リザレクションを友達とプレイしたりしながら、お話を考えたりしています
「今のは流石に、無茶が過ぎたな」
「ご、ごめんなさい……」
あたしは、街に新しく出来たクレーターの中でリンドウさんに頭を下げていた。
引き攣った笑顔を見せながらオウガテイルだったものに近付いていくリンドウさんは、どことなく背中が煤けていた。
「ほら、死体が消える前に捕食だ」
「捕食?」
「これだ、これ」
そう言ってリンドウさんは自分の神機を見せる。
ああ、そういえば倒したアラガミは捕食形態で捕食するのが基本だったっけ……
とにかく、さっさと捕食して帰ろう、体は大丈夫だけど今日は謝り過ぎて精神的に疲れた……
「……今日はついてないな」
「……なんかもう、ホントごめんなさい」
手早くオウガテイルを捕食したあたし達は、迎えのヘリを待っていたのだが……突然のゲリラ豪雨に見舞われた。
「記念すべき初陣でこの雨か……」
「その……あたし、濡れやすい体質でして」
「……すまん」
何故かあたしに謝ったリンドウさんは前かがみになっていた……なんで?
濡れやすいというのは今回に限った話ではないのだが、毎年の誕生日や極東支部に来た時、昔は只の水溜まりでコケて全身ずぶ濡れになった事すらある。
つまるところ、あたしは水難体質なのだ。
「俺は少し用事を思い出した、今すぐ風呂に入って飯を食ったら明日に備えろ、以上!」
「えっ、あっはい」
支部に到着し、適当な指示を受けて一緒にエレベーターに乗っていたリンドウさんと別れた。
帰り道のリンドウさん、なんだか歩き方がおかしかったけど……足でも捻ったのかな?
「おーエレナ……ってどうした?何でそんなにずぶ濡れになってんだ?」
「あっ、コータ……」
あたしの部屋の隣からコータが出て来た。
なるほど、ほぼ同期だった事を考えると部屋が隣になっていても不思議ではないか。
「任務帰りなんやけど、途中で大雨がな……」
「うわぁ……早く風呂入って来いよ。その後一緒に夜飯食いに行こうぜ!」
「うん……そうしよか」
さっさとお風呂に入って暖まろう……そこまで寒くないけど、濡れた服が気持ち悪い。
……ご飯、またトウモロコシじゃないよね?
「あら貴女が例の新人……どうしたの?」
「もうトウモロコシは勘弁です」
次の日、グロッキーなあたしは午前中の任務に現地集合で随伴してくれる女性と落ち合った。
この人もまた美人……というかその露出おかしいよ!トンでもないセクシーな体だし!
「それに比べ、あたしは……」
「あの、大丈夫?任務出来る?」
「大丈夫、大丈夫です」
最後の言葉は、どちらかと言えば〈絶壁〉の自分に言い聞かせる様に呟いた。
そうだ、体つきがなんだ……あたしは皆を笑顔にする為に集中すればいいんだ!
「今回の任務はオウガテイルが数体、で良かったですね?」
「そうよ、ちょっと調子悪いみたいだからしっかり援護するけど、私は遠距離専門だから前衛は宜しく頼むわね」
はーい、と返事をしてアラガミが居るであろう方向を見る。
嘆きの平原、と呼ばれているらしい。
嘆きの平原……平原……ああ駄目だ、思考がループする前に出撃しよう━━
「おかしいわ貴女」
「直球過ぎません?」
結論から言って、オウガテイルが4体居た。
30m程離れたオウガテイルを今度は外さず1発で粉砕、残りの3体が気付くが、突如〈消滅〉した仲間を見て動きを止めた。
その内の近くに居たオウガテイルを捕食形態の神機に咥えさせ、他2体のオウガテイルにぶん投げて纏めて転ばせた所に女性の射撃で一網打尽。
結果、力技でスマートに終わった。
「というか何?アラガミを投げて他のアラガミをコケさせるとか聞いたこと無いわよ?」
「いや、あたし新人だから型にハマった戦いとか出来ないですし……」
「……この体格でよくやるわね……」
何度も言うが、あたしは身長が低いし体つきも寸胴だ……決してヤケになった訳では無い。
……チクショウ。
「そういえば、トウモロコシが嫌だと言ってたけど……まさか食券だけで食事してる?」
「え?そうですけど……」
「お金を出せば、別の食事も出来るのよ?」
なんと、知らなかった。
なんでも、食券だけの場合は必要最低限の食事しか出来ず、食券+お金で食事をするのが極東支部での常識らしい。
「じゃあ、入隊祝いに今日のお昼ご飯はお姉さんが作ってあげよっか?」
「え!?いや、悪いですよ!」
「いーのいーの、若い内はお姉さんにうんと甘えておきなさい、ね?」
ああ駄目だ、このままではプロポーションだけでなく、性格の面でも完敗だ。
「それに午後はソーマとエリックが同じ任務に就くから元気を付けておかないとね!」
「え━━」
ソーマ、ソーマさん?
