兎に優しいIS世界   作:R.H.N

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多少空いての投稿です。

そろそろいろいろな繋がりが見えてくる頃かと。


~亡国機業~ファントム・タスク、その2

 

「3ヶ月ぶりと言ったところかねスコール、そっちの彼女が話に聞くオータム・クラウディアさんで間違いないね?」

 

「その通りです、私の自慢の部下ですよ」

 

「す、スコールっ?!」

 

「ふむ・・・なるほどなるほど・・・」

 

 

目の前の男性・・・亡国機業総帥は、スコールに一言だけ聞き、返答を受けると軽くオータムを眺めて呟く。

 

この時オータムはスコールから褒め言葉と言える評価を受け、軽く赤面していた。

 

 

「・・・おっと、オータムさんへの自己紹介がまだだったな」

 

「始めましてと言わせて頂こうか、私が一応君たちの背後にいることとなる秘密組織郡【亡国機業】の総帥に該当する者だ、生憎と形式上のコードネームは持っとらん、大抵は総帥で呼ばれてるからそうしてくれると助かる」

 

「・・・オータム・クラウディアだ、スコールの所で働かせてもらってる」

 

「・・・・・・コードネームは?」

 

「へ?」

 

「・・・・・・あっ」

 

総帥がオータムに自己紹介をし、オータムもそれに返して自己紹介をする。

 

実のところ自己紹介のタイミングでそれまでの態度と違った口調に変わっているのだが、総帥は気に留める事もなく彼女のコードネームについて訪ねた。

 

「・・・・・・スコール、あっ、って何だね?あっ、て?」

 

「・・・申し訳ありません総帥、私としたことが、コードネームを・・・・・・」

 

「スコール、君の話によれば彼女は此所で働くようになって10年近くにはなってる筈だが?」

 

「・・・・・・ああ、その事は気にしなくて大丈夫だぜ総帥さん」

 

 

 

スコールのミスでオータムはこれまでコードネーム無しで活動していたらしくその事実に気づいた総帥を困惑させる。

 

が、オータムは特に気にした様子もなく、女性らしさの無い口調で総帥に言い放った。

 

 

 

「しかし、活動中、本名で通信してるとそこから身バレする危険がだね」

 

「大した問題になりませんよ、この名前はスコールに拾われた時、付けてもらった名前ですから」

 

「・・・彼女にかい?」

 

「元々名前さえ付けてもらえずに捨てられた者でしてね、所謂ストリートチルドレンって奴です」

 

「ちょっと待った、まさか君が拾われたのって・・・」

 

「ブラジルです」

 

「当時、路地で生活してて、明らかにヤバイやつらから逃げてて、でも子供だった当時の私にはすぐ限界が来て、裏路地の袋小路に追い詰められて・・・《殺される》と思った時にスコールに助けられて、そのまま此所に拾われたのさ。」

 

「・・・・・・・・・幸運だったのだね、」

 

 

本名で活動している事を危険視する総帥は一度食い下がるが、オータムの出生と今に至るまでの経緯を聞き、小さく一言呟きながらオータムの頭を撫で始める。

 

 

「総帥閣下!?」

 

 

(・・・・・・あれ?私は男は嫌いな筈なのに・・・・・・何で?)

 

突然の行動にスコールが驚く、オータムは最初総帥の突然の行動に困惑したものの、暫くした後、次第に感じた安心感に包まれ、ゆっくりと目を閉じながら撫でられ続ける。

 

(あたたかい・・・・・・)

 

 

 

 

 

 

 

「・・・オータム、此所は、【機業】は君の寝床に成り得ているかね?」

 

「・・・ああ、これ以上は求めたくないくらいの寝床さ、総帥」

 

「・・・ふふふ、そうか」

 

総帥からの質問に穏やかな表情で返事をするオータム、返事を聞いて穏やかな笑みを浮かべつつ、オータムから離れる総帥。

 

かたや20になるかならないかの女性、かたや白髪で初老の男性、その光景はまず早々見れるものでは無いだろうと言えるものだった。

 

 

 

「・・・一つ聞きたいことができちまった、総帥、良いか?」

 

「構わんよ、あ、今更だけどそこに椅子置いといたから、立ち話も何だし座ってくれたまえ」

 

「じゃあ遠慮なく・・・っと」

 

(オータムと総帥との会話になって完全に私の出る幕無いじゃない、そういえばフリージアは・・・いなくなってるわね)

 

すっかり素の口調で話すようになったオータム、二人だけの空間みたいな状況になり、スコールは完全に話からおいてけぼりにされている。

 

スコールは二人をつれてきたフリージアは、いつの間にやらこの場を去っていた。

 

 

「んじゃ聞きたいんだが、そもそも何で総帥はこの【亡国機業】を作ろうと考えたんだ?、第二次世界大戦前に機業は設立されて活動していたって話なんだが・・・・・・」

 

 

「ああその事か、まぁそれに関しては、この組織の()()の成立経緯から話をするのが一番だろうな、機業が機業として成立したのは存外近年の事なのだよ、まぁ長い長い話になるがね、」

