女子力は、神をも屠る物理破壊力   作:麻婆牛乳

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タイトルの付け忘れにより修正、中々無いミスをしでかしました……






新型とは戦い方に非ず

 

 

「お話があります」

 

「え?」

 

 

 

アリサさんの自己紹介から3日後、あたしは一人で任務を終わらせて帰ってきた所だった。

 

そしてエントランスに入った直後、アリサさんは待っていたかの様に話し掛けて来たのだった。

 

 

 

「率直に聞きます、貴女は今まで極東支部で何をしていたのですか?」

 

「え……あ……え?」

 

 

 

イマイチ質問の意図を読み取れない。

 

実はアリサさんとは未だ一緒に任務には行っておらず、防衛班の任務を手伝ってばかりだった。

 

 

 

「皆おかしいんです……任務に誘われたかと思えば遠巻きに戦ってる所を見られたり、いきなり腕相撲を挑まれたり、下着を着けているのか確認されたり……」

 

「あっ、あっ、あーそういう……」

 

 

 

恐れている事が起こってしまった。

 

皆の新型神機使いのイメージがあたしで固まってしまった為、アリサさんも同じ風に見られてしまい皆から確認されてしまっているのだ。

 

 

 

「これ、全部貴女のせいですよね?何をどうしたら『空は飛ばないんだな』とか『力は普通なんだな』とか、果ては『ちゃんと着けているのね』とか言われなきゃならないんですか!!」

 

「え、まさか見せたんです?」

 

「見られたんです!戦闘中に中を確認されてしまいました!!ドン引きです!!!」

 

 

 

ううむ、あたしが悪いのかそうなのか。

 

変に言い争いをしていても仕方が無い、謝って収まるならそれに越したことは無い。

 

 

 

「うん……前者2つはあたしのせいです、ごめんなさい。後者は噂の独り歩きです、気にしないで」

 

「謝罪が欲しいんじゃありません!納得できる答えが欲しいんです!!」

 

「おおっと」

 

 

 

これは困り果てた、答えが欲しいとな。

 

難しい顔をしながらこの凄い剣幕のアリサさんをどう窘めようかと考えて居たところ━━

 

 

 

「その辺で勘弁してやってくれ、お前の方がお姉さんだろう?」

 

 

 

頼れるヒーロー、リンドウさんのご登場だ。

 

ジーザス、神ってやっぱり居るんだね……最近毎日叩きつぶしているけど。

 

 

 

「あっ……そうですね、我を忘れて熱くなってしまいました……ご免なさいエレナさん」

 

「ああ、いいんですいいんです」

 

 

 

ありがとうリンドウさん、非常に助かりました。

 

アリサさんも冷静さが戻ったようで何よりだ。

 

 

 

「そうだな……まぁ見せても良いだろう。よーしアリサ、エレナ、一緒に任務に行こうか」

 

「いいですよー」

 

「えぇ!?エレナさん、今単独で任務に行って来たばかりですよね!?」

 

「え?……あ、神機の整備が終わってないか」

 

「いえいえそういうことでは無く、流石に連続で任務に行くのは疲れが……」

 

 

 

ああ、そっちのことか。

 

 

 

「体は全然大丈夫ですよ、連続任務の1つや2つや3つや4つ、ドーンと来いです」

 

「ハハッ、やっぱエレナは頼りになるな」

 

「いや、まあ大丈夫ならいいんですが……」

 

 

 

という事で、任務にトンボ返りする事になった。

 

後、リッカが滅茶苦茶頑張ってくれた御陰でメンテナンスは疎か、強化まで終わってた。凄いよね彼女の技術力。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日はシユウ2体かー、頑張るでー」

 

「リンドウさん、エレナさんの喋り方少し変じゃありませんか?」

 

「ん?あぁありゃ関西弁っつってな、極東の一部の地方で使われてた喋り方だ、別に変じゃないぞ」

 

「そうなんですね……不思議です」

 

 

 

今回の任務は贖罪の街、結構この地での任務は多く、地形も大体把握している。

 

 

 

「そういえばエレナさん、リンクバーストは知っていますか?」

 

「リンクバースト?」

 

 

 

なにそれ、聞いたことは無いなぁ。

 

 

 

「これは私達新型にしか出来ない事なのですが、活動状態のアラガミを捕食し、奪った力を他人に受け渡す事が出来るんです」

 

「へぇーそんな事が出来たんですね」

 

「まぁ、極東支部には新型について教えられる人も居なかったでしょうから、仕方ありませんね」

 

 

 

リンドウさんは後ろでボリボリと頭を搔いてバツが悪そうな顔をしていた。

 

 

 

