『十四人目の男』   作:あったりけ

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初めまして、あったりけと申します。
ふと思いつきで昔ハマった天外魔境の外伝である青の天外の二次創作を書いてしまいました。
初投稿で至らぬ点もあるでしょうが。温かい目で見守っていただけると幸いです。
どんなに時間が掛かっても完走はしたいと思っています。長い付き合いにはなるかと思いますがどうぞこれからよろしくお願いいたします。

あらすじで書いたオリ主は最初の話ではまだ出てきません…(すでにグダグダじゃないか・・‹呆れ›)
次回から本当のスタートになります…


プロローグ とある少女の門出

『どこまでもつづく 青い空と 

  どこまでもつづく 青い海をうつし ここに青の大地がある 

   この地に すむものは たとえ それが小さな命であろうと

    〈青〉のいみを しるものである 

   ここは 青の大地 すべての命が いきる大地』

                   詠み人知らず

 

『此頃都ニハヤル物 マもの 怨霊  虚騒動《そらさわぎ》

 千人きがんノ沙汰モなく 鬼ノ角ニ 胡坐をかくは モウケン将軍』

               【天帝年間記 ロクハラ落書】

 

 

 夢を見ていた。不思議な夢だ。何かに追われていた、何かは分からない。ただ追手が放つ恨み、怨嗟、憎しみ、悲しみと言ったありとあらゆる負の感情が私に突き刺さっているのは分かった。

無我夢中で走った、どこかも分からない大きな路地をただ真っ直ぐと。すると前に大きな朱色な門が見えてきた。門は閉ざされていたが、なぜかそこへ逃げ込めば助かるという直感があった。追手も逃がすまいと速度を上げ、猛火の様に迫ってきた。しかし、追手に捕まることはなかった。あわや捕まる瞬間に門をくぐり抜けたのだ。追手は門にはじかれ霧散していった。奇妙な安心感に包まれた後、意識がなくなっていくのがわかった。

 

 

大都 平安宮 衛士詰所

 

 大都の空を覆う鉛色の雲は厚く、月の光を固く閉ざしている。辺りを照らすのは燃え盛る篝火だけだ。

 「こんな夜に大都の町にでるのか…。まあ、いい。名前と性別を教えてくれ。書類に書かねばならない決まりなんでな。」

夜警の兵士は一度書類に目を落とした後、気だるげな瞳で私に一瞥をくれる。

 「名前は葵、性別は女よ。」

手早く兵士に告げる。確認事項が名前と性別だけなのは警備上問題ないのか疑問だが、そのおかげで今から大都へ出ることが出来るのだから気にしないでおこう。兵士は書類にさらさらと、何かを書き足して丸め、それを懐にしまった。

「よし、もう行っていいぞ。」

ぶっきらぼうにそう言うと兵士はそのまま奥の部屋へと入っていった。私は門番から預けていた剣を受け取り、腰に差して詰所を後にした。詰所を出てところで、先ほどの兵士に呼び止められた。

「待つんだ。…この大都ではマものが人を襲う。気を付けて行くんだぞ。」

やはり兵士なだけあって兵士としての責任感や、使命感があるのだろうか、先は怠そうであった目も今は真剣そのものだった。私は無言で頷いた。それに満足したのか兵士は踵を返して詰所へ戻っていく。私はそんな兵士の後ろ姿を見送りながら平安宮を後にした。

 

 平安宮の門をでると、大都の通りが眼前には広がっている。厚い雲で月は隠れ、大都の通りは暗く、見えるのは大都のへそと呼ばれる大灯篭の明かりだけだ。いきなりマものが出てくれるなと願いながら、私は大灯篭の明かりを目指して歩き始めた。歩いて数十歩、その時だった、頭に刺すような鋭い痛みが走るとともに、脳裏に少女の顔が浮かんだ。真っ直ぐな瞳の少女だ。すぐに痛みは引いた。