まさか、あの人も第1部隊だったのか!?
「ん?どうしたの?」
「ああいえ、ソーマさんとは面識があって……」
「……ねえ、もしかしてリンドウからウチの部隊のメンバー聞いてないの?」
第1部隊のメンバー?そんな事は何も聞いていないし、言ってもいなかった筈だが……
小首を傾げるあたしを見て、女性は頭を抱えた。
「御免なさい……リンドウは強いし頼れるんだけど、どうにも適当なのよね……」
「あー確かに」
「もう把握されてた!?」
と、ここでヘリのローター音が聞こえて来た。
予定よりかなり早く終わったせいで随分と待たされてしまったが、まあ仕方ないだろう。
「続きはご飯を食べながらにしましょうか」
「ゴチになりますっ!」
「うふふ、気が早いわよ」
今日は、雨が降る事は無さそうだ。
「はい、お待たせ」
「うわぁ……すっごい……」
お皿に盛り付けられてれたのはカルボナーラ。
パスタが食べられるなんて、何年ぶりだろうか。
「イタリア出身って聞いていたからね、お口に合うかどうかは分からないけど……」
「絶対いいお嫁さんになれますよ……」
「あら、嬉しい事言ってくれるわね」
コレがまた、拝みたくなる位美味しい……よし、あたしも手料理覚えてご馳走しなきゃ。
「じゃあ食べながらだけど第1部隊のメンバーを教えてあげるわ……私は橘サクヤ、宜しくね」
「え、エレナです!嫁に来て下さい!!」
「100年早いっ!」
軽くデコピンされた。
「リンドウが隊長で26歳、極東支部の……いえ、ゴッドイーター最強とまで言われているわ」
「ゴッドイーター最強?」
「ええ、彼に敵う人は居ないほど凄いのよ」
そうだったのか……ならあの態度は余裕の現れといった所だろうか。
「そしてソーマ、彼は最年少の12歳でゴッドイーターになって、7年間アラガミを狩っている凄腕なの。ただ、一人で抱え込む事が多いからそれが問題かな……」
「……やっぱりですか……」
ソーマさんは初対面のイメージで何となく分かってはいたが、他人をあまり寄せ付けない態度を取っているのだろう。
「そして最後にエリックだけど……彼はー……まあ説明しなくてもいいかな」
「え?それ酷くないですか?」
「だって彼、何も言わなくても自分から全部話しちゃうもの」
どんな人だろう……逆に気になる。
「……ご馳走様でした!」
「はい、お粗末様でした」
そう言って皿を片付けるサクヤさん。
あたしは驚いて思わず口を開いた。
「いやいやいや!片付けくらいやりますよ!」
「いいのいいの、これだけ綺麗に食べてくれたのだもの。私がお礼を言いたい位よ」
なにこの聖人、涙が出て来る。
「そうそう、第1部隊は特に個性的だけど……年齢は関係なく敬語を使ったりしないわ。早く信頼されたいならそれを覚えておくといいかもね」
「そうなんです?」
「ええ、エリックは17歳だけどリンドウにタメ口で話しているからね……リンドウが堅苦しいのが嫌い、という理由も大きいけどね」
リンドウさん、確か26歳だったよね……あたし、12歳も離れてるじゃないか。
「さあ、次は鉄塔の森での任務よ。あの2人は対照的だけど、どちらも根はいい人だから気楽に行ってらっしゃい」
「はい!ありがとう御座いました!」
勢い良く頭を下げ、部屋を出て行く。
確か、次の任務も現地集合だったかな……
ヘリを降りて歩く事数分、鉄塔の森と呼ばれる場所に辿り着いた。
が、見渡すと気分がどんどん落ち込む。
「水場あるやん……」
と、崖下に2人の人影が見えた。
今回はオウガテイル複数にコクーンメイデンというアラガミが複数の大乱戦という事で、神機を銃形態に切り替えてから降りていく。
「おまたせしましたー」
「…………」
ソーマさんから露骨に顔を逸らされた……もしかして嫌われちゃったのかな……?
