ブーディカさんとガチャを引くだけの話   作:青眼

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 どうも皆さん。ネロ祭でリンゴを使い果たし、これから先のイベントの周回が出来るか不安になってきた青眼です。

 今回は遂に始まった1000万DLボーナスガチャの報告回をお送りいたします。といっても、今回はFGO本編では関わりの無い話です。なので、それをこんな感じに本編へと導入してみました。よろしければ、それについて感想を送ってもらえたらと思います!



夢魔からの贈り物

 これは夢だ。目の前の光景を見た黒鋼はそう断言した。墓標の様な剣の群れ。その中央であらゆる武具に串刺しにされた男の姿。今まで何度も見たことのある場面を見て溜め息を漏らす。サーヴァントと契約したマスターは、自分が眠っている時にその記憶を垣間見ることがある。今までの旅の途中で何度もそれを見た黒鋼は、特に動揺することなくそれを見続ける。

 

「――――――――――――――――」

 

 数分後、場面が切り替わる。しかし、それはさっきまで見た男の記憶の続きではない。聖杯を求める戦いに参加し、過去の自分という過ちを正そうとした闘争ではなく、目の前で無残に殺されていく仲間の景色だった。そして、黒鋼はこの光景も見たことがある。同時に、彼らの辛い記憶を同時に見たせいで胸が痛む。確かに、黒鋼研砥という男は犠牲が出る戦いなら、容赦なくそれを切り捨てる非常な男だ。だが、それでも彼には心がある。辛く悲しい記録を見続ければ涙だって流す。

 

「――――――――――――――――っ」

 

 再び場面が切り替わる。次に見た景色は、夕焼けを背景に息絶えようとしている少女の姿だった。喉元からは血がドクドクと溢れ出し、美しい顔は人の物ではないように青白くなっている。咄嗟に彼女の体に触れ、手当てを試みようとする黒鋼だったが、これは彼女たちの記憶を見ているに過ぎない。伸ばした手は体をすり抜け、より一層彼女の死に際を見届ける羽目になる。そこまで見た直後だった。黒鋼が何も虚空に手を伸ばし魔術回路を起動させる。伸ばした手には一振りの刀が握られ、それを容赦無く振り下ろす。

 

「―――いい加減にしろよ、この花糞野郎!!!」

 

 今の黒鋼が持てる全ての魔力を込めた斬撃が宙に刻まれる。まるでページが切り替わるように夕焼けが斬り捨てられ、その先にいるであろう男に向けて黒鋼は全霊の突きを放つ。しかし、その先に居た男はそれを予想していたのか。既に握られていた西洋剣でそれを難なく防ぐ。

 

「おやおや、そこまで君を怒らせてしまうものを見せてしまったかな?」

「わざとやってんだろこの人でなし。良いから俺を夢から目覚めさせろ。マーリン」

 

 目の前で余裕そうに笑う白いローブの男。冠位(グランド)のクラスを持つ最高峰の魔術師の英霊(キャスター)。ブリテンの宮廷魔術師だった花の魔術師、マーリンに向けて躊躇うことなく黒鋼は殺意と斬撃を放つ。アトラス院で召喚した刀剣を使うサーヴァントたちとの訓練で、彼の剣術は既に人の域を超えている。運さえ良ければあのエミヤからも一本取れるまでには成長しているが、目の前にいる魔術師には一切通用しない。数秒の内に数十もの剣戟を交わす二人。どちらも最善手を打ち続けるが故に戦いは終わることはない。このままでは千日手。体力に限りがある黒鋼の方が倒れるのは自明の理だ。

 一度距離を取り、懐からカードを取り出すか黒鋼は悩む。しかし、その一瞬の隙をマーリンは見逃さない。空いた距離を一歩で埋め、片手で振るった彼の剣が黒鋼の刀を弾く。不味いと咄嗟に判断し、即興で刀を投影しようと黒鋼は試みるが、その前に魔術師の持つ剣が首筋に当てられる。自然と首を持ち上げ、魔術師と視線を交わす黒鋼。視線だけで軽く人が殺せそうな目だったが、張り詰めた空気を解くように溜め息を吐いた。

 

「…………参った。降参だ」

「ふっふっふー。さてと、これで私の百七十八戦、百七十七勝一負けだね。まだまだ精進しなよ?」

「うるせぇ。ったく、なんで魔術師なのに約束された勝利の剣(エクスカリバー)なんて大業物を振るってるんだよ。理不尽だろ、むしろ数十合打ち合えた俺の投影魔術を褒めて欲しい」

「だって、君の所にいるアルトリアに剣術を教えたのは僕だよ? そう簡単に追い越されてしまっては、師匠である私の顔も丸つぶれだからね」

 

 こうして、夢の中で再び会った黒鋼とマーリンの手合わせは終わりを迎える。これはまだ語られていないことだが、第七特異点。マーリンがギルガメッシュ王のサーヴァントとして召喚された彼の地での戦いから、マーリンによる剣術の修業は続いている。バビロニアの時では暇な時間さえあれば何度でも。こうして人理焼却を防いだ今では、週に二度。時間を決めて剣の相手をしてもらっているのだ。

 

「それにしても、君も結構頑張るねぇ。精神攻撃の体制を作るために敢えて悪夢を見たり、こうして僕と剣を打ち合ったりと。うん、正直カルデアにいるマスター君よりは苦労してるよね」

