今回はドイツのターンです。
ヴィルヘルムスハーフェン郊外、独国連邦IS研究所入り口付近、
此処は、ドイツ陸軍が使っているIS研究のための施設である。
今現在、独海軍海兵隊による制圧作戦が開始されており、順調に作戦は進み、そしてそんなタイミングでやって来た1人の男がいた。
「元帥閣下!」
「戦況はどうなっている?」
海兵隊を緊急で派遣することとなった元凶であり、キール軍港を本拠地とするドイツ本国艦隊の総司令長官でもある、アルバン・ラインラント元帥である。
「作戦は順調に進んでいます、研究所内部のISに抵抗されるような事もなく、このままなら制圧は時間の問題でしょう、」
「そうか・・・もしもを考え一応IS部隊も準備していたが、必要無さげか」
「建物内でISの戦闘は危険を通り越していますからね、使わなくてすむならそれで良いといったところです」
「そうか・・・一応、私が現場の指揮を取る、入り口の制圧は任せた、」
「ハッ!!(`・ω・´)ゞ」
入り口を部下に任せ、アルバンは元帥なのに最前線へと行く・・・・・・
「・・・ハッ!!」
「これは・・・酷いな・・・ご苦労様、気楽にしてくれ、」
「閣下、最悪の報告が1つ・・・・・・」
「なんだね?」
アルバンが中に入ってまず最初に見たのはISに関する資料を一纏めにしていた資料庫なのだが、現在は証拠隠蔽の為なのか何なのか非常に荒らされており、何処を歩くにしても散らばった資料が邪魔で、資料を避けながら進むのは困難になっていた。
そして、アルバンはそこにいた部下の海兵隊員より、出来ることならば聞きたくなかった報告を聞き出す。
「陸軍の大将が・・・・・・今回の件の主導者だと押収した資料により判明しました・・・」
「・・・・・・・・・・・・そうか、その資料を一応、確認させてくれ」
「はっ、此方に・・・・・・」
部下の報告の後、渡された資料には、確かにデザインベイビーの
「・・・・・・ふざけやがって!!」
確かにドイツでは今「高いIS適性を持つ人物の不足」はドイツ軍内部では大きな問題となっていた。
・・・と、言うのも、アラスカ条約で国別のIS保有枠についても取り決めがあったのだが、この時、ドイツはミサイル撃墜に多大な功績を残していたとして、軍用、民間用、研究用の三種類に別れた保有枠の全てにおいて、かなり多くの保有枠を認められたのである。
特に、軍用IS枠は他国が多くても10機前後、二番目に軍用枠が多いアメリカとロシアでさえ其々17機が軍用枠なのに対して、ドイツは単独で25機もの枠を手にいれたと言えば、如何にこのタイミングでドイツが贔屓されたのかがご理解いただけるだろう。
このため、早急な実践配備の為に適性検査が行われたのだが・・・研究枠、民間用枠の二つはすぐに埋まったのに対し、軍用枠は半分しか埋まらなかったのである。
「人材が足りないだぁ?それは貴様ら陸が採用条件を厳しくしたからだろうが!!」
・・・が、埋まらなかった事自体は、割り振られた枠が一番多かった陸軍(25機中15機をかっさらっていった)が、
《適性A未満お断り(要約)》
したのが原因であり、海軍は割り振られた5機を、
《適性Cありゃ予備人員としての採用は最低限考慮》
としてあっという間に枠を埋め、念押しでIS一機に対しての数人のパイロットを確保した海軍や、
《適性Bあれば、基本は採用》
として、5機中4機の枠を埋めた空軍との比較もあり、「陸軍のISについては採用条件が厳しすぎる!!」として、最近は議会でも批判される始末、そんな中でこの事件である。
《自業自得染みた事やって都合が悪くなったからっていくらなんでもこれは無いだろう!!》
とか色々言われて陸軍に非難が集中するのは目に見えていた。
「もう我慢ならん!!私は最前線へと行く!後は任せる!!」
「え?、お待ち下さい閣下!?閣下ァー!!?」
資料を確認したアルバンは、部下の制止も聞かず研究所の奥へと向かった・・・・・・
「ここが最奥か、後ろは部下に任せてあるし、急いで突入するか!」
アルバン元帥は、突入しているのがバレないように慎重に制圧する海兵隊をよそに、一人だけ伝説の傭兵張りスニーキングを無駄に発揮して、施設最奥地の秘匿施設へとたどり着いた。
そして、中に突入するのだが・・・・・・
「これは・・・これ・・・は・・・・・・、貴様ら!!!私や首相に黙っておいて、ISに乗せるためだけに彼女達を作った、とはどういう事だ!!この行為が倫理的に許されると思っているのか!!」
「なっ!アルバン元帥!?」
彼が中で見たのは《虚ろな目をした10数人程の少女達》と、《彼女達に対して何かしらを行おうとしている科学者達》、そして《先程話にあった陸軍大将の姿》であった。
「どうして貴様にここが・・・・・・がっ!!!」
「吐け!!
