女子力は、神をも屠る物理破壊力   作:麻婆牛乳

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皆様、GWは満喫していますか?

私は社畜なので勿論出勤しております。

GWのGはゴールデンじゃない、ガッデムだ。



馬車馬なんてもんじゃない

 

 

その後も病室にはたくさんの人が訪れた。

 

 

 

「嘘だよね……僕はあの時確かに見たのに……」

 

「あは、あははは……内緒にしといて?」

 

 

 

まずは家族と一緒に来たエリック、あたしの包帯が巻かれた手脚を見て驚愕している。

 

エリナが前に出てきてお辞儀をした。

 

 

 

「お姉ちゃんありがとう、お兄ちゃんを助けてくれた時のお礼を忘れていてごめんなさい」

 

「あぁ、どうもご丁寧に」

 

「その包帯は……相当な大怪我をされた様だ」

 

 

 

エリックの父は包帯を見て言った。

 

 

 

「はい……傷はもう大丈夫ですが、ちょっと傷跡が残ってしまうみたいで……」

 

「……成程、息子やお世話になっているリンドウ君を救ってくれたというお礼も兼ねて、どうにか出来ないか考えてみましょう」

 

「そうだね、僕達で何か考えておこう」

 

 

 

そうしてエリックの家族は去っていった。

 

貴族らしく、やっぱり礼儀正しい人達だなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい、お昼ご飯だよ」

 

「げ」

 

「げ、とは何よ」

 

 

 

続いて入ってきたのはリッカだ。

 

正直、ちょっと会うのが恐かった人だ。

 

 

 

「だって、神機ボロボロだったでしょ?」

 

「え?」

 

 

 

リッカは少し思案し、ポンッと手を叩いた。

 

 

 

「成る程、怒られると思ったんだね」

 

「……え?怒らないの?」

 

「怒ってほしいの?」

 

 

 

ニコニコと笑顔を見せて言っている……正直、その顔で言われると逆に恐いですリッカ様。

 

 

 

「怒るわけないでしょ、ちゃんとリンドウさんを助ける為に壊したんだから」

 

「……よかったぁぁぁ……」

 

「えっと……そんなに私に怒られるの恐い?」

 

「なんかね、いつか解剖されるんじゃあないかと本能が訴え掛けてくんのよ」

 

「あっはははは、そんなこと多分しないよ」

 

「多分!?今多分って言いよったな!?」

 

 

 

相変わらずというか、リッカは少し恐かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あら、もうお目覚めかしら」

 

「あっ、ジーナさん」

 

「無事だったか」

 

「ブレンダンさんまで……」

 

 

 

次はとても珍しい2人組の組み合わせだった。

 

 

 

「キャンディよ、口に合えばいいのだけど」

 

「カットフルーツだ、缶詰の物を持ってきただけだが勘弁してくれるか?」

 

「そんなに気を遣わなくてもええのに……」

 

 

 

持ってきてくれたお見舞いの品はどれも色取り取りで、とっても美味しそうだ。

 

 

 

「お前には助けられっぱなしだからな、せめてこれくらいはさせて欲しい」

 

「ええ、しかも昇進したって聞いたわ。ささやかなお祝いと思っておいたらいいのよ」

 

「あらら、聞いてたんや」

 

「お前の活躍を見れば妥当だ、兎に角今は怪我を治すことに専念しておくといい」

 

 

 

これからまだ任務があるという事なので、2人のお見舞いはすぐに終わってしまった。

 

カットフルーツを1つ食べてみると、シロップ漬けでとっても甘かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「具合はどうかな?」

 

「あ、博士」

 

 

 

夕方頃、博士がやってきた。

 

更に後ろには他の人も居る。

 

 

 

「……本当になんともない……」

 

「エレナ……大丈夫か?」

 

 

 

入ってきたのはサクヤさんとコータだった。

 

 

 

「大丈夫やよ、もうめまいもだいぶ収まったし、怪我も治ったからね」

 

「そっか……もう動けるのか?」

 

「うん、明日には任務に行けるんやないかな?」

 

「僕はもう少し休養を取って貰いたいんだけど……まあ本人が大丈夫なら構わないよ」

 

 

 

よかった、博士から許可も貰ったし、明日からまた任務に戻ろう。

 

 

 

「……あまり無茶はしないでね?神機使いは凄い人程早死するの、特に貴女みたいな人はね……」

 

「……はい、分かりました」

 

 

 

悲しそうな表情で語り掛けるサクヤさん。

 

 

 

「でも……どういう事?ソーマが言っていた事と貴女の状態は矛盾しているわ……」

 