「いやーすまんすまん、足を引っ張らない様に気をつけるんで、よろしく頼むわ」

 

「旧型は、旧型なりの仕事をして頂ければいいと思います」

 

 

 

相も変わらずアリサさんの言葉は厳しい。

 

 

 

「はっは、ま、精々期待に沿えるように頑張ってみるさ」

 

 

 

そこでこんな返しが出来るリンドウさんもやはり凄い、大ベテランの風格だ。

 

そうしてリンドウさんはアリサさんの肩に手をポンッと置いた━━

 

 

 

 

 

「キャア!!」

 

 

 

 

 

突如、アリサさんが悲鳴を上げて飛び退いた。

 

 

 

「あーあ……随分と嫌われたもんだなぁ……」

 

 

 

流石に驚いたリンドウさんがそうこぼす。

 

いや、今のは嫌われたからという物では無く……多分、恐怖に近い悲鳴だった。

 

 

 

「あ……す、すみません!なんでもありません、大丈夫です!」

 

 

 

そう返したアリサさんだが、まだ少しパニックになっている様だ。

 

 

 

「フッ、冗談だ。んーそうだなぁ……よしアリサ」

 

 

 

リンドウさんは空を見上げた。

 

つられてアリサさんとあたしも空を見上げる。

 

 

 

「混乱しちまった時はな、空を見るんだ。そんで動物に似た雲を見つけてみろ……落ち着くぞ」

 

 

 

成る程、気持ちを落ち着かせる為の方法か。

 

何処でも出来て手軽に出来る良い方法だ。

 

 

 

「それまでここを動くな、これは命令だ。その後でこっちに合流してくれ……いいな?」

 

「な、何で私がそんな事……」

 

 

 

リンドウさんは微笑みを見せた。

 

 

 

「いいから探せ、な?」

 

 

 

いやぁ、格好良すぎますリンドウさん。

 

サクヤさんが最強のゴッドイーターだと言っていたけど、しっかりとフォローまで出来ている辺り、懐の広さも相当の物だ。

 

 

 

「よし、先に行くぞ」

 

「はい、アリサさんまた後で」

 

 

 

リンドウさんとあたしは崖を飛び下り、作戦エリアへと侵入した。

 

後ろをちらりとみると、ちゃんとアリサさんは空を見上げて雲を探していた。

 

 

 

「やっぱり事前情報は合っていたんですね」

 

「まあこんなご時世、皆いろんな悲劇を背負ってるっちゃあ背負ってるんだが……」

 

 

 

ズキン、と心が痛む。

 

……父さん……母さん……

 

 

 

「同じ新型のお前が居るし、他人への親切を心掛けているお前を俺は知っている」

 

 

 

顔を上げると、リンドウさんが微笑みながらあたしを見ていた。

 

 

 

「エレナが居るならアリサも大丈夫だろう。お前には特別期待しているんだ、分かるな?」

 

 

 

視界が滲む、だが泣いてはいけない。

 

嬉しいんだ、こんな時には笑わなきゃね。

 

 

 

「うっし、じゃあ行くか!」

 

「……はい!」

 

 

 

ビッ、と前を見据える。

 

あたしは幸せだった、こんなにも良い人の下について働けることはそうそう無いだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お待た……せ……!?」

 

「おう、待ってたぜ」

 

「おかえりなさいー」

 

 

 

アリサさんが帰ってきた。

 

すっごい驚愕の顔をしている。

 

 

 

「あの……討伐対象……」

 

「シユウ2体ですね」

 

「あの……その足元……」

 

「シユウだな」

 

「まだ1分位しか掛かってませんよ!?」

 

「まあもう1体居ますし」

 

「そういう事じゃなくてですね……」

 

 

 

頭を押さえるアリサさん。

 

 

 

「やっぱエレナが居ると楽だなぁ」

 

「えへへ、シユウも形が残ってて良かったです」

 

「よーし、じゃあもう1体探しに向かうか」

 

「了解ですー」

 

 

 

アリサは呆然としながら思った。

 

 

 

「私は……とんでもない人達にこれ以上無い暴言を吐いてしまったのでは……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし、見つけた」

 

「居ました?」

 

「…………」

 

 

 

黙り込んでしまったアリサさんは気になるが、遠くの建物の中で何かを捕食中のシユウが見つかった。

 

リンドウさんが振り返ってあたし達を見る。

 

 

 

「よーし、んじゃ今度はアリサとエレナの2人で行ってこい。何かあったら助けてやる」

 

「え!?」

 

「だって見てみたいんだろ?エレナの戦い」

 

「いや……まあ……はい」

 

 

 

とうとうアリサさんに戦うところを見られてしまうのか……初戦の時とまでは行かないが緊張する。

 