陸軍大将はアルバンを見て驚くが、そんな暇さえ与えるつもりは無いと言わせんばかりにアルバンは大将に掴みかかり、マウントを取って一方的に大将をぶん殴りながら、怒気を放ちつつ大将に問い質す。
「わ、私は知らない!!
「・・・・・・じゃあ聞こう?彼女達のあの異質な
アルバンは、大将の迫真の返答に嘘がないと結論付けると、ふと、彼が気になった事を問い質す事にした。
「あ・・ISの適合性向上のために行われる処置で・・・・・・。」
「どんなのだ?」
「ウォーダン・オージェ・・・《擬似ハイパーセンサー》と呼ぶべきか・・・・・・脳への視覚信号伝達の爆発的速度向上と超高速戦闘状況下における動体反射の強化を目的して理論付けられ施された、肉眼へのナノマシン移植処理のことを指すのだ。」
「自身の意思で使用のオン、オフを変えることができ、使用すれば視覚能力(動体視力、視覚解像度等)を数倍に跳ね上げることができる。」
「ISを展開していない状態でも、最高で2キロ先の目標を狙うことが可能・・・と言うものだったんだが・・・・・・」
「失敗して制御不能になったと?」
「何故それを!?」
大将は彼女達に施された
「《疑似ハイパーセンサー》か・・・・・・随分とな代物じゃあないか・・・・・・ウォーダン・オージェねぇ・・・・・・」
「そうだ、第二次世界大戦期にて名を馳せた《ウォーダン・ラインラント元帥》・・・彼と同等の能力を手に入れる事を目的として、この処置は施された・・・・・・だが・・・彼女達は
「自分達が生んだ子供を失敗作扱いか・・・つくづくどうしようもないな、」
アルバンは話を聞きつつ、心の内側で呆れ返っていた。
ウォーダン・ラインラントは《紛れもなく自分の曾祖父》、自分の曾祖父の名前をそんな大層な計画につけられても怒りしか沸いてこない。
「・・・・・・そうか、なら幾つか言っておこう、まず私が貴様らに気づけた理由だが・・・・・私には
「二つ目に貴様らの処遇だ・・・・・・軍事法廷で会おう。」
「ヒッ・・・ヒイィィィ!!」
マウントが解かれ、アルバンの語りを無視して逃走しようとする大将、だが一瞬で誰かに鳩尾へ蹴りを加えられ、声を上げる間もなくその場に崩れ落ちる。
「オーレンドルフ首相!?」
「おう、ラインラント元帥、無茶やらかしたと聞いて飛んでやってきたぞ、取り合えず、この場の処理は任せてくれ、そこのお嬢さん達を頼むぞ?」
「・・・ハッ!」
状況整理の役目を引き受けたオーレンドルフ首相、アルバンに追いついた海兵隊員達の指揮を彼から引き継ぎ、淡々と処理をこなして行く、そしてアルバンは、少女達の元へと行く。
「おい、嬢ちゃん!大丈夫か!?」
「・・・・・・あ・・・・・・あ・・・・・・」
まず最初にアルバンは近くの青髪の少女に声をかける、だが反応が薄い。
「・・・ほら嬢ちゃん、私が見えるかね?」
「・・・・・・え?貴方は・・・・・・?」
「ドイツ海軍の者だ、色々事情があってね、取り合えず嬢ちゃん達は暫く海軍の預かりとなる。」
「・・・私達は
「!!!」
アルバンは愕然とした・・・・・・青髪の少女が言った一言はアルバンにある1つの可能性を
思い起こさせた。
「・・・大丈夫だ、嬢ちゃん達がお払い箱になるなんて事は
「・・・よかったぁ」
アルバンは彼女の疑問をその場で否定する、少女はその一言で随分と安心したのか、穏やかな表情に変化する。
「誰か、彼女を頼む。」
「了解しました。」
「そこのお嬢ちゃんも大丈夫か?」