「今のは・・・、一体誰なの。」

頭をさすりながら、既視感のあるような、ないような奇妙な感覚を覚えながら、また歩みを進める。不思議な頭痛に頭をひねり、先ほどよりも明かりが近づいてきた所で今度は道のど真ん中に人が立っていた。顔が隠れるようなフードがついた白い着物を着て、顔を見えなかったが、明らかにその人間は私を見つめていた。そして、フードの陰から見える口元は極端に青白かった。

私はひどく混乱した、いくら明かりの頼りが大灯篭のみとは言え、白頭巾、白の着物の人間を見逃すなんてことはないはずだと思っていたからだ。腰に差した剣の柄に手を掛け静かに近づいていく。妖しげな雰囲気を感じながら後五歩の所にまで迫った時だ

「ゆくがよい・・・、お前が思う通りに・・・。」

頭に直接響くような、透き通った声で、その人間は話しかけてきた。驚いて私は固まってしまった。すると、畳みかけるように今度は右から声がした。

「さがすのだ・・・、お前の目的を・・・。」

私には何が起こっているのか分からなかった。目の前にいる人間と全く同じ様な、いや同じ人間と言って良い人間が右にいるのだから。

「そして見つけるのだ・・・。お前が一体何者なのかを・・・。」

右の次は左から声がし、振り向けばこれもまた同じ人間が立っていた。後ろを除いて三方を囲まれる形となった。緊張で体が強張るのがわかる。私は自分の頭がおかしくなったのか、それとも先の兵士が言ったようにマものの類なのか、とにかく何が何だかわからない。あまりに現実離れした出来事にあっけにとられ、身動きが止まっていると

「さあ、行くのだ・・・。お前の進むべき道へ。」

そう言い残して、三人の人影は煙のように消えていった。これは助かったのだろうか・・・。何だかわからないが夜なので、あまり長居しても良いことはないと思い、さっきよりも速足で大灯篭への道を急いだ。

 

「たすけて。」

再び歩き始めてからとまた頭痛に襲われた。しかも先ほどよりも鋭い痛みで幻聴まで聞こえた。ただ前回よりもぼやけていた脳裏に映る少女の顔ははっきりとしていた。桜色の頬をしたきれいな少女の顔だ。

「次から次と一体何なのよ!」

痛む頭を押さえながら一人、つぶやく。幸いにも痛みは先ほど同様すぐに引いていく。とにかく何か良くないことが私の身に起きていることは明らかだった。さらに歩調を早め、何とか大都のへそと呼ばれる大灯篭が目前の所までたどり着いた。すると、大灯篭のすぐ下に、またしても人の影があった。普通であれば大灯篭の周りに人がいることは不思議ではないが、立て続けに起こっている不思議な出来事の後では嫌でも警戒してしまう。大灯篭に近づいて行くと、その人影はこちらを振り向いた。私は驚きを隠せなかった。なぜなら、その人影の正体は、先ほどから頭痛の度に脳裏に浮かんできた少女の顔と寸分違わなかったからだ。

「助けて・・・。わたし、ずっと待っているの・・・。」

少女の顔は生気がなく、まるで能面のように感情を感じさせないものであった。私はさっきの白い着物の人物のこともあり、躊躇わず剣を抜いた。きっとこれはマものの類に違いない、

そう思った。

「来るなら来てみなさい・・。返り討ちにしてやるんだから!」

私は剣を構え、改めて少女を見た。まさにその瞬間だった、数十歩先の位置に居たはずの少女が、すぐ目の前に居るのだ。

「縮地法⁉」

でたらめだ。私は驚愕と共に焦りを感じた、懐に入られたらもうお終いだ。そう思い後ろ下がり距離を取ろうとするが、今度は地面に縫い付けられたように身体が動かない。少女が更に近づいてくる。身動きの出来ない私は近づいてくる少女をただ見ることしかできなかった。少女が両手を伸ばし、私の頬を掴んだ。私は生気を吸われて死ぬのか・・。そんなことを感じながら、迫ってくる少女の顔、そして淡い桜色の唇を見ていた。

 初めての口づけが女、しかもマものだなんて、私の人生ついてなかった。そんなことを思い浮かべながら。少女の冷たい唇の感触を最後に私の意識は闇へと沈んでいった。

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