ブーディカさんとガチャを引くだけの話   作:青眼

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というわけで、今回は新宿ピックアップ編です。
う〜〜む、どうも最近ガチャ報告しかしてないなぁ。折角の番外編なんだし、何か別の物でも書いてみようかなぁ

それはそうと、今日から『ぐだぐだ本能寺』の復刻ライト版が始まりますね。自分は『セイバー・ウォーズ』から始めたので、とても楽しみにしています!あ、頼むからイベント中に緊急メンテは勘弁してください!聖晶石と黄金リンゴを大量にくれるならいいですけどネ!!


ピックアップは仕事する時は仕事する。ただし、過度な期待は身を滅ぼす。

突然だが皆さんは新宿という場所を知っているだろうか?いや、知らない人はいないだろう。東京都にあるあの新宿だ。といっても、七つの特異点を解決し、終局特異点『冠位時間神殿 ソロモン』を消滅させた俺たちには関係が無かった。無かったはずだった。

新年を迎え、何故か発生したお団子イベントと女神(♂)を蹴散らし、インバネスを着た『S崎N長』ボイスの復讐者と共に七つの夜を超え、バレンタインを迎え。色々と遊び回っていた俺たちだったが、何故か新たに発生した特異点、いや、最初の冬木市によく似た『亜種特異点』とも呼ぶべきそれを発見した俺たちは、カルデアと再び協力関係を結び、亜種特異点『悪性隔絶魔境 新宿』を解決しに向かった。

 

 

色々と大変な目にあったのは事実だ。今更な真名当てに頭を悩ませたり、謎の犬とデュラハンとのコンビに追いかけられている所を、私服姿+ポニーテールなったアルトリア・オルタに助けられたり。何故かオルタ化したエミヤに命を狙われたり。ブーディカさんに化けた『新宿のアサシン』を素手で殴り飛ばしたり。etcetc………

まぁ、あんまり長々と書いたらネタバレになってしまうのでここまでにしておくが、とにかく、今の俺が何を言いたいかというとだな…………

 

「くっそ!!全然レポートが終わらねぇぇぇぞこんちくしょうめェェェェェェェ!!!」

 

施設内にある休憩室に、キーボードと睨めっこしていた。本来、レイシフトなり英霊召喚は確か政府のお偉い様たちに許可を貰わないといけないのだが、今回は突然発生した亜種特異点だ。故に、後で大量のレポートをを作成することで話が終わったんだが、今回は話が余りにも多すぎる!!

仲間のシャーロックから今回倒した『魔神柱バアル』を含めて四体の魔神柱が存在し、それぞれが今回の様に特異点を作る可能性があるということ。他にも、今回発生した『幻霊』や新宿の現状等の説明を書いているんだが、余りにも内容が多すぎて書き終わる気がしない!!

 

「つーか俺はあくまで狭間たちが動きやすくなる様にエミヤ(オルタ)の相手したり、あいつらが一刻も早くバレルタワーに向かえる様に、新宿のアヴェンジャーの囮役を買って出たり、拘束されたシェイクスピアを回収に向かっただけで何もしてないんだよ!!バアルの相手もあいつがしたり、モリアーティーなんてひたすら『死が二人を別つまで(ブリュンヒルデ・ロマンシア)』しまくっただけで何にもしてねぇんだよ!!巨大ゴースト?んなもんギルが『王の号砲(メラム・ディンギル)』連打して殲滅したって書けばいいだろうが!!何でそんなこといちいち細かく書かないといけねぇんだよ!!」

「はっはっは。まぁ、今のうちにその理不尽を体験しておきたまえ若人よ。老けたらあまり体験できないからネ!」

「うるさいんだよこの黒幕!!あんなかっこ良く去っておきながら、サラッと狭間に召喚されたやつにだけは言われたくないんだよ!!」

 

むかつくくらい優雅にコーヒーを飲んでいるメガネをつけた男性、彼こそは今回の亜種特異点『新宿』のラスボス。シャーロック・ホームズのライバルにして最悪の犯罪者、ジェームズ・モリアーティーその人だ。『幻霊』について最も詳しいのはこの人とシャーロックなのだが、彼は度重なるレイシフトで疲労している。なので、仕方なく狭間の所にいたモリアーティーを借りたのだが………

やっぱりこいつは面倒臭い!!何かとこっちに絡んでくるし、いちいちこっちを挑発しやがって、もし家のサーヴァントなら令呪で自害させてやるのに!!