青髪の少女の様子が安定したのを確認したアルバンは少女を部下に託し、すぐ近くにいた銀髪ロングの少女に声をかける。
「いやだ・・・・・・」
「?」
だが、銀髪の少女のアルバンの呼び掛けへの反応は、彼にとって衝撃的なものだった。
「いやだ!嫌だ!イヤダ!イヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダ!!」
「私ハ
「!!!」
彼は他の少女の存在もあるのに、一人確信する。
(この子が一番の重症だ・・・・・・)
咄嗟に彼は銀髪の少女に抱きつく。
「ア゛ア゛ア゛アアアァァァ!!!ウガァ!!ウガァ゛ァ゛ァ゛ァァァ!!」
少女は抱きついた彼に容赦なく抵抗する。
肩を思いっきり噛まれ、何回も何回も膝や足を蹴られ、顔面に拳や引っ掻きを何度も受ける。
「アルバン元帥!?」
肩と顔から大量の血が溢れる、それでも彼は抱きつくのをやめない。
「ア゛ア゛ア゛ァァァァァ・・・・・・・・・・・・あれ?・・・・・・あなたはいったい?」
「やっと落ち着いたか、全く、落ち着かせるのに時間をかけてしまった。」
アルバンが激しい抵抗を受けながら少女を抱きつづけていると、いつの間にか少女は落ち着き、気付けは目の前のアルバンの惨状に青ざめている。
「ごっ・・・ごめんなさい!!、ごめんなさいごめんなさいゴメンナ・・・ふぐっ!!」
「この傷は私が自業自得で得た傷だ、嬢ちゃんが自分を責める理由は存在しない」
「で・・・・・・でも………」
少女は何度も謝ろうとしてアルバンに遮られた、本当はアルバンが状況を放置するとループに陥ると判断しての行動であったが、少女は申し訳なさで切羽つまっているようにも見えた。
それとほとんど同時期に他の少女達も救助が完了し、オーレンドルフ首相がアルバンに話しかける。
「大丈夫かね?随分ダメージを負ったようだが」
「こんなもん
「どうするんだ?ラインラント元帥、このまま彼女達を見捨てるわけにもいかんぞ・・・」
「そりゃ当たり前でしょう?それよりも嬢ちゃん・・・名前は何て言うんだい?」
「・・・・・・それが…………」
「私達には・・・名前は・・・・・・」
「んなっ!?それは本当か?」
「それは・・・不味いな・・・」
アルバンの問いに銀髪の少女は吃り、青髪の少女は答え辛そうに話した、どうやら此処では彼女達は徹底的にモノ扱いされたらしい・・・・・
「不味いな・・・戸籍を、つくって誤魔化した形跡も無い可能性濃厚だぞ・・・」
「あの・・・その戸籍と言うのがないとどうなるんです?」
「非常に言いづらく、私自身必要が無ければ言いたくはないが・・・酷い言い方をすれば
「そんな!!」
アルバンの返答に黒髪の少女が叫ぶ、だがアルバンは何かを決意したかのように、こう言った。
「大丈夫だ、我々が戸籍を作成するとしよう」
「「え?」」
「ちょっ、アルバン元帥!?」
アルバンの答えに二人の少女は困惑し、オーレンドルフ首相はこれからの自分の仕事を想像して思わず突っ込みを入れてしまう。
「今回の件を公にすれば、彼女達を国が保護することも可能です、保護責任者としての責務は私が担います、幸い生まれのお陰で資産には困りませんからね、妻と娘を説得する必要がありますが・・・・・・」
「だが大丈夫かね?確かに事を公にすればキミが彼女達を保護することに問題は起きないが・・・軍の肩身が、」
