『十四人目の男』   作:あったりけ

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主人公の口調がブレブレや・・・
自分が青の天外をプレイしてた時は葵ちゃんは元気な感じをいつも想像してました


第三話 旅の少女葵

「おーい! 村長さん居るかい?」

少女が落としたであろう巻物を懐に、イルボンは村長の屋敷にたどりついた。玄関の引き戸を叩き、村長を呼び出す。しばらくすると奥から、物音がして戸が開かれた。

「おお、イルボンか。此度は本当に助かったぞ、取りあえず上がってくれ。お前と共に戦った少女の様子も見てやっておくれ」

そう言われてイルボンは村長の屋敷に入った。玄関から入ってすぐの居間に通される。イルボンは座布団の上に腰かけると、村長は茶を用意してくると、すぐに引っ込んだ。しばらく屋への調度品などを見て時間が経つのを待っていると、村長が盆に乗せたお茶と、餅を持ち部屋に入ってきた。普段は貴重な餅であるが、今回の出来事で大いに助かったので労いにということらしい。イルボンはありがたく餅を頂戴し、腹を満たした。お互いに一息ついたところで村長が切り出した。

「しかし、今回は恐ろしい事件じゃったの・・・。マものもそうじゃが死者が動き出すなんぞとんでもないことじゃ。先の天帝が亡くなり、マ法院なるものが世を治めてからというもの、時世は乱れるばかりじゃ」

村長は頭を抱えながらぽつりとつぶやく。

「まさか死んだ者が動き出すなんて、誰も想像できやしませんよ。手足を切り落としてもなお、敵に向かって行く姿には姿かたちは人でも、もはやマものでしたから」

イルボンも村長の言葉には心底同意するように返した。しばらくは他愛もない会話が続いた所で、イルボンは懐の巻物が感触で村長の屋敷に来た、当初の目的を思い出した。

「ところで、村長さん。俺と一緒に死人と戦った例の少女の様子はどうなんだい?」

「おお、あの娘なら、今寝室で休ませておる。わしの家内と孫娘が看ておるよ。気絶していただけのようじゃし、しばらくすれば目も覚めよう。しかし、死人が二体になった所で助太刀し、更には死人一体をそのまま倒すとはの・・・。」