 

「つーかどんだけ長いんだよ!?かれこれ二時間くらい書いてるけど全然終わらねぇんだけど!?」

「ふぅん。少しは俺たちの気持ちが分かったか?〆切の数秒前まで足掻き続ける作家系サーヴァントの気持ちが?ならさっさと休暇をくれ」

「お前もお前もで忙しんだろうが!というかお前も今回の件で呼んだんだから仕事しろ!」

「はっ!この俺が他人の書いてるものに口を出すと思ってるのか!他人が書いた作品を自分で書き上げるなど虫酸が走るわ!」

 

同じく目の前でキーボードを打ち続けているのは、作家系サーヴァントの代表。『人魚姫』を書き上げたあの有名な作家、ハンス・チャン・アンデルセンだ。

青い髪に子供の容姿をしているが、その実態はとんでもない毒舌評論家にして、下手したら星四相当のスペックを誇るキャスターだ。『貴方のための物語(メルヒェン・マイネスレーペンス)』や、高ランクの『人間観察』で、高火力を叩き出すのに貢献している。

 

「だからこうやって手伝ってもらってるんだろうが!!」

「ふむ…………君たち、実は仲がいいんじゃないのか?」

「「五十過ぎで臭いオッサンは黙ってろ!!」

「グハッ!?」

 

俺たちの口喧嘩に入ってきたアラフィフを、俺たちの口撃で一撃で粉砕する。

 

「労働基準法違反マスター!」

「毒舌ショタ!」

「ロリコン!」

「(月の聖杯戦争における)人理焼却原因サーヴァント!!」

「き、君たち。そろそろやめておいた方が」

「「かませ教授は黙ってろ!!」」

「君たち少し酷くないかね!?」

 

ぐぬぬ、と犬の様に声を出しながら互いの顔を睨み付けあっていると、休憩室の扉が開く。

 

「えーと………あ、いたいた。研砥。探したよ」

 

部屋に入って来たのは我が家の料理長にして最強のお姉さん系サーヴァント・ブーディカさんだ。今は特に戦闘でもないのでロングヘアーではなく、髪を一つに纒めたポニーテールにしている。うむ。いつもの髪型も素晴らしいけど、これはこれでいいね。

 

「いや別に何も?それよりどうした、何かと用事でもあったっけ?」

「あ〜やっぱり忘れてたか。ほら、今日はガチャを回す日だって言ってたでしょ?準備できてるよ」

「む?そうだったっけ?」

 

手元にあるタブレットから今日の予定を確認すると、確かにガチャを回す予定になっている。この間のバレンタインピックアップで割と序盤に玉藻さんを召喚できたので、結構石が余っているのだ。亜種特異点・新宿で遭遇した新しいサーヴァントと、アルトリア(オルタ)のピックアップが行われているので、ガチャを回そうと話していたのを覚えている。

 

「というわけだからガチャって来るわ。悪いが、また後で相談に乗ってくれ」

「きちんと休みをくれるなら手伝ってやる。そろそろ新作を書き上げないといけないのでな。全く、何故俺はサーヴァントなんぞになってしまったのか………」

「そういう性分なんでしょ?ほーら、後で軽めの物作って持って来てあげるから、頑張ってね!」

 

ブーディカさんにそう言われると、どこかばつが悪そうに鼻を鳴らし、無言でタブレットに向かってキーボードを打ち続ける。モリアーティにも礼を言って、俺たちは休憩室を出るのであった。

 

 

「それにしても、今回は家のようなボロ屋にどんな酔狂な英霊が召喚されるのだろうか。少しばかり気になるな」

「うーむ………あくまで勘だけどネ、私以外の誰かが呼ばれそうだよ。それも、か〜な〜り扱いづらいのがね」

「………ちっ、全く、世話の焼けるマスターだ。手を貸してやるしか選択肢がないではないか」

「なんだかんだ言って、やっぱり優しいよねアンデルセン君」

「ふんっ。なんとでも言え。後で滝に叩き落とされたくなければな」

 

