女子力は、神をも屠る物理破壊力   作:麻婆牛乳

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数々の応援コメント及び高評価、誠に有難う御座います!

お気に入り登録数もグングン伸びてビビったりしながらせっせとお話を考えています。



無手、されど淀みなく

 

 

 

「るんるるんるーん♪」

 

「40kgの材木を6つ纏めて運ぶ……だと……!?」

 

 

 

数日後、あたしはまだ建設現場で働いていた。

 

居住区は未だに家屋の数が足りていないらしく、まだまだ人手不足だった。

 

 

 

「これ、鉋掛け終わってる材木ですー」

 

「助かるよ、いっそこのままずっと働いてくれればいいのになぁ」

 

「嬉しいけど、本業はゴッドイーターですので」

 

 

 

あれから家屋は10軒近く完成し、現場の人達の顔にも余裕が生まれてきている。

 

あたしも土木作業に慣れてきて、このノウハウがあれば簡素な野営地の設営も出来るかも……とか思っていたりした。

 

その矢先━━

 

 

 

「アラガミだ!アラガミが侵入したぞ!」

 

「何ぃ!?」

 

 

 

そう遠くない所から叫び声が聞こえた。

 

それを聞いて、あたしは駆けだした。

 

 

 

「おいロリ!武器無しでどうする!?」

 

「どうにかする!!」

 

 

 

そう、今のあたしには神機が無い。

 

だからといって、指を咥えて見ているワケにはいかないと必死に足を動かした。

 

あとその呼称は恥ずかしいのでやめて欲しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やめろ!やめろおおおお!!」

 

 

 

程なくして、白いコンゴウを見つける。

 

局地型の堕天種、この辺りでは中々珍しい個体の為にアラガミ防壁を突破出来たのだろう。

 

大口を開け、男性を捕食しようとしている━━

 

 

 

「こっちを見ろぉぉぉっ!!」

 

 

 

大声を張り上げて飛び掛かる。

 

こっちを向いたコンゴウの左の頬に思いきり蹴りをお見舞いすると、少し浮き上がった後転がってうつ伏せに倒れ込んだ。

 

通信機を取り出して叫ぶ。

 

 

 

「ヒバリさん!居住区でコンゴウ堕天種と遭遇!誰でもええから応援に寄越して!」

 

『エレナさん!?神機を持ってない筈では!?』

 

「時間くらいは稼げる!急いで!」

 

 

 

通信を切り、後ろを振り返ると男性がへたり込んでいるのが見える。

 

だが立ち上がらない、腰が抜けている。

 

 

 

「早く逃げて!」

 

 

 

起き上がりそうなコンゴウの顔を蹴り上げ、浮かせた所で腹に拳をめり込ませる。

 

怯ませる事は出来るが、やはり神機でないとアラガミにダメージは無い様だ。

 

 

 

「うっ、マズい!」

 

 

 

コンゴウが真空波を溜めている。

 

簡単に避けることは出来るが、後ろに居る男性に当たってしまう。

 

咄嗟に前にダッシュし、腕を前でクロスさせる。

 

 

 

「うあああああ!!!」

 

 

 

飛んでくる真空波に正面から突っ込む。

 

発射された高圧の空気は肌を打ち、音圧で鼓膜がおかしくなりそうだ。

 

しかし走る勢いは止めず、腰に付けたポーチからスタングレネードを取り出す。

 

 

 

「くらえっ!」

 

 

 

ピンを抜き、地面を蹴ってスタングレネードを直接コンゴウの顔面に投げつける。

 

眩い閃光にコンゴウが怯み、背後に着地して尻尾を掴んで力を込める。

 

 

 

「どおりぁあああああ!!!」

 

 

 

何も無い広場に向かってコンゴウを放り投げる。

 

数回バウンドし、ゴロゴロと転がっていく。

 

 

 

「だ、大丈夫か嬢ちゃん!?」

 

「あたしの事は良いから逃げて!早く!!」

 

 

 

男性は立てるようになったらしく、よろよろと建物の中へと入っていった。

 

あたしの服は裂けており、少し赤くなったお腹が見える……真空波で擦り傷を負ったか。

 