後で何を言われるのだろうか。

 

 

 

「んじゃ、行って来い」

 

「ここからやっちゃ駄目ですか?」

 

「え?」

 

 

 

アリサさんが目を丸くしてこっちを見る。

 

 

 

「建物の中だぞ?行けるのか?」

 

「確実性はありませんが、建物ごと潰せば1発で行けるかと思います」

 

「はい!?」

 

 

 

アリサさんのリアクションが凄い。

 

 

 

「いやそれは駄目だ、作戦エリアを崩すとこれから先の任務に支障が出るからな」

 

「うーんじゃあ仕方ないですね……行きましょうアリサさん」

 

「わ、わわわ分かりました……」

 

 

 

慣れて貰うしか無い、これから毎日極東支部を離れない限りこういう会話が続くのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あたしが後ろから一撃入れたら戦闘開始ね、最初は銃撃での援護をお願い」

 

「わ、分かりました」

 

 

 

コソコソと話しながら建物の中に侵入、そろりそろりとシユウに近付く。

 

あたしはハンマーを無言で振りかぶり━━

 

 

 

「はあああああ!!!」

 

 

 

掛け声と共に全力で振り下ろした。

 

ちょっと中心からズレたが手応えアリ。

 

 

 

「え……あ……」

 

 

 

ゴトン、とアリサさんの目の前に転がる物体。

 

それは、まぎれもなくシユウの翼だった。

 

 

 

「アリサさんは右に回って!」

 

「あ、は、はい!」

 

 

 

呆けるアリサさんに指示を出しながらハンマーのブーストを噴かす。

 

シユウは右の翼をもがれ、尚も上半身に降り注ぐ銃弾の雨から身を守るように怯んでいる。

 

 

 

「もういっちょおおおおお!!!」

 

 

 

地面を削り取りながら無防備な股間をアッパーでフルスイングすると、その衝撃で天井にビターン!と張り付くようにして吹き飛んだ。

 

 

 

「アリサさんお願い!」

 

「はっ、はい!」

 

 

 

今の攻撃で浮き上がってしまい体勢が立て直せず、あたしはべちゃっと尻餅をついてしまう。

 

アリサさんはロングブレードを構え、落ちてくるシユウに飛び掛かった。

 

 

 

「てやあああ!!」

 

 

 

ズバッ、と落ちてきたシユウにカウンターを決めるように薙ぎ払いを決める。

 

シユウは地面に落下すると、ピクピクと痙攣する以外には動かなくなっていた。

 

 

 

「し、シユウがこんなにもあっさりと……」

 

「いやー、最後の攻撃は綺麗に入りましたねぇ」

 

「あ、あれは……いやそんな事よりも!!」

 

 

 

アリサさんは捕食もせずにあたしの所へズカズカと歩み寄ってきた。

 

 

 

「おかしいですよね!?刃物でもない武器で翼を切ってしまったりとか!?」

 

「いやまあ……切ったんじゃなくて引き千切ったんですけどね……」

 

「普通はアラガミをあんな吹き飛ばし方しませんよね!?オウガテイルの様な小型じゃ無いんですよ!?」

 

「シユウはまあ……軽い方ですし……」

 

 

 

何だかこの展開前にもあったな……確かシュンさんだ、彼も結構こんな感じだった。

 

と、リンドウさんが歩きながらあたし達の元へやってきた。

 

 

 

「な?エレナは凄いだろ?」

 

「あの、そんな一言で片付けられるような物では無いと思います……ドン引きです」

 

「いやいや、リンドウさんには負けますって」

 

「負けるの!?嘘ですよね!?」

 

 

 

はっはっはっと2人して大笑いしながらランデブーポイントに向かって歩いていく。

 

しかし、神機が何かに引っかかっている様な……

 

 

 

「エレナさん後ろ!後ろ!」

 

「え?」

 

 

 

アリサさんに咎められ目をやると、あたしの神機が捕食形態になっており、シユウの亡骸をズルズルと引き摺っていた。

 

あ、そういえばまだ捕食していなかった。

 

 

 

「あれ、いつの間に……気が付かんかった」

 

「おかしいですよ!?シユウを引き摺って重いと感じなかったんですか!?」

 

「うん」

 

「    」

 

 

 

アリサさんが思考を放り投げた顔を見せる。

 

これは中々にレアかもしれない。

 

 

 

「まあいいや、食べちゃえ食べちゃえ」

 

「アリサの分も残しておいてやれよ?」

 

「はーい」

 

 

 

こうして、アリサさんとの合同初任務は終わったのだった。

 

……ついでに、突如雷雨に見舞われヘリが到着するのが1時間遅れてしまったのは内緒である。

 

 

 

 

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