 

 

 

 

 

 

「悪い、待たせたな皆!」

 

ブーディカさんと一緒に行き慣れた道を通い、召喚城に向かう。そこには既に何人かの姿があった。

 

「お待ちしておりましたよご主人様(マスター)。何やら急いで来たようですが、大丈夫ですか?」

「呵呵、別に構わんさ。儂はしがない武人。儂の求める戦いが待っているのであれば待つのも止む無し、だ」

「私もね。今は特にしたい事もないし。時間があれば稽古をしてあげようかしら?」

 

初めから青い巫女服を着たキャスター『玉藻の前』。中国服を纏った武人のランサー、『李書文』。玉藻と同じキャスターで、神代の魔女の『メディア』。三人共今回の特異点での攻略に力を貸してくれた代表達だ。

 

「いやぁ、今回の特異点におけるレポートを作ってたら時間がかかっちまってな。いま用意するから待っててくれ………っと」

 

聖晶石が入った箱から、今回のピックアップに備えて用意した六十個取り出し、いつでも投げれる準備をする。

 

「それにしても、最近はこうやって召喚を行う際にサーヴァントを呼び出してますけど、何かあるんですか?」

「別に意味はないんだけどな、何となくだけど攻略に最も協力してくれたサーヴァントを連れてガチャを回せば、いいのが出る気がするんだよ」

「うむ。まぁ運に身を任せるのだ。願掛けの一つや二つはするべきだろう」

 

実際に、ここにいる三人は本当に助かった。玉藻さんは来て早々レベル90にして、スキルレベル10にした『狐の嫁入り』と宝具によるNP供給とHP回復で何度も助かった。

書文先生は『国境』と『中国武術(六合大槍)』。そして玉藻さんの『狐の嫁入り』で放つ宝具で、モリアーティー10万以上のダメージを与えた。

メディアさんは『高速神言』使って開幕『破戒すべき全ての符(ルール・ブレイカー)』で、新宿のアサシンを粉砕してくれた。というかモーション変わってから何度も使ってる気がするな。

 

「さて、与太話はここまでにしてガチャ回して行きますか!そ〜れい!」

 

いつものようにとりあえず石を三十個放り投げる。慣れ親しんだシステムの起動する音が響き、ゆっくりとカードが現れる。

 

「おぉ〜色々と新しいのが出て来るな。『固有結界』に『若返りの薬』か………おっ、また『固有結界』って、4枚とも『固有結界』だとぉ!?」

 

びっくりするくらいの『固有結界』(礼装)の多さ。これおかしいよな!?確かにアルトリア(オルタ)とエミヤ(オルタ)の同時ピックアップだけどさ!これで新しくサーヴァントが来ないと、せっかく集めた種火も意味がないんだよな……っと意気消沈していると、眩しい光が部屋を覆う。輪から現れたのは金色の弓兵のカード。

 

「こんなところで星四以上のアーチャーって事は!?」

「あはは……これはもしかしなくても、ですね」

 

「お前がマスターか?酷い面構えだ。まぁいい、これでもアーチャーだ。精々うまく使え」

 

光の輪から現れたのは、白と黒の中国剣。『干渉・莫耶』を銃に魔改造した二丁銃剣。浅黒かった肌はもはやより黒く染まり、ボブ風にカットした髪にこちらを値踏みするかのような鬱陶しい目つきをしている。錬鉄の英霊・エミヤシロウの反転した姿がそこにいた。

「ようエミヤ。久しぶりだな」

「なんだ貴様か。……あの時も言ったが、俺は貴様のよく知っているオリジナルの俺とは違う。貴様と共に戦ったことなどないし、覚えていても磨耗して消え去っている」

 

あくまで素っ気なく、どうでもよさそうにこちらを見るエミヤ(オルタ)。今まで以上に捻くれているこいつは、本当にどうしようもない人なのだとも思う。まぁ、まさか彼を呼べるとは思っていなかったが、メディアさんを呼んだ甲斐があったというものだ。

 

