そろそろタグ追加を考えた方が良いのかなぁと思い始めたりしている所です。
それよりもGE3が楽しみ、割とやりたいなと思うゲームがまだ発売されていない物ばかりなのが辛いと思う所存です。
あのリンドウさんが閉じ込められた任務から丁度今日で1週間、ようやくアリサさんの運ばれた病室への入室許可が下りた。
早朝から病室に入ると、寝苦しそうに眠るアリサさん以外には誰も居なかった。
「アリサさん……」
ベッドの脇にある椅子に腰掛ける。
あたしはあの任務で起こったことを詳しくは知らない、当事者だったリンドウさんやサクヤさんに聞いても首を横に振るばかりだった。
ふと目をやるとベッドからはみ出した腕が目に止まったので、戻してあげようと手を伸ばした。
「!?」
その手に触れた瞬間、あたしの視界が一瞬の間だけ真っ白になった。
それだけではなく黒いヴァジュラやここではない病室、リンドウさんが映し出されたモニターといった光景が脳裏に浮かんでは消えていった。
「今のは……!?」
咄嗟に離してしまった自分の手を確認するが、特に変わった所は見当たらない。
が、アリサさんが動いた事に気が付く。
「アリサさん!?」
「……今の、エレナさんの……?」
アリサさんはそれだけ呟き、再び眠りについた。
今の言葉はもしや、あたしに起こった現象がアリサさんにも起こったという事だろうか。
「………………」
もう一度触れようかと思い伸ばした手を止める。
アリサさんの負担になってはいけない、また日を改めてからにしよう。
と、病室を出ようとした所で扉が開いた。
「ここに居たか」
「あ、どうもです」
入ってきたのはリンドウさんだった。
手招きされて廊下に出ると、端末を取り出して口を開いた。
「ちょいと訳ありの任務があってな、お前を連れて行こうと思っているんだ」
「訳あり……?」
珍しく真剣な顔つきのリンドウさんを見つつも首を捻って言葉を返す。
「ああ、支部長からの勅令任務だ。勿論許可は取ってあるから心配しなくてもいいぞ」
「支部長から……?まあ行きますけども」
「よし、決まりだ」
そのままの足でエレベーターに乗り込む。
支部長から直接の任務……これはまた、凄い任務を受けさせられるのではなかろうか。
「成る程なぁ」
「流石にちっとはビビるかと思ってたが、やっぱお前さんは大物だな」
嘆きの平原、その遠くに今までには無かった動く山が見える。
初めて見たが間違いない。
「ウロヴォロス……支部長からの任務だというのも頷けます。で、何故あたしを?」
「お前さんにテストを受けさせようと思ってな、今までに無い敵だ……お前ならどうする?」
「ふーむ……」
遠巻きにウロヴォロスを観察する。
不思議な光を発しているのは恐らく頭だ、しかしあのサイズともなれば少し動いただけでもきっと避けられてしまうだろう。
そうなれば触手か本体もろとも潰すか、対峙した事の無い敵ではイマイチ掴み所が無い。
「難しいですね……頭を潰せられれば行けると思いますが、何分初めてですので……」
「初めての規格外のアラガミだ、基本は観察して慎重にやればいいさ」
「え?あたしが倒すんです?」
「ああそうだ、別にアラガミ観光させる為に連れてきた訳じゃあないぞ」
まあそれもそうか、とウロヴォロスを見つめる。
戦いながら弱点を見つけるのが目的という所か。
「勿論ケツ持ちはするが……まあお前ならなんとかなるだろ、見ているからやってみな」
「はーい、行ってきます!」
崖を蹴って作戦エリアに飛び込む。
近付けば近付くほど大きい、こんなアラガミが支部を襲ったりしたらひとたまりもないだろう。
オラクルリザーブを行い、ハンマーを構える。
『取り敢えずある程度の距離は取っておけ』
「はーい」
通信でリンドウさんからアドバイスを受ける。
ウロヴォロスはこちらに気が付き、大地を揺るがす咆哮を上げた。
……あれ?キミ、口が無いのに咆哮出来るのはおかしくない?