盾にしていた左腕の包帯も擦り切れており、赤黒い肌が見えてしまっている。

 

 

 

「いくでええええっ!」

 

 

 

構わず、一直線に突撃する。

 

対するコンゴウも体制を立て直し、拳を高く上げて振りかぶっている。

 

 

 

「上等━━!」

 

 

 

速度は緩めない、向こうの助走をつけたパンチに右手の拳を思い切りぶつける。

 

右腕に衝撃━━舐めるな、怯むもんか。

 

メキメキっと音を立ててコンゴウの腕にヒビが入り始める。

 

 

 

「オラァッ!!」

 

 

 

右腕を振り抜き、コンゴウの右腕が粉々になる。

 

勢い余って躓き、コケてしまった。

 

これはマズい、反撃を貰う━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

直後、向けて光線が飛んだのが見えてコンゴウが顔を抑えて呻きだした。

 

 

 

『おまたせ』

 

「……ジーナさん!?」

 

 

 

3発、4発と次々に撃ち込まれる狙撃弾。

 

 

 

『後は任せて下がって!』

 

「サクヤさんまで!」

 

 

 

前につんのめりながらもなんとか離れる。

 

更に誰かが走ってくる足音も聞こえてきた。

 

 

 

「はああっ!!」

 

 

 

高速で踏み込んできて、コンゴウを切り刻んだのはタツミさんだった。

 

後は任せて、邪魔にならない様に路地へ隠れた。

 

 

 

「ふぅ…………」

 

 

 

現場近くに居てよかった、何度か突破されているらしいが今回は被害も出ずに済んだ筈だ。

 

右手がジンジンする、流石にあのパンチは無茶が過ぎただろうか……

 

左腕の包帯を片手でなんとか巻き直していると、左足の包帯の足裏部分も切れている事に気付く。

 

包帯で隠すには耐久力が足りない、このままでは戦闘中に見られてしまう可能性が高すぎる……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よぉ、大丈夫か?」

 

「あ、終わった?」

 

 

 

包帯を巻き直し終わって回復錠を噛み砕いていた所でタツミさんから声を掛けられた。

 

顔を壁から出してみると、広場にコンゴウの死体が横たわっている。

 

 

 

「速かったね、あたしほぼダメージを与えてなかったのに」

 

「いやいや、片腕が無かったからタコ殴り状態だったぞ……一体何をやったんだ」

 

 

 

サクヤさんとジーナさんも歩いてきた。

 

 

 

「もう!凄く心配したのよ!?」

 

「神機無しで戦うなんて、無茶し過ぎよ」

 

「ご、ごめんなさい……」

 

 

 

服はボロボロ、包帯も継ぎ接ぎ状態のあたしは大人しく叱責を受けた。

 

 

 

「待て、その子を叱らないでやってくれ!」

 

「……貴方は?」

 

 

 

男性が走り寄ってきた。

 

さっきあたしが逃がした男性だ。

 

 

 

「この子が居なけりゃ俺だけじゃなくもっと沢山の人間が死んでいた!頼む、この通り俺に免じて許してやってくれ!」

 

「ちょ、ちょっと顔を上げて下さい!あたしが無茶をしたせいですから……」

 

 

 

膝をついて頭を下げる男性をなだめる、どうやら怪我はなさそうだ。

 

そのやりとりを見て、サクヤさんは溜息を吐く。

 

 

 

「そうね……よくやったわ、エレナ」

 

「今回は被害も無かったものね」

 

「ああ、ありがとうな」

 

 

 

わっしわっしと頭を撫でられる。

 

元々撥ねまくってる髪がさらに滅茶苦茶になる。

 

 

 

「うおおお!よくやったぞロリ!!」

 

「お前は俺達の天使だ!怪力天使だ!!」

 

「うわっ、うわわわわ」

 

 

 

突如現れた建設現場の男性達に囲まれもみくちゃにされる、猛烈に汗臭い。

 

まあいいや、嬉しそうだし。

 

 

 

「……って誰や、お尻触った奴!!」

 

「やべ、逃げろ!」

 

「あいつ抜け駆けしやがった!」

 

