なんか息抜きで書こうかなぁ?
それはそうと、本編ではまた動きがあるようです。
~場所は変わって長野県 軽井沢町のある別荘~
(・・・ピンポーン!ピンポーン!)
「ほいほい、どちらさんで?」
「どうも、前に電話した内亞大の東と申します、槇田さんのお宅であってますでしょうか?」
「あってますよ、今開けます」
軽井沢の別荘地の一角、とある小さな別荘地にある一件の建物に、日本国元首相、槇田義照はいた。
「どうもはじめましてだね。内亞大学准教授、東 大河さんだね?」
「はい、内亞大の東です。本日は宜しくお願いします」
「宜しく」
この日、義照は一人の人物と会っていた。名前は東 大河、僅か25歳で歴史学分野において大学の准教授になるまでに至り、新人気鋭と名高い女性歴史学者である。
「まぁ何です、話は中で。有り合わせですがお茶でも用意させていただきますよ」
それから暫く、元首相と若き歴史学者二人の茶会が続く。
と言うのも、単純に二人が本題の切り出し時に迷った故なのだが。
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・義照さん、そろそろ本題よろしいですか?」
「どうぞ、まずは連絡の際にお話頂いた件からですかね」
暫く間が空き、それから東がここにやって来た本題へと話をシフトさせて行く。
「ええ、家庭内における義貞さんの立ち位置・・・についてのお話ですね、正直聞けるとは思ってなかったのですが・・・・・・」
「あのクソ親父の話なら幾らでも。何だかんだと誤解や親父が私にしか話してない話とかいくらでもありましてなぁ、まぁ義秋も義秋で別に話に成りそうな物は持ってるはずだがね」
「では早速・・・やはり義貞氏は【公人としてはともかく私人としては良くない】という評価は・・・・」
話というのは、義照の父、槇田義貞の評価についてであった。
話を聞いた直後、義照は多少顔つきが険しくなったが、そのまま口を開き始めた。
「まず根本の話をば。私の父が私人としてダメダメなら、首相を曲なりにも勤めあげた私は何なのだと言う話になると思うのだが?」
「反面教師、って言葉知らないわけでもないですよね?」
「知ってはいるが、親父には当てはまらんよ。公人としての仕事量が半端無さすぎただけだ。私の知る限り、数ヵ月単位で寝ないのは当たり前。ひどいときは一年中起きっぱ何て言う時期もあったと思われるほどのハードスケジュールだからな?」
「やはりあの情報量は寝ないで集め続けた結果でしたか」
「だろうね。まぁ自分の事をまるで考えない一点においてはあの評価は間違いなく正しいとは言えると思うぞ? 義秋の奴なんか親父のハードスケジュールに対する危機感が原因で何度も親父を幽閉しかけたからな」
「うっわ、またトンデモない話が・・・・話は移るのですが、義貞さんに関して個人的な印象のある出来事ってあります?」
「・・・個人的にか、とするなら日誌かな?」
「日誌?」
「ほい、あれ」
義照がさらりと指差すと、そこには小さな本棚とそこにただ唯一納められている古びた三冊のノートが目に入った。
「親父がたまに別荘に来ては書いていた日誌だ。内容は見てないが、何でも苦学生だった頃から、わりかし重要な事がある度に書いていたらしい。詳しく知ってるのはは親父と、同時に逝った母さん位だが、まぁまぁ良い資料にはなるんじゃないのか?」
「読んでもいいんですか?」
「親父の真意が詰まってるであろう代物だからな。息子の俺が読むのは無粋だろうと思って放置してたが、歴史家先生の目にとどまるんだ。大した問題じゃあるまい?」
「これは中々に光栄ですね、私なんかがあの【流星宰相】の日誌の最初の読者とは」
(ピンホーン!)