「そりゃ、俺はあいつらのサポートをするためにここまで来て、一緒に戦ってきたからな。援護できないとこの部署も潰れて、今まで一緒に働いてきてくれた人たちを路頭に迷わせてしまう羽目になる。………言いづらいことだが、俺は一人で戦ってるわけじゃないからな」

 

 本来、レイシフトを一回行うだけでも正社員一人分の給料が消し飛ぶのだ。それをまだ無かったことにできているのは、今までの報告書や世界を救ったことが事実だからだ。向こうとしては認めたくはないのだろうけれども、実際に映像資料なども送られては認めざるを得ない。だからこそ、口封じの様に大金がカルデアとアトラスに支給され続けているのだ。

 

「まぁ、俺に支給される分が増えるわけでもないがな。その分、俺は食事や皆との生活を楽しませてもらってるよ」

「………苦労してるんだね。君も」

「一番苦労してのはギルとクレオパトラさんだよ。ギルが報告書や観察に来た人の相手をして、クレオパトラさんが経済状況を細かく観察してるからこそ、今の生活がギリギリ保ててるんだから。………アルトリア二人召喚とか、本当にエンゲル係数がうなぎ登りだったからな。あんな青ざめた表情をしたクレオパトラさんは初めて見たよ」

 

 実際、あの二人が召喚された時のクレオパトラの表情は凍り付いていた。黒鋼は息を吐きながら呟く。それと同時にゆっくりと立ち上がり、新たな刀を投影して身構える。そのまま第二戦を始めようとしたが、辺りが段々白んで来ているのに気づく。

 

「おや、残念だけど今回はここまでのようだね。いつもより随分と早いお目覚めだけど、どうしたんだい? 何か大変なことでも起こりそうなのかな?」

「………あんたに言っても仕方ないことだけどな。もうすぐ、第三の魔神柱が逃げ延びたことで生まれた亜種特異点が特定できるそうだ。こっちとしては、今の平和な時間を謳歌したいから願い下げなんだが……」

「そうも言ってられないと。なまじカルデアより性能良い観測機があるから大変だねぇ。まあ、僕としては。君たちがそうやって必死に戦う様を見ているだけなんだけどね?」

「狭間のところに召喚されてないからなぁお前。本気でサポートする気あんの?」

「勿論だとも! でないと、君たちのカルデアスの炉が消えないように魔力を送ったりしないだろう? それに、あまり特別お助けスタッフが出張ったらありがたみが薄れるじゃないか」

 

 手に持った聖剣を消し、いつの間に作り出した石の上にマーリンは座り込む。楽し気に俺たちの紡ぐ戦いという名の物語を見て楽しんでいる。それを良しとしまっている現状に腹が立つが、敵わない相手に挑むほど時間の無駄はない。それを実経験で知っている黒鋼は溜め息を吐き、自分が寝ている部屋を想像し、夢から覚めようと努める。そんな時だった。何かを思い出したかのようにマーリンが呟いた。

 

「そうそう、もうすぐ僕が召喚されやすくなるようにシステムを弄っておいたから。気が向いたらそっちに遊びに行くね?」

「おいこの花糞野郎。さりげなく重要なこと言ってんじゃねえぞ! おいコラ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………という夢を見たんだ。だから、悪いけど皆の力を貸してほしい」

 

 夢から目覚めて数十分後。召喚システムの異常を検知したというスタッフからの報告を受けた俺は、その異常となったサーヴァントに関係のある人たちを呼びつけ、召喚場に召集をかけていた。この場に集まった人の数は五人。そのうち、顔が全く同じ三人の女性が口を開いた。

 

「その……私としては少々複雑な気分ですが、マーリンの魔術師としての実力は保証します。なので、頑張ってください。マスター」

「ふぅん、他人の夢に入り込んでは遊び散らかす非人間など必要ないと思うがな。まあ、マスターがそうしたいのであれば止めはしない」

「…………何が言いたいのですか、黒い私」

「貴様こそなんだ。普通の私よ」

「ふ、二人とも! 二人とも喧嘩しないでください! それに、その………一応、私たちの師匠なんですから! もっと召喚されるのを楽しみに待ちましょうよ!!」

 

 最初から順に、青と白を基調したエプロンドレスを身に着け、ブリテン島を守る星の聖剣を振るう騎士王アルトリア。その騎士王が非情に徹し切った黒を基調としたワンピースを袖に通したアルトリア・オルタ。そして、その二人よりかなり前。騎士王に至る成長途中の姿で召喚されアルトリア・リリィ。ついこの間召喚できたアルトリアを加えた三人の他に、もう二人。この場に集まってもらった人がいる。

 

「………あの夢魔がここに来るのは色々と癪だが、あ奴の力だけは確かだ。まあ、この(おれ)がいる以上、これ以上のキャスターの召喚は不要だと思うがな」

「まあまあ。彼だってグランドのクラスを持つくらいには凄いんだし。ギルもそこまで目くじら立てないの!」

「ふん、別に目くじらなど立てておらぬわ。ただでさえキャスタークラスの多いここに、奴を育成するだけの素材が無いと言っているに過ぎんわ」

 

 長く赤い髪を伸ばした女性、ライダーのブーディカさんが金髪の青年。キャスターのギルを宥めようとし、彼は鼻を鳴らしながら顔を遠ざける。この場に集まってもらった人にはある共通点がある。それは、この場にいる全ての人がマーリンと接点があるということだ。

