――――わたしは、一人だった。
魔法の才能があったからか、物心つく前に家族から離され、一人で研究所で生きることになった。暗い牢屋にたった一人取り残され、自分に適正があるかどうか毎日魔法を使わされる。休みなんてものはなく、食べ物も日に二回小さなパンが届くくらいで、魔法を発展させるため、才能を開花させるためと少し薬も飲まされた。そして、様々な魔法を教えられた。治癒、攻撃、補助……そんな中目覚めた私の魔法の特性もあって、この研究所に来る前のことを徐々に忘れていくような錯覚すら覚えていた。
……いまでは、家族がいたかすら怪しい。わたしは、この研究所で生まれ、ここで役に立つためにうまれたのだと、そう思い込むまでには追い込まれていた。
わたしの魔法を見た大人たちは、みんな褒めてくれた。ようやく巫女が生まれたと。けど、まだ制御が出来ないと知ると、わたしを追い詰め、また魔法を安定させるために様々な訓練をやらされる。
暗い闇の中で、わたしはいろんな魔法を覚えた。その中でお気に入りだったのが、魔法生物を作る魔法だ。これも制御がむずかしく、全員が自我を持ち自由奔放に動き回り手を焼いていたものの、一人ぼっちの期間が長かったわたしには、話し相手が出来てうれしかった。
魔法の訓練が終わったある日、研究員らしい人から名前を付けてもらった。本当の家族からつけられた名前もあったと思うが、それはもうわたしの記憶からは消え去っていた。与えられた名は、メモリア……この後に待つ運命を象徴するかのようで、嫌いだった。
記憶の巫女となり生まれ変わった彼女は、研究所の一員として生活することになった。ゼドーやティシカとは、この頃出会い、外の世界を知らないメモリアにいろいろと優しく教えてくれた。
記憶を操作する魔法を練習していたある日、黒衣に身を包んだ男がわたしの前に現れた。訓練を上のランクに上げよう。大丈夫。今までみたいにつらくはない……と、話を聞くと、わたしが元いた暗い牢屋に、わたしと年の近い新しい実験体がいるらしい。どうやら、その実験体相手に魔法を試せということらしい。……人にこの魔法を使うのは、絶対に嫌だったのに。特に、何の罪もない、人に使うのは。
重い足取りで、実験体のいる部屋へと歩いていく。扉を開けると、そこにはみすぼらしい少年がいた。少年は、わたしを見つめる。そのまっすぐな目を、見ることはできなかった。震える声で、先ほど研究員から伝えられたセリフを震える声で話した
「わたし、この子とお友達になりたいの。」