ストライク・ザ・ブラッド〜空白の20年〜   作:黒 蓮

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今回初めてのバトルシーンということで随分長くなってしまいました…。
慣れないもので粗末な文章だとは思いますがお付き合い下さい^^*

それではどうぞ!


滅びの王朝の逆徒篇
第5話


絃神島も三月に入り真夏に向け徐々に暑さを増し、今年も冷房が活躍するシーズンが始まろうとしていた。

それでも暁家の朝はいつもと何も変わらないのであった。

 

「古城くんー?起きないと遅刻するよー?浅葱ちゃんに学校行くって約束したんでしょー?」

「あぁ、そう…だったな」

 

昨日の夜のことを思い出し少し照れくさくなりながら寝ぼけ眼で洗面台へと向かう。

我ながら凄いことを言ったものだと自分でも思う。

だがこの際改めて夜の帝国の皇帝として生きる決意が固まったのはいいことなのだと言い聞かせ、今はあまり深くは考えないようにした。

そうこうしている間に朝食の支度が出来たのか凪沙の声が聞こえる。

久々の学校に向け準備を終わらせ古城はリビングに向かう。

 

「おはようございます、先輩」

「お、おはよう…暁 古城」

「あぁ、姫柊も煌坂もおはよう」

 

紗矢華が監視役として加わりもう何日か経ち、こうして朝から顔を合わせるのも古城にとっては当たり前になりつつあるのだが、紗矢華にとってはまだ慣れないものらしい。

初日の朝食の時挨拶もまともに出来なかったことを考えればまだ成長した方なのだろうか。

 

「ねぇねぇ、古城くん。煌坂さん今日からうちの高等部に来るんだって。しかも、古城くんと同じクラスなんだってー!」

「なんだって!?煌坂がうちの学校に?しかも同じクラス?」

「そうそう、高等部って8クラスもあるのに偶然だよねー。神様に煌坂さんの古城くんへの想いが届いたのかなー?」

「凪沙ちゃん!?暁 古城と同じクラスになりたいとか一秒たりとも思ったことないんだけど!?」

「凪沙ちゃんも紗矢華さんも落ち着いてください」

 

狼狽えながら雪菜が2人を宥めに入る。

初対面の時こそ紗矢華のことを警戒していた凪沙だったが今ではすっかり仲良くなっている。

紗矢華も同性には元から年下想いで優しい一面があるため満更でもないようだ。

一通り騒ぎ終わった凪沙がなんとなくテレビをつけると朝のニュース番組が流れ始める。どうやら近頃吸血鬼の暴走事件が多発しているらしい。

絃神島が夜の帝国として独立したとは言ってもまだまだ大半の機能は日本に頼りきったままなので、以前と何ら変わりない生活を送っている。テレビにしても日本の主要なチャンネルが6つ絃神島のローカル局が2つ国際的なニュースを放送し続ける衛星放送チャンネルが1つと特に変わったことは無い。

 

「もうこんな時間じゃない!」

 

テレビを眺めながら食器を洗っていた雪菜と凪沙の横で紗矢華が慌てた様子で残りの朝食を掻き込む。

 

「どうしたんだ煌坂。そんなに焦らなくてもまだ20分くらいは余裕あるぞ?」

「転校初日で色々手続きとかがあるから早く行かなきゃ行けないのよ!」

 

そう言って紗矢華は自分の荷物を抱えて外に飛び出していった。

 

「まあ、転校する時期が時期だから仕方ないのか?」

 

古城たちの通う彩海学園は私立とはいえ、日本の普通の学校とカリキュラムは変わらないため本来春休みであり進級を控える時期なのだが、真祖大戦の影響で若干の遅れが生じており春休みを迎えるのが1週間遅くなってしまったのだ。

 

「先輩?少し早いですけど私たちも行きますか?久々ですしクラスの皆さんも色々話したいでしょうし」

「そうだな、もう出るか」

「雪菜ちゃんも古城くんも、もう行くなら先に行っておいてー」

 

まだ片付けのある凪沙を置いて古城と雪菜の2人は久しぶりの学校に向かう。

 

「行ったら絶対めんどくさいだろうな…」

「まあ、仕方ないですよ。クラスメイトに真祖がいて今は皇帝なんですから」

 

