゅ!、こらアカンやつだわ寒すぎて震えてまうさっさと何処か行って療養しようっと」
義照はこの時、港の埠頭近くで野宿して風邪をひいていた、そして・・・・・・
「いたぞ!槇田元首相だ!!」
「長らく行方がわからなくなっていたんだ!今日こそはこれまでに何があったか聞き出してやる!!」
「囲め!囲むんだ!なんとしてでも捕まえろ!」
「生中継入るぞ!今日こそはなんとしてでもインタビューを成功させるんだ!!」
「・・・・・・げぇっ!!テレビと新聞記者!!」
「「「「捕まえろ~~~~~!!!!」」」」
「捕まってたまるかぁぁぁぁぁぁぁ!!」
迎えの車にて
「・・・シャルロット様、あれを」
「?」
「「「待てえええええぇぇぇぇぇぇ!!」」」
「誰が待つかぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「誰かは解りませんがかなりの人数に追いかけられてますな」
「あ、あはははは・・・・・・(滝汗)」
(あの人はあれを危惧していたんだな・・・・・)
埠頭なんて目立つところで一晩明かしていたのが運の尽き、風邪を引いた挙げ句に追っかけに見つかり、その後丸一週間にわたって、出発点はブレスト、終点はそこから遥かジブラルタル海峡の空港までの不眠不休の大逃走劇が始まるのだが、それはまた別のお話である・・・・・・
~続く~
書いてていつの間にか槇田のスペックが大変な事になってる件、この元首相、原作キャラに変化を生み出す要員として便利すぎる。