女子力は、神をも屠る物理破壊力   作:麻婆牛乳

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初めまして、麻婆牛乳です

小説を書くのはかれこれ数年ぶりですが、頑張っていこうと思いますので何卒宜しくお願い致します




身を固めるなら、目標はしっかりとね!
異質な少女


少女は1人、照明の切れ掛かった部屋のソファに横たわっていた。

 

 

開いた目はくすんだ赤い瞳。

髪は腰にまで掛かる程伸びており、手入れがされていない為外側に撥ねた部分が良く見つかる。

 

 

 

「…………」

 

 

 

無表情のまま天井を見る少女の傍らには1人の男性。

 

 

不機嫌そうに、手にしたクリップボードに何やら書き込んでいる様子。

 

 

 

「後は採血だ、注射は大丈夫か?」

 

 

「はい、問題ありません」

 

 

 

少女は簡潔に答えた。

が、何故か男性は更に機嫌を悪くした様だ。

 

 

用意をしていた注射針を消毒した部分に刺し入れる。

 

 

 

 

「チッ……何故奴の子が……」

 

 

「…………」

 

 

 

少女にはその態度を受ける理由に心当たりがあった。

 

 

しかし少女は表情を変えず、目を閉じるだけに留めた。

 

 

 

「このガーゼで5分間は押さえておけ、揉むなよ」

 

 

「はい、有難う御座います」

 

 

 

チッ、という舌打ちと共に男性は部屋から少女を出る様に促す。

 

 

少女は一礼して足早に部屋を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やだなぁ……」

 

 

 

少女はガーゼを捨て、簡素なパイプ椅子に頭を抱えていた。

先程の無表情とはうって変わって自己嫌悪に陥った表情が見える。

 

 

 

「もう最悪……ここで生きていかないといけないのに……」

 

 

 

彼女は孤立していた。

ここから門出だと、本気で物事に取り組もうと自発的に動き出したのに。

 

 

ひとしきり頭を抱えた後、重い足取りのままエントランスへと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………ん?」

 

 

 

少女がエントランスに足を踏み入れた所、異常な点に気が付いた。

 

 

まず先程の男性だ

 

私の検査をしていた男性が奥の方で事務員の男女数人と書類と電話対応に追われているのが見えた。

 

次に若い女性が物々しい機器を携えながら、先程少女が検査されていた部屋へ駈け込んでいた。

 

その手には『神機』――――

 

この世界の人類の希望を携えた女性は、額に汗を滲ませながら消えて行った。

 

 

 

「何かあったのかな……?」

 

 

 

と、先程の男性が電話をしながらこちらの方へ歩いてきた。

 

 

電話を肩と耳で挟みながらクリップボードに何かを書き込み、少女の前で止まった。

 

 

 

 

「……はい……恐らくはその影響でしょう……」

 

 

「…………?」

 

 

 

少女は軽く首を傾げた。

 

どうやら私に用がある様だが立て込んでいる最中なのだから後にした方が良いのに、と思いながら固まっていた。

 

 

 

「はい……はい……ではまた後程」

 

 

「……何か御用でしょうか」

 

 

 

男性は電話を切り、顔を少女に向けた。

 

その顔は無表情……かと思いきや、微かに恐怖を感じさせる引き攣った表情を見せていた。

 

 

 

「……つ、着いて来てくれ」

 

「……え?」

 

 

 

男性は答えを聞くより先に早足でどこかに電話を掛けながら歩き始める。

 

 

呆気に取られたが、頭を振って走って男性の後に着いて行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……暫く事後処理で帰れそうもないな……」

 

 

「あの、もしかして……慌ただしくなったのは私のせいなのでしょうか……?」

 

 

「……君は何も知らなくていい……」

 

 

 

焦り、困惑、恐怖

 

男性の仕草を見るだけでそれだけの感情が読み取れる。

 

 

知らなくてもいい、とはいえ〈適性試験〉を受けてここが〈これから働く職場〉になる為、知りたくもなるものだが……

 

 

少女は無言を貫く事を決めた刹那、男性は立ち止まる。

 

 

 

「あのつきあたりの部屋に入れ、ではこれで」

 

 

「……はい?」

 

 

 

疑問符を浮かべる少女に見向きもせず、男性は今通った道を引き返していった。

 

 

少女は説明を求めたいという気持ちをぐっと堪え、奥の部屋へ歩いて行き扉をノックをしてみたが、扉の向こうから反応は無かった。

 