 アルトリア達は言うまでもないが、ブーディカさんにとってマーリンは引きこもりでニートな弟らしい。来てくれたらすぐにでもハグをしてあげたいレベルに感動するらしい。おい花糞野郎、くそ羨ましいからそこ代われ。ギルは言うまでもないが、第七特異点で彼を召喚しているからだ。さりげなく全員王様系のサーヴァントなので、さながら『マーリンを呼び隊』ではなく、『マーリンを呼ばせ隊』といったところか。

 

「しかし、よく聖晶石を補給できましたね。まだ月のはじめではない故、呼符の再回収も出来てなかったのでは?」

「はい? そんなもの魔法のカードで増やしましたが?」

「とうとう課金に躊躇いを無くしたか。まぁ、それで爆死をすれば飲む酒も美味しくなるがな」

「あの、もしかしなくても、マスターがしてることって危ないことなのでは……」

「あ~リリィは気にしなくて大丈夫だからね。これは研砥の問題だし、私たちもあまり気にしちゃいけない。いいね?」

 

 戸惑うように呟くリリィに優しく語り掛けるブーディカさん。幼き騎士王は納得がいかない様子だってけれど、とりあえず肯定の意を示す。そこまでして、とりあえず今回用意した聖晶石を確認する。

 

「まぁ、とりあえず今まで課金した余剰分に少し足して20連分だけ用意したから。とりあえず10連回すか」

「今回だとランサーの私たちとマーリンがこの場にいないですね。新しい人が来てくれたら良いのですが………」

 

 30個の聖晶石がサークルの中央へと吸い込まれる。もはや石を買うことに何の躊躇いを持たなくなってしまっている自分に寒気を覚えながら、今回の10連では誰が来るのかを想像しながら待つ。次々とサークルから吐き出されていく礼装とサーヴァント。しかし、未だに高レアのカードは現れない。

 

「………あれ、もう7回目なのに星四以上のカードが出ませんよ?」

「これは……まさか、星4一枚という哀れな結果になるあれか。俗に言うグロ召喚という奴だな」

「不吉なこと言うなよ!? くっ、やはりこの間のブライド召喚が響いてるのか………!!」

 

 数週間前、2年近い激闘の果てに召喚に成功したブライドは最高レアリティを誇る星5のサーヴァントだ。排出率1%という高く険しい壁を乗り越えた今、俺のガチャ運は一気に落ちていてもおかしくはない。だが、ここで諦めたら駄目だ。諦めたらそこでゲームセット。逆に考えれば、諦めずに回し続ければゲームは続くのだ!!

 

「いや、その理論だとマーリンを召喚するまで課金するということになりますが!?」

「そこまであいつは来て欲しくはないがな! 最近だとマーリン抜きだとクエストがマジで厳しくなってきやがるから腹立つんだよ! この間の“山の翁”戦とかなぁ!!」

 

 あれは本当にマーリン案件だった。もしマーリンのデータがなかったら本当に死告天使(アズライール)されてた。高確率判定の即死宝具を2、3ターンおきに放ってくるとか殺意が高すぎる。よくもまあ、あんなシステムを作ろうとしたものだ。

 

「あ! マスター! 何やら金色の光が溢れ出してますよ!」」

「何っ!? ……って、出てきたのはセイバーじゃないか。ということは、呼ばれているのは大体察したわ」

「……なんだ。何故そこで私の顔を見る」

 

 サークルから現れた金色の騎士のカードを見て、視線を近くにいたオルタに向ける。今回は期間限定物を除いた、全アルトリア・ペンドラゴン&マーリンピックアップなのだ。なので、今回登場する金セイバーのカードは殆どオルタが出てくる可能性が高い。以前、水着ガチャでジークフリートさんが来てくれたこともあるから、絶対とは言わないが。殆どはオルタがやって来ると思って良いだろう。

 登場するサーヴァントのことを割り切っていると、遂にサーヴァントの召喚が実行される。普通のアルトリアより宝具の威力が上がったと内心思っていた俺だったが、その予想は大きく裏切られた。カードから流れ出た粒子が作り出した服装は赤と黒の鎧ではなく、白を基調としたブラウスに赤のスカート。片手に握られているのは西洋剣ではなく、一振りの日本刀。色素の薄い金の髪ではなくクリーム色の髪に、頭と腰辺りから飛び出る狐の耳と尻尾。まさかの人がこの場に召喚されていた。

 

 

 

 

 

 

「サーヴァント・セイバー! 召喚に応じ超参上! みたいな~☆」

 

 

 

 

 

 

 

「………………………ゑ?」

「え? じゃないし。なに、私が来るのは不味かった感じ?」

 

 目の前に現れた剣士の英霊(セイバー)のサーヴァント。いつぞやの電脳世界で俺たちの前に立ちはだかり、終盤では味方になった女性。真名、『鈴鹿御前』が怒気を隠さずにこちらに向ける。それにとりあえず謝罪しておき、現状を把握する。

 

「星4セイバーでオルタが召喚されると思ったら、鈴鹿御前が召喚されていた。そしてガチャはいつの間にか終わっていた。OK?」

「OKだし。というかなに、本当に私が来たら困っちゃう感じだったりする?」

「いやいやいや! サーヴァントは多いに越したことはないから助かるよ。これからよろしく頼ます。御前様」

「ちょ、その呼び方はやめて。その、なんか照れるし。もうちょっと砕けた話し方で、マスターは私に頼ってくれればそれでオッケーだから。かしこまり?」

「カシコマリッ!!」

 