「何はともあれ、目が覚めた時には礼を言わきゃなりませんねぇ」

そうイルボンが言いやいなや、部屋の戸が大きな音とともに開けられ、村長の孫娘が大きな声で叫びながら入ってきた。

「おじいちゃん‼ あの子が目を覚ましたよ‼!」

村長の孫娘の報告を聞き、イルボンと村長は腰を上げ、少女が眠る寝室へと向かった。部屋へ着くと、少女は状態を起こし、村長の奥さんから貰ったであろう白湯を飲んでいた。

「どなたか存じ上げませんが、この度は村の為に戦って下さり感謝の極みです。村を代表してお礼を言わせていただきます」

村長が深々とお辞儀をしたのち、イルボンも後に続く

「俺からも礼を言わせてくれ。お前さんが居なかったら、俺も死人の仲間入りするところだった」

「気にすることはないわ、こんなご時世だし、困っているときはお互い様でしょ」

少女はそういうと。軽やかに起き上がり、少し動いて体の調子を確認し始めた。

「私は葵、今は旅をしているの、と言っても実際はあなたみたいに傭兵まがいな事をやってる流れ者よ」

そう葵は、イルボンを見ながら自己紹介をした。

「なるほどねぇ、道理で腕が多少は立つわけだ。俺はイルボン、元大都の衛士で今は見ての通り傭兵まがいの便利屋さ」

そうイルボンが返すと、便利屋の方がしっくりくるわねと葵はケラケラ笑ったので少し恥ずかしくなった。

「ねえ、村長さん。一つお願いがあるのだけれどいいかしら」

葵は受け取った装備一式を着込み村長に尋ねていた。

「ほう、頼みとは? 出来る範囲でなら何とかするぞ。お主は村の恩人じゃからな」

「私が・・・、私たちが倒した死人を見せて貰えないかしら」

そう言われた村長は一瞬驚いた表情になった。

「まあ、お主たちが倒したわけじゃからのう・・・、よろしい、死人は隣の納屋においておる。付いてきなさい」

村長は回れ右をして葵を納屋に案内していく。イルボンもなんとなくではあったが、それに付いく。屋敷の納屋の前には扉を固める、村の青年たちの姿があった。

「落とした頸は桶に入れておる。体の方も縄でぐるぐるに縛っておるから、万が一動き出して大丈夫じゃろうが、念には念を入れて納屋に運び込んだんじゃ」

村長は納屋の鍵を外し、戸を開けた。中には板に縛り付けられた死人の姿があった。縛りの気合の入り様はすごく、イルボンはまるで芋虫みたいだと心中で思っていた。一方葵は死人を気味悪がる様子も見せず、縛り付けられた死人をつぶさに観察していた。特に見る点なんてないだろうに、物好きなものだと考えていたのはどうやら、イルボンだけでは無いようで、村長や村の青年たちは死人を見ている、葵の事を驚いた表情で見ていたのだった。

「死人(コイツら)はどうするつもりなの? いつまでも此処に置いておく訳じゃないんでしょう?」

死人の死体を見終わったのか、イルボンと、村長の方に振り向いていた葵は尋ねてきた。

「うむ、そのことはイルボンさんにまた依頼をしたいと思っておってな」

「自分にですか? 依頼とは一体・・」

確かにイルボンも死人の処理に関しては気になっていたものの、依頼と聞いて、まさか処理を自分に依頼しようというのではと嫌でも心の中で勘ぐってしまう。

「そんな顔をせんでも大丈夫ですよ、イルボン殿。これらの処理は流石に我々の手に負えるものではないからのぅ。知り合いの先生に引き取って貰おうと考えおる、その依頼の手紙を先生に届けて欲しいという依頼じゃ」

思っていたことが顔に出ていたのか、村長は苦笑いをしながら、イルボンに依頼の内容を話した。

「それは、良かった。こいつらをバラバラにして埋めてこいなんて言われた日にはどうしようかと思っていましたよ」

安堵で顔の表情が緩んだイルボンを見て、村長は苦笑いを意地の悪い笑いに変えて、イルボンをからかった。

「で、その先生って人はどこにいるの?」

村長とイルボンの掛け合いに葵が割り込んでくる。村長は葵の問いに促されるように答える。

「上海(しゃんはい)は九(クー)龍(ロン)島に住んで居る恋(れん)先生じゃよ、彼女であれば、喜んで死人をサンプルとして持っていくじゃろうからな」

死人を喜んで持っていくのか、イルボンは背筋が寒くなるのを感じた。自分もまさか何かされるのではないか。イルボンは頭の中で怪しく高笑いする白衣の先生を思い浮かべていた。

「その依頼、私にもやらせて貰えないかしら」

「おいおい、葵さんよ、さっきは助けて貰って確かに助かったが、仕事の横取りはいくらなんでも見逃せないぜ」

葵の申し出をイルボンは即座に批判する。助けて貰ったとはいえ、せっかくの食い扶持の案件をみすみす逃すわけにはいかない。

「まあまあ、イルボン殿、そう目くじらを立てずとも、きちんとお支払はするでのぅ。一応葵さんにも救われたんじゃ。ここはひとつ儂に免じて一緒に仕事を引き受けてもらえんか」

あいかわらず、女子供には弱いことだと、心中で愚痴りながらも、報酬がちゃんともらえるならとイルボンは自身を納得させる。

「そうまで言うなら、わかりました。一緒に手紙を届けてきます。道中が安全とも限りませんしね」

「ありがとう! 村長さん」

葵は村長に頭を下げ、笑顔を見せていた。イルボンは少し面白くなかったが、道中の安全の為と割り切ることにした。

「葵嬢には起きたところで申し訳ないが、決まったからにはすぐに発って貰おう。いつまた動き出すかわからんからのう。なるべく早く引き渡したいんでの」

「なるべく早く戻ってくるから待っててね村長さん」

そう言われた、葵は村長から依頼の手紙を受け取り。一人で先に行ってしまう。呆気に取られたイルボンは少し間をおいて葵を追いかけていく。その様子を見た村長は、納屋を見張っていた青年たちと一緒に笑っていたという。

 




次回は2月21日投稿予定です。
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