 

オータムの質問を聞き受けて、総帥は絵具を一旦すぐ近くの木箱にしまった後、その隣にあった別の箱から写真立てに入った一枚の白黒写真を取り出す。

 

 

「見たまえ、【亡国機業】の前身となる組織の設立時の写真だ、一番右端にいるのが当時の私で、逆サイドの女性が今の副総帥だ」

 

「・・・・・・・・・おいおい、この写真」

 

「ウォーダン・ラインラント!?それに総帥の隣の人物は・・・・・・」

 

「村ノ瀬正成だ、私の数少ない親友の一人だった、ウォーダン共々大戦中にこの世を去ったのだがな」

 

写真に写るは一同に会した7人の男女、髪が黒く見えることを除けば本人そのままである当時の総帥の姿や、今の機業副総帥だと言う女性の姿の他、そこには副総帥の隣に写るウォーダン・ラインラントの姿や、総帥の隣に写る村ノ瀬正成の姿があった。

 

その他、服装と階級章から戦前の帝国陸軍近衛連隊長格と思われる人物、男物の分厚いコートを着てブラウンの帽子を被る女性、一人だけファンタジーから紛れ込んだ魔女じゃねえのかと言わせんばかりの服装で佇む女性の姿がその写真には写されていたのである。

 

「・・・これは合成ですか?」

 

「そんなわけなかろう、撮影が1924年だからカラーフィルムなにそれな時代の頃の写真だ」

 

「しかし、一人完全に場違いのが・・・」

 

「彼女は当時、マジシャンをやっててな、仕事衣装は目立つようにとわざとその服装にしていたんだよ」

 

「はぁ・・・・・・」

 

 

「話を戻そう、私と副総帥を含めた写真の7名がこの【亡国機業】を設立した頃、この写真に写っていた物達はとある共通した意識を持っていた」

 

「共通した意識?」

 

()()()()開戦のカウントダウンが近づいている、と言う意識だ」

 

「当時、イタリアでファシストが政権を握ったり、ヒトラーがミュンヘン一揆を起こしてランツベルクにブチ込まれていたり、排日移民法が成立して日米間の雰囲気が本格的に怪しくなり出した頃だった」

 

 

「この頃からヒトラーの躍進、日米間の仲の決裂、ファシズムと共産主義の激突を予想した私と副総帥含むこの写真の7人は、先の戦争・・・日本では第一次世界大戦と言われているあの戦争とは比較に出来ない程の規模の戦争が2()0()()()()()()()()と予測していた」

 

 

「7人組はその兆候を少しでも早く掴もうと、世界の情勢をなるべく客観的に見定められるようにする為の超国家組織を成立させたんだ、あわよくば入手した情報を上手く使って世界大戦が起こるのを阻止出来無いか?と言う思惑も含めてね」

 

 

「最初は初期のメンバーによる単純な情報交換の場に近いような組織だった、当時ウォーダンはまだ佐官だったし、正成も軍で艦船設計に望んでいた一介の技術者でしか無かったからね」

 

「しかし、時がたつにつれて、7人組と同じように世界大戦を回避しようと動く人々がこの組織に集結し、大戦回避のための努力を裏で続けたんだよ、有名どころだと、30年代中頃に一度だけ、後の英国首相チェンバレンがお忍びで会合場所にやって来たことがあった程だ」

 

「そうだったんですか・・・・・・」

 

「まぁ、こうした水面下の努力も空しく、結局のところ戦争は始まった、ウォーダンは軍人としての信念から軍務に集中して組織に殆ど顔を出さなくなったし、私も大東亜戦争の始まりごろは前線にいた都合上組織に顔を出すことが出来なかった」

 

 

「だが組織はその後も活動を続けた、回避できなかったのならば早くに終わらせる他無い、当時のメンバー達は日本とドイツ中心に裏で和平工作に乗り出したんだ、結局のところドイツではヒトラーが死ぬまで効果は無かったし、日本は日本で効果が出た頃には手遅れだったのだがね。」

 

 

 

「まぁ、その後は歴史の流れに流されて、結局は今に至ると言ったところさ、」

 

 

「なるほどなぁ・・・・・・道理で何処からともなく情報が集まってくる訳だ・・・」

 

「昔は私が一番実権握ってたけど、今は殆どを副総帥と後に出来た幹部会に渡しているからねぇ、直轄部隊のお陰でそれでも色々出来るが、実のところ私の権限は大したものじゃなくなっているのさ」

 

「・・・・・・まあそこら辺はおいておいて本題に戻るとするか」

 

 

「では報告させていただきます」

 

多少長い総帥の話を本人が切り上げたところで、スコールがすかさず報告に入る

 

総帥も又顔つきを真剣なものに変え、スコールの方へ耳を傾ける。

 

「やはりというかなんと言うか、IS委員会の公式発表と、実際の白騎士発展機とは見た目以外が余りにも大きく違いすぎました、正直、現行の機体相手ではまともに太刀打ちするのも困難ではないかと、此方が報告書です」