 そんなこんなで召喚された御前様、改め鈴鹿と握手を交わす。そうしていると、何やら後ろから突き刺さるような視線を感じた。何だろうと後ろを振り返ってみると、敵意を隠すことなく聖剣を抜いていたオルタが立っていた。

 

「ちょ、何やってんのオルタ!?」

「邪魔してくれるなマスター。私の宝具レベルを上げる機会を奪ったそこの現代人ぶったセイバーを消し飛ばすだけだ」

「いや、それだけでも十分問題だからな!?」

 

 今回のピックアップで召喚されると思ったら違う人が出た。ジークフリートやデオン達なら祝福してくれるが、オルタは貪欲までに宝具レベルを上げることに執着を持っている。どうやら、ネロの宝具レベルが3になっていることにイラついているらしい。この間のレースでは共闘したとはいえ、基本的に敵対しているらしい。

 

「なに? ちょっと後輩に厳しすぎませんか~先輩?」

「ほう、今の私にその言動。どうやら慈悲は要らぬらしい。よかろう、今すぐ聖剣の錆にしてくれる」

「うわ~。ちょっとしたジョークでキレるとかマジで無いわ~。なに、この黒セイバーありえなくない?」

「…………殺す」

 

 鈴鹿の挑発に血が上ったオルタが一歩を踏み出す。漆黒の弾丸の様に迅速に鈴鹿の前に躍り出て、黒い聖剣を突き出す。鈴鹿は隣に立つ俺の襟を掴んで飛び、自身の持つ刀とは違うもう二振りの刀を出現させる。器用に刀の峰に乗り、優雅にサークルの外に舞い降りる。

 

「逃げるか。JK擬きセイバー」

「擬きじゃないし! ちゃんとしたJKセイバーだし!! っていうか、召喚されてレベル1の後輩を全力でボコろうとする先輩と遊ぶわけないじゃん。とりあえず、マスターにここの案内してもうから。アンタの相手はその後だし」

「逃がすか―――――!!」

 

 黒のワンピースの上に血の滲んだ黒い鎧を形成し、完全に戦闘態勢に移行するオルタ。それを嘲笑うように入り口から脱出しようとする鈴鹿に呆れながらも、こういった話も良いと俺は思った。だが同時に、そう簡単にここから暴れて出られると思わない方が良いとも思った。

 

「オルタ。そこまでだよ」

「そこまでだ愚か者」

 

 だが、現実はそう簡単に事が運ばないのが常だ。オルタの剣を軽く弾いてブーディカさんが彼女を抱き留め、ギルが『王の財宝』(ゲート・オブ・バビロン)から鎖が飛び出し、俺の体を綺麗に外しながら鈴鹿の体を拘束する。

 

「もぅ、確かに自分の宝具の威力が上がらなかったとはいえ、今のままでも十分強いんだから。あんまり新入りを苛めちゃだめでしょ?」

「む………それは、そうだが……」

「分かってるならいいけど、次はちゃんと仲良くすること! いいね?」

 

 我儘を言う子供をあやすように言い聞かせるブーディカさん。さしものオルタも彼女には敵わないのか、ショボンと肩を落としてそのまま抱き着いている。手慣れていると苦笑を漏らしていると、近くにいた鈴鹿が喚き始めた。

 

「ちょ、JK相手に拘束プレイとかハードすぎじゃん!? 何、もしかしてここってそういう系の場所だったりするわけ!?」

「戯け、貴様がマスターを勝手に連れて行こうとしたために鎖を出したにすぎん。貴様も神に連なる力を持っているようだったからな。我が友の出番というわけだ」

 

 無様に拘束されている鈴鹿を嘲笑うギル。それを見た鈴鹿が宙を舞う刀を向かわせるも、蔵へと通じる門から放たれた魔術がそれを叩き落とす。一しきり笑ったギルだが、その後に息を吐いてこちらを見る。

 

「そも研砥よ。貴様、この駄狐の愚行を甘んじて受けていたな? 要らぬ手間をかけさせよって。この代償は高くつくぞ?」

「いや、偶にはこういったものも良いかなって思っただけなんだがなぁ。ほら、連れ去られるなんて、あんまり体験できないことだしな」

 

 襟を掴んだ鈴鹿の手を軽く払いのけながら、服を正して元の位置に戻る。リリィが少し心配そうにしていたから軽く頭を撫でて落ち着かせながら、ギルに合図を送る。

 

「それじゃ、当初の予定通り新入りの面接よろしくな」

「ふん、他にできそうなサーヴァントがおらぬから仕方なくやっているだけだ。あとで上手い飯と麦酒を用意しておけ」

「え!? ちょ、私このままどこかに連れていかれちゃうわけ!? マジでありえないし!! マスター助け――――」

 

 喚く鈴鹿を容赦なく連行し、召喚場から去るギル。鈴鹿が神性スキル持ちだったとはいえ、あそこまで相性が悪いのは可哀そうに思えてくる。今頃ギルを始めとした面接官サーヴァント達による組織案内でもされている彼女に同情しつつ、次の十連の準備をする。

 