『レーザーだ!防げ!』
「!」
咄嗟に装甲を構えると、ウロヴォロスから発射された光線が直撃する。
光線は直ぐに収まったが、辺りの地面が高温で溶けかかっていた……耐える神機すごい。
『ウロヴォロスの体が光ったら光線の合図だ、覚えておいてくれ』
「成る程なぁ」
流石に規格外のアラガミだ、少し様子を見よう。
「ほっ、よっ」
振り回される触手を回避しながら観察はある程度済んだことを確認する。
本体は結構固いが触手は柔らかい、といっても触手を1本2本千切った所で意味は無い。
しかし、1つ案が浮かんだ。
「そろそろ仕掛けまーす」
『おう、いいぞ』
その返答を聞くなりあたしを叩き潰そうとする触手を神機で受け止める。
装甲でもなくハンマーでもなく、捕食形態になった大きい口で受け止めた。
「せぇいやっ!」
ブチブチブチッと音を立てて食い千切る。
神機を通して体に力が雪崩れ込む、全身の細胞が恐るべき早さで活性化していく。
普段はめっきり使わないが、今回はバーストを利用する事にした。
「そこ!」
飛び上がって銃形態の神機で、ウロヴォロスに向けて弾を発射する。
狙うはその巨躯に似合わぬ細い足、ブラストから発射されたお手製の高威力弾は大爆発を起こしてウロヴォロスをコケさせる事に成功した。
『足か、それに銃撃ならリスクも負わなくて良い……満点レベルの選択だな』
「いやいや、まだまだこれから……」
ウロヴォロスがダウンしたのを確認し、神機をおもいっきり遥か上空へと放り投げる。
あたしの行動にリンドウさんも思わず『は?』という声を上げた。
「まーまー、見ていて下さいって」
手を滑らせてはいけないと左腕の包帯をある程度外し、ホコリを払うように手を打つ。
そしてウロヴォロスの触手の根元を掴み、目を閉じて精神統一……よし━━
「どおりゃああああああああああああっ!!!」
任務報告書(特務) 第1部隊 雨宮リンドウ
2071年 ○月 ×日 一○○○
対象:ウロヴォロス 作戦エリア:嘆きの平原
恐ろしい、余りに恐ろしい光景だった。
新型のエレナ・コルテーゼを初めてウロヴォロスの討伐任務へと連れて行き、これからの処遇を考える為に1人で戦わせた。
しかしあいつはダウンしたウロヴォロスを見て何をしたかというと……まず神機を放り投げた、これはまだ……良くはないが、良いとしておこう。
次に何をしたか、ウロヴォロスを掴んだ……流石に何をするつもりか分からなかった。
その時、目を覆いたくなるような光景が見えた。
あいつが気合いの雄叫びを上げた瞬間ウロヴォロスが浮いたのだ、あの巨体がだ。
それがどうなったかといえば……まあその、ひっくり返った。あいつはウロヴォロスを背負い投げする暴挙を成し遂げやがった。
その光景を目にした俺はどうしたかって?勿論叫んださ、「1本!」ってな……ハハハ。
雨宮リンドウ著 任務報告書より抜粋。
「さぁってと……」
ひっくり返ったウロヴォロスは触手と足をジタバタさせてもがくが、あの巨体はちょっとやそっとで反転する事は出来やしない。
どうにか復帰しようともがき続けるウロヴォロスの眼前に先程投げた神機が落ちてきた。
あたしはそれをゆっくりと拾い上げる……
「ボッコボコターイム━━」
いっぱいあるウロヴォロスの目は、きっとあたしの事を死神のように捉えていただろう。
アラガミとして生まれた自分を呪い、皆の平穏の為の礎となって朽ちるのが君の運命だ。
「コア剥離出来たー!しかも無傷やよ無傷!」
「あ、ああ……よくやったな」
大喜びしながらリンドウさんに駆け寄ると、顔を引き攣らせながら出迎えてくれた。
ウロヴォロスは顔が無くなる程滅多打ちにされ、足を天高く伸ばしながら絶命していた。
「因みにテスト結果はどうですか?」
「まあ、勿論合格だ。見ていた所危険な行動はそれ程見受けられなかったし、初見のアラガミの弱点をしっかり見抜いたからな……あの倒し方はこの際置いておくとしてな」
よし、とガッツポーズを決めてまた喜ぶ。
何の為のテストかは全然分からなかったが、合格という物は何であれ嬉しい物だ。
「んじゃあ帰るか……あ、この任務の事は皆には話すなよ?秘密レベルの高い物だからな」
「秘密レベル?」
「まあ内緒の任務って事さ」
ランデブーポイントに向かって歩きながら話す。
しかしリンドウさんは旧型だ、ウロヴォロスを近接攻撃のみで倒すなんて、やはり凄いんだなあとしみじみ考える。
「報告書どうすっかなぁ、めんどくせえなぁ」
「なんならまたあたしの部屋で書きますか?」
「いや、この前サクヤに散々絞られたから正直な所ご遠慮願いたいんだが……」
「この前頂いた嗜好品チケットで、喜ぶかと思って大量のビールと交換したのに……」
「行く、行かせてくれ」
「現金ですね」
はっはっはっとお互いに笑い合いながら作戦エリアを後にする。
と━━
『あノ、ちょっと良いかナ?』
「!?」
「!?」
神機が喋った。
間違いない、ロッソの声だ。
「なんで喋れるん!?口無いのに!?」
『突っ込む所そこかヨ』
「へぇ……生きてりゃこんな事もあるんだなぁ」
『まあ珍しいだろうヨ、俺だってなんで喋れてるか分かんねぇシ』
嬉しいような驚くような、唐突なので何をすれば良いのやらちんぷんかんぷんだ。
『あのデカブツを食い千切った時になんとなーく喋れる様になった様ダ。んデ、もう少しで何か喋れなくなりそうだから言っとこうと思ってナ』
「うーん……バースト状態やからかな?」
『多分それダ、力が漲って表面に出て来られた感覚があったからナ』
確かにそれが原因ならそろそろ喋れなくなる、何故かあたしのバースト状態は長持ちするのでまだ持ち堪えてはいるが。
『とにかク、帰ってきてくれて嬉しいゼ』
「待て、お前がエレナの体を作り替えたのか?」
リンドウさんがロッソに食って掛かる。
少し複雑な表情を見せるが、気になるのだろう。
『いいヤ、むしろ俺はコイツに持って行かれた側だからどっちかってーと被害者だヨ。腕を生やさせたのは俺だがナ、ケケケケ』
「……そうか、無理強いはしていないんだな?」
『ナイナイ、そもそも選択権は無かったシ』
「分かった、あんがとよ」
神機に対して礼を言うリンドウさん、少し絵面がシュールだが仕方ないだろう。
『んじゃマ、最後に言いたかった事だケ……俺の口で攻撃止めるのはやめてくレ、顎が外れル』
「あー……ごめんね?」
『オッケー、そんじゃあまたナー』
バースト状態が終了し、声が出なくなる神機。
リンドウさんはまじまじとあたしの神機を観察するが、ゴツイ事以外に変な所は無い。
「……俺の神機もこんな感じなのかねぇ?」
「それは流石に分かりかねます……」
ヘリを待ちながら、2人して今起こった事に驚きながら呆然と立ち尽くした。
レン「風評被害!風評被害です!!」