女子力は、神をも屠る物理破壊力   作:麻婆牛乳

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前置きが長くなってしまいましたが
お待たせしました、ここから本編に入ります





自分らしく、でいこう

 

 

 

1時間後━━

 

不調から完全に回復したあたしは、博士から極東支部内の自由行動を許可された。

 

何を隠そう、この1ヶ月間は博士のラボラトリー内で缶詰状態、支部内を出歩いた事など無かったのだ……博士、監禁罪だよ?

 

尤も、情報統制やあたし自身の為等々色んな理由がある事位は理解できているつもりである。

 

 

 

 

「何処へ行こうかねー」

 

 

 

とはいえ、いざ自由行動と言われてもあては無いのが現状である。

 

後々考えればいいかと、ロビーの方へと向かう事にしてみた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……はぇー……」

 

 

 

ロビーに到着したあたしは辺りを見渡す。

 

1ヶ月前にも確かに来たのだが、ほぼ素通りしただけでじっくりと見てはいなかった。

 

カウンターの様な場所に立つ女性の人や、ニュースを大きく映し出しているモニター、そして色んな物を床に置いて座り込んでいるおじさん。

 

……いや、最後のは何かおかしいでしょ

 

 

 

「おじさん、何してんの?」

 

 

 

話し掛けてみると、博士に負けず劣らずな胡散臭い眼鏡を掛けた顔をこちらに向けた。

 

 

 

「よう嬢ちゃん、新入りかい?」

 

「あ、うん」

 

「じゃあ説明してやろう……俺はよろず屋、君達が任務で使う消耗品や装備を整える素材、あと衣類まで取り揃えているのさ……これから長い付き合いになると思うから宜しくな!」

 

 

 

あら、思ったよりかなり人が良い。

 

この人見た目で絶対ソンしてる人だ。

 

 

 

「でもこんな所でそんな事やってて、変な目で見られたりせーへん?」

 

「まーな、でももう慣れたもんだ……折角だから、消耗品でも見て行くか?」

 

 

 

カパッとスーツケースを開けたおじさんに勧められて、中身を覗いてみる。

 

何やら液体や錠剤やらが大量に詰まっている。

 

 

 

「特に回復錠は大事だ。君達の仕事は常に危険と隣り合わせなんだから、不慮の事故に備えて沢山持っておく事をお勧めするね」

 

「おひとつおいくら?」

 

「50Fcだ」

 

 

 

あらとっても良心的。

 

まぁ、ゴッドイーターとしての割引サービスみたいな物でもあるのかと思いつつ、財布を覗いてみると全部で21,200Fc入ってる。

 

20,000は飛行機でスーツの男性に頂いたお金、1,000は極東支部からの新人用支給金、200は元々のあたしが持っていたお金だった。

 

 

 

「10個ちょーだい」

 

「毎度!」

 

 

 

またくるねーと手を振り、薬をポケットに仕舞って振り返ると、カウンターの女性と目が合う。

 

特に立て込んでる様子も無いので、思い切って話し掛けてみる事にした。

 

 

 

「ちょっといいですか?」

 

「はい……あれ、新人さんでしょうか?」

 

 

 

あたしの腕輪を見て、カウンターの女性は和やかに話し掛けてきた。

 

 

 

「はい、エレナ・コルテーゼといいます」

 

「エレナさんですね、私は極東支部オペレーターの竹田ヒバリといいます、データを照合しますので少々お待ち下さい」

 

 

 

と、前にあるモニターに何かを打ち込み始める。

 

この人も中々美人だなぁとぼんやり考えて待ってみる事数秒間。

 

 

 

「ああ、ありました……エレナ・コルテーゼ14歳、新型ゴッドイーター……新型!?」

 

 

 

大声を上げて口に手を当てるヒバリさん。

 

その声に釣られたか新型という単語に釣られたか、上のラウンジから数人が顔を出した。

 

そして直ぐに顔を引っ込めたかと思えば

 

 

 

