ストライク・ザ・ブラッド〜空白の20年〜   作:黒 蓮

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久々早めの更新です。

長らく開けてたせいで文の書き方忘れてるから早めに勘を取り戻さないとやばいですね。
おかしいとこあっても暖かい目で見てもらえればなーと思います。


第42話 ラ・フォリア・リハヴァインⅡ

ラ・フォリアが古城の頭を引き寄せていた腕を解いてから、数秒しか経っていないが2人は長い時間が過ぎたように感じていた。

我慢ができなくなったラ・フォリアが口を開こうとした瞬間、彼女の身体を恐ろしく強い力で古城が抱きしめた。

 

「古城…」

 

吸血衝動が掻き立てられた証拠に古城の瞳が深紅の輝きを放ち、それに呼応するかのように犬歯が吸血鬼の牙へと変わっていく。

 

「──!!」

 

ラ・フォリアの鼓膜を声にならない野獣の叫びのような音が揺らすと同時に、首元へ鋭い牙が突き立てられた。

首元に程よく暖かい異物が侵入してくる妙な感覚に表情を歪ませたラ・フォリアを落ち着かせるように、古城の手が彼女の綺麗な髪を撫でる。

 

「あっ…あぁ…」

 

古城の手によって緊張が解けたラ・フォリアは快感に浸りながら古城の方へと脱力した自らの身体を預けた。

限界を超えて血を吸われ意識を保つことさえままならない彼女の身体に古城から新たな第四真祖の血液が注がれていく。

冷えきった身体が熱く強い生命力に満たされていくのを感じたラ・フォリアの目からは涙が零れだした。

 

「痛かったか…?」

「そんなことありませんでしたよ」

 

突然目に涙を浮かべたラ・フォリアに戸惑う古城は何も返せない。

 

「まったく、悲しいものですね。好きな相手にもこうして回りくどいことをしなければ…汚く策を巡らせなければ想いを伝えることもできないのですから」

 

自嘲気味にそんなことを言うラ・フォリアにはいつもの気高い高潔さはなくただの1人の女の子だった。

そんな彼女を見た古城にはただ思うことを言う以外になかった。

 

「ラ・フォリアのやり方は確かに回りくどいやり方なのかもしれない。でも気持ちは十分すぎるほど伝わった。ラ・フォリアがオレに期待してくれるならそれに応えられるようになるよ、だからラ・フォリアもオレにちょっとずつでいいから頼ってくれ」

 

古城はもう1度ラ・フォリアを強く抱きしめるとリビングのソファーへと腰をかけた。

しばらくお互い見つめ合い、ラ・フォリアが先に口を開く。

 

「その言葉、忘れないでくださいね」

 

そう言い終え、涙を拭った彼女の顔は今までのことが嘘のように落ち着いたものだった。

 

「今回の件でいい報せを待っていますよ」

「ああ」

「私の血を無駄にしたら怒りますからね」

 

ラ・フォリアの言葉の真意が分からず古城が一瞬目を逸らしたときにはもうラ・フォリアは部屋にはいなかった。

 

丁度ラ・フォリアと入れ違いになるような形で帰ってきた凪沙と共に古城もまた日常へと戻った──

 

 

深夜になり眠っていた古城は急に身体が重くなったことに気づき目を開けた。

重い瞼を無理やり開けると目の前によく見知った教師が立っていた。

 

「やっと起きたか、少し来てもらうぞ」

「那月ちゃん…こんな時間にどこに…」

「教師をちゃん付けで呼ぶなと何回言ったら分かるんだ」

 

上から踵で腹を踏まれながら古城は空間転移によってどこか別の場所へと運ばれる。

 

「ぐはっ…」

 

那月に乗られたまま転移した古城はそのまま床と那月の脚にサンドイッチされる形で落下した。

 

「古城って実はそういう趣味だったのかな?」

「んなわけあるか!!」

「元気そうでなによりだよ」

「優麻もな」

 

倒れ込む古城の手を取り起き上がらせながら優麻は笑顔を浮かべている。

 

「古城には迷惑かけてばかりだね」

「気にするなって、獅子王機関を敵に回した時点で日本も敵みたいなもんだしな」

「国交断絶ってやつだね」

 

2人の緊張感のなさにさすがの那月も呆れてしまったのか、長いため息をついた。

 

「それで静寂破り(ペーパーノイズ)は何やってるんだ?」

「お前も特区警備隊(アイランドガード)と同じで役に立たんな」

「どういうことだよ、それ」

「あいつがこの島に既に来ていることさえ気づかんとは腑抜けた真祖もいたものだ」

 

古城はあまりの衝撃に優麻の方へ確認のため顔を向けた。

 

「申し訳ないけど事実だよ、どこにいるかまでは分からないけどこの島にいるのは確かだ」

「昼間はのうのうとデートしていたようだが、後ろから殺されてもおかしくはなかったわけだ」

 

那月の言葉が示す可能性に古城の背筋が凍る。

 

「でも、さすがに向こうも昼間に仕掛けてくることは無いはずだよ。一般の人を巻き込むような人じゃないし」

「そうだよな…」

「何を安心している」

「ぐっ…」

 

那月の肘が古城の鳩尾に刺さった。

 

「暁、強力な霊媒から大量に血を吸ったな?」

「まあ…な」

「丁度いい。今からあいつの場所を探り当てる予定だ、昼間に不意打ちでお前が殺されても適わんからな。先手必勝、倒してこい」

「無茶言うなよ!?心の準備とか色々あるだろ!?」

 

那月は古城の文句に聞く耳も持たずに魔法陣を展開していく。

 

「仙都木阿夜の娘、魔導書で補助しろ」

「分かりました。いつでも合わせます」

 

魔法陣を中心に那月と優麻が向かい合わせになる。

 

輪環王(ラインゴルト)──!!」

 

那月の呼び声によって黄金の鎧を纏った守護者が現れ、魔法陣に大剣を突き刺す。

目まぐるしく魔法陣の形が変化し、那月の顔から珍しく余裕がなくなる。

魔法陣は守護者から注がれる魔力に耐えきれなくなる寸前に優麻が手にした魔導書No.726から能力拡張の効果が付与されなんとか形を留めた。

 

「古城!魔法陣に触れて!」

 

優麻の叫び声に押され古城が手を置いた瞬間、世界が爆発したかのような音と共に別の場所へと飛ばされる独特の感覚を彼の身体が襲った。

 

「空隙の魔女…か、やはり一番厄介な相手ですね」

 

凄まじい音と共に床へと叩きつけられた古城の目の前には豪奢な白装束を纏った1人の女が立っていた──




やっぱりなんか文章のコレジャナイ感が…

とりあえず次回サクッとバトル回やります。

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