女子力は、神をも屠る物理破壊力   作:麻婆牛乳

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大体出来ては書き直しの繰り返し、昔のギャグ発想は中々戻ってこないのが悩み所です






尾ヒレどころか手足まで

突然ではあるが、あたしは女の子だ。

 

いくら強がった所でそれ以上でもそれ以下でもなく、一喜一憂すれば恥じらいだって大いにある。

 

 

 

「見ていないから!な!落ち込むなって!」

 

「そ、そうだ。俺達は爆風位しか見ていない」

 

 

 

やめて、あたしをそんな目で見ないで。

 

 

 

「その……ごめんなさい!」

 

 

 

カノンさんから思い切り頭を下げられたあたしは顔も向けず、大きな布を身に纏いトボトボと歩いていた。

 

先の爆発で元々あまり丈夫とは言え無かったあたしの服は大きく裂け、下着まで御臨終。

 

 

 

「もう大丈夫……でもタツミさん、ブレンダンさん」

 

 

 

近くに落ちていた空のスチール缶を拾い上げ、疑問符を付けたような表情を見せる2人の方を向いた。

 

 

 

「他言はしないように」

 

 

 

メキィ、と音を立てたスチール缶は掌に消え、開くとゴルフボール大になった鉄くずが出来上がった。

 

背を向けて歩き出すと、後ろから話し声が聞こえる。

 

 

 

「恐ろしく、強い子だな……」

 

「ああ、物理的な意味でな」

 

「お2人共、結構冷静ですね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

兎も角、極東支部へ水を滴らせながら帰還したあたしはすれ違う人達をフリーズさせつつ、自室へ飛び込みターミナルの前に来た。

 

素肌はあまり見えていない筈だが、下着もまともに着けていない状態では落ち着かない。

 

 

 

「服と下着を発注して……嘘、服届くのにこんなに掛かっちゃうの?」

 

 

 

ターミナルに映し出されたのは3日後の文字。

 

これはいけない、頼れるのは彼女だけかと思い立ち、すぐに連絡を取った。

 

 

 

『はい、どうなされましたか?』

 

 

 

すぐに応じてくれたのはヒバリさん。

 

現状という名の惨状を全て話し、どうすれば良いのかすぐに聞いてみた。

 

 

 

『成る程、そういう理由でしたらフェンリル制服なら直ぐにご用意出来ますよ』

 

「本当?」

 

『はい、但し少々のお金は頂きます』

 

 

 

願ってもいない話だった。

 

すぐさまアーカイブから3着発注を掛ける。

 

 

 

「ありがとー助かったよ!」

 

『準備が出来次第直ぐにお持ちしますのでお待ちくださいね』

 

 

 

見えないヒバリ神に感謝しつつ、身に着けていた布を脱いでシャワー室に飛び込んだ。

 

すぐに悲劇が襲い掛かる事も知らずに━━━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっエレナさん!お急がせてしまい申し訳ありません!」

 

「い、いやイインダヨ」

 

 

 

赤いフェンリル制式服を纏ったエレナの動きは妙にぎこちなかった。

 

シャワーを浴び終わり届けられた制服を着ようと思った所でヒバリから任務同行、出来るだけ急いでという知らせが届き快諾。

 

しかし、無線連絡が終了した後である重大な事実に気付いたのである。

 

 

 

(下着の発注忘れてた……)

 

 

 

人類史上初(?)ノーブラ+ノーパンでアラガミを捕食しに行く新人ゴッドイーターの誕生である。

 

制服がホットパンツだったので強行出来たが、もしもスカートなら悶絶死待った無し。

 

 

 

「あちらの3名が今回の同行者です」

 

「ふむ」

 

 

 

奇抜、と思った。

 

余りにも短絡的であるが、眼前の3人を見て浮かんだイメージはコレがピッタリだった。

 

 

 

「チャラs」

「言わせませんよ」

 

 

 

にっこりとエレナに微笑むヒバリさん、その背後に映るは鬼か蛇か。

 

まあこればかりはあたしが悪い、うん。

 

 

「お待たせしました~」

 

「………………」

「………………」

 

 

 

何故か男性2人に睨まれる。

 

思わず後ずさりしそうになるが、グッと堪える。

 

 

 

「あの……」

 

「いらっしゃい、この2人は気にしないで……大体タツミのせいだけど元からこんな感じだから」

 

 

 

眼帯を付けた女性はにこやかに手を伸ばす。

 

 

 

「ジーナよ、こっちがカレルでそっちがシュン」

 

「あ、ご丁寧にどうも……エレナです」

 

 

 

ヘコヘコと頭を下げながらジーナさんと握手を交わす、恐そうに見えたけど良い人だ……

 

 

 

「おい新型、空を飛べると聞いたが本当か?」

 

「俺はグボロ・グボロを一撃で仕留めたって聞いたぞ、マジか?マジなのか?」

 

 

 

突然口を開いたかと思えば質問攻め。

 

成る程、タツミさんのせいってさっきの任務での話を聞いたからなのか。

 

ってかカレルさん目つき悪っ!

