兎に優しいIS世界   作:R.H.N

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「マドカ」と二人

 

 

side、束

 

 

 

「ちーちゃん!?いや、にしては背が低いし、それに・・・・・・」

 

 

 

正成と言う男が抱えて連れてきたのはちーちゃんと瓜二つの少女、

 

 

正しく言えば身長の関係で昔のちーちゃんにそっくりだと言うのが正しいのだけど、とにかく目の前には凄まじい光景があるのは理解することができた。

 

 

 

「織斑マドカ・・・私の調べが間違いなければ、君の親友の妹で、その弟君とは双子の姉に当たる子だそうだ」

 

 

「数年がけの洗脳、監視用の脳破壊機構を有したナノマシン、よりにもよって京都のダミー企業に秘匿されていたその存在、お陰さんで探すのと治療するのとで10年近く期間を要したぞ、コンチクショウが」

 

 

 

「・・・・・・助けてくれたの?」

 

 

臆面もなくこの子がちーちゃんの()()だと言い切る男に、私は短く質問した。

 

 

 

「助けた?この状態で助けたと言えるか?私が助け出すのが遅いが故に()()()()、特に姉の方は「親無し」と言う実質的な孤独をこれでもかと言わせんばかりに味わってきた!この子もこの子で私と会うのがもっと早ければ、元来の優しさと洗脳による狂気の狭間で七年もの間苦しむことなどなかっただろうに!」

 

 

 

「・・・・・・優しいんですね、」

 

 

 

質問に答える男の声は怒りに震えていた、強い自己嫌悪と後悔に苛まれているのがそれだけでわかったほどだ。

 

 

 

だから私は、この時、後に続く一連の話の時も、この人の発言の一つ一つに潜んでいた「おかしさ」の殆どに私はついぞ気づけなかったのだ。

 

 

「・・・・・・はははは、借者とはいえあの()()()()()()()()()()()()()()()()()見たからなんだろうね、それに、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、本物はどうな行動をするか私でも予測がつかん」

 

 

 

 

 

「正成さん・・・・・・」

 

 

 

「・・・その子の後事を託す、こいつを持っていけ」

 

 

 

 

 

彼はそう言い放つと、私に1つのアタッシュケースが私の足元に置かれた 。

 

 

しかし当然ながら私の両手はマドカちゃんを抱えるのに使っているので、持っていきようがない

 

 

 

「ちょっ!持ちきれないよ!」

 

 

 

「もうすぐ人がやって来るから気にするな、あ、最後に警告を残しておく」

 

 

「へ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「《女性権利団体》、《亡国企業》、《村ノ瀬正成最大の業》、《流星宰相負の遺産》、ISを巡ってなされる咎は、まだまだ続いてしまう・・・・・・」

 

 

 

 

「絶対にとは言わんが、私のようにならんでくれよ?()()、篠ノ之 束さん?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぞくっ」っと私の背中が震えた、

 

 

この男は私たちのどこまでを知っているのだろう。

 

 

ISを開発していた頃から心の内で恐れていた「もしも」の私。

 

 

はるるん、よっしー、みとりん、行信さん、それにJAXAの人達、

 

それらの人々に()()()()()()世界の私の事を考えては未だに恐怖している。

 

 

その事を完全に見透かされたようで、怖かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それではまた会おう、まぁ、そんな日が訪れなければいいのだがね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

恐怖でマドカちゃんを抱えたまま呆然とする私を尻目に彼は会場の自動ドアを1つ開けて去っていった。

 

 

 

そして、入れ替わるようにはるるんがここにやって来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

「束!大丈夫か!?」

 

 

「う、うん・・・・・・、ちょっと話疲れちゃった」

 

 

「・・・・・・色々と聞く必要のあることがあるが、取り合えず避難しよう、体は大丈夫か?」

 

 

「まぁなんとかね、はるるん、ケースお願い、私はこの子をちーちゃんの元へと連れていかないといけないから」

 

 

 

「!?、そうか…無理はするなよ?」

 

 

はるるんはそう言うとケースを取り、私と足並みを揃えて歩くようにしてくれた。

 

 

 

「すぅ・・・・・・Zzz」

 

 

「良い寝顔してるなぁ・・・」

 

 

「・・・ふふふふっ、今ちーちゃんといっくんの所に連れていってあげるからね?」

 

 

私は安らかに眠るマドカちゃんを抱えながら、私は、はるるんにちーちゃんの所へと連れていってもらう事となった・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side、義照

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「随分とあっさり付いて来ますね、私は公的な立場でもってあなた達を連れている訳では無いのに」

 

 

 

「・・・娘達が世話になってますから、まぁ、今の私たちに千冬と一夏を実子と言い張る資格は無いに等しいのですがね…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まだ千冬が物心ついたばかりの頃に二人の元から去り、長らく行方不明となっていた千冬の両親が見つかった。