「ところでメディアさん。ここにオルタ化しているエミヤさんって、『破戒すべき全ての符』で何とかなったりしない?」

「無理ね。私の宝具はあくまで魔術的要素(・・・・・)を初期化し、それを無力化するだけ。英霊の座に登録されている時点で、彼に『破戒すべき全ての符』を突き刺しても何の効力もないわ」

 

流石の神代の魔女のといえど、英霊化している時点でお手上げだそうな。少しばかり残念だが、仕方がない。けどまぁ、こっちはこっちで俺は好みなんだけどな。

 

「それじゃ、もう一回ガチャるから、ちょっとそこ退いてくれ」

「む、まだ召喚を行うのか?育成が終わっていないサーヴァントもいるんじゃないのか?」

 

こちらの行動に疑問を持ったのか、意外と不思議そうに質問してくるエミヤに、オルタ化しても性格はあんまり変わらないんだな、と内心で思った。

 

「それもそうだが、この機会じゃないとピックアップされそうにないサーヴァントとかもいるしな。回せるうちに回しておきたいんだよ。まぁ、詰まる所自己満足だな」

「なるほど、回さないで後悔するぐらいなら、回して後悔した方が後腐れがないと同じということか。では、お前にはこう言っておこう。そこから先は地獄だぞ?」

「ハッ、んな地獄なんてものはなぁ………何度も乗り越えて来てんだよッ!」

 

思い出せ。玉藻がピックアップされている時のガチャのことを…………福袋ガチャで彼女が当たるかもしれないと思った時の事を………今年の福袋で当たらなかった時の絶望を………

 

「イメージしろ………星四サーヴァントを……!イメージしろ………目当てのサーヴァントを……!!」

「……これって毎回やってると思うんだけど、ほぼほぼ失敗しているような………」

「シャラップ!!毎回目当てのサーヴァントが出ないとか言ってはいけないぞ!!ええい!もう考えるのも面倒だ!とりあえず石をポーイ!!」

 

少し遠い目をしながら言ったブーディカさんの言葉を無視して、三十個のいしが入った箱ごとサークルに放り込む。十回連続で行われる召喚行為。

 

「って『固有結界』は何枚もいらねぇよ!!」

「『モータード・キュイラッシュ』は今回の新宿ではお世話になったよねぇ……あ、もう一台出て来た」

 

まさかの概念礼装ラッシュである。まぁ、今回のピックアップは先に言ったオルタ二人と、アサシンとアーチャー。そして、アヴェンジャーの三騎だから、個人的にはあのコンビ(・・・・・)が来て欲しい所なんだが……来たら来たらで皆の迷惑になると思うしなぁ……

色々と考えていると、サークルがより一層眩しく煌く。金色の光を伴いながら現れたのは、サークルと同じ金色の剣の英霊(セイバー)のカード。

 

「って金回転セイバーキタァーーー!!」

「まさかセイバー来る!?アルトリアちゃんが来るの!?」

「うわぁ………メディアさんキャラぶれ出してますねぇ……」

「あはは……まぁ、メディアはセイバー好きすぎてリリィに少し引かれてるくらいだしね」

 

二名ほど発狂しながら新たなセイバーの登場に期待を寄せる。いよぅし!これでようやく家にもリリィ以外にもアルトリアシリーズが………!?

 

「セイバー、シュバリエ・デオンだ。きみが私の」

「「なんでさァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」」

「ひっ!?」

 

召喚されたのはここでは遂に五回目の登場となる星四セイバー・デオンくんちゃんだった。いや嬉しいんだけどさ!cv斉藤千和さんだからブーディカさんや玉藻さんと同じ中の人だけどさ!!

 

「何故!今!このタイミングで!!デオンくんちゃんが来る!!答えてみせろ庄司ィィィィィィィィ!!」

「うぅ……折角、セイバーの為に用意したお洋服を作ってたのにぃ………」

「…………何だろう。何か悪いことしてしまったかな」

「別に気にしないでいいよ。それより、いつも来てくれてありがとね」

 

堪らず血の涙を流す俺とメディアさん。まぁいい。今回のピックアップは一応仕事したんだし、新しく召喚されたエミヤ(オルタ)の育成に勤しむとしよう。そこまで考えた時だった。召喚場にけたたましい警報が鳴り響いた。

 