古城は自分が第四真祖だと公表してからまだ1度も学校に行っていなかった。教室に入った瞬間、もっと言えば知り合いの誰かに会った瞬間、色々と聞かれるのは目に見えていた。

昨日のことといい色々と悩みの絶えない古城だった。

知り合いに会うのをなるべく避けながら、学校へ向かい雪菜と別れた古城は恐る恐る教室の扉を開けた。

しかし、古城の思うような反応は誰1人しなかった。

 

「よう、古城。元気か?」

 

たまたま扉の前にいた基樹が声をかけてくる。

 

「あぁ、元気だ」

「おはよう、古城」

「おはよう、浅葱」

 

浅葱が昨日のことなどなかったかのように自然に声をかけてきた。

 

「なぁ、どうなってんだ?これ」

 

古城は2人に聞こえるか聞こえないかくらいの声で聞いた。

 

「感謝しなさいよ?古城」

「え?」

 

扉の前で古城達3人が話していると後ろから担任の南宮 那月が現れた。

 

「こんなところで立ち話をするな。通行の邪魔だ。」

「那月ちゃん!」

「このクソ暑苦しいときに教師をちゃん付けで呼ぶな!早く座れ」

 

那月の扇子が古城の頭に炸裂する。

後に聞いた話ではどうやら浅葱の友達の築島 倫が気を利かせて古城とは普通に接してやろうという話を予めクラスに通してあったらしい。

しかし、それも長くは続かなかった。

 

「こんな時期だが、転校生を紹介する。入ってこい」

 

那月の急な言葉にクラス中が扉を開けて入ってきた長めのポニーテールの高身長美女に注目する。

 

「今日からこの学校に転校する煌坂 紗矢華です。よろしくお願いします」

 

そう言って恭しく頭を下げた。

クラス中が新しく仲間になる美人に注目した。

問題は那月の次の最後の言葉だった。

 

「こいつは男性恐怖症でな、あまり男子は近づくなよ?暁、お前の知り合いだ。ちゃんと面倒は見るんだな」

 

そう言って那月は教室の外に出ていく。

しばしの沈黙の後──

 

「なあ、古城。お前中等部にも可愛い知り合いがいたよな?」

「なんで、お前ばっかりいい思いを?」

「第四真祖だからって調子に乗るなよ!クソ古城!」

 

クラス中の男子から責められ、築島 倫の粋な計らいは一瞬にして崩れ去ってしまったのだった──

 

放課後、男子の嫉妬を一日中聞かされた古城は仕方なく紗矢華に学校を案内してまわっていた。

 

「煌坂、大丈夫だったか?なんか男子から凄い見られてたけど」

「私の心配より自分の心配をしたら?まあ、気遣ってくれるのはありがたいんだけど…」

「そ、そうか。大丈夫ならよかったよ」

 

普段とは違う制服を着ているせいか紗矢華を妙に意識してしまいそれ以上話を進められない古城。

なにか話すべきか古城が迷っていると後ろから声をかけられた。

 

「暁、一通りそのツンデレ転校生の案内は終わったようだな」

「だ、誰がツンデレですか!」

「なら、早く教室にこい。今までサボった分の補習がたっぷり待っているぞ」

 

叫ぶ紗矢華を無視し、そう告げると那月は教室へと向かっていった。

 

「悪い、煌坂。そういうことだから姫柊と先に帰っておいてくれ。凪沙に遅くなるかもって伝えておいてくれると助かる」

「はいはい、わかったから早く補習に行ってきなさい?」

「あぁ、じゃあな煌坂」

 

そう言うと古城は教室へ走って行った。

古城が見えなくなるまで待ち紗矢華は後ろにある柱の方に向かって声をかける。

 

「こそこそと盗み聞き?あまりいい趣味とは言えないわね」

「そう、怒らないでくれよ。気付いてたのか」

 

参ったとばかりに両手を上げて柱の影からでてくる基樹。

 

「で、あなたが私に何の用?」

「煌坂であってたよな、獅子王機関の舞威媛。お前に少し頼みたいことがある」

「私に頼みたいこと?」

「あぁ、近頃吸血鬼の暴走事件が起きてるのは知ってるな?」

「それは、知ってるけど」

 