と思っていたら、もう1人の方が手を振りながらこちらに向かって走ってきた。多分彼がエリックだ。
「お、君が例の新人クンかい?」
燃える様な赤い髪を搔き上げ、世話しない手の動きを見せながら男性は語り始めた。
「噂は聞いているよ……僕はエリック、エリック・デア=フォーゲルヴァイデ。君もせいぜい僕を見習って、人類のため華麗に戦ってくれたまえよ」
口を開けてエリックさんの前口上とも取れる声を聞き終わり、同時に笑いが込み上げてくる。
サクヤさん、説明しなかったのは正解だったのかもね、と心の中で呟いた。
刹那━━
「エリック、上だ!」
ソーマさんの叫び声が響く。
動揺しながら即座に神機を構えると、エリックさんが落ちてきた何かに組み伏せられる。
━━オウガテイル━━
大きく口を開け、エリックさんの頭に食らい付こうとしていた。
「「う、うわああああああっ!!」」
エリックさんとあたしの叫び声が、重なって鉄塔の森に響き渡った。
オウガテイルは、遅れて駆けつけたソーマさんが切り裂いた事で倒れた。
あたしは、へたり込む。
目の前には……
肩を抑えてうずくまる、エリックさんが居た。
「大丈夫か……!?」
「う、うぅ……僕は、助かったのか?」
あたしは、その時心の底から見せたソーマさんの安堵の表情を忘れることは無いだろう。
「……油断するからだ」
直ぐに表情を戻したソーマさんは懐から無線を取り出し、帰投用のヘリコプターを呼んだ。
あたしはなんとか立ち上がり、エリックさんを壁際にもたれかけさせて肩を見てみた。
「これは、外れていますね……」
「……脱臼、かい……」
オウガテイルがエリックさんを襲った時、あたしは無意識に神機のトリガーを引いていた。
偶然にも銃形態だった神機に装填されていたのはモルター弾で、オウガテイルをよろけさせるには十分な威力を持っており、その隙にソーマさんが切り裂いてトドメを刺したのだ。
しかし、そのモルター弾の衝撃をモロに受けたエリックさんは地面に叩き付けられ、肩を脱臼してしまっていた。
「ごめんなさい、もっとちゃんとした対応を取っていればこんな事には……」
「エレナ」
名前を呼ばれ、振り向いてみると無線連絡が終わったソーマさんが神機を担いでいた。
「ヘリが到達するまでに任務を終わらせる、着いて来い」
「で、でもエリックさんが……」
「大丈夫……片腕が使えるなら、華麗な僕には援護する位訳ないさ」
左手で神機を持ち立ち上がるエリックさん
凄い精神力だ、肩が外れた上でまだ援護するつもりだなんて……
そう思っていたが、ソーマさんは
「邪魔だ、ここで待っていろ」
そう言い放って、一人で歩いて行った。
「……ははは、相変わらず手厳しい……エレナだったね?僕には構わず行ってきてくれ」
「……速攻で帰ってきますから、何かあったら信号弾を使って下さいね?」
再びエリックさんをもたれかけさせて神機を剣形態に切り替え、近場で戦闘を始めていたソーマさんの元へ飛んだ。
この小説では、エリックを第1部隊所属として扱い話を進めていきます