「な、なんだぁなんだぁ!?一体何の警報だ!?」

「確かに聞きなれない警報だね。一体何の警報だったかな………」

 

今まで聞いたことのない警報に戸惑う俺たち。照明も青から赤に変わり、警報に合わせて点滅がしまくる。召喚サークルを見てみると、鎖に繋がれた人間のイラストが描かれたカードが出現していた。

 

「確かあれはアヴェンジャーのクラスだよな……って事はまさか!?」

「出てくるのは一体しかいないわよ!坊やは下がってなさい!!」

 

 

「◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️ーーーーー!!」

 

青白い毛並みに憎悪に満ちた瞳をした巨体の狼。。足に付けられた痛々しいトラバサミに、その狼に跨る首なしの騎士。『新宿のアヴェンジャー』改め、『へシアン・ロボ』がそこに現界していた。

 

「ーーーーーどうする。いやぶっちゃけ言うと召喚に応じてくれて凄い嬉しいんだけどさ」

「そうね………彼、いや彼等と呼ぶべきなのかしら?巌窟王やジャンヌ・オルタとかならまだ会話の余地があるのだけれど、あれはそういう次元を超えてるわよね………」

 

召喚されてからずっとサークルの中央を陣取っている狼王に、どう接しようかと悩む俺とメディア。その後、書文先生が無言で槍を構えだしたり、エミヤが銃剣を投影したりするのを二人掛かりで止めていると、ブーディカさんが無言で歩きだす。

 

「ちょ、ブーディカさん!?危ないって!!」

「大丈夫。お姉さんに任せなさい」

 

こちらを少しだけ振り向きながら、優しげに微笑みながら歩き続ける。ロボは近づいてくる彼女を警戒するように唸り声を上げる。憎悪に満ち溢れたその声はとても恐ろしく、どちらからも近づかさせないようにしている。けれど、彼女はそれを涼しげな顔でスルーする。

 

「大丈夫。安心して。私は、君たちの味方だから」

 

一歩、また一歩と踏み出す。表情は優しげだが、その足取りは重い。対する狼王はそれ以上踏み込んだら殺すと、目を開からせてこちらを睨む。首なしの騎士(へシアン)も手に持つ鎌の様な物を振り上げる。

 

「大丈夫。大丈夫だからーーーー」

「◾️◾️◾️◾️◾️ーーーーーーーッ!!」

「ブーディカさんッ!!」

 

へシアンの持つ二つの鎌がブーディカさんに目掛けて振られる。首を狩る為の刃と刃がぶつかり合い、ちょうど中央にブーディカさんの首が収まる。刃が少し食い込み、首筋からうっすらと血が流れる。

一瞬、彼女の首が飛ぶかと思ってヒヤヒヤしたが、これ以上はもう無理だ。正直見てられない。最悪、令呪を使ってでもロボを拘束する必要がある。

 

「ブーディカさんもういい!もういいから早くこっちにーーー」

「ごめん。今は手を出さないで。研砥でも、それ以上したら怒るよ」

 

いつも優しい声音のブーディカさんが、静かに怒った声音でこちらに訴えてくる。ゆっくりと歩いた結果、ブーディカさんとロボの間の距離は、あと一歩にまで近づけていた。後ろからじゃ見えないが、心なしか苦笑している様に見えた。

彼女は顔を下に向け、ロボの瞳をジッと見つめている。その後、ゆっくりと手を憎悪の狼へと伸ばす。大丈夫だと、さっきと変わらずに優しい声で差し伸ばす。だがーーーー

 

「◾️◾️◾️ーーー!」

「ーーーーッ!!」

 

差し伸ばされた手をロボが噛み付く。刺々しい牙がブーディカさんの手に突き刺さり、激痛のあまりブーディカさんの表情が変わる。けれど、決して声だけは上げない。激痛に苛まれながらも「大丈夫」、と声をかけ続ける。

 

「貴方は、私とよく似ている。いや………私が勝手に感情移入しているだけで、そうじゃないのかもしれないけれど。少なくとも、私はそう思うんだ」

未だに噛み付かれている手を見ながら、苦笑しながらも言葉を続ける。

 