紗矢華は朝のニュースのことを思い出した。

 

「ここからは移動しながら話す」

 

そう言うと基樹は紗矢華に外に停まっていた黒塗りの車に乗るように促してくる。渋々それに応じる紗矢華。

二人が乗り込むとすぐに車は走り出した。

 

「それで、その吸血鬼の暴走事件がどうかしたの?」

「これまでは、特区警備隊でもなんとか対処できる程度だったんだが、件数を重ねる毎に厳しくなってきてる。そして、今特区警備隊が交戦してる吸血鬼は旧き世代と同じかそれ以上の実力を持ってる吸血鬼で、残念ながらあと数分保てばいい方だ」

「話が見えてきたわ…被害が出て暁 古城が責められる前に私にその吸血鬼を私になんとかしろって言いたいわけね?」

「そういうことだ、話が早くて助かる」

 

現状古城は皇帝としては未熟すぎる。そんなときに国内でなにか大きな被害が出る事件が起きれば、国民は第四真祖という絶対的な存在に不信感を持つ。そうなってしまえば出来てすぐのこの国は簡単に壊れてしまうのだ。

その危険を分かっている紗矢華には基樹の頼みを断れるはずもなかった。

 

「あそこだ」

 

基樹が外に視線を向ける。

そこには大きな炎の鷹の眷獣が空を翔ぶ姿が見えた。

 

「あれね…」

「悪いが送れるのはここまでだ、なるべく穏便に頼むぞ」

「注文が多すぎるわよ!」

 

捨て台詞を吐いた紗矢華は後部座席の扉を開け全速力で眷獣が翔んでいる場所へと向かった。

基樹も車を降り、闘いが見渡せるよう近くのビルの屋上へと向かって行った。

 

 

紗矢華が到着したときには既に辺りは酷い有り様だった。

特区警備隊のほとんどの者が倒れ周りは一面焼け野原だった。

今目の前では特区警備隊の吸血鬼2人が応戦しているがそれももはや限界に近そうだ。

紗矢華は背中のケースから煌華鱗を取り出すと厳かに祝詞を唱え始めた。

 

「――獅子の舞女たる高神の真射姫が讃え奉る。極光の炎駒、煌華の麒麟、其は天樂と轟雷を統べ、憤焔をまといて妖霊冥鬼を射貫く者なり――!」

 

その瞬間、呪力を封印した鳴り鏑矢が射出され、人間の肺活量では詠唱不可能な大規模呪術が展開され空から無数の光の矢が眷獣の宿主の吸血鬼へと飛来する。

吸血鬼の動きが鈍り眷獣が一時的に消滅したことを確認した紗矢華は特区警備隊の吸血鬼2人の所へと走る。

 

「ここは私がなんとかするから、あなたたちは急いで撤退を」

 

紗矢華に言われた吸血鬼たちは負傷者を庇いながら残された動ける隊員達と共にすぐに撤退を始める。

 

「ギィィィィィィィィィィィッ!!」

 

紗矢華の攻撃から立ち直った吸血鬼がもう1度眷獣を呼び出した。

 

「嘘でしょ!?こんなに早く?」

 

撤退する特区警備隊に向かって眷獣が吐き出した炎の塊を紗矢華は煌華鱗の擬似空間断裂による盾で防ぐ。

 

「こんなことなら鏑矢をもっと持って来ておくべきだったかしら」

 

予想外の相手の強さを前にして太腿に刺してある5本しかない鏑矢の1本を手に取りながら険しい顔を浮かべる紗矢華。

 

「まずいな…」

 

遠くのビルから状況を見守る基樹はおもむろに携帯を取り出した──

 

 

「今日はあまり文句を言わないんだな、いつもならグチグチと文句を並べるくせに」

「まあ、オレも皇帝ってやつの自覚が最近出来てきたところだしな」

「ほう、随分と偉くなったものだ。なにかあったか」

「そう思うならちょっとは減らしてくれてもいいだろ…さすがにこのプリントの量は多すぎるって…」

「つべこべ言わずにさっさと手を動かせ、倍にされたいのか?」

 