 

 

「失礼します……」

 

 

「はい、はい、たった今こちらに……ええ……もうですか?」

 

 

 

こちらも電話中だった。

 

 

部屋の内装や電話中の男性の服装からしてかなり偉い人なのだろうという事が感じ取れる。

 

 

 

「ええ、すぐ伝えます……はい……宜しく御願いします」

 

 

 

少女が部屋に入った事を確認した男性は電話を置き、少女に言い放った。

 

 

 

「ようこそフェンリルへ、私が君の働くイタリア支部代表の……と言いたかったのだがね……」

 

 

「は、はい?」

 

 

 

男性は自己紹介をしようかという所で申し訳無さそうな顔を向けて少女に語り掛けた。

 

 

 

「君の情報はここの書類にある……【エレナ・コルテーゼ】14歳……合っているね?」

 

「はい、そうです」

 

「君の父【テオ・コルテーゼ】もイタリア支部出身……だからここで働く事にしてくれたのだろうけど……」

 

 

 

頭を掻きながら男性は言い放った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「君は今日から極東支部に所属になった」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……聞いているかい?」

 

 

「……あっ、はい」

 

 

「いやまあ無理もないんだけど……」

 

 

 

ドカッと椅子に座り直した支部長は呆けていた少女、エレナに近くに寄る様促した。

 

 

 

「説明が……必要だよね?」

 

 

 

コクリ、とエレナは頷く。

 

なんといっても、情報が少なすぎる上に不安を掻き立てる事柄ばかり起こっているのだ。

 

 

 

「君にはゴッドイーターとしての適性試験を受けて貰ったんだけど……その……なんだね、特殊な事例が起こってね」

 

 

 

この言葉にエレナは顔を顰めた。

 

 

 

「私は……ゴッドイーターになれないのでしょうか……」

 

 

 

エレナにはゴッドイーターになりたい理由があったのだが、暗い表情を向けて支部長に問い掛けた。

 

 

 

「正直な話、分からない……君の血液検査の結果、今迄のゴッドイーター達には無かった反応がね……」

 

 

 

そう言いながら支部長は2枚の写真を取り出した。

 

 

 

「ゴッドイーター達は偏食因子という物を体内に取り込む関係上、事前にある程度検査をする訳なんだけど……これが検査前の君の血液ね?」

 

 

 

そう言いつつ写真をこちらに見せると、写真の中には試験管に入った赤い血液が見受けられた。

 

と、支部長はもう一つの写真をこちらに見せた。

 

 

 

「これが検査後の写真だ」

 

 

 

エレナは唖然とした。

 

写真に映し出されていたのは先程採血を行った部屋全体だったのだが、試験管の下部は砕け、机やパイプ椅子、床までもが黒い布の様な物に覆われ、それぞれが溶けた様に原形を保っていなかった。

 

 

 

「……余りにも特殊な結果だったから各支部に前例が無いのか聞いてみた所、極東支部に居る研究者の権威が食いついて来てどうしても君を極東へ招待したいと言ってきたんだ」

 

 

 

突拍子もないが、願ってもいなかった話だった。

 

〈ある〉理由からエレナはこの支部で嫌われている為、仕事はしたいが職場で孤立するというリスクを回避出来るという利点が大きいのである。

 

更に数点、異動として有利な条件があった。

 

 

 

「勿論形式上は引き抜きだから物資援助して貰えて此方も大助かり、君もいくらかの援助が受けられるだろう」

 

「私が孤児だから動きやすい、という理由もあるのでしょう?」

 

「……否定はしないがこうして私が推すのは極東支部、日本だからという点が大きいね」

 

 

 

エレナはイタリア人であったのだが、母親が日本人かつ父親は日伊のハーフであり、血統上はクォーターかつ日本語を話すことが出来たのである。

 

つまり、今から日本語の訓練をする必要が無い上に極東に溶け込みやすいという利点があったのだ。

 

 

 

「……と言いつつすまない、極東の権限は相当上位にあるからこちらに決定権は無いんだ……行ってくれるかい?」

 

「えぇぇぇ……」

 

 

 

思わず情けない声が出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

〈エレナ・コルテーゼ〉の長い長い物語は、なんとも締まらない始まり方を迎えたのである。

 

 

 

 

 




 
どれ程長い物語になるのかは現状不明ですが、それなりに読み応えのある作品に仕上げたいなと思っております

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