「オイオイオイ聞いたかよ」

 

「とうとうアナグラにも新型が……」

 

「今の内にお近付きになった方がいいんじゃねーの?」

 

 

 

などといった声が聞こえてくる。

 

 

 

「あの、ヒバリさん」

 

「……す、すみません!何でしょう!?」

 

 

 

明らかに明らかにテンパっているヒバリさんに問い掛けてみた。

 

 

 

 

 

「新型って、何?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あたしはヒバリさんに教えられて、よく分からない場所に立って居る。

 

ガチャンガチャンと忙しなく、色んな人が忙しそうに部屋をあちこち動き回っていた。

 

 

 

「あっ!こっちこっち-!」

 

 

 

そうしてあたしを呼んでくれている人は、何処かで見覚えがあった……

 

 

 

「キミ、新型になったんだってね!」

 

 

 

近寄ると、手袋を脱いであたしの手を掴んで嬉しそうに振り回した。

 

そうだ思い出した、確かこの人はソーマさんが神機を預けていた人だ。

 

 

 

「私は楠リッカ、神機の事ならお任せ!」

 

「あ、ありがとう御座います、エレナといいます……宜しくお願いします」

 

「敬語なんていーのいーの堅苦しい!」

 

 

 

パッとあたしの手を離し、リッカはニコニコしながら顔を近付けてきた。

 

オイルで汚れてるけど、この人も大概美人だ。

 

 

 

「はーい、敬語使わんよー」

 

「オッケー!」

 

 

 

近くにあるパイプ椅子に座る様勧められる。

 

腰を掛けるとリッカはクリップボードを手に、あたしに色々な説明を始めた。

 

 

 

「神機には大きく分けて旧型、新型があるんだけど、旧型神機は剣形態と銃形態のどちらかに決まってるんだよ」

 

「へー」

 

「そこで登場したのが新型神機!」

 

 

 

とってもテンションの高いリッカは嬉々として説明をしてくる。

 

説明好きなのか神機が好きなのか、ともかくリッカの説明に真剣に耳を向けた。

 

 

 

「新型神機の特徴はなんと言っても剣形態や銃形態にフレキシブルなチェンジが可能という所!」

 

 

 

おおーと拍手してみると、リッカは更に気を良くした様で踏ん反り返った。

 

 

 

「で、こちらが完成した新型神機になりまーす」

 

「料理番組かいな」

 

 

 

適度なツッコミを入れつつ神機に目をやると、チェーンソーの様な剣に妙な方向を向いた多連装の銃口が見て取れる。

 

 

 

「一番の問題点は細かい調整が必要かつ、繊細で適合する人がほんの一握りしか居ない点くらいかな……これからエレナちゃんの使う神機だよ」

 

 

 

あたしの、神機。

 

手に取り、持ち上げると……

 

 

 

「……なんか、軽ない?」

 

「いや、それでも新型としては標準的な重さだよ……刀身、銃身、装甲はカスタマイズ可能だから色々試してみると良いかもね」

 

 

 

神機をポンポンと浮かせたりしながら、大体フォーク位の重さかなぁと考えてみた。

 

筋力が上がっているのは承知の上だが、こうして実みるとかなり違和感がある。

 

 

 

「いやでもおかしいな……新型神機は旧型に比べて重量がかさむから、エレナちゃんが持つにはこれでも重い筈なんだけど……」

 

「そーお?」

 

 

 

心当たりはある、あるのだが口止めされている。

 

適当にはぐらかしながらこの神機をどうしようかと考えてみる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ひとしきりリッカに調整をお願いした後、あたしはロビーへと戻ってきた。

 

あたしの招集連絡がリッカに届いたからだ。

 

 

 

ヒバリさんの隣を会釈しながら通り過ぎると、近くのソファに誰かが居るのが見えた。

 

ガムを噛みながら足をばたつかせ、モニターを見ている黄色い服を着た男の子。

 

 

 

「チャラそう」

 

「……本人の前では言わないで下さいね」

 