 

 

 

「えっと……空を飛んだ訳じゃありません、ジャンプしただけです。あと、グボロ・グボロは一撃じゃなくて二撃です……粉々になっちゃいましたけど」

 

「「…………??」」

 

 

 

綺麗に2人並んで首を傾げる。

 

口で説明するというのは案外難しい、こっちまで首を傾げてううんと唸ってしまった。

 

 

 

「まあいいじゃない、どうせ戦闘になれば嫌でも分かるのでしょう?」

 

「ええ……まあそうですね」

 

 

 

ジーナさんからの助け船、ナイスです。

 

2人も釈然としないながらも了承した様だ。

 

 

 

「さあ行きましょう……早く撃ちたいわ」

 

 

 

あたしはギョッとしてジーナさんを見た。

 

鋭い目つきに少し口元を歪ませた笑み、さっきまで良い人だと思っていただけに悪魔の形相に見えてしまった。

 

そうしてあたし達を置いてロビーを出て行った。

 

 

 

「……あの……」

 

「……アイツはああいう奴だ、慣れろ」

 

 

 

正直、慣れるまで半年は掛かりそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇねぇエレナ、素材は回収してる?」

 

「素材?」

 

 

 

リッカの所へ神機を取りに来たあたしはまたもや首を傾げる事になった。

 

 

 

「形が残ってるアラガミならある程度は」

 

「形が残ってるって……いやいやそうじゃなくて任務の場所に落ちてる鉄とかオイルとかだよ」

 

 

 

はて、と首を傾げるとリッカはスパナをクルクルと器用に回転させながら口を開ける。

 

 

 

「神機の強化にはアラガミの素材だけじゃなくて、鋼材とかも必要になってね」

 

「ほうほう」

 

「まあその……任務のついでに拾ってきてよ、素材が溜まったらこの神機も強化してあげるからさ」

 

「おっけー」

 

 

 

拾える物は拾っておけと、それだけで神機が強くなるなら有難いことこの上ない。

 

リッカから神機を受け取り、その場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今回は何を狩るんです?」

 

「シユウだ」

 

 

 

ヘリから降り、トコトコと歩きながらそんな話をしていた。

 

シユウ、確か有翼型で遠隔攻撃も出来るアラガミだったとターミナルで見た情報を思い返す。

 

 

 

「さあ、着いたわよ」

 

 

 

海の近い、割と落ちたら洒落にならなそうな場所━━愚者の空母である。

 

 

 

「んじゃ接敵は早いはずだから作戦決めるぞ-、新型が囮で俺は闇討ちな」

 

「阿呆、新人に囮やらせるバカが何処にいる」

 

「んなっ」

 

 

 

突如男2人のいがみ合いが始まる。

 

いや、あたしは囮でも構わないんだけど━━

 

 

 

「前!避けて!」

 

 

 

突如叫ぶジーナさん。

 

目前には火球が飛んできていた。

 

 

 

「うおっ!?」

「チィッ」

 

 

 

飛びのくシュンとカレルさん。

 

当のあたしは神機に火を入れて構えた。

 

 

 

「何を━━」

 

 

 

ボンッ!と大きな音と立てて火球が爆ぜる。

 

飛来した火球はブーストハンマーの一振りで掻き消えてしまった。

 

 

 

「成る程、こんな攻撃するんやねぇ」

 

 

 

ガキン、とアスファルトに神機を叩き付けて正面を見据える。

 

なんか後ろからの視線が妙にイタいが、今は目の前のアラガミに集中集中。

 

 

 

「練り直す時間は無いからシュンの作戦通りで行くで、分かった?」

 

「分かったわ」

「……あいよ」

「     」

 

 

 

振り返らなかったけど、シュンの今の顔を少し見てみたくもあった……残念無念。

 

そうして前から走ってきたアラガミ、シユウは一定の距離で止まり挑発するかのようにあたしを手招きしている。

 

 

 

「へぇ……結構知能とか高そうやね」

 

「飛び上がったら滑空して突撃してくるから、気を付けてね」

 

「おっけー、さあ行くで!」

 

 

 

掛け声と共に前へダッシュ、突然の攻勢に慌てたシユウが掌に再度火球を作り出した。

 

狙いは勿論あたし。

 

 

 

「てやぁ!」

 

 

 

火球をよく引き付けてから軽く飛んで回避。

 

シユウはあたしを見上げて下がろうとした━━

 

 

 

「フン」

 

 

 

が、足にカレルさんの銃撃を受けて動けない。

 

すかさず翼であたしを叩き落とそうとする━━

 

 

 

「そこね」

 

 

 

が、これもジーナさんの狙い撃ちで弾かれた。

 

狙うは無防備になったシユウの頭!