「けどね、こうやって召喚に応じてくれたのは、きっと私たちに少しでも協力してあげようって、思ってくれたから、なんだよね」

 

噛まれていないもう片方の手を差し伸ばす。それを抑制するようにへシアンが鎌をより近づけるも、それを無視して彼女は続ける。

 

「あの時の、新宿での最期を見た時、似てるなぁって思っちゃったの。ローマへの復讐に駆られて……最後は孤独に死んでいって。そりゃ寂しい気持ちはあったし、今でもネロ公(あの子)を見たら怒りが込み上げるけど、それを纏めてまぁいっか(・・・・・)で済ませてくれる。そんな人に出会えた。だから………」

 

彼女の手が頭に触れる。爪先から手の全てが触れ、優しくロボの頭を撫でる。一回、また一回と彼の頭を撫でる。

 

「だから、さ。君たちの力を貸してくれないかな。ゆっくりでいいから信じてほしい。君が召喚に応じてくれた研砥(マスター)が、君の信用に足る人物だって事を、証明してみせるから。ね?」

 

どこまでも優しげに、噛まれている手を無視してロボの頭を撫で続ける。すると、彼女の手を噛んでいたロボが口を開く。その口からは血だらけになったブーディカさんの手が現れる。あまりの痛々しさに目を細める。が、その後だ。決して懐くはずのない復讐者(アヴェンジャー)である彼が、傷ついた彼女の手を舐めたのだ。低く唸りながらも、巨体に見合った大きい舌で彼女の傷ついた手を舐める。

 

「ちょ、待って待った!舐めてくれるのは嬉しいけど、傷ついてて痛い痛い!!」

「◾️◾️?◾️◾️!!」

「分かった!分かったから頼むから待ってってばぁ!!」

 

いつの間にか、彼女の首を狩ろうとしていたヘシアンも、その鎌を下ろしていた。どことなく不敵な笑みを浮かべながらブーディカさんにじゃれつくロボを見て、少し俺は笑った。

 

「ああくそ、やっぱ敵わないなぁブーディカさんには」

「確かにな。武の道生きた儂だが、いやはや、母は強しとよく言ったものだ」

「………別に話を続けても構わないが、早く手当してやれ。普通の人間なら失血死する血の量だぞ」

「分かってるわよ。ブーディカ!じゃれ合うのもいいけど早くこちらにいらっしゃい!」

「う〜ん。私と同じ犬耳にモフモフしたくなる毛並み………これは負けられませんね!」

「一体何と競い合おうとしてるんだ玉藻さん………」

 

こうして、俺たちの組織に新しい仲間がやってきたのだった。二人と一匹(?)、どちらも扱いの難しいサーヴァントだが、どちらも心強い仲間だ。さぁて!早速素材と種火集めの旅出かけるとしますかねぇ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

★後日談的な何か★

 

「エミヤとロボ達が仲間になってもう三週間、か。結構早かったな」

「二人ともレベル80。ロボに至っては聖杯まで使って90だもんね。良かったの?貴重だったんじゃないの?」

「別に構わないさ。俺もあいつらは好きだしな。……どっちもまだ懐いてくれないけど」

「まだ距離感が掴めてないんだよ。きっと、直ぐにでも近寄ってくれるよ」

「そうだといいんだが………あぁジャックやナーサリーたちが羨ましいなぁ。あの子達みたいにロボの毛をモフモフしたいなぁ!!」

「モフモフしたいなら玉藻にお願いしたらいいのに。変なところで意地はってるなぁ」

「恥ずかしくて頼めるわけないだろ!?というかだな……彼女、心に決めた人がいるって聞いたしな。そんなお願いできるわけないだろ?」

「なんなら、私がコスプレしてあげよっか?」

「いやそれも普通にアウトだろ……ブーディカさんの旦那さんに悪いっての」

「気にしないでいいよ。そういう事をしてもいいくらい、研砥の事は好きだからね、私」

「………やっぱ敵わないな。ブーディカさんには」

 




誤字脱字・指摘・感想はいつでもお待ちしております。

ところでなんですが、なんでデオンくんちゃんは五人も来てるんだろう……すまないさんは一人も来ないのに何故……

というか感想マジでください。最近感想無くてマイページを見る日々なんで………
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