女子力は、神をも屠る物理破壊力   作:麻婆牛乳

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多数の高評価、本当に有難う御座います

やはり、こうして見て貰えてると分かればやる気も出て良い物ですね






素晴らしくも儚い世界

 

 

 

「うわ、寒いな……」

 

 

 

ヘリから降りたコータは、体を震わせながらあたしの前を歩いていた。

 

鎮魂の廃寺━━そう呼ばれるこの地の雪景色は、あたしの心を奪っていた。

 

 

 

「雪……綺麗……」

 

 

 

あたしの知っている雪はベタつき、これまた全身を濡らすには充分な水分を含んでいた。

 

しかしここの雪は粒が細かく、月明かりと静けさで神秘的な雰囲気が漂う。

 

 

 

「さーさー、任務をパパッと終わらせて暖かい部屋へ帰ろうぜ!」

 

「あたし、そんなに寒くないんやけどな」

 

「えぇ……氷点下だぞ……?」

 

 

 

コータが薄着過ぎるせいだとは思うが。

 

かく言うあたしも、長袖1枚にスカートだからあまり変わらないと言えば変わらない。

 

 

 

「俺は遠距離型だからエレナが先行してくれよ、横と後ろは俺が見るからさ」

 

「おっけー、んじゃ行こっかね」

 

 

 

ブーストハンマーを構え、前を見る。

 

雪の微かな音以外は聞こえない、しんと静まった廃寺を足音を立てないよう駆けだした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「居たぞエレナ、アレだ」

 

「凄い色してるね」

 

 

 

数分後、コータがターゲットを見つけた。

 

座り込んで何か食事でもしている様だが……

 

 

 

「あいつ、コッチ見てないか?」

 

「うん、ガン見やな」

 

 

 

少なくとも70mは離れていただろうか。

 

それでも此方を見て、腕を振り上げ咆哮を上げる姿が見えた。

 

 

 

「この距離で気配を感じ取ったのか!?」

 

「いやいやあたし達の声が聞こえたんやろ、コンゴウって聴覚凄いらしいし」

 

「そうだったのか……」

 

「……コータ、ちゃんとターミナルでアラガミの特徴見たの?」

 

 

 

そうこうしている内に、コンゴウは此方に向かってどんどんと近付いてくる。

 

 

 

「コータは右!あたしは左から回って挟撃!射線上に入らないよう気を付けるから、どんどん好きに撃っちゃって!」

 

「応っ!」

 

 

 

コータの返事を合図にあたしは左へ飛んだ。

 

ブーストハンマーを起動、周囲を震わす音と共にエンジン部分に火が灯る。

 

 

 

「うぉ……空中でこれは……!」

 

 

 

上手く神機を持つ場所を変えてスライスする様に軌道を修正、ブースターの火を緩める。

 

 

 

「行くでぇぇぇ!!」

 

 

 

大声を張り上げブースター全開。

 

コータの銃撃に目を向けていたコンゴウも、ブースターの爆音に驚き此方を向いた。

 

その顔目掛けて、渾身のフルスイングを放つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「━━浅い……!」

 

 

 

ズザザーっと雪に跡を付けながら滑る。

 

コンゴウは顔の右半分がひしゃげ、苦しそうに呻いていた。

 

 

 

「チャンスやコータ!畳み掛けるで!」

 

「お、おうっ!」

 

 

 

何故か惚けていたコータは銃撃を再開、あたしも銃形態に切り替えモルター弾を射出する。

 

お互い射線を気を付けながらの銃撃は、確実にコンゴウの体力を削り取る。

 

 

 

「……あれ?」

 

 

 

突然、あたしの神機から弾が出なくなる。

 

これは……弾切れか。

 

 

 

「う、うわぁ!」

 

 

 

突如弱まった銃撃を好機と見たのか、コンゴウはコータに高速で回転しながら襲い掛かる。

 

突然の攻勢に怯んだコータは、雪に足を取られ尻もちをついて転んだ。

 

 

 

「コータ!!!」

 

 

 

切り替えが終了した神機にブーストを噴かせて有り得ない軌道を描きコータの前に着地、即座にタワーシールドを展開。

 

間髪を入れずに回転しながらコンゴウが到達、装甲が軋み火花が散る。

 

 

 

「ご、ごめん!!」

 

 

 

コータは跳ねるように立ち上がってコンゴウに銃撃を再開、コンゴウの回転の勢いが弱まる。

 

 

 

「よしっ……!」

 

 

 

装甲に力を込め、押し返す。

 

コータの銃撃により弱まっていくコンゴウの回転では、もうあたしを押す程の力はない。

 

 

 

「でやぁっ!!」

 

 

 

足に力を込めてコンゴウを弾き飛ばす。

 

あたしは真上へ飛び、コンゴウは後ろに吹き飛ぶ。

 

 

 

「決めろ、エレナ!」

 

「オッケー!」

 

 

 

腕や足にアサルトの銃撃を受け、上手く受け身を取れないコンゴウを眼下に捉える。

 

神機から響き渡る爆音が、自身の落下と共に一筋の炎を生み出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「イエーイッ!!」」

 

