因みに更新は不定期、仕事のある日は休日書いた物を上げたりしています
文字抜けがあったので修正しました
カロータを思い出す。
日本では人参という名前の野菜だが、土に埋まったアレを抜く時は中々に爽快だ。
何故そんな事を思い出したかというと━━
「どっせえええええい!!!」
地面から生えたコクーンメイデンを捕食形態の神機で引っこ抜き、そのまま捕食する。
これを抜く時の感覚が、どうにもカロータを土から抜く時に似ているのだ。
「…………」
「これで全部やなぁ」
しかめっ面のソーマさんは残ったアラガミの死骸を全て捕食し、溜め息を吐いた。
「戦い方が出鱈目過ぎる、堅実にやれ」
「あ、すみませんソーマさん……」
ペコペコと頭を下げると、ソーマさんは目を閉じて2回目の溜め息を吐く。
「……ソーマでいい」
「……え?」
「呼び捨てでいいと言ったんだ、調子が狂う」
目を開けてあたしを見ている。
落ち着いて見ると、ソーマさん……いや、ソーマって……
「すっごいイケメンやよな」
「…………」
完全に呆れられた。
顔を背け、あたしを置いて歩いて行った。
「あ、待ってやソーマ!」
「相手が小型だからって、ちょっと早すぎやしないかい?」
「その小型に殺されそうになったお前が言うと妙な説得力があるな」
「君は遠慮という言葉を覚えた方がいいね」
帰投準備を終えたエリックさんは、ソーマとの会話を弾ませながら歩き出した。
横並びに歩いていたが、エリックさんの前では口数の多いソーマを見て目を丸くした。
「……エレナ、ありがとう」
「え?」
唐突に顔を向けられ、感謝される。
「君が居なかったら僕はきっと死んでいた、感謝してもしきれないよ」
「でも……」
だらんとしたエリックさんの右腕を見て、あたしは泣きそうになりながら俯いた。
しかし、エリックさんは首を横に振った。
「これ位どうってことは無い、命があるだけ儲けものだよ。君はもっと僕を見習って自信を持って行動してくれたまえよ!」
「お前はもう少し消極的になれ」
「言うようになったじゃないかソーマ」
ソーマはふん、とそっぽを向いた。
確かにソーマの言う事は尤もかもしれないが、今のあたしにはエリックさんの言葉が有難い。
「ありがとうございます、エリックさん」
「おいおい水臭い、僕達は盟友じゃないか!もっと踏み込んでくれてもいいのだよ?」
嗚呼、この人は確かにクセがあるけど……間違いない、とっても良い人だ。
「よろしゅうな、エリック!」
「応とも、お礼は必ずするからね!」
あたし達は軽い足取りで帰路についた。
「は、恥ずかしいから見ないでくれたまえ」
「いやいや、居ない物と思ってやー」
エリックを病室に連れて行ったあたしとソーマは、今まさに外れた肩を戻そうとしている看護師さんの後ろに居た。
「はいっ行きますよー……ふんっ」
「あっひぃ!?」
そんな情け無い言葉を聞いてあたしは大爆笑、ソーマも思わず笑みを零していた。
「ひ、酷いじゃないか君達……」
「だって、だって、あはっあはははっ!!」
「君笑い過ぎだよ!?」
がっくりと項垂れるエリック。
「はい、今日は安静にしていれば明日から任務に出られますよ」
「そ、そうかい?ありがとう」
それだけを言って看護師さんは出て行った。
こんな職場だ、やはり忙しいのだろうか……と思っていると、入れ替わりで誰かが入ってきた。
「エリックは無事か!?」
「あ、ああ……」
黒いスーツを着た着た壮年の男性が、息を切らせて病室に飛び込んで来た。
誰だろう……と思っていたら遅れて小さな女の子も入ってきた。
「お兄ちゃん!大丈夫!?」
「エ、エリナまで……」
あたしよりも更に小さな女の子は、目に涙を浮かばせながら駆け込んで来た。
成る程、この2人はエリックの身内か。
「心配は無用、この通りピンピンしているよ!華麗な僕には万が一、なんて言葉も無いのさ!」
「あぁ、良かった……!」
女の子は涙を流しながらエリックに抱きついた。
エリックはポケットからいくらかのお金を出し、エリナにそっと差し出した。
「でも今回は盟友達に助けて貰ったからね、お礼も兼ねて外にある自動販売機でジュースを買ってきてくれるかい?エリナの分も忘れずにね」