「さてと、次で今回は最後な。回れ回れぇ!!」

「頑張ってくださいね! マスター!」

 

 リリィの応援に応えるべく、俺は残った石を全て放り込む。今回はあくまで聖晶石による召喚のみを行い、呼符はこの後に来るであろうイベントのために取っておくつもりだ。今年は色々と振り返りイベントが多いから、キャスターの方は三度目だからリストラされるかもだが、セイバーのエリザベートのハロウィンが再登場する可能性があるのだ。去年のリベンジを果たすために、今の内に呼符だけでも貯めておきたい。そんなことを考えていると、サークルに黄金の光が伴って回転し始める。サークルの中央に現れたのは先ほどと同じ、黄金の騎士のカード。これが出ただけで何となく察していたが、それは期待を裏切ることなく現界した。

 

 

 

 

 

「…………召喚に応じ参上した。貴様が私のマスターという奴か?」

 

 

 

 

 

 

 

「うん、何となく察してたけどやっちまったなぁお前」

「む、既に私を召喚しているのか。ならば、あとは何も言うまい。先に工房で控えているぞ」

「ああ。これからもよろしく頼む」

 

 礼など不要だ。新たに召喚されたオルタはそう言いながら召喚場を去る。一方、既に召喚されているオルタはというと、表情を満面の笑みに変えながらアルトリアを見ていた。

 

「ふっ、これで私の宝具レベルは2。本来の私を遥かに上回る威力になってしまったな」

「……確かに、貴方の宝具威力が上がったことは認めましょう。しかし、私の方が戦闘に連れて行かれる頻度は多い!」

「ふぅん。何やら吼える負け犬の声がするな。敗者は黙って跪いて………?」

 

 いきなり始まる二人の罵倒のし合い。しかし、それは何かを言おうとしたオルタの口が止まると同時に終わる。普段は罵倒や非難の声は止めることなくズバズバと口にするのが彼女だ。そんな彼女がなぜ途中で言うのを止めたのだろう。気になった俺は、オルタの視線が召喚サークルの方に向かったのに気づき、それに倣うように俺も首を動かす。そして、その先に行われていた物を見た俺は、驚いてその場で尻餅を着いた。

 

「なっ―――――金のランサーカードだとッ!?」

「………これは、どこか私と似たような気配を感じたが故に振り向いたが。まさか、ここで来るとはな」

 

どこか嬉しそうに笑いながら、オルタは目の前で行われ始める召喚に集中した。彼女を除く四人の目も、サークルの中央に現れたカードに集中する。今回のピックアップ対象であり、そして高レアリティのランサーは2人いる。数秒後、待ちに待った新たなサーヴァントの召喚が行われた。

 

 

 

 

 

 

 

「ランサー、アルトリア。召喚に応じ参上した。我が愛馬が雷雲を飲むように、我が槍はあらゆる城壁を打ち破る。あなたの道行きを阻むもの、すべてを打ち砕こう」

 

 

 

 

 

 

 

 

「いよぅしランサー・アルトリアの召喚に成功っ!!」

「流石はマスターだな。この間の劇場女のイベントで散々爆死したから少し心配していたが、やはりここぞという時の勝負運は目を見張る物がある」

 

 新たに召喚されたのは、聖剣エクスカリバーを主武装にしたセイバーの騎士王ではなく、聖槍ロンゴミニアドに変更したランサーの騎士王。そして、それがどんな因果か聖杯の呪いに飲まれ、結果として生まれてしまったオルタナティブ。愛馬であるラムレイに跨って現界した彼女の前に一歩出て頭を下げる。

 

「初めましてランサーの騎士王。これから、よろしくお願いします」

「………ああ。私がここに来るのは初めてだが、ここにいる者たちの功績はちゃんと理解している。退屈させるなよマスター」

 

 セイバーのオルタと同様の不遜に満ちた発言に苦笑しながら、俺は彼女を他の騎士王たちの前に連れて行く。全身フルプレートアーマでの現界だったが、暑苦しくなったのからなのか。ランサー・オルタは兜を外して素顔を晒す。ここにいる彼女たちの面影は少し残っているが、やはり成長している分、他の騎士王たちに比べて大人びて見える。

 

「………………………なぜ、そんなにも大きいのですか」

「言うな騎士王。私とて悲しくなるではないか」

「? お前たちは何を言っているのだ? 確かに、聖剣(エクスカリバー)ではなく聖槍(ロンゴミニアド)に持ち替えたため、肉体の成長が止まらず身長はお前たちより高いが………」

 

 どこか戸惑うように答えるランサー・オルタの答えに、二人の騎士王の睨む力が籠る。そんな彼女たちの怒りの原因を俺は何となく察したが、何も言わずに召喚サークルに向き直る。ちょうど、さっきのランサー・オルタが最後の十回目だったらしく、システムは次の指示を待ち続けていた。一応、マーリンを召喚することを前提に行ってきたこの召喚だが、結果としてアルトリア・オルタを別クラスで一人ずつ召喚に成功している。二十連召喚でこれはかなり良い結果だ。ここらで撤退すべきだと判断しようと思った時、リリィが服の袖を引っ張っていることに気付いた。

 

「ん、どうかしたかリリィ?」

「いえ……その、私も師匠の召喚を行いたいんですが。よろしいでしょうか?」

「は? いやいや、少なくとも今回の召喚はこれで終わりだし、そもそも召喚に日露な素材が………」

「大丈夫です! こんなこともあろうかと、エミヤさんに呼符を一枚頂いてきました!」

「何やってんだエミヤァ!?」

 