 

 

 

「どっせい!!」

 

 

 

メキィ、と嫌な音を立てて潰れるシユウの頭。

 

そのままあたしはシユウを蹴って飛び退いた。

 

 

 

「ナイスアシスト」

 

「畳み掛けろ、チャンスだ」

「ええ、やるなら今ね」

「    」

 

 

 

あの、シュン?生きてる?

 

シユウは少しの間頭を押さえ、こっちに中身が出てる頭を向ける……イタそう。

 

しかしブーストしていない一撃では少々威力不足だったようだ、あたしはハンマーに点火した。

 

と━━

 

 

 

「飛ぶぞ!」

 

 

 

カレルさんの声、シユウは飛び上がって翼を広げていた。

 

アレが突進攻撃か。

 

 

 

「防げ!」

 

 

 

その声に反応して咄嗟に装甲を展開、腰を落として身構える。

 

間髪入れずに走る衝撃。

 

 

 

「……は?」

 

 

 

そんな気の抜けたカレルさんの声を聞きながらあたしは踏ん張る、ズザザザーっと後ずさりながらシユウと装甲を隔てた力比べだ。

 

 

 

「いや防げとは言ったがな!?」

 

「受け流す気は全く無さそうね」

 

 

 

目の前の光景に思わず観客に変わった後衛+最初から観客のシュン。

 

既にシユウは失速し、信じられないという様な顔(?)をして地面にうつ伏せになって落ちた。

 

 

 

「あたしの……」

 

 

 

起き上がろうとしたシユウ、しかし既にそこにあたしは居ない。

 

高度おおよそ50m、十分だ。

 

 

 

「勝ちやァァァァァ!!!」

 

 

 

ブーストを吹かした高速の急降下、シユウが気付いた時にはもう遅い。

 

背中に叩きつけられたハンマーは地面にまで衝撃が伝わり、アスファルトは広範囲に渡ってヒビが入っていく。

 

 

 

「あっ、ヤバ」

 

 

 

異常に気付き、ほぼ死にながらも痙攣しているシユウを神機に咥えさせ、直ぐに飛び退いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よく分かった、タツミが言ってた事に何一つ間違いは無かった」

 

「まあ、アレは空を飛んだって錯覚するわよね」

 

 

 

シユウをずるずると引き摺りながら戻ってくるあたしを見ながらジーナさんとカレルさんがなんか言ってたが気にしない。

 

後は愚者の空母なんだけど、広場の一部は先程の衝撃で崩落して穴が開いてしまいました。

 

あたし悪くないモン、元々ガタガタだったアスファルトが脆いんだモン。

 

 

 

「捕食するー?」

 

「いい、お前にやる」

 

「ええ、私達あまり何もしなかったしね」

 

「ホント!?ありがと!」

 

 

 

嬉々として神機にシユウを丸呑みさせようとするが、中々入っていかない。

 

流石に大きすぎたかな?

 

 

 

「コイツはきっといい稼ぎ頭になるだろう、今恩を売っておいて損はしない」

 

「あら、あっさり譲ったのはそういう事なのね」

 

「……お、ま、え、ら、なぁぁぁ!!」

 

 

 

さっきまで開いた口が塞がらなかったシュンが、けたたましい声で叫んだ。

 

 

 

「明らかにおかしいだろ!!シユウの火球は消し飛ばすわ一撃で頭を結合崩壊させるわ、突進は受け止めて力勝ちするわ唐突に滅茶苦茶な高さまで飛び上がるわ、しかも地形まで変えやがった!!」

 

「ちゃんと見てたんやね」

 

「てめぇホントに人間かよ!?」

 

「騒ぐな、鬱陶しい」

 

「お前らもなんでそんなに冷静なんだよ!!」

 

 

 

ギャアギャアと騒ぎ立てるシュン。

 

それを尻目に無線を取り出すカレルさん。

 

 

 

