世界観的には仮面ライダーエグゼイドが主軸になってますが時系列はパラレルであることを示すために
・グラファイト生存してるけどドラゴナイトハンターは制御済み
となっております。
「こいつが噂の、星の戦士!」
エグゼイドは、地に降り立った存在の後ろ姿に目を丸くする。
一瞬奴らの仲間かとも思ったが、どうやら違うらしい。
「……何だありゃ?」
「随分とファンシーな……」
「かわい~~!」
「あれって……」
ドクター達が思い思いに呟く中、カービィはきょろきょろと周囲を見渡し、自らに起きた状況を理解しようと努める。
ブラックホールに吸い込まれたかと思えば突然大空に放り出されて、一緒に吸い込まれてきたであろうワープスターに捕まり不時着した……。
しかし場所がダメだった。自分にも負けず劣らずのポップな容姿をした者たちと、なんだか既視感を覚える形をした二体の怪人が戦う真っ只中に落ちた。どう考えてもスルーされるわけがない。無言でこの場から離れればすべてなかったことになるなんて考えられない。
カービィは困惑しつつ、頬にこびりついていた生クリームを舐め取った。
「手合わせ願おうか!」
「!!」
クリームの甘味が喉を通ったのも束の間、Dソードが瞬時にカービィの懐に潜り込んできた。
「危ない!!」とエグゼイドが思わず叫ぶ。
しかしカービィは繰り出される剣筋を紙一重で後退しながら躱してていく。
「ふははは!やるようだな、次は俺の番だ!」
Dソードと入れ替わるようにDマインドが拳を突き出してくる。
さらに左右からはスターバレットの変則攻撃が追い打ちをかける二段攻撃。これには流石の彼も躱し切れずに蹴り飛ばされた。
ボム、ムギュ、などの柔らかそうな音を出しながらコンクリートの上をボールのようにバウンドする。
「他愛もない……」
しかしカービィは負けなかった。吹き飛ばされながらも彼はエグゼイドのゲームエリアのブロックを器用に破壊する。
すると、本来であればライダー達に様々な効果をもたらすエナジーアイテムと呼ばれるメダル型のアイテムを落とすブロックから出現したのは、見たこともない星型のアイテムだった。
「え……?」
これにいち早く気がついたのはエグゼイド。いつものアイテムでないことは一目瞭然。それがなんなのか、今彼が知る術はない……。
カービィは星型アイテムを大きな口に吸い込むと、Dマインドへ向けて勢いよく吐き出した。
「!?」
初めてまともな攻撃が通った。完全に油断していたDマインドは装甲から火花を散らしながら尻餅をつく。カービィはその隙を見逃さず、次々とブロック、宝箱、ドラム缶をパンチやキックで破壊しアイテムを吸い込んでは吐き出してを繰り返す。最初こそ優勢だった二体はそれぞれ攻撃の隙間をぬって反撃を仕掛けるがことごとくかわされ、翻弄され始めていた。
「す、すげぇ!」
エグゼイドは感服した。目の前の生物は、戦い慣れている。天才ゲーマーの血がカービィを賞賛せずにはいられない……何をどうするかなどほとんど考えていない、すべての行動は頭にインプットされ、感性の領域で発揮されていた。
事実、カービィ自身も深く思考してはいなかった。
とにかくこの状況から脱して食後の昼寝がしたい、その感情に尽きる。
「ぐっ!」「私としたことが、侮ったか!」
「それがそこの超生物だ」
被弾したDソードとDマインドが膝をついた時、『ソレ』は、現れた。
ガシャリ。と、崩れた瓦礫を踏みつける音が近距離で聞こえ、カービィは振り返る。
『闇』が溢れ、蹂躙され尽くした街の中に佇む暗黒の象徴。星々から輝きを奪取し己らの一族を除く全ての生命を一滴の落涙すら有さず屠る者。
黒い着物のような格好をした、白髪紅眼の少女……。
「ゼロ様!」
唐突にDソードが剣を仕舞い、Dマインドと共に膝を折り服従の姿勢を取る。
カービィはキョトンとし、エグゼイドもブレイブもスナイプも異様な光景に固唾を呑む。
そうしている内に、少女―――ゼロはカービィへと向き直った。
「しばらくぶりだな。カービィ。コピー能力すら使わず我が配下を追い詰めるとは、実力は直接やり合った時以上のようだな」
「―――?」
カービィは少女の歪んだ笑顔に眉を細める。
ゼロは、カービィが自らの正体がわかっていないことを悟った。
「ああ、この姿では分からぬのも無理はないな」
ゼロが紅い右眼を光らせながら独り言のように呟く。すると今度は、エグゼイドの方に身体を向けた。
明日那を庇いながら、エグゼイドは喉を震わせて言う。
「そいつらの仲間……やっぱバグスターか!?」
ゼロは答える。
「違う。我らはダークマター一族」
「ダークマター一族だと?」
「そして私はゼロ。全宇宙の覇者たる資格を持った、大いなる存在だ!」
「お前らの目的はなんだ!?」
「無論。地球をダークマターのモノにする」
「要するに侵略ということか」
「そんなこと、させるか!俺達仮面ライダーがいる限り、お前らの好きなようにはさせねぇぜ!」
エグゼイドがガシャコンブレイカーを突き出しながら一歩前へ出た。明日那は後ろで大きく頷いていたが、ブレイブとスナイプは仮面の下で「巻き込むな」と言わんばかりのうんざりした顔をする。
「……威勢だけは結構なものだ、エグゼイド。だがこれを見て同じセリフを吐くことができるかな?」
ゼロが口角を釣り上げ、両手を広げた途端、眼前のライダー達は驚愕し、戦慄する。
紅眼が深化し、頭の上に輪のような物体、背中には、根元は白、先端が赤の二対の板状が翼のように形成されていく。美少女と称して差し支えない容姿のゼロに付属した三つのパーツは天界から舞い降りた天使の如き神々しさを放っていた。
(このエネルギー、尋常じゃないっ!)