 

 

私が世界各地を旅して回った()()()()の理由であった《織斑夫妻の痕跡の捜索》は、あまりにも意外な形で達成されることとなったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

「何故千冬達を捨てたのか?」

 

 

「何故今このタイミングでモンド・グロッソ会場付近にやって来たのか?」

 

 

千冬から両親の話を聞いた時から思っていた事や今さっき気になり始めた事を一旦胸の内に押さえ込み、今現在は二人を今頃決着をつけたであろう千冬とそれを祝ってるであろう一夏達に引き合わせる為、夫妻を発見した裏路地から会場へと向かっていた。

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・そう言えば名前を名乗ってませんでしたな」

 

 

「大丈夫ですよ、義照さん、イギリスのテロ事件の件とかで貴方の名前と顔はよく聞いてますので」

 

 

「それではお名前の方をお聞きしても?」

 

 

 

「・・・織斑 一春《おりむら かずはる》です」

 

 

「織斑 千秋《おりむら ちあき》と言います、」

 

 

 

 

・・・二人とも非常に表情が暗い。

 

 

余程後悔してるのだろうか?二人にはまず許され無いであろう行為をしたのを重く受け取っている分、私の想像した反応と比べてかなりマシではあるが。

 

 

 

其にしても、二人に振れそうな話題が殆ど無い、この様子だと喋ってくれそうな事は大体千冬達が揃っていることが前提になるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

そんなことを思いながら会場に向かっている時、私のケータイが不意に鳴ったのに気がついた。

 

 

 

(ピッ)「もしもし?」

 

 

「繋がった!槇田元首相!突然なのですが、今そちらで起こってることは把握できてますか!?」

 

 

 

 

「ん?何がだ?」

 

 

 

電話相手は母国の情報大臣、私に千冬の家族に関する報告をしてくれた人物だ、しかし一帯何故?モンド・グロッソの速報でも入ったか?。

 

 

 

「何がって・・・・・・先程モンド・グロッソ会場付近の廃ビル群から謎の巨大機械が多数出現して付近で大暴れしてるんです!」

 

 

「んなっ!?、防衛のIS部隊はどうしたんだ!結構な数いただろう!?」

 

 

「ミサイルを乱射するタイプの攻撃であっという間に壊滅状態です、幸い、アルバン元帥の指揮と戦車隊の奮闘あって何とか人死には出てないですけど、モンド・グロッソが戒厳令で中止に追い込まれたりで会場一帯は大混乱です!」

 

 

 

「なんてこった・・・・・・!」

 

 

 

「槇田さん、あの・・・何があったんです?」

 

 

 

「・・・少し待っててください」

 

 

話を遠くから聞いていた千秋さんが心配そうに話しかけてくれたが、話をまとめるため取り合えず返事をしといて引き続き、情報大臣の話を聞く。

 

 

 

「・・・・・・で?その様子だとまだ何かあるようだが」

 

 

「問題はここからです、今、そちらに()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

「・・・人もいないのにか?」

 

 

 

「はい」

 

 

 

「嘘だと言いたいところだが・・・正直どうしようもないな、わかった、取り合えず先に千冬たちに合流する」

 

 

 

「了解です、取り合えず、混乱が混乱が酷い様子ですから、気を付けてください、では」

 

 

 

 

 

取り合えず千冬の両親の事を話すのは後回しにして電話を終える。

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・不味いな、大会中止と言うことは、決勝の試合中に、つまり私がテレビから離れてから事は起こったわけで、ともなれば激しい戦闘の直後で千冬や他の参加者のISも動けない可能性が高い、情報大臣の話から察するにまだ会場には到達してない様子だが・・・・・・

 

 

しかし、白騎士は何故千冬の元に?、まぁそれを考えている場合ではないか。

 

 

「・・・改めてお聞きします、槇田さん、何があったんですか?」

 

 

 

「会場に向かって謎の大型のロボットが進撃してるようです、千冬達が危ないかもしれません」

 

 

 

一春さんが改めて電話内容を聞いてくる、情報大臣とのやり取りではあるが、別段内容は現状報告でしかないので、誰からかは伏せて簡潔に話したのだが、これがいけなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そんなことが!?、まずいッ!」

 

 

「一夏!、千冬!」

 

 

「ちょっお二人供!!」

 

 

 

あろうことか私を置いて二人が会場の方へと突貫していったのだ。

 

 

 

追いかけようにもさっき追いかけたのとは比にならない早さのため、直ぐに見失ってしまうこととなった。

 

 

 

 

 

「くそ!、無事でいてくれよ!!」

 

 

 

 

こうして、私は二人を気にかけながら大急ぎで会場へと向かうことになったのである。

 

 

 

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