 

「・・・・・・」

 

スコールから報告と共に書類を受けとる総帥、内容を軽く流し読みすると、ため息を一つつきながら口を開いた。

 

 

「やはりIS委員会は爆弾を抱えていたということか・・・・・・」

 

「爆弾?どう言うことだ?」

 

「この白騎士の発展機・・・・・・白桜と言うのだが、既存の機体を遥かに凌駕する第5~7世代該当機という話を聞いていてね、まぁその確認のためにわざわざ二人を送っていたわけなんだが、まさかこうもそっくりそのまんま情報通りだったとはなぁ・・・・・・」

 

「とすると今回の任務は総帥にとっては単なる裏付け以外の何物でもなかった、と?」

 

「概ねその通りだよ、こう見えて()()()には存外と情報が集まってくるものでね、」

 

「成る程・・・・・・所で総帥、次は何をすれば良いんだ?幹部会からの指示待ちか?」

 

 

「いや、本日付でもって、正式に第一実行部隊は私の所管となる、幹部会は新設の部隊を統括することになっているのでね」

 

「・・・その関係もあって私達を此処へ?」

 

「その通りだ、まぁ暫くは休養してもらう事になるがね」

 

「それまたどうして?」

 

 

「今後、第一部隊には潜入工作を主として活動してもらう事にしたのでね、第三部隊と共同で長期的な任務に従事してもらう事になる、そのための準備と言うやつだ、それともう一つ、スコール、君の姪っ子がIS学園での潜入工作を志願してきたから一応親族である君の意見も聞いておきたくてね、」

 

 

「レインがねぇ・・・大丈夫なの?」

 

「少なくとも【亡国機業】の一因とはバレないであろう位には上手く隠蔽出来ている、米政府も事実を知ったら泡を吹くだろうなぁ、ハハハハハ!」

 

「・・・・・・話は了解したわ、あの子も自身の考えで動いてると言うのなら私からはそれ以上言うことはないわよ」

 

「そうか、なら私が彼女の任の裁可を出しておこう」

 

彼はスコールからの了解を得ると、遠くにいたフリージアに対して目配せをする、フリージアはそれだけで何が起こったかを理解し、すぐさま何処かへと去って行く。

 

 

「さて、二人に最後にいっておくことがある」

 

「何だ?」

 

「近いうちに第二、第四及び新設の第八部隊を担当部隊とし、日本で大規模なテロ活動を行うことになっている」

 

「ほう・・・目標は?」

 

「JAXA、首相私邸、槇田義照の別荘、そして国際IS委員会日本支部の四ヶ所だ、日本支部には国際IS委員会委員長が来訪してるタイミングでの行動となる」

 

 

「それはまた大層な・・・・・・」

 

「そのため、事件後は情報省や警察、特戦群等が総動員されるだろう、よって第一実行部隊の温存を図るためこの件への一切の介入を禁ずる、事件後巻き添えで第一部隊にも捜査の手が及ぶのを防ぐためだ、理解してくれ」

 

「了解、まぁ余り乗り気になれない仕事だしねぇ、援護要請が来たらどうします?」

 

「第一部隊は総帥直轄になるに当たっての再編及び配備戦力増設中、それとは別に第三部隊は別口での潜入任務を優先するため、と私からいっておく」

 

「了解しました」

 

「二人とも、無茶はせんようにな」

 

「有難うございます、ではこれで、オータム」

 

「わかってるわ、では総帥、失礼させてもらうぜ」

 

 

総帥は話を終えると去って行く二人を見送る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「閣下、宜しかったのですか?」

 

「ん?何がだね?」

 

元来た道を戻って行く二人を見送った直後に総帥に話しかけるフリージア、投げ掛けられたのは疑問であった。

 

 

「何って閣下は前、二人に米国特殊部隊向けのIS、【アラクネ】と唯一の機業製新型ISを第一実行部隊に回すと仰っていたじゃないですか・・・・・・」

 

 

「ああ、あれの事か、あれは次の会合時にサプライズする予定でね、いい加減トルコの悪趣味カラーリング機の色違いばかりでは華が無かろうにとね、」

 

 

「はぁ・・・では【都市】の捜索の中断の理由を聞かれた場合どうなさる予定だったので?」

 

「ああ、それのことなんだがね、丁度ドイツのベルソン重工が少し前に【都市】を発見したことを掴んだんだよ」

 

「ベルソン重工が!?」

 

「ドイツで暴れさせたオートマン調査に一枚噛ませたのもその関係さ」

 

「【コマンドティーガー】だったかな?もう早速ISに代わる二足歩行兵器として設計段階に入ってるらしいよ?」

 

「うわぁ・・・・・・さらりととんでもないことを・・・・・・」

 

「まぁ【都市】にアイツの遺作があるのも確認できたし暫くしたら世界は混沌とするだろうねぇ・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何もかもが表出した時、人々がどんな判断を下すのか今から楽しみだよ・・・・・・」

 

総帥はフリージアと会話後、佇む艦を見続けながら、小さく呟くのであった・・・

 

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