 リリィがスカートのポケットから取り出した金色の札。一枚で単発召喚の代わりとなる呼符をエミヤからもらったと聞いた俺は、まさかの出来事に驚いた。いや、アルトリア達には甘いと思っていたが、まさかここまで甘すぎるとは。あとで何か言っておかないといけないかもしれん。

 とはいえ、まさかここまでリリィがマーリンの召喚に積極的とは思わなかった。オルタや普通のアルトリアさんたちでさえ召喚出来たら良いし、出来なかったらそれでも構わないという感じなのに。何がそこまで彼女を突き動かしているのだろう。

 

「いえ、別にマーリンに特別な感情を抱いているわけじゃないですよ? ただ、やはり彼は私の剣の師匠なので。この度の闘いの中でX師匠という師も出来ましたが、やはり彼との修業も楽しいのです」

「………………………………………………あかん、ええ子すぎて涙出てきた」

 

 

 どこか照れたように、純粋に笑うリリィを見ていかに自分が汚れているのか自覚してしまった。いや、最初から理解した上で無視していたのだが。リリィを見てそれはいけないと自覚した。何をやっているのだろうか俺は。

 

「良いぞ。頑張ってマーリンを呼んでくれ」

「お任せを! お願いです、来てください! マーリン!!」

 

 てりゃぁ! っと可愛らしい声と同時にリリィは呼符をサークルに投げつける。その辺りも可愛いと思っていると、何故だか後ろから殺意の波動を感じ取ってしまった。深呼吸をして雑念を振り払うと、目の前に広がったサークルがいつも以上の輝きを放っていることに気付いた。

眩い輝きは七色の光が入り混じった虹色。そして、そのサークルの中央から現れたのは杖を持った老人の絵が描かれた金色のカード。最高位の魔術師(☆5キャスター)の召喚が確定した瞬間だった。

 

「え、ええええええええええ!? ☆5キャスター確定演出!? ナンデ!? ココデ☆5キャスタートカナンデ!?」

「こ、これはもしかして! 本当にマーリンが来てくれるんじゃないですかマスター!! だって☆5キャスターですよ!! マーリンも同じ☆5キャスターですから来てくれますよね!!」

「ああ! これは間違いなくマーリンだな! 思う存分働かせてやるよこのニート魔術師! そしてよくやったリリィ!! 今日は何でも作ってやる! 思う存分飯を食べろ!!」

 

 まさかの事態に俺とリリィは互いを抱き寄せて喜びを分かち合う。セリフから後で毒ガス訓練でもしそうな感じだが、そんなことは一切考えていない。というか、リリィにそんなことしてみろ。禁じ手使ってでも完全消滅させてやる。

 そんなことを考えていると、遂にサーヴァントの召喚が実行される。ここまでお膳立てが済んでいるんだ。ここで来るのは間違いなくマーリンだと。ブリテンの花の魔術師でかつ、世界有数のキングスメーカーだと確信していた。カードから光の粒子が流れ出し、新たなサーヴァントの姿が形作られていく。―――――だが、その形作った容姿は、俺たちの望んでいたものではなかった。

 すらっと伸びた長い足に、胸元を少しはだけさせた僧衣。金色の輪っかが数個入った錫杖に、万人を照らさんばかりの明るい笑顔。アトラス院(ここ)でも何度か見たような覚えがある。いや、何度も見たことのある女性(・・)が召喚されていた。

 

 

 

 

 

 

 

「あたしは玄奘三蔵! 御仏の導きにより、ここに現界したわ! ええっと、クラスはキャスター!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………………………………………」

「………………………………………………」

 

 目の前で現界した女性を見た俺とリリィから声が消える。顔はそのままなのにも関わらず、喜びの奇声ではなくただ声だけが消えた。ふと、こんな時にどうしようもないことを考えてしまった。これはおそらく、リリィも同じことを考えているだろう。☆5キャスター確定演出で、自分の師匠が来ると思ったら全くの別人が。それも、既に召喚されている人が来てしまったと。

 勿論、これにより既に召喚されている三蔵の宝具強化が可能だ。この間、威力修正と防御無視へと進化した彼女の宝具が、より凶悪になることは間違いない。だが、それを抜きにしても許せない感情が俺たちの胸の中で溢れかえる。どうしたものかと、足りない頭で考えていると、俺たち二人の肩を叩く人がいた。叩かれた方の肩を見ると、既に聖剣を抜刀したアルトリア二人と、禍々しい光を槍に纏わせているランサー・オルタがいた。

 

「……アル、トリア………?」

「よい、何も言うなマスター。言わずとも分かる。貴様の言いたいことはよく理解しているつもりだ。そして、そこにいる白い私の言い分もな」

 

 俺たち二人の前に出る三人のアルトリア。その手に握られた彼女達の宝具は、既に魔力の充填が住んでいる。持ち主が命じればその力を開放し、目の前に立ち竦む三蔵ちゃんを吹き飛ばすだろう。確かに、今回は色々と酷いことになってはいる。だが、彼女もれっきとした☆5サーヴァントだ。だから、こんなことはしてはいけないと彼女たちを止めとようとする。

 