「軍の威信暴落は何れ起こりうる物です、被害がマシな内の方がいい、陸軍のIS部隊には暫く冷飯を食って貰う羽目になりますがそこで恨まれてもどうしようもないです。」
「それに・・・私は彼女達の
アルバンの意思は固い、オーレンドルフは最期の確認を取る。
「やれるかね?アルバン元帥?」
「やれます、
「そうか・・・・・・アルバン元帥!!本件の被害者たる彼女達の養育を頼む、幸い、元帥の指揮下についている海兵隊は元帥を慕っている連中だ、彼らも補助に回れるように動く、この少女達を・・・・・・頼む!!」
「了解しました、この件に関しましては、わが誇り高きラインラント家の・・・・・・曾祖父、ウォーダン・ラインラントの名に掛けてでも成し遂げて見せます」
「あの・・・・・・アルバンさん、オーレンドルフさん、」
「ん?」
アルバンとオーレンドルフの一連の話の後、青髪の少女が話しかけてくる。
「お二人の名前を改めて教えていただけませんか?」
「私からもお願いします。」
銀髪の少女も追随する辺り、二人は自己紹介をすっかりと忘れていたようだ。
「あ、自己紹介がまだだったな、私はアルバン・ラインラント、《悪魔》と呼ばれた戦艦乗り、ウォーダン・ラインラントは私の曾祖父だ」
「私はマインラート・オーレンドルフ、一応この国の首相だよ、まぁすぐに引責辞任になりそうだが。」
「そうだ、二人に名前を付けなくては」
「それもそうだなじゃあ私が青髪の子につけて上げるから、アルバン元帥は、銀髪の子に頼む、」
「・・・・・・下心ありませんよね?」
「あっ、あるわけないぞい!!」
(((怪しい・・・・・・・・・)))
アルバンの問いかけをムキになって否定するオーレンドルフ首相、この時、アルバンと二人の少女だけでなく、この場にいた海兵隊員や他の少女達も含めて、オーレンドルフへ抱いた心情は一致していた・・・・・・
「・・・ウォッフォン!アルバン元帥は思い付いたかね。」
「ええ、何とか」
「じゃあワシからだな、今日からお嬢ちゃんの名前は・・・クラリッサだ!」
「首相が私に名前を・・・ありがとうございます!!」
「・・・・・・ラウラ」
「え?」
「ラウラ、それが、私がお嬢さんに贈る名前だ。」
「ラウラ・・・・・・それが・・・・・・私の名前・・・・・・」
「よかったね!ラウラ!!」
「ああ・・・・・・うんっ!!」
「元帥閣下!他の嬢ちゃん達には我々が名前をつけてあげて良いでしょうか?彼女達がそう希望しているので」
(コソコソコソコソゴニョゴニョゴニョゴニョ)
「構わんよ、但しキラキラネームは禁止な!心の傷になるぞ!!」
「ラウラ、いくよ?」
「「せーのっ!!」」
「?」
「
「・ ・ ・ ・ ・ ・ 、ファーwwwwwww 」
「リア充爆発しろおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
こうして、1人の元帥と、後に「黒ウサギ隊
」と呼ばれる特殊部隊に所属する事となる少女達の出会いの物語は終わりを告げた。
この時「ラウラ」や「クラリッサ」と、呼ばれた少女達に
原作からの変更点。
ラウラに親代わりとなる人物が表れる。
→作中半ば空気だったアルバン元帥が保護者に、
→黒ウサギ隊のバックに海兵隊とドイツ軍元帥が付いた。
~訂正~
作中、クラリッサの髪色を青なのに黒だと盛大に勘違いしておりました。
今は既に修正されておりますが、もしも修正前のを読んで違和感を覚えてしまっていたら、それは私のミスです、申し訳ありません。