義貞の日誌を手に取った大河が感慨深そうにノート表紙を眺めていると、玄関のインターホンがなる。
「ん?客人か?義成の奴がまたお忍びで来たかな?すまない東さん、私は来客の対応をするので、そのノート読むなりして暫くお待ちいただけますかい?」
「ではお言葉に甘えて日誌を失礼しますね?」
東は日誌のページを開き、内容を読み進めて行く。
最初の一ページを開いたとき、彼女は急に顔色を変えたのだが、それに義照も、そして大河自信も気づくことはなかった。
ーside 義照ー
「お邪魔します~」
「・・・ここが師匠の別荘なのか、やはりというかなんと言うか、極端に質素だな」
「よっしーの自宅訪問!と言うわけで来たわけだけど、本当に何もないねぇ・・・」
「相も変わらず・・・ですなぁ」
「やぁ兄さん、僕共々、別荘に来たのは数年ぶりかな?」
「誰かと思えば束に正晴と箒ちゃん、そしてお前か義秋」
元から来訪予定だった東教授の来訪後にアポなしでやって来たのは、弟の義秋と束達であった。
「参ったなぁ~、今客人がいてな?」
「ん?その声は正晴博士ですか?」
「・・・客人と言うのは東さんでしたか」
「ん?はるるんあの人と知り合い?」
「東 大河、私の同期で専門は歴史・・・なのだが本質上は生物学の専門家に当たる奴でな、一応両分野での博士号を持ってる筈だ。みとりが行う、ISに関する研究においての交流先の一つでもある」
「久しぶりね、束さんとよろしくやってるようで何より」
「そっちも元気そうで何よりだ」
「そうなんだ・・・、あ、はじめまして、篠ノ束です。よろしくお願いしますね」
「妹の箒です、宜しくお願いします」
「二人とも宜しくね。そうそう!急に悪いけど3人ともこっち来てこれ読んでくれない!?ちょっとトンでもないもの見つけちゃったのよ!」
「ちょっ東さんここ私の別荘・・・」
「大河・・・お前がそういう時、基本ろくでもないことになってるんだけど・・・」
「そんなこといってる場合じゃないのよ!急いで!」
「はぁ・・・・?」
急かされるがままに東に見せられた日誌を見た3人、私は困惑しつつもいま暫く様子を見ることとした。
と、同時に4人の顔が著しい変化を見せるようになる。
最初は疑問符を、暫くした後に怒りを、その直後に恐怖で青ざめ、そのあとには困惑に戻る。その後も表情はコロコロ変わるが、あまりに変わりすぎていて面白くなりいつのまにやら一時間ほどが経過していた。
「・・・どうしたんだ?親父の日誌読んでそんなコロコロ表情を変えて」
「はるるん?これ本当に義貞さんの日誌?」
「・・・ふざけ話はそこまでにしとこうか?」
いきなり束に日誌にあらぬ疑いをかけられた。
日誌を書いたのは親父と母だけ、俺と義秋は触ってすらない、そんな代物を偽物扱いされかけてるのだ。束相手とは言えいい気になれる話ではない。
「・・・義貞氏の話になると口調が激変するとか言う噂話は本当だったと言うわけか」
「何となく、パンドラボックスをこじ開けてしまったような感覚を覚えるわ。なにこれ」
東さんと正晴の二人が呆然としながら呟く、ってかパンドラボックスとか親父に対して失礼だなオイ、おんどれは何様のつもりなのやら・・・
そんな事を思っていたら、顔を青ざめさせた箒ちゃんから一言言われた。
「師匠、この日誌、読んだことないんでしたよね?だとしたら読んだ方がいいと思います」
「箒ちゃん?」
促されるままに、その日誌を斜め読みする。そして私は三人がこうなった理由に目星をつけた。
そして、私自身でさえ予想しなかった事実に気がつき思わず
そして、それと同時に・・・・・・
―――side 箒―――――
「・・・・・・・・・久しぶりだな、クソ親父ィィィィィィィィ!!」
私が謎の日誌を読むように師匠に促した後、師匠は突然絶叫したかと思うと、振り向きざまのあらぬ方向に向けて胸ポケットにあったライターをものすごい勢いで放り投げた。
そしてそのライターは、その先にいた一人の男性に受け止められた。
「ねぇ、はるるん、あの人・・・・・」
「・・・まさか、な」
私は東さんと共に言葉を失った。
そこには、師匠と瓜二つな、黒いコートを羽織った男性と、目を疑わんばかりの美しい、桜色の和服を来た女性の夫婦がいた。
ライターを受け止めた男性は、そのライターをポケットにしまい、別のライターとタバコを一本、どこからともなく取り出して一服し始め、その光景をどことなく嬉しそうに女性は見つめていたのだ・・・・・・・
「待て!クソ親父!」
師匠が叫びながら夫婦を追いかける。しかし、その時まるで謀ったかのようなタイミングで辺りを強風が襲う。
「わわわっ!ちょっ風強っ!」
「アレ!?さっきの二人は??」
「チィ・・・逃げられたか・・・・」
「義照、アンタが言う親父って事は彼らは・・・・」
「お察しの通りさ」
この時、私は師匠と正晴さんが呟いたやり取りの意味に気づくことは出来なかった。
ただ、師匠がその時、どことなく嬉しそうにしていたことだけが、私の印象に残ったのだ。