別れた紗矢華が島の端で死闘を繰り広げているとは知らずもくもくとプリントの山を片付ける古城。

そのとき那月の携帯が鳴った。

 

「アスタルテ、こいつが不正をしないか見張っておけ」

命令受諾(アクセプト)

 

アスタルテに補習監督を任せた那月はどこかへ行ってしまった。

 

「那月ちゃんのやつどうしたんだ?」

「警告、暁 古城に不正の疑いあり」

「いや、待てよ!別に不正じゃないだろ…」

 

こうして古城の補習は続くのであった──

 

 

 

「少し、まずいわね…」

 

5本のうち3本の鏑矢を射っていながら未だに吸血鬼本体に近づけないままでいる紗矢華が呟く。

煌華鱗の擬似空間断裂による防御も残り数回しか使えず、予備の鏑矢も2本になってしまったが紗矢華は徐々に落ち着きを取り戻し始めていた。眷獣を先に無力化しその後吸血鬼を狙うことに決めたのだ。

吸血鬼はなにかしらの要因で暴走しているというだけあって、単純な攻撃しかしてこない。

近づけば脚の鉤爪での攻撃、距離を取れば炎の塊を飛ばしてくる、そして離れすぎれば炎の翼を飛ばしてくる。当たってしまえばそれまでだが、パターンさえ分かれば近づくことは簡単だ。

紗矢華は1度距離を取って建物に身を隠し、あの眷獣を無力化するために至近距離から鏑矢を射ち込むために太腿から残り2本のうちの1本の鏑矢を手に取り心を決めて眷獣の方へ全速力で走っていった。

やはり、眷獣は翼を飛ばし、炎を吐き、そして鉤爪での攻撃へと攻撃方法を変えていく。

危なげなく全ての攻撃を避け、眷獣の背後を取った紗矢華が煌華鱗の弦を引き絞ろうとしたときだ。

眷獣の魔力濃度が一気に上がった。

 

「嘘、なんでこんなの真祖レベルじゃない!」

 

力を増した眷獣が周囲に炎を巻き散らそうと身を縮めた。

 

「ダメ、間に合わない!」

 

煌華鱗の擬似空間断裂での防御を試みた紗矢華だったがその防御が間に合わないことを悟り、自分の死を受け入れ、目を閉じた時だった。

 

「雪霞狼──!!」

 

鈴の音のような声と共に神格振動波駆動術式が魔力を無効化する独特の音が聞こえてきた。

 

「ギリギリ間に合ったか、さすが那月ちゃんナイスタイミングだ」

 

携帯を握りしめたまま安堵する基樹。

 

「大丈夫ですか?紗矢華さん」

 

目を開けた紗矢華の前には彼女が愛して止まない雪菜が立っていた。

 

「雪菜!ありがとう、助かったわ。でも、どうしてここに?」

「南宮先生の空間転移のおかげです。紗矢華さん!話は後で、来ます!」

 

眷獣は怒ったかのように二人に向かっていくつもの炎の塊を吐き出してくる。

 

「あの魔力濃度…一体どうなってるんですか!?」

「分からないの、さっきいきなり力を増して…」

「今は考えても無駄そうですね、とりあえずあの吸血鬼を無力化することを考えましょう」

「そうね」

「紗矢華さん、鏑矢はあと何本残っていますか?」

「さっき射ち損じたからもう1本しかないわ」

「1本ですか…私が雪霞狼で眷獣の攻撃を防ぎますから紗矢華さんは近距離から鏑矢を射ち込んでください」

「多分それしかないわね…分かったわ雪菜気をつけてね!」

「紗矢華さんも!」

 

そう言うと雪菜は眷獣の方へと走っていく剣巫には霊視によって一瞬先の未来が見える。ただ飛んでくる攻撃を撃ち落としながら近づくことくらい簡単だった。眷獣に迫った雪菜は炎を巻き散らそうとする眷獣に向かって祝詞を唱え始めた。

 

「――獅子の神子たる高神の剣巫が願い奉る。破魔の曙光、雪霞の神狼、鋼の神威をもちて我に悪神百鬼を討たせ給え!」

 

神格振動波術式がまたしても眷獣の攻撃を打ち消す。

 