「いや、別にそこまでしなくても………おい、何してるんだリリィ」

「え? 皆さんに倣ってカリバーンを抜いているだけですが………」

「おい馬鹿止めろ! って、ブーディカさんも見てないで止めて………」

「我らに勝利をもたらせ、約束されざる(ソード・オブ)――――」

「ってあんたもかよ!?」

 

 マーリンが召喚されなかったことがあまりにも悔しかったのか。普段は温厚なはずのブーディカさんが、般若の如き表情で三蔵ちゃんに向けて宝具を使わんとしていた。とりあえず、この場を何とかしようと必死に頭を働かせる。だが、それよりも遥かに早く。彼女達のもつ武具の名が唱えられた。

 

「束ねるは星の息吹。輝ける命の奔流―――受けるがいい!!」

「卑王鉄槌。極光は反転する―――光を飲め!」

「突き立て! 喰らえ! 十三の牙!!」

「選定の剣よ、力を! 邪悪を断て!」

「我が手に握られし剣よ。我らに勝利を齎したまえ――――!!」

 

 結果。五人のサーヴァントによる宝具が召喚場と、その付近にいた三蔵ちゃんに向けて放たれるのであった。結果としては二人目の三蔵ちゃんは、先に居た彼女の力を渡して消えていった。しかし、力を渡した彼女の記憶が移ってしまったせいか。アルトリアを見て怯える彼女がそこにはいたそうな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~~~後日、研砥の夢の中にて~~~

 

「ぷーーーーーあははははは!! もしかしたら召喚されるかもとは思ってたけど、現実は非常なものだねぇ!! あーはっはっはっはっは!!」

「野郎ぶっ殺してやるぁ!!」

「はい『幻術』♪」

「テメェ!!」

 

 場所は変わって夢の中。ここではいつものように俺と花の魔術師(マーリン)との特訓が始まっていたが、今回は最初から全力で殺しにかかっている。具体的に言うと、アルトリア(セイバー)・オルタの力を纏い、この身に宿る膨大な魔力で追い詰め、斬撃を放ち、聖剣の真名解放までしている。にもかかわらず、目の前の男はその全てを悠々と躱し、弾き、的確にカウンターを狙いに来る。生身の俺だったのなら一撃で伸されるような攻撃の嵐だが、今の俺は騎士王の力を借りている。そう簡単に負ける訳にはいかない………!!

 

「というか、さりげなく『幻術』連打してんじゃねぇよこの花糞野郎!!」

「ちょ、確かにやりすぎたかもしれないけど花糞はないんじゃないかな!?」

「うんこ野郎とどっちがいい!!」

「花糞で頼むよ!!」

 

 言葉をと剣を何度もぶつけ合いながら、その場で一度距離を取る俺たち。オルタとは完全に絆が深まっているという訳ではないので、全身の節々が悲鳴を上げ始めている。真名解放

もあと一度出来れば御の字だ。残る魔力を使い切るつもりで目の前に立つ花糞野郎を睨み付ける。やけくそに打ったとしても当たることはない。確実に当てるためにはどうすればよいかと考えていると、マーリンは疲れたように聖剣を仕舞った。

 

「ふぅ~………降参降参。今回は僕の負けだよ。いやぁ、まさか君がアルトリアの力を行使するとは思わなかった。我が弟子ながら、確実に敵を殺す気で振るってるね」

 

 疲れたと言わんばかりに杖をその手に出現させながら、その場で胡坐を組んで座るマーリン。敵意は完全に感じないが、実はこれが『幻術』で後ろからグサリということもあり得る。いや、確かそんなこともあったはずだ。

 

「…………本当に、今日は終わりで良いんだな?」

「勿論だとも。アルトリアじゃあるまいし、普通の逸般人に合わせて休憩させないとね。君の所にいる彼女に怒られたくもないし」

「それなら、なんで今回も来なかったんだよお前………。ブーディカさんだけじゃなく、アルトリアや、ベディヴィエールも会いたがってたぞ?」

 

 オルタの力を行使するのを中断し、体内から弾き出されたカードを懐のケースにしまう。俺もその場に座り込み、目の前にいる非人間を問い詰める。それを聞いた彼は、困ったような表情を浮かべ、次の瞬間には悲しそうな笑みを浮かべた。

 

「いや………その、だね。私としては確かに会いたい人でもあるよ? でも、僕とウーサー王が目指したものを勝手に押し付け、その最期に付き合えなかったのが僕だ。ベディヴィエール卿に至っては、彼の目的を理由に僕が出張ることやめたんだしね。その分、第七の特異点では大活躍だったけど」

 

 円卓の崩壊に罅を入れた僕が、彼女達の前に立つのはおかしいことさ。そう言いながら杖を一振りすると、何もない純白だった空間に色が付き始める。暖かな日差し、地面を彩る美しい草や華聯な花たち。そして、その中央に聳え立つ異形の塔。この場所のことは知っている。いつぞやの夢の世界で、マーリンが見せてくれた場所だ。

 

遥か遠き理想郷(アヴァロン)――――。たとえ人類史が燃え尽きようと、誰が何をしようとも決して侵されることのない理想郷(牢獄)。そこから人知れず手助けをするのが僕の役割だ。まあ、見ているだけだと暇になるから、時々遊びに行くけどね」

「牢獄の意味ないじゃねぇか………」

 