「うん!」
エリナはお金を受け取り、部屋を出て行った。
途端に、エリックの表情は固くなった。
「……やはり、本当は危なかったのか?」
「……正直な所、この2人が居なければ僕はここに居なかっただろうね」
男性は悲痛な面持ちで俯く。
「やはり、お前はゴッドイーターになるべきでは無かったのだ。極東支部は優秀な人材も多い、今からでも掛け合って辞めてしまうのが……」
「いいや僕は辞めないよ」
ぴしゃりと言い放ったエリックの瞳は、確固たる意志が宿っていた。
「言っただろう?僕はエリナを護る為に何もかもを捨てて此処へ、極東支部に2年も掛けて転属したんだ。それを今更辞めるだなんて、僕はそんな移り気な男じゃないんだよ」
そう迷い無く言ってのけたエリックの横顔は、とても男らしく格好良かった。
と、エリナが帰ってきた。
「お、お兄ちゃん、これ、重い!」
「おっとっと……君達、助けてあげてくれ」
言われるまでもなく、あたしとソーマはエリナから缶ジュースを取って1つ頂いた。
あたしはリンゴ、ソーマはブドウジュースだ。
あたしはソーマの袖口を引っ張る。
「戻ろう」
「ああ」
お大事にね、とエリックに手を上げて病室を後にしたあたし達は、家族の会話を背に受けながらエレベーターに向かった。
プルタブがカシッと鳴った音が聞こえて隣を見ると、ソーマは既にジュースを口にしていた。
「ブドウ、好きなん?」
「ああ」
普段無口な彼のグイッとジュースをあおる姿は、中々に意外な光景だった。
「お、今回はエレナが一緒か!」
「あら、次はコータが一緒なんやね」
ソーマと別れ、ロビーに居たあたしに声を掛けてきたのはコータだった。
新人2人で行く任務、いつも以上に気を付けなければいけないな……等と考えながらヒバリさんの所へ一緒に歩いていく。
「ヒバリさーん、俺達の今回の任務は?」
「こんばんはコウタさん、少々お待ちを……コンゴウの討伐がアサインされていますね」
コンゴウ?聞いたことが無い。
コータに目を向けても首を横に振るばかり。
「詳しくはターミナルに載っていますので、出撃前に見ておくといいですよ。コンゴウは個体数も多いので、慣れればこの先かなり楽になると思われますね」
「へぇー、ポピュラーなアラガミなんだな」
「何やそのめっちゃ嫌なポピュラー」
そんなこんな言いつつ、ターミナルを少しだけ覗いてからあたし達は神機を取りに行った。
「ねえエレナ、神機の刀身にひずみが出ているんだけど、絶対無茶な使い方してたでしょ」
「ははは、一体どれの事を指して言ってるのか……心当たりが多過ぎる」
「ぶつわよ」
スパナを振り上げながら静かな怒りを見せるリッカに、あたしはひれ伏して叫んだ。
「ごめんなさい!力加減が出来なくて毎回叩き付けたりしましたぁ!」
「まぁ、今回は対策案があるから許してあげるけど……次やったらその首、ねじ切るからね?」
リッカ様はこちらを見ながらニコニコと笑ってはいたが……その表情は例えることの出来ない恐怖をあたしの心の奥底に刻み込んだ。
「で、対策案というのはコレのことだよ」
「あれ?これはあたしの神機?」
バスターの剣部分が無くなったが、代わりに鈍器の様な物を取り付けてあるあたしの神機。
コレはなんだろう、確か剣はショート・ロング・バスターの3種類しか無かった筈だ。
「これはブーストハンマー、最近開発中の神機パーツのプロトタイプなんだけど、正式に実装するには実戦でのデータを取らないといけないんだ」
「なるほど、これを使って戦うだけであたしは新しい武器、更にデータも取れて一石二鳥って訳やねー」
「……エレナって本当に14歳?」
「リッカも大概失礼やな」
ハンマー……只力を振り回すだけのあたしに合う武器としてこれ以上の物は無い。
持ってみると、バスターとは重心が違う為か幾分か重く感じる。
「……なんでバットみたいに軽く持ち上げるか、もう聞かないよ」
「……うん、あんがと」
コータが先に待っている、急いで向かおう。
昔の記憶を思い出しながら書いていると、大体の場合リッカはバイオレンスになります