「紗矢華さん!」

「――獅子の舞女たる高神の真射姫が讃え奉る。極光の炎駒、煌華の麒麟、其は天樂と轟雷を統べ、憤焔をまといて妖霊冥鬼を射貫く者なり――!」

「ギィィァァァァッ!!」

 

至近距離から鏑矢を射たれた眷獣は身体を維持出来ずに消滅する。そして、眷獣のダメージが宿主の吸血鬼に戻り吸血鬼に一瞬の隙ができた。

 

「響よ!」

 

その一瞬の隙を見逃さなかった雪菜の掌打が吸血鬼の鳩尾に炸裂する。獣人も簡単に気絶させる雪菜の掌打を受け暴走した吸血鬼はその場に崩れ落ちた。

 

「2人とも、おつかれさん」

 

後ろからヘッドフォンを首にかけた少年が歩いてくる。

 

「矢瀬先輩、これは?」

「まあ、そこの舞威媛がちょっと調べたら分かるんじゃないか?」

 

基樹に従って紗矢華は気絶した吸血鬼の身体を調べていく。

 

「なにか分かったか?」

「外部から膨大な魔力を受け取っていた痕跡があるわ、暴走したのはその魔力が自分の身体の限界を越えたからってことだと思う。あと、催眠系の魔術にかかってもいたみたい」

「やっぱりか…」

「何か知ってるんですか?」

 

訳あり顔の基樹に向かって疑問を投げかける雪菜。

 

「まだ、確定した訳じゃないが最近この島に吸血鬼に膨大な魔力を供給して暴走させて、何かをさせたいやつがいるらしい。そいつは徐々に高位の吸血鬼を狙ってる」

「つまり、自分の能力を試してるってこと?」

「多分な、なにがしたいのかはまだ分からないが古城も一応吸血鬼だ。何があるか分からないからしっかり見張ってろよ」

「もちろんです。私は先輩の監視役ですから」

「じゃあ、帰っていいぞ。あとはこっちで引き継ぐ。迎えの車が一番近い幹線道路に停まってるはずだ、好きに使ってくれ」

 

そう言うと基樹はどこかに電話し始めた──

 

 

「終了、暁 古城の本日の補習は全て達成されました」

 

アスタルテは抑揚のない声で事務的にそう告げた。

 

「はぁ…鬼畜だ…。もう夜じゃないか…」

 

古城が暗くなった外を見ながら伸びをしていると教室の扉が開いた。

 

「文句を言うな、それと下校時刻はとっくに過ぎているぞ、用がないならサッサと帰れ」

「サッサと帰れって酷いな…ほんと」

「帰りたくないのか?なら、明日の朝まで補習でもするか?私はそれでも構わんぞ?」

 

那月は悪戯な笑みを浮かべて古城の方を向く。

 

「わかった、すぐ帰るから。それだけは勘弁してくれ…」

 

那月とアスタルテが空間転移で移動したのを見届けて古城は教室に鍵をかけ一階の下足箱へと歩いていく。

 

「先輩、お疲れ様です」

「姫柊?煌坂?」

 

見慣れた2人が立っていることに驚く古城。

 

「煌坂、お前どうしてここにいるんだ?姫柊と先に帰れって言ったはずじゃ…それよりここでずっと待ってたのか!?」

「まあ、そんなところよ。一応私だってアナタの監視役だし?」

「ありがとな、煌坂。姫柊も」

 

何故か語尾が上がっている紗矢華に素直に礼を言う古城。

 

「何故か私がおまけみたいになっていますが、気にしないことにしておきます」

 

いつもなら怒る雪菜だったが紗矢華の影での努力のこともあり今回だけは不器用な先輩の顔を立てることにしたらしい。

三人はそれぞれの戦いを終え凪沙の待つ家へと帰って行った。その後夕飯の間中、1人で退屈だった凪沙のマシンガントークに付き合わされるとは知らずに──




どうだったでしょうか…。
初めてなので是非今後のためにも感想評価のほどお願いします!!

次回もバトルシーン入れればいいなと思います。
話の筋は考えてあるのですが細部を詰めるのに時間がかかるかもしれないので更新は気長にお待ちください。

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