「帰るぞ」

 

「ヘリ到着まで素材回収してもええかな?」

 

「あまり離れないようにね」

 

「無視すんなぁぁぁ!!」

 

 

 

そんなこんなで帰路につくあたし達。

 

第三部隊は中々に個性的でしたよ、本当に。

 

 

 

「下着を着けてないのは趣味かしら?」

 

「    」

 

 

 

ジーナさんにはバレてしまいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アレから数日後、色々と避けられてる気がする。

 

任務はそつなくこなし、財布の中もかなり潤ってきたのは良いことなのだが……

 

 

 

「おっちゃーん、Oアンプル5個ちょうだーい」

 

「はいよ、全部で1,000Fcだ……これからも懇意にしてくれる事を願ってケースも付けておくよ」

 

「おっとありがと、太っ腹やねぇ」

 

「はっはっはっ、褒めても何も出ないぞー。ああ後これデトックス錠とアンチリーク剤、あとこの体力増強剤も試供品として……」

 

「いやめっちゃ出て来とるがな」

 

 

 

よろず屋のおっちゃんから消耗品を購入し、エントランスを出てラボラトリに向かう。

 

サカキ博士のメディカルチェックの時間だ。

 

 

 

「うわっ!す、すいません……」

 

「…………」

 

 

 

エレベーターから出た所で職員の人が飛び退いて道を開けた。

 

明らかに恐れられている……

 

 

 

「やあ、気分はどうだい?」

 

「体の方はすこぶる好調なんやけどな……皆あたしを避けてて少しブルーな気分や」

 

 

 

あたしの体について何が起こっているのか知っている博士だけが一番の支えだ。

 

 

 

「ううむ……こればかりは難しいか……」

 

「やよなぁ……」

 

「僕で良ければ話し相手にはなれるからね、それで今は我慢してくれるかい?」

 

「うん……ありがと博士……」

 

 

 

少しは気分が晴れたか、という所で突如ラボラトリのドアが開く。

 

 

 

「入るぞ」

 

「おや、早かったね」

 

「特に何も起こらず、いつも通りだ」

 

 

 

ドサリと荷物が置かれる。

 

入ってきたのはソーマだった。

 

 

 

「あ、ソーマ……」

 

「……ん?」

 

 

 

少し気落ちしたままの顔をソーマに向ける。

 

 

 

「どうした、おっさんに変な事をされたのか?」

 

「いいやしてないしてない、何もしてないよ」

 

「いやいや、ちょっとね……」

 

 

 

尚も気分は晴れないが、心配して貰えるのは嬉しい物だった。

 

 

 

「エレナ君は少しばかり特殊だろう?」

 

「少し?アレがか?」

 

「まあ……その件で人と距離を置かれてしまって悩んでしまっているんだ」

 

 

 

ソーマはフッと鼻を鳴らし。

 

 

 

「下らん」

 

 

 

そう吐き捨てた。

 

また気分を落としてしまい、頭を下に向ける。

 

 

 

「勘違いするな、お前を詰った訳じゃ無い」

 

 

 

そう言ってソーマはあたしの頭に手を置いた。

 

 

 

「言いたい奴には言わせておけ、どうせ言ってる内にどうでも良くなってくる。お前のやりたい事をやって好きに振る舞え、それが普通なんだと思わせてやったらいいんだ」

 

 

 

あたしは顔を上げてキョトンとした。

 

博士も口を開けて驚いていた。

 

 

 

「……なんだ?」

 

「いやぁ、君もそんなことを言うようになったんだねぇ、どこで習ったんだい?」

 

「五月蠅い、只の経験談だ」

 

 

 

ソーマはそっぽを向いてしまった。

 

あたしはクスクスと笑って

 

 

 

「ありがと、ソーマ」

 

 

 

そう言って頭を下げた。

 

 

 

「戦場で足手纏いになったら困るだけだ、深い意味は無いから気にするな」

 

「そう?……でも、ありがと」

 

「フン」

 

 

 

そうしてソーマは博士からファイルと鉛筆を受け取り、ソファに座った。

 

 

 

「さあ、少し予定がズレたがメディカルチェックを始めようか、そこのベッドに横になりたまえ」

 

「はーい」

 

「目覚めた時には自分の自室だ、最近頑張っていた様だから今日はゆっくりと休むと良い」

 

 

 

あたしは目を閉じた。

 

程なくして、ゆったりと眠気が襲い掛かってくる。

 

カタカタと博士がモニターを操作する音を聞きながら眠りに落ちていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうだソーマ君、コレを渡しておこう━━」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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