 どこか愉快そうに呟くマーリンを見ていると、目の前に広がる世界が段々と白んでいく。あと数分もすれば夢から覚めるのだろう。それを何となく感じ取り、俺はその場で大の字になって寝転がる。少しずつ襲ってくる眠気に身を任せ、この場を後にする。

 

「ん、それじゃまたな。今日も修業を付けてくれて、ありがとな」

「なに、私も見ているだけだと腕が鈍ってしまうからね。それじゃ、今日もお疲れさま。良い夢を見れるように祈ってるよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………っ、流石に肉体の方が悲鳴を上げてるか。くそっ、痛み止め飲まないとな……」

 

 夢の世界での修業を経て、現実世界で体を起こした際に走った痛みに苦笑しながら、俺はベッド近くにある錠剤を取り出して飲み込む。薬はそこまで即効性はないので早く効いてくれるのを祈るしかない。精神体でもダメージは共通なのが辛いところだ。誰もいない部屋の中で呟いていると、近くにある机の上に見覚えのない箱があることに気付いた。ふと気になったので時間を確認したが、今日も今日で遅い時間に起きたという訳ではない。調理担当の人が飯を置きに来たというわけでも――――それ以前に起こしに来るが――――ないなら、これは一体何の箱だろうか。未知の物を開ける好奇心に駆られた俺は、疑うことなく箱を開いて中を覗く。

 ――――そして、その中身を見た俺は驚きのあまり目を丸くして息を飲んだ。一体、誰がこんなものを用意したのだ。まさかの贈り物に驚き、差出人の名前が無いか探していると、箱の蓋の裏側に手紙がくっ付いていることに気付いた。この箱の送り主かもしれないと思った俺はすかさず手紙の封を切り、中身を取り出して読み上げる。

 

 

やぁ。おはようアトラスのマスター君。今回は僕の気まぐれで、このような特別なプレゼントを贈ることにしてみたよ。七つの特異点を超え、彼の魔術王の元から逃げ出した残り二柱の魔神柱討伐の物語は続くかもしれないが、僕は信じているよ。いつの日か、君たちがこの世界を本当の意味で平和を取り戻すとね。これは、それの前祝だ。これが、君たちの戦いに役立つことを願っているよ。

君たちが危なくなったら、僕もここから君たちの元に飛んでいくよ。だって、僕は君という物語。そのファン一号だからね。少しばかり、君を依怙贔屓するのもやぶさかではないさ。それじゃあね。アルトリア達にもよろしく。  

――――花の魔術師マーリン(君のファン一号)より。

 

 

 

「――――馬鹿じゃねぇの。やっぱ、あいつ馬鹿なんだろ」

 

 渡された手紙を握り閉めながら、送り主である花の魔術師のことを罵倒する。こんな手紙を送るくらいなら、たまにで良いから遊びに来いってんだ。アルトリアだけじゃない、あいつと縁があるものは少なからず会いたがっているのだから。

 それを知ったうえで会わない。否、会えないのは。ひとえに、遠くから俺たちの行く末を見守っていたいからだろう。あいつにとって俺たちの旅は物語と同じ。それを理想郷(特等席)から独り占めにしたいからに違いない。どこまでもお人好しで、人でなしな冠位の魔術師に悪態を吐きながら、軽く深呼吸をする。

 

「……ああ。俺なんかでよければずっと見てろ。いつか、この戦いが終わって、俺という役目が終わるその時まで。精々、モブ()の物語を見続けてろ」

 

 目から熱い物が零れるのを感じながら、俺は箱を厳重に保管する。それと同時に一言。この場にいない人に礼を言いつつ、俺はマイルームを後にする。カルデアのサポートという、自分の役目を果たすために。俺は今日も自分を鍛え続ける―――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




というわけで、今回のピックアップは剣オルタと三蔵ちゃんの宝具レベルが2となり、新規で槍オルタと御前様が来るという結果に!! 何と言いますか、微課金でこれは十分大勝利だと思います! そもそも、マーリンが来ても使うかどうかわかりませんし。スキルレベルは当然ですが。私、ストーリーや高難易度では『マーリン・マシュ・孔明』使用禁止令貼ってますから。
あ、本編では書きませんでしたが。実は土方さんが欲しくて単発回してます。5回しかチャレンジできませんでしたが、『看板娘』が来たので凄く嬉しかったです!!

あ、今の亜種特異連Ⅲ『屍山血川舞台 下総国~~英霊剣豪七番勝負~~』ですが、今までの特異点攻略の中でも最短記録更新! まさか、二十四時間以内に攻略できるとは思わなんだ。途中、何度も詰んだりクリティカル連打でやってられるかと思うところも少なくなかったですが、何とかなりましたね! 当然、マシュ・マーリン・孔明も使いませんでしたよ!

 基本、EXTRAシリーズ以外回したくない私ですが。今回は無心で10連を回してしまいました。いや、だってあれは仕方ないと思う。最後の最後であんな終わりは卑怯だろう………!!
 まあ、ガチャ報告はハロウィンを先にやってからですね。パールヴァティはどうしようかな………あんまり回してないからスルーか、剣豪ピックアップで話だけはするかもしれませんね。イラストが蒼月さんだったから欲しかったんだけどな~~!!


 ここまでの読了、ありがとうございました! 誤字脱字等がありましたら、指摘の方よろしくお願いします!
 それでは、次回もよろしくお願いします!!

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