(チッ……口だけじゃねぇってか)
カービィは眩しさに目を瞑り、エグゼイド、ブレイブ、スナイプは膨れ上がる敵意を目の当たりにする。
本音を吐露する……こいつはヤバイ。
―――始まる異変。
ゼロの表情が、一瞬だけ歪んだかと思えば、輪と翼は粉々に砕け散り跡形もなく消滅する。
「「!!」」
DマインドとDソードが、急に力が抜けたかのように膝をつくゼロを支えた。
「いけません。あなた様の力は未だ不安定なのです!」
「まだ時は満ちていません。星の戦士を屠りたいお気持ちはわかりますが、ここは退くべきかと」
「……致し方あるまい」
呼吸を荒くし、苦悶の表情でありながら、ゼロはカービィを睨みつけ、
「お前は、必ずこの手で……!」
それだけ言い残し、闇の瘴気と共に姿を消すダークマター達。するとどういうわけか、宙を漂っていた大量のダークマター達も『闇』の中へと去っていき、街に静寂が訪れる。
エグゼイド達は脅威の消失に安堵した。しかしそれは、決して良い気分にはさせてくれない。彼らは運良く見逃されたに過ぎないのだ。
『ガッシュ~』
三人は変身を解除する。飛彩と大我が神妙な顔で未だ上空に留まる『闇』を見上げている中、永夢だけはすぐさまカービィの前へ走っていった。
「ありがとう、助かったよ」
永夢がカービィに礼を言うと、彼は振り返る。
永夢は警戒心を薄め、背後で表情を固くする飛彩と大我を無視してカービィに話しかけた。なぜかはわからないが、悪い存在ではない気がすると、彼は本気で思っている。
「!」
すると『気にしないで』と言わんばかりに、カービィは小さな手をふりふりした。言葉は離せないが、友好的な相手とわざわざ敵対する必要はないのだ。
「やっぱりかわいいい~!」
その姿が可愛くて、明日那も頬を緩めていた。飛彩と大我は不貞腐れたようにそっぽを向いているが、二人もカービィを敵とは認識していない。
しかし未だ空には『闇』がある。解決しなければいけない。これは新たなる、人類の危機なのだ。
「! はい明日那です……」
明日那のスマホが鳴る。話を聞くと、どうやら聖都大学附属病院長が、急遽CRに戻ってこいと騒いでいたらしい。
「一旦CRに戻るぞ。ダークマターといいその妙な生き物といい、分からないことが多すぎる」
飛彩に言われ、永夢と明日那は頷く。大我は姿を消していた。
「あの、この子も連れて行ってもいいですか?ゼロって子は、明らかにこの子に対して敵意をむき出しにしていました。また狙われるかもしれません」
「そうね、CRにゲーム病患者以外の部外者は入れちゃダメなんだけど、私も永夢に賛成する」
「はぁ……好きにしろ」
飛彩は、カービィに完全に心を許した二人に呆れながらも許可を出した。永夢に抱かれたこの生物が事件に関わっていることはよく理解している。手元に置いておかない理由はなかった。
エグゼイド達とゼロ。そのやりとりの一部始終を観察していた者達がいた。
ゲームから生まれ、ゲームによって現実を支配せんと企むその者達の名は、『バグスター』……。
『グラファイトバグスター』は胸中に渦巻く苛立ちを隠せないでいた。
ダークマター……宇宙からの侵略者が自分達に代わって世界を征服するなど、図々しいに程があると、抑制できない憤怒をコンクリートに叩きつけた。
「ダークマターだと?この世界はいずれ俺達バグスターのものになるというのに勝手なことをしてくれる!俺が叩き潰してやる!!」
「まあそう急くなよグラファイト」
「パラド!奴らを野放しにするつもりか!!」
そんなグラファイトを宥めながら、参謀『パラド』はニヤリと笑う。
「突然の乱入バトルはゲームには付き物さ。ま、でも……」
「?」
パラドは、片手間にクリアしたゲームから視線を離すと、『闇』を見上げる。
「この心が踊る
無邪気に笑って、彼は再びゲームに没頭した……。
次回は簡単な世界観や独自解釈をまとめたものを投稿しようかと。