「あ、それは━━」

 

 

 

サクヤさんの後ろで博士が凄い勢いで首を振る。

 

成る程、つまり……

 

 

 

「━━只の見間違いじゃないですか?実際怪我をしていたみたいですし、輸血するほど出血も酷かったようなので」

 

「うーん、そうかしら……?」

 

 

 

博士がほっと一息ついている……やはり、知らない人には隠しておく方針で行くんだね。

 

と、また扉が開いた。

 

 

 

「おう……」

 

「失礼します……」

 

 

 

冷や汗をかいたリンドウさんとヒバリさんが書類を持って入ってきた。

 

なんだか、焦っている様子だけど……

 

 

 

「なあエレナ」

 

「は……え?」

 

 

 

リンドウさんに両肩を掴まれる。

 

少し焦った様子だけど、あたしの目をしっかりと見つめて口を開いた。

 

 

 

「なあ、体は本当に大丈夫か?辛いと思った事は無いか?俺で良ければ相談に乗るぞ?」

 

「ちょっとリンドウ、どうしたのよ!」

 

「話は後で聞く、エレナと話させてくれ」

 

「えっと……どういう事です?」

 

 

 

ヒバリさんがサクヤさんに書類を渡し、コータは後ろから書類を覗き込む。

 

そしてヒバリさんが喋り出した。

 

 

 

「エレナさんですが……リンドウさんと話していてとんでもない事に気が付いたんです」

 

「………………」

 

 

 

サクヤさんが書類に目を通していく度にすっごく険しい表情になっていく。

 

あたし、何かやらかした……?

 

 

 

「エレナさんは配属3日目から任務を1日に最低5回、最高16回こなしています……疲れた様子も見せず、全ての任務受注は私が担当していた訳ではありませんでしたのでこの時までこの異常に気が付きませんでした」

 

「16回!?1日掛けても終わらないじゃん!」

 

「しかも半分は単独での任務で行っています……討伐したアラガミは既に1,500体を突破し、ヘリの燃料が勿体ないからと作戦エリア内で新たに任務を受注することも珍しくありませんでした」

 

「どんな数だよ……想像も出来ねぇよ……」

 

 

 

コータがめっちゃ驚いてる、1日の任務数なんて気にしていた事は無かったけど……

 

今度はサクヤさんがこっちを向いた。

 

 

 

「ねえエレナ、極東支部に配属されてからどれくらい経ったのかしら?」

 

「えっと……3ヶ月位ですかね?」

 

「……じゃあもうひとつ……最後に休暇を取ったのはいつかしら?」

 

「え?休暇?取ってないですよ?」

 

 

 

瞬間、部屋の温度が急激に下がった様に感じた。

 

……あれ、もしかしてマズかった……?

 

 

 

「そうなんです、1番の異常はエレナさんが配属された日から1日も休暇を取らず、毎日朝から夜まで任務をこなし続けていた事なんです……」

 

「………………」

 

「えっと……アカンかった?」

 

 

 

なんとも微妙な空気が漂う。

 

別に毎日充実していたし、疲れも無かったから任務やり続けたけど……

 

 

 

「流石の俺もビビったぞ……なあエレナ、何故何も俺に言わなかった?そんなハードワークで今の今まで体を壊さなかったのは奇跡だぞ」

 

「その……別に疲れてなかったですし、取り敢えずやれるだけやっておこうかと思って……」

 

 

 

そう言い終えた途端、リンドウさんは踵を返してあたし以外を集めて病室を出た。

 

置いてけぼりを食らい、ポカンと口を開けたまま数分経過後、リンドウさん達は戻ってきた。

 

 

 

「休暇を取ろうぜエレナ、1週間位ぱーっと遊んで過ごしてみたくないか?」

 

「え、いや別に任務行きたいですし……」

 

「くそっ、教育係は何をしていたんだ!」

 

「リンドウ、貴方でしょう」

 

 

 

サクヤさんが目を細めてリンドウさんを見る。

 

リンドウさんはリンドウさんでパニックになっているようで、言っている事がちょっとおかしい。

 

 

 

「なあエレナ、俺だって最低でも週に1度は休暇取ってるんだぜ?別に休んでもいいじゃん」

 

「コウタ君の言う通りだ、働き過ぎ等という次元を遥かに超えているよ」

 

 

 

博士やコータまでそんなことを言う。

 

うーん……アラガミの危機がある限り休みたくないんだけどなぁ……

 

 

 

「不服そうだね……よしヒバリ君、エレナ君は任務を1週間は受けられない様にしてくれるかい?」

 