 

 

パァンとハイタッチの音が響く。

 

雪はおろか、地面にまでめり込んだコンゴウはピクリともせず絶命していた。

 

 

 

「ってか、アラガミの突進を食い止めた上に押し返すとか、どんな怪力してんだ」

 

「んー、コータの頭を握り潰せる位?」

 

「……笑えない」

 

 

 

縮み上がったコータを尻目に無線を取り出すと、帰投のヘリを呼ぶ為に通信を入れる。

 

 

 

「もしもーしヒバリさん?」

 

『はい、帰投ですね……少々ヘリが遠方なので、30分ほどお待ち下さい』

 

「いーよいーよ、こっちはゆっくりしてるからさ……って事でコータ、30分掛かるってさ」

 

「マジかよ!こんなクソ寒い中30分も待たされるのかよ!」

 

「それは厚着してこなかったのが悪いやろ」

 

 

 

ギャーギャー騒ぎ立てるコータに冷ややかな視線を送り、無線を仕舞って缶詰を2個取り出す。

 

 

 

「雪もやんだし、焚き火でもしてコレ暖めて食いながら待とうや」

 

「お、準備がいいな」

 

「但し、高くつくでー?」

 

 

 

イタズラな笑みを浮かべながらあたしはコータと枝を拾い集める。

 

 

 

「雪なのに濡れてないもんだな」

 

「パウダースノーやからね、この辺の雪は水分があんまり含まれてないんよ」

 

「へえー、物知りだな」

 

 

 

20本程集まっただろうか、缶詰を少しだけ開けて枝の傍に置き着火。

 

よく使用したライターだが、そろそろガスが切れてしまうかもしれない。

 

 

 

「何から何まで準備が良いんだな」

 

「まぁねー……あたし孤児だったから、こうして暖を取る事が多かったんだ」

 

 

 

孤児になったのは10歳からなんだけどね、と苦笑いすると、コータは真剣な表情を見せた。

 

 

 

「辛かったんだな」

 

「いーや、そうでも無いよ。あたしの周りにはもっと小さな孤児も居たし、そんな子達と集まって何とか生活は出来てた」

 

 

 

燃える火を見つめ、あたしは続ける。

 

 

 

「あたしの父さんと母さんはアラガミに殺された……恨みはあるけど、悲惨な生活を送ってる周りの子達を見てると仇討ちをしようって気にはならんかったんや」

 

 

 

ほんのりと温まった缶詰を拾い上げる。

 

野菜スープの缶詰、冷えた体には丁度良い筈だ。

 

 

 

「だからあたしはゴッドイーターになったんや、寂しい思いをする人達が居なくなるように、ね」

 

「それが願いなんだな」

 

 

 

缶詰の蓋を開け、コータに差し出す。

 

 

 

「うん、だってあたしは親切(コルテーゼ)やからね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日はありがとうな、俺もエレナの夢が叶うように一緒に頑張るよ」

 

「うん、ありがとうコータ」

 

 

 

日付を跨ぐか、という時間帯にあたしとコータは自室の前で別れた。

 

部屋に戻り、ソファに座って一息ついた。

 

と━━

 

 

 

「エレナ、入ってもいいか?」

 

「ん?はいはいー?」

 

 

 

誰かが扉の外から呼ぶ声がする。

 

返事をすると、入ってきたのはリンドウさんだ。

 

 

 

「よう、今日は大活躍だったらしいじゃないか」

 

「あはは……あんまり実感は無いんやけどね」

 

 

 

そう言って頬を搔くと、リンドウさんは隣に座って語り掛けてきた。

 

 

 

「戦績ってのはそんなもんだ。失った時は立ち直れない程落ち込む癖に、失わずに済んだ時は気にも掛けないからな」

 

「そう……かもね」

 

 

 

そう言いながら微笑むリンドウさんの胸ポケットに、煙草が入っているのが見えた。

 

 

 

「煙草、吸いたい?」

 

「いや、流石にお前の前では吸わないさ」

 

「いいんやよ、イタリアは愛煙家が多いから寧ろ落ち着くんやで」

 

 

 

そう言って笑ってみせると、リンドウさんは苦笑いしながら煙草に火をつける。

 

1度だけ煙を吹かして、あたしを見た。

 

 

 

「俺はエリックを助けてくれたお礼が言いたかったのさ。あいつは第1部隊のムードメーカーでな、もしも居なくなったらと思うと、な」

 

「ああ、そういう事やったんやね」

 

 

 

素直に感謝を受け取る。

 

寂しい思いをさせなくて済んだ、と思うと嬉しくてたまらない

 

 

 

「でもリンドウさん、感謝するのは早いよ?」

 

「ん?何故だ?」

 

 

 

ソファから立ち上がり、リンドウさんに向き直る。

 

 

 

「あたしはまだまだ、この世界の皆を助けるつもりでいるからね」

 

 

 

 

 

ふふっと笑いながら言うと、リンドウさんも笑みを浮かべながら煙を吐き出した。

 

 

 

 




 


大体スマホで書いていますが、原因不明の強制再起動で復旧方法が分からず書き直しました

気を付けなければ……


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