「取り押さえろ!フクロだ!」

 

 

 

逃げた男を取り押さえると、他の男達がボコスカ殴り始めた。

 

当然の報いだが、こういう馬鹿みたいな騒ぎは嫌いではないので内心は全然怒っていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、何か言う事はあるかな?」

 

「………………」

 

 

 

数分後、あたしは博士に呼ばれて正座していた。

 

あんな無茶をしたのだ、凄く心配させたし怒ってもいるかもしれない。

 

 

 

「その……助けたくて……」

 

「それで君が死んだら元も子も無いんだよ?ちゃんと分かっているのかい?」

 

 

 

珍しく怒ってる、めっちゃ怒ってる。

 

 

 

「お、お願いじまず……任務禁止だげは……任務禁止の延長だげはゆるじでぐだざい……」

 

 

 

涙をポロポロ流しながら、思わず博士の足にしがみついて懇願した。

 

嫌だ、もう5日も我慢したのにこれ以上任務禁止が長引いたら耐えられない。

 

 

 

「……まぁ反省はしているし、今回の件は外部居住区の感謝状まで届いているみたいだから大目に見てあげよう。気を付けるようにね?」

 

「ありがどうございまず……」

 

 

 

ハンカチを渡され、涙を拭く。

 

良かった、罰は受けずに済んだ……

 

 

 

「……今回は僕も考えを改めたよ、君は神機を持っている方がずっと安全だとね」

 

「…………?」

 

 

 

博士は椅子に座り、あたしに向き直った。

 

 

 

「エレナ君の任務禁止を明日から解除するよ」

 

「……え?ええの!?」

 

「ああ、その方が君は安全だと思うからね」

 

 

 

嬉しさの余り飛び上がり、天井に頭をぶつける。

 

博士は眼鏡を取って目頭を押さえ、引き出しの中から粉薬を取って飲み込んだ。

 

 

 

「この胃痛から早く解放されたい所だったんだけど、まあ仕方が無いね」

 

「あたた……ごめんね、博士」

 

「しょうがないよ、君も悪気があってやっている訳では無いこと位は分かっているからね」

 

 

 

苦笑いする博士に頭を下げる。

 

 

 

「それともう1つ、重要な話がある」

 

「え?まだあるの?」

 

 

 

と話し始めた途端、研究室の扉が開く。

 

振り向いてみると、第1部隊の面々が皆居た。

 

 

 

「おう、来たぜおっさん」

 

「やあ、丁度話をしようと思っていた所だった。適当に座ってくれるかな?」

 

「あれ、エレナも居るじゃん」

 

「皆……どうして?」

 

 

 

第1部隊の面々はソファに座る。

 

博士は咳払いをしてから話し始めた。

 

 

 

「集まって貰ったのは他でもない、エレナ君の事についてなんだ」

 

「あたし?」

 

「そう、先日エレナ君が怪我をしていた時に彼女の体組織を調べて研究をしていたんだ」

 

 

 

あたしも近くのソファに座り込む。

 

 

 

「余りに怪我の治りが早かった事を不思議に思って、細胞の自己治癒力を確認していたんだ」

 

「ふーむ?」

 

 

 

まあ確かに、あたしの手脚が生えてくるのはかなり早かった。

 

 

 

「培養したり、刺激したりすると色々な事が分かったんだけど……1つ君達に言っておかなければならない問題が出たんだ」

 

「………………」

 

 

 

まだ……あたしの体、何かあるの?

 

 

 

「確かに細胞の自己治癒力は異常だ……但し、元の状態以上には細胞分裂を起こさないんだ」

 

「なん……ですって……!?」

 

 

 

サクヤさんが驚く声を出した。

 

他の人も……コータ以外は驚いた顔をしている。

 

 

 

「すんませーん、よく分からなかったんでもう少し分かり易く説明して下さーい」

 

「そうだね……単刀直入に言おうか」

 

 

 

あたしは全て察してしまった。

 

細胞分裂が行われない、それは新しい細胞が生まれないという事……つまり━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「彼女はもう成長しない、という事なんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 





永劫ロリ誕生のお知らせ。
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