「ちょっと!?」

 

 

 

あたしは叫んで異議を申し立てるが、ヒバリさんは逃げるようにして病室から去る。

 

やられた、こんな強硬手段を取るとは……

 

 

 

「しかし、3ヶ月もの間本当に誰も気付かなかったのかい?」

 

「ああ、一緒に任務をしたりしているが流石にいつでも監視している訳じゃないからな」

 

「私も……」

 

「同じく」

 

 

 

まあ防衛班のお手伝いもやってたし、そもそも単独出撃もいっぱいやっていたからね。

 

 

 

「兎も角命令だ、休め」

 

「任務行きたい……駄目ですか……?」

 

「上目遣いしても駄目だ、休め」

 

 

 

むーっと顔を膨らませてリンドウさんに顔で抗議するが決定は覆らない。

 

ここまでされてはどうしようも無い、部屋にでも引き籠もるかな……

 

 

 

「というかエレナ、それだけ任務に行ってるなら報酬金が凄いことになってないか?」

 

「うーん数えた事は無いなぁ、財布に入りきらんくて部屋に置きっぱなしやけど」

 

「そういやエレナの部屋に行ったことないな……行ってみてもいいか?」

 

「ええよ、着替えるから外で待っとってー」

 

「ふむ、それなら僕は帰って研究の続きを進めておくよ」

 

 

 

ゾロゾロと出て行く男3人。

 

何故かサクヤさんは残っている。

 

 

 

「あの……流石にサクヤさんでも恥ずかしいんですけど……」

 

「1人で着替えられる?大丈夫?」

 

「大丈夫ですよ、もう痛みはありませんし」

 

 

 

そう言うとサクヤさんも出て行った。

 

ベッドの隣には綺麗に折り畳まれたフェンリルの赤い制服が置いてある、恐らく新品だ。

 

手早く着替えて包帯の上にソックスを被せ、体調は大丈夫な事を確認し病室を後にする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いらっしゃい、なんも無いけど入って入って」

 

「お邪魔しま……!?」

 

「何……この部屋……!?」

 

 

 

サクヤさんとコータが凍りつく。

 

あたしの部屋は本当に何も置いて無く、折り畳まれたフェンリル制服が数着に鞄が1つ、そして机に置かれたフェンリルクレジットの紙幣で出来た山があるだけだ。

 

 

 

「今でこそ何も思わなくなったが、あの討伐数の事を考えるとこの部屋も納得出来るな」

 

「まあシャワー浴びて寝ているだけですし」

 

「いくらになるんだ、コレ……!?」

 

「ほしい?」

 

「い、いや遠慮しとく……」

 

 

 

コータはおっかなびっくり机の紙幣を眺める。

 

サクヤさんは部屋の中をキョロキョロと見渡しながら他に何か無いのか探している様だ。

 

 

 

「探してもなーんにも出てこないですよー」

 

「本当にこんな部屋で生活しているの……!?」

 

「ほぼ1日の任務が終わってシャワー浴びて寝るだけですからね、他は何も要りませんし」

 

「………………」

 

 

 

サクヤさんの開いた口が塞がらない。

 

と、何かに気がついた様だ。

 

 

 

「この匂い……貴女、まさか煙草吸ってる?」

 

「ああ、リンドウさんが来た時に吸っているのでその匂いが残っているんでしょうね」

 

「そういや夜の任務を一緒にやってた時はいつも来てたからな、結構吸って……」

 

 

 

突如、サクヤさんから殺気が吹き出す。

 

……え?なんで?

 

 

 

「『夜の任務』?」

 

「どうした?」

 

「『一緒にやった』?」

 

「……は?」

 

「『いつも来てた』?」

 

「……オイまさか、とんでもない勘違いを━━」

 

 

 

何かを言い終わる前に、サクヤさんはリンドウさんの耳を引っ掴んだ。

 

 

 

「言い訳は部屋で聞きます、じっくりとね……」

 

「止めろサクヤッ!いで、いでででっ!エレナ!コウタ!助けてく━━」

 

 

 

ガシャン、と部屋の扉は閉じた。

 

コータと真顔になりながら閉じた扉を見る。

 

 

 

「なあ、なんでサクヤさん怒ってんだ?」

 

「分かんない」

 

「……取り敢えず、今日は帰るわ」

 

「うん……またね」

 

 

 

コータも扉の向こうにサクヤさん達が居なくなった事を確認して出て行った。

 

うーん……よく分かんなかったけどシャワーを浴びて寝よう、それが1番良い気がする。

 

 

 

 




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