JAXAにて二年の月日を掛けたIS、インフィニット・ストラトス一号機が完成した頃、英国、ニューカッスル国際空港へと向かうとある高速鉄道の車内にて。
「それにしても、わざわざお見送りありがとうございます、こんな不出来な身の私をわざわざ空港まで。」
「いえいえ、義照さん程の貴人とお話しする機会など、我が国では女王陛下とハロルド首相以外ではほとんどないので此方こそ光栄なものです。」
「28の若さで日本の首相に至ったMr.義照とこれだけの対話ができる機会など我々には殆ど回ってきませんから、幸運でしたわ。」
「まぁそんな私も実際のところはお飾りです、国民からの受けが良いからって首相の椅子に据えられたわけで、基本的に仕事は大臣達任せでトップのわりには全然仕事してないし、出来ることと言えば任せられる人材に任せて責任とることくらいで・・・・・・。」
「それが出来れば上に立つ者としては十二分ですよ、ハロルド首相も思いきりの良さは羨ましがってましたからね。」
「そうだったんですか?、ハロルド首相も苦労してますなぁ・・・・・・」
槇田 義照首相はこの日予定していた英国首相との会談を済ませ、高速鉄道にて帰路の途に着く車中の人であった。
彼が乗る車両はニューカッスル国際空港行きクラス390電車、9両編成の二等車である。
(尚、安全性を考慮して最後尾丸々一両を貸し切りにしており、車両内には下記の夫妻を除くと首相と護衛のSP9名しか乗っていない。)
先程から彼と話をしているのは会談先を地元とする有力貴族、オルコット家家長のチャールズ・オルコット氏と、カレン・オルコット夫人の二人であり、今回わざわざ女王の気配りにより義照を空港まで見送る役を担った夫妻である。
「そういえばオルコット公の所はセシリア嬢がもうすぐ誕生日でしたよね?」
「ええ、今年で5歳になります、あの子は私と違って妻に似た元気な子に育ってくれてて振り回されてばかりですよ。」
「オルコット公はそうやって毎度卑屈すぎますよ、立場の厳しさはご理解できますが、少しは元気だして積極的に動くのも良いもんですよ?、セシリア嬢の顔を私は見たことがないので御披露目あるかなとか思っていたのですが、」
「今回は流石に家に置いて来ましたよ、五歳の子供に貴族の世界はちょっと早い、もう少し純真に育ってからでも遅くはない。」
「セシリアはしきりに会いたがってましたが、私も夫も今は忙しい身、あまり時間をかけられないからってチャールズがしきりに止めたんですの。」
「そうでしたか、じゃあ次来れたらついでにそちらの方へお邪魔させていただきますよ、セシリアちゃんも他所でやるよりやりやすいんじゃないかな?」
「わざわざどうもありがとうございます、セシリアへの土産話にさせていただきますわね。」
話の直後、アナウンスが目的地が目前に迫っていることを告げる、そろそろ空港へと到着するのである。
だが、直後・・・・・・
「ジリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリ!!!!!!」
「何があった!?」
「いったい何がどうしたんですの??」
突然車内にて非常時を伝えるベルが鳴った、
突然の事態にパニックになる乗客たち、
直後、急ブレーキが作動する。
オルコット夫妻は何が起こったか理解できていない、しかしその時、
「オルコット公ォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
「「え?」」
開いていた列車のドア、
突き飛ばされるオルコット夫妻、
オルコット夫妻は列車から突き落とされる、
直後、空港へと列車が突っ込む、
そして・・・・・・
「・・・っ!いたたた・・・カレン、大丈夫か?」
「ええ、なんとか落ちたところが良かったから・・・・・・」
夫妻が突き落とされたのは、たまたまそこにゴミとして積まれていた大量の柔らかいクッションの上に、ギリギリで受け身を取れたのも功を奏して二人は軽い怪我で済んでいる状態であった。
「それにしてもいったい・・・・・・!!!」
「あれ・・・はっ!!」
「「・・・槇田首相!!!!!」」
起き上がった夫妻が目にしたのは、本来の線路を大きく脱線し、他の車両ともみくちゃになりながら空港施設内部へと突っ込んでしまっている、先程乗っていた列車の姿であった・・・・・・。
更に時期を同じくして、ドイツ連邦共和国、ヴィルヘルムスハーフェン港、ドイツ連邦共和国海軍所属正規航空母艦「グラーフ・ツエッペリン二世」艦上。
「閣下ァァァァァァ!!ラインラント元帥閣下ァァァァァァァァァァァァ!!!!!」
「どうした艦長?、そんないきなり血相を真っ青に代えて?」
《アルバン・ラインラント》ドイツ連邦共和国海軍元帥の随伴の下、ヴィルヘルムスハーフェン港にて観艦式の準備をしていた正規航空母艦「グラーフ・ツエッペリン二世」の元に前代未聞にして空前絶後の大凶報が飛び込んできた。
「そ・・・・・・それが・・・ッ!!」
「・・・どうした?よほどの事か?取り敢えず報告してくれ、でなければ何も始まらん。」
(ゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ)
報告を持ってきた若手士官を宥めた45歳の元帥は、取り敢えず報告を聞こうとする。
「・・・・・・これから言うことをよく聞いてください、」
「ああ、して用件は?」
「・・・・・・マインラート・オーレンドルフ首相より緊急の連絡です!!!」
《超弩級非常事態発生、超弩級非常事態発生!!我が軍が所蔵している弾道ミサイル計300発含め、世界中から凡そ2500発の戦略兵器搭載の弾道ミサイルが目標を日本国の各地に指定して発射された!!》
《繰り返す!、我が軍が所蔵している弾道ミサイル計300発含め、世界中から凡そ2500発の戦略兵器搭載の弾道ミサイルが目標を日本国の各地に指定して発射された!!》
《原因は完全に不明!!一番早い弾頭はこのままだと今から2時間後に福岡県に着弾する模様!!》
《命令は以下の通りとなる、まもなく国内外問わず発射された弾道ミサイルの一部が群れを成してヴィルヘルムスハーフェン上空を通りすぎる頃合いである、海軍はグラーフツエッペリン二世以下、全戦力をもってして此の迎撃に当たれ!!》
《尚同時に陸空にも命令は伝達済みである、本国政府は駐日大使を中継して情報を伝達後、副首相と軍大臣を除く首脳陣総動員で日本へと向かう、軍はこれより各員、与えられた命令と軍人としての本分を全うせよ、以上である。》
「閣下!弾道ミサイルと思われる飛翔物体を確認!!数が多すぎます!!ご指示を!!」
アルバン元帥は空と海原を仰いだ、これ程までにクソッタレなリアルなど他にあるだろうか?いや、このクソッタレさは後にも先にも無いだろう、しかしながら、それでも表面上は冷静であった元帥の口から出た言葉は、この1つ以外存在しなかった。
「・・・・・・全艦艇戦闘体制に移れ!目標は空を飛んでいる弾道ミサイルだ!!!なんとしてでも全弾撃墜しきるんだ!!」
そして「目覚める」時は来た。
・・・・・・・・・続く。