 

 

ヒバリさんに厳重注意された。

 

んんっと咳払いを1つ、男の子の隣に座った。

 

 

 

「ねえ、ガム食べる?」

 

 

 

男の子は気さくに話し掛けてきた。

 

こちらが何かを言う前にポケットをゴソゴソと探ったりしている。

 

 

 

「あ、切れてた……今食べてるのが最後だったみたい、ごめんごめん」

 

「いや切れたらその時に気付くやろ」

 

「まーまーそう言うなって……アンタも適合者なの?俺より年下っぽいけど」

 

 

 

男の子はあたしの顔を覗き込む。

 

 

 

「そうやよ、1ヶ月前くらいから此処に居たけど会うのは初めてやね……よろしくねー」

 

「え、マジ?俺の方が後輩かよー……」

 

 

 

少し肩を落とした男の子を見て苦笑い……していたら何時の間にか、女性が正面に立っていた。

 

その目は、射抜く様に鋭い眼光だった。

 

 

 

「立て」

 

「……えっ?」

 

「バカッ!」

 

 

 

間の抜けた男の子に罵声を浴びせつつ、腕を掴んで立ち上がらせる。

 

直感……というか見た目で分かる、この女性は怒らせると怖い人なのだと。

 

 

 

「……お前に免じて叱責は無しにしよう」

 

「ありがとう御座います!」

 

「えっ……えっ?」

 

 

 

頭を下げるあたしと女性を交互に見る男の子。

 

女性は顔をしかめつつも、男の子に言った。

 

 

 

「藤木コウタ、準備が出来たので今からメディカルチェックを始める。直ぐにラボラトリのペイラー博士の所へ行け」

 

「え?ラボラトリ?」

 

「さっさと行け!」

 

 

 

男の子、藤木コウタは跳ねるように体を震わせ、エレベーターの方へと走っていった。

 

女性はこちらに目を向けた。

 

 

 

「エレナ・コルテーゼ、お前にはまず訓練を受けて貰うつもりだったが、神機のメンテナンスが終了していないので先に自室を案内しよう」

 

「はい、お願いします!」

 

「……良い返事だ」

 

 

 

少し、目つきが優しくなった女性は踵を返し歩き出し、あたしはその後ろを着いていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「1ついいか?」

 

「あっ、はい」

 

 

 

エレベーターで移動中、女性に話しかけられる。

 

しかし、この女性の背中や横が紐で留めてあるだけの丸出しに近い服、なんとも言えぬセクシーさがにじみ出ている。

 

……なんかあたし、思考がおっさんっぽい。

 

 

 

「1ヶ月間、お前は外に出た記録は無く、それなのに私はお前を見ていない……」

 

「あー……」

 

 

 

思い出した、この女性は最初に支部長室に居た、あたしに奇怪な目を向けた女性。

 

というか、ゴッドイーターでもない人の外出記録まで付けられているのか。

 

 

 

「博士の研究に協力していました」

 

「……ペイラー博士の?」

 

「はい、もし知りたければ博士に直接聞いてみた方が早いかもしれませんね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここだ」

 

 

 

所謂、新人区画と呼ばれる階層。

 

その扉の前で、女性はこちらを向いた。

 

 

 

「お前の荷物は鞄1つだけだった様だから、既に部屋の中に運んである。基本的にお前の好きに使っても良いが、あまり汚し過ぎないようにな」

 

 

 

そうしてエレベーターの方へと歩く女性。

 

 

 

「私の名前は雨宮ツバキ、また1時間後に迎えに来るから待機している様に」

 

 

 

それだけ言い残して、ツバキさんは姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

部屋に入るとベッドが1つに簡易的なキッチン、後ターミナルが目を引く。

 

大きなソファの上に置かれたボストンバッグが私の荷物の全てだ。

 

腰を掛けて上を向く。

 

 

 

「1時間ね……」

 

 

 

ターミナルでもいじって、時間を潰